「どおりで」と「どうりで」の使い方!漢字の通りでと道理での意味も紹介

「どおりで」と「どうりで」、どちらも同じと思って間違った使い方をしていませんか?音や仮名だとわかりにくいですが、漢字変換すれば違いがはっきりします。「どおりで」と「どうりで」の意味の違いや使い方の例文を参考に、正しい使い方をマスターしましょう。

「どおりで」と「どうりで」の使い方!漢字の通りでと道理での意味も紹介のイメージ

目次

  1. 1「どおりで」と「どうりで」は表現の違いがあった!
  2. 2「どおりで」の使い方
  3. 3漢字の「通り」の意味
  4. 4「どおりで」の例文
  5. 5「どおりで」の類語や連想語
  6. 6「どうりで」の使い方
  7. 7漢字の「道理」の意味
  8. 8「どうりで」の例文
  9. 9「どうりで」の類語と連想語
  10. 10「どおりで」と「どうりで」の使い分け

「どおりで」と「どうりで」は表現の違いがあった!

炎、王様、氷、狼、箒、正しい読み仮名を振ることができますか?オ列の子音に続くO音は、「お」と表記する場合と「う」と表記する場合があります。小学校一年生で習いますが、苦労した人も多いのではないでしょうか。

基本的には、オ列の子音に続くO音、すなわちオの長音は、「う」と表記すると決められていますが、歴史的仮名遣いで「を」または「ほ」と表記されるものは、「お」になり、さらに、習慣的に「お」が使われていたものは、例外的に「お」と表記します。

炎は歴史的仮名遣いでは「ほのほ」なので「ほのお」、王様はオの長音で「おうさま」、氷はまた歴史的仮名遣いに基づいて「こおり」、狼は慣例的に「おおかみ」、箒はオの長音で「ほうき」です。

専門家やよほど古文書に興味がある人以外、歴史的仮名遣いを全て覚えている人はいないでしょう。結局、正しい使い方をするためには、単語ごとに覚えるしか方法がありません。「どおりで」と「どうりで」を混同して、意味や使い方を間違える人がいるのも当然です。

でも、音や表記は似ていても、「どおりで」と「どうりで」には、はっきりとした意味の違いがあります。「どおりで」と「どうりで」では、表現していることが違います。会話で間違った使い方をする人は少ないでしょうが、文字にすると間違いは歴然です。

「どおりで」のつもりで「どうりで」と入力してしまい、「道理で」と変換されたら大変です。ワープロソフトの自動変換では、意味までは直してくれません。

思わぬところで恥をかかないように、「どおりで」と「どうりで」の意味の違いや、正し使い方を知っておきましょう。

「どおりで」の使い方

「どおりで」と「どうりで」は、耳で聞いただけでは区別がつきません。文字にしてあっても、「どおりで」って「どうりで」の間違いじゃないの?と思う人もいるかもしれません。漢字にすると何を表現しているのかがわかりやすいですが、平仮名だと意味がわかりません。

まずは、「どおりで」と「どうりで」が、全く違う意味の言葉だということを認識しましょう。「どおりで」は歴史的仮名遣いでは「どほりで」と表記されるので、オ列の子音「ど」に続くO音が、「う」ではなく「お」になります。

「どおりで」は、直前につく単語によって、「どおりで」となる場合と、「とおりで」となる場合の二通りの使い方があります。「と」の音が濁るか濁らないかだけで、意味に違いはありません。では、どのような使い方が正しいのか、意味や例文を見てみましょう。

「どおりで」の漢字は「通りで」

「どおりで」の意味や使い方を理解するためには、漢字に変換してみるのが一番です。「どおりで」は、漢字表現では「通りで」になります。「大通り」や「通り道」と同じ、「通り」です。

「大通り」や「その通り」と表現したいのに、「追う道理」や「その党利」と変換されて「あれ?」と思ったことがある人もいるかもしれません。入力の際、「どうりで」と打ってしまうと、何度やっても「通りで」にはなりません。

「どおりで」の意味

「どおりで」は、連体修飾語をともなう形式名詞的な使い方をします。名詞に直接つくと「どおりで」になりますが、名詞の後に「の」が入ると「どおりで」ではなく、「とおりで」となります。

指示語につくことができ「このとおりで」や「あのとおりで」といった使い方をしますが、「どの」にはつきません。

「どおりで」には、すでに了解されてる事柄や内容、結果、方法と同じ状態であるという意味があり、「~のままで」、や「~に沿って」、「~と変わらず」など、いろいろな表現が可能です。

漢字の「通り」の意味

「どおりで」は、漢字で書くと「通りで」になりますが、漢字の「通り」には、いろいろな意味があります。真っ先に挙げられるのは、「明治通り」、「靖国通り」、「環八通り」など、主要な国道や都道府県道につけられた通り名にあるように、「道・道路」という意味です。

