伝説の喧嘩師「花形敬」とは？ステゴロ(素手喧嘩)最強の男！

伝説の喧嘩師「花形敬」とはどのような人物だったのでしょうか？彼の生涯と経歴、彼をモデルにした映画や作品をご紹介します。

伝説の喧嘩師「花形敬」は安藤組(東興業)の大幹部を勤めた人物です。前科を7犯と22回の逮捕歴を持っています。

彼の特徴として、縁無しメガネに白のスーツ、顔には大小合わせて20以上の刀傷があったとされ、また全身にもおびただしい数の傷があったとされます。

また彼は素手喧嘩(ステゴロ)という戦い方を好んで使ったことで、素手喧嘩(ステゴロ)最強と呼ばれていました。

素手喧嘩(ステゴロ)最強と呼ばれた花形敬の身長についてですが、正式な記録はないみたいです。ですが、当時の日本人の中では群を抜いて大きい人だったようです。彼の生きた1950年当時の20歳男子の平均身長が161.5cmでした。なので一説では180～185cmとも言われています。

花形敬の誕生から昭和25年(当時20歳)に安藤昇の舎弟になるまでの経歴には結婚したという話はないようです。その後まで調べた結果結婚したと言う事実は確認できませんでした。なので、彼に息子や娘、子孫がいる可能性は低いようです。

しかし、彼はすさまじく、とっかえひっかえ女遊びをしていたようなので、その女性たちの間に子供が居たという可能性は捨てきれません。

噂では花形敬には娘がいたという話があります。噂によれば、彼が殺害された際に、彼は娘へのプレゼントの人形を持っていたということです。(殺害の詳細については、後程お伝えします。)

この噂についてですが、可能性としてはかなり低いと思われます。理由として、彼は亡くなる1時間ほど前に新宿のクラブでお酒を飲んでいます。娘へのプレゼントを持ってクラブに飲みに行くというのは少々考えにくいと思われます。

また彼のお墓には家族の名前は無く、施主には「小池光男、安藤昇、友人一同」と刻まれ、家族の名前はありませんでした。
普通、お墓は子孫が管理するものなので、そこに名前が無いとなると子孫は居ないと考えるのが妥当でしょう。

ここからは、素手喧嘩(ステゴロ)最強の男・花形敬の人生と彼と周囲の人との関係を掘り下げて行きたいと思います。

花形敬は1930年、昭和5年に生まれました。幼い頃から他の子供よりもかなり体が大きかったようです。子供時代には、不良少年達を引き連れ、街の不良と喧嘩しやっつけて回っていた。その大きな体と迫力から「怪物」と呼ばれていました。

花形敬には、彼と同じ安藤組の幹部になる、同じ時代に暴れていた、森田雅・石井福造・花田瑛一の子供の頃からの顔見知りがいたました。

花形敬は千歳中学校に入りました。中学時代を知る森田雅によると、現役のボクサーと勝負して、ワンパンでボクサーをKOしてしまうという怪力を発揮し、そのボクサーから「君は素手で殴ったら相手が死んでしますから、平手打ちにしなさい」と言われたそうです。それ以降花形敬のパンチは殺人パンチと呼ばれるようになったそうです。

また花形敬は、元々海軍兵学校を目指して第二次世界大戦終戦までは勉強一筋でしたが、目を悪くしてからグレてしまい、突然変異で不良になった気持ち悪い奴と森田雅は評しました。

その後、花形敬は千歳中学校を自主退学し、国士舘中学校に編入しました。編入後、当時の国士舘中学校の番長だった、石井福造に決闘を申し込みました。この時、石井福造の助っ人で森田雅もその場にいました。

森田雅はこの時のことについて「現れた花形敬は、1人だけ飛び抜けて大きな男が立っていて、指をポキポキ鳴らしながら、巨大なラッパズボンをはためかせ、ニヤニヤしていた。その異様な姿に度肝を抜かれた。」と回想しています。

安藤昇は安藤組組長を勤めた人物です。ヤクザを引退後名前は安藤昇とそのままで俳優・小説家・歌手・プロデューサーとして活躍しました。

花形敬は昭和25年に石井福造の仲介で安藤昇の舎弟となり、安藤組(東興業)の大幹部となりました。昭和33年に安藤昇が横井英樹の債務取立ての処理を請負ましたが、その際安藤昇が横井英樹に対して激怒し、安藤昇が自分の組員に横井英樹の襲撃を命じました。安藤昇は35日間の逃亡生活の末に殺人未遂罪で逮捕され、花形敬が安藤昇に変わり安藤組組長代理を勤めました。

花形敬は安藤昇からの最も寵愛を受けた人物とされています。

安藤組のシマにオープンした飲み屋「純情」が安藤組に挨拶がないという事で、飲み屋「純情」に花形敬が出向きました。すると奥から出てきたのは、当時の国民的英雄、プロレスラーの力道山でした。