「人や車の行き来」、「通過の具合」、「理解の度合い」、「~程度」という意味もあります。わかりにくいのでそれぞれ類語や例文を挙げておきます。

「人や車の行き来」の類語は往来、通行、例文は「人通りの少ない界隈」です。「通過の具合」の例文は、「声の通りがよくない」、「風通りが悪い」など。「理解の度合い」の例文は、「A案の方が通りがいい」、「デキ婚では通りが悪い」など。

特殊な使い方としては、「~程度」という意味で、「九分通り出来ている」などがあります。類語としては、「程、くらい」になります。これに、「どおりで」の持つ、「~と同じ状態」という意味も加わります。

「通り」につく助詞は、「で」のほかに「に」や「の」、「だ」もあります。「指示の通りで」、「指示の通りに」、「指示通りの」、「指示通りだ」などという使い方をします。

「どおりで」の例文

「どおりで」は、音が「とおりで」になることもありますが、意味は同じです。一般的には「通りで」と漢字で書いても「どおりで」、「とおりで」とひらがなで書いても間違いではありません。ただし、公用文では平仮名表記とするように通達が出されています。

例文を見ながら正しい使い方を学んでいきましょう。

例文①計画は当初の予定通り進めてください

「どおりで」には、「すでに了解されている事柄と同じ状態である」という意味があります。この例文の場合は、それが「予定」にあたります。類語を使って言い換えるなら、「予定に沿って」、「予定と同じように」と、「予定を変更することなく」進めてくださいとなります。

「通り」の後に「で」や「に」をつけて、「通りで」、「通りに」としても意味は変わりません。「予定」の後に「の」が入ると、「どおり」と濁らず、「予定のとおり」となります。

例文②議事次第は次のとおりです

「通り」という漢字に、「同じ状態にある」という意味があるので、友だちとのやり取りや私用の文書なら、「次の通りです」と漢字で書いても問題ありません。

公用文に関しては、昭和56年内閣告示第1号で、「とおり」は平仮名表記するようにと決められました。平成22年に改めて内閣告示第2号が発布され、昭和56年内閣告示第1号は破棄されましたが、「とおり」を平仮名表記するようにとの通達は引き継がれました。

例文③開始は時間通りでお願いします

この例文にある「時間」は、あらかじめ決められていた時間のことです。時間ぴったりに始めましょうという意味です。待ち合わせに遅れずにやって来た相手には、「時間通りだね」という使い方をします。

ここでも、「時間」の後に「の」が入ると「通りで」は、「とおりで」と発音します。この場合も例文①の場合も、私的なやり取りなら「通り」、「通りで」と漢字表現で間違いではありませんが、公文書の場合は「そおりで」とひらがなで表現する必要があります。

例文④破局は思った通りです

「思った通りです」、「言った通りです」、「考えた通りです」、「見た通りです」など、動詞の過去形につくと、「通りで」は「とおりで」と発音します。

「どおりで」の正しい使い方をマスターするコツの一つは、「前もって、あらかじめ」という意味が含まれている点を理解することです。類語の「予定」、「予測」、「予報」などを念頭に置いておくとわかりやすいです。

「思った通り」という使い方には、上手くいかないことは、初めからわかっていたという意味が表現されています。

「どおりで」の類語や連想語

形式名詞の「どおりで」は、その言葉自体の意味は薄く、「どおりで」だけでは意味が通じません。修飾語をともない、ようやく意味を持ちます。類語としては、「~のままで」、「~のように」、「~のごとし」などがあります。

連想語は、「想定内」、「スムーズ」、「順当」、「上手くいく」、「支障がない」などです。

「どうりで」の使い方

「どおりで」と「どうりで」は意味が違うのですから、使い方によっては「どおりで」ではなく、「どうりで」が正しい場合ももちろんあります。

「どうりで」の場合は、「どおりで」と違ってどんな場面でも「とうりで」にはなりません。

「どうりで」を漢字にすると「道理で」

ワープロソフトに「どうりで」と入力して漢字変換してみましょう。「道理で」に変わるはずです。「どうりで」と聞いて、パッと「道理で」が浮かんでくる人はそんなに多くないかもしれませんが、「どうり」ならすぐに「道理」と判断できます。

「どうりで」は、名詞の「道理」に原因、理由をあらわす格助詞の「で」が結合したものです。

「どおりで(通りで)」は、修飾語をともなわなければ明確な意味を成しませんが、「道理で」は、実質名詞の「道理」と助詞で成立しているので、「道理で」だけでも意味が通じます。

「どうりで」の意味

「どうりで」とは、なぜそういうことになるのか、原因や理由、理屈がわかって納得するという意味のことをあらわすときに使う言葉です。

なぜそうなったのか、原因や理由を知ったとき、「~だから」の「~」の部分に納得できたという意味で、わかりやすく言い換えるなら「なるほど」です。

漢字の「道理」の意味

「道」という漢字にはもちろん道路という意味もありますが、「道理」の「道」は、道徳や道儀、道心などに使うときと同じく、人としての基準や規範、宇宙の原理や原則といった意味を持っています。

昔から、「無理を通せば道理が引っ込む」とか、「無理が通れば道理が引っ込む」といった使い方をしますから、道理は、無理や無茶、屁理屈、我がままなどの反対語とも考えられます。

「道理」とは、人としての正しい考えや行い、世間一般から見た正しい教え、破綻のない論理などのことで、「道理で」といえば、「正しい考えからするとなるほど理屈に合っている」という意味になります。
 

「どうりで」の例文

「どおりで」は、正式な文書では平仮名を使うように指示されていますが、「どうりで」は、とくに「道理で」と書いてはいけないなどと規定はありません。むしろ漢字で「道理で」と書いたほうが意味は通じやすいかもしれません。

例文①「彼氏ができたの!」「どうりで綺麗になった訳ね」

恋をすると綺麗になる女性は多いです。ほとんどすべての女性はそうなのではないでしょうか。あらかじめ、恋をすれば女性はきれいになるという共通認識を持っているので、綺麗になった理由が恋愛だとわかれば、「なるほど」と誰もが納得します。

「どうりで」を、「もっともだ」、「当然だ」という意味で使っているので、この例文は、「恋をしているから綺麗になるのも道理だ」と言い換えることができます。

例文②「気前がいいね」「宝くじに当たったからね」「どうりで!」

理由を聞いて納得したときには、「どうりで」というだけで会話が成立します。誰だって臨時収入があれば、気前がよくなっても不思議はないということが、理屈に合っているということです。

この場合の「どうりで」は、「だからなんだ」という意味です。「気前がいいのは宝くじに当たったからなんだね」という意味を込めた表現です。

例文③「浮気がバレた?彼女が怒るのも道理です」

「道理」は、格助詞をつけて副詞になりますが、この場合は名詞として使っています。「道理」を類語に置き換えるなら、「当然」、「正論」です。「どうりで」を使うなら、「浮気がバレた?どうりで彼女が怒っている訳だ」と言い換えられます。

例文④「どうりで計算が合わないと思った」

何度やっても正しい答えに辿り着けないときは、「問題が間違っているに違いない」と思いたくなります。学校のテストなどでは、とくにそういう思いをしたことがある人も多いかもしれません。

このやり方で正しいはずなのに、なぜかエラーになってしまう、よくよく見なおしてみると根本が間違っていた、そんなときこそ「どうりで」の出番です。

「ほらやっぱり」という意味合いを含んだ表現です。原因がわかってすっきりした気持ちと、自分は正しかったという少し誇らしい気持ちが混ざった心理状態を表現するのに、まさにうってつけの言葉です。

「どうりで」の類語と連想語

「どうりで」の「道理」の類語はいろいろあります。「主筋」、「本質」、「原理」、「原則」、「真実」、「理念」などです。「仏法」、「神意」など、宗教的な理も、「道理」の類語に挙げられます。

これに、理由や原因をあらわす「で」がつくことで、「道理で」の類語は、「もっともなこと」、「理屈に合っていること」となり、「なるほど」、「腑に落ちる」、「納得できる」、「理解できる」などに意味になります。

「そうだったのか」、「あぁそれで」と膝を打ちたくなるような状態が「道理で」を使うのにふさわしい場面です。

「どおりで」と「どうりで」の使い分け

「どおりで」と「どうりで」は、一文字違いですが、使うシーンや使い方は全く異なることが分かったと思います。「どおりで」は、前提があってそれをそのまま継承するときに使い、「どうりで」は、疑問が解消したときや、理由が分かってすっきりしたときに使います。

「どおりで」をひらがなで書くのは、混乱を避ける目的もあります。「通り」には複数の意味があるので、漢字で「通りで」と書いてしまうと、「不忍通りで」などの「道」のことなのか、「三通りで」のように「方法や手段の数」のことなのか、わからなくなってしまいます。

文脈から判断すればいいだけのことですが、公文書では「どおりで」と平仮名表記が原則です。

言葉は、実際に使っているうちに正しい使い方をマスターできます。音だけだと混乱しやすい「どおりで」と「どうりで」ですが、「どうり」が「道理」だとわかっていると比較的間違いにくいです。失敗を恐れず、どんどん使ってみましょう。

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