力道山は元力士で、その後プロレスに転向しました。戦後柔道の木村政彦とタッグを組んで、外国人レスラーを空手チョップで倒す勇士に日本国民が熱狂しました。

力道山は身長176cm、体重は116kgでした。身長は花形敬の方が大きかったみたいです。力道山も酒に酔った時そうとうタチの悪い人物で、飲み屋で女を殴ったりしたというエピソードもある人でした。

奥から出てきた力道山は、「俺がこの店の用心棒だ」と花形敬に凄みましだが、「てめぇ、ここを何処だと思ってやがる！てめえみたいな奴に用心棒が務まるか！」と大迫力に力道山に凄みました。

あまりに凄い迫力だったため、やばいと思った力道山は、「うう・・なかで飲もう」と花形敬に屈服してしまいました。

この力道山とのやりとりには異説があるそうです。それは森田雅の著書である「修羅場の人間学」という本に書かれています。それは次のようなものでした。

力道山と対峙した時に、実は花形敬はいませんでした。力道山と対峙して一触触発になったのは、森田雅と安藤組の数名のメンバーでした。大男の力道山に対して、森田雅は大きな金槌を持って対峙し、力道山とにらみ合いになりました。森田雅は気迫を込め力道山にを睨みつけると、力道山は動けなくなりました。

その戦いは剣術の真剣勝負の様な駆け引きで、森田雅の気迫と圧力でギリギリまで追い詰め、絶対絶命の状態に追い込み、混乱寸前の力道山にわざと逃げる隙きを与えて動きをコントロールしてパニックになった力道山は無様に敗走したそうです。

まず安倍譲二についてご紹介します。安倍譲二(本名 安倍直也)は花形敬と同じく安藤組の団員でした。そして彼は、安倍譲二として小説家、漫画原作者、タレントとして活動しています。

そんな安倍譲二と花形敬との関係についてですが、安倍譲二から見て花形敬は大先輩にあたる人物のようです。理由として安倍譲二と花形敬の年齢差が7つあるのと、安倍譲二は森田雅を尊敬しており、森田雅は花形敬の事をさん付けして立てていたからです。

そして、安倍譲二と花形敬についてこんな噂があるみたいです。それは安倍譲二と花形敬がタイマンで勝負をして互角に引き分けたという噂です。この噂ですが出処がはっきりしていません。

また、実現が難しいです。理由として、前述した通り安倍譲二と花形敬は7つも歳が違います。ヤクザの世界は上下関係が非常に厳しい世界なので安倍譲二が花形敬に対して喧嘩を売ることはまずないと考えられます。また、安倍譲二が尊敬している森田雅がさん付けしていた花形敬に逆らうようなことはしないでしょう。なので安倍譲二VS花形敬は可能性としてはかなり低いものとなっています。

ここからは伝説の喧嘩師「花形敬」の武勇伝と彼にまつわる都市伝説をご紹介します。

花形敬が明大予科の学生だった頃、空手部・柔道部・相撲部の猛者が学校に居たが、喧嘩で誰一人として花形敬には敵いませんでした。花形敬の噂を聞いて、当時の明大の学部の番長が拳銃を持ち、花形敬に挑んだが、瞬く間に拳銃を蹴り上げられて、叩きのめされました。

素手喧嘩(ステゴロ)で最強だった花形敬にはこんな都市伝説があります。常日頃から「拳銃(ハジキ)では俺はとれんぞ」と口にしていた花形敬は、ある時拳銃で撃たれ病院に担ぎ込まれました。ですが、花形敬はすぐさま病院を抜け出して自分を撃った相手を一晩中探したという話が残されています。

安藤組の大幹部となった花形敬は、同じ組内に花形敬と並び称される喧嘩の達人で、森田雅という人がいました。花形敬が彼と酒を飲んでいる時、花形敬は酔っ払って、森田雅を殴りました。

森田雅は花形敬にキレかけたが、酒に酔っている時の花形敬は人が違った様になる事を知っていたので、その場は我慢して家に帰りました。

しかし、森田雅の舎弟は兄貴分が殴られて黙っていられませんでした。その夜、森田雅の舎弟は、酔っ払って街を徘徊している花形敬を呼び止め、拳銃を構えました。

それに気づいた花形は「なんだそりゃ？」と言い森田雅の舎弟は動けず固まっていました。

その後「撃つか、喋るかどっちかにしろ！」と言い、花形敬は森田雅の舎弟を殴り飛ばしました。森田雅の舎弟は引き金を引き発砲しましたが、弾は当たりませんでした。

「このガキが、この俺を撃てるのか」と言いながら花形敬は森田雅の舎弟に近づきました。

森田雅の舎弟は意を決して引き金を引きました。そしてその弾は花形敬の指を貫通しました。

花形敬か怯むことなく「てめえ！しっかり狙わねえと命がねえぞ！」と迫り、森田雅の舎弟はもう一発引き金を引きました。

今度は身体に命中しましたが花形敬は倒れませんでした。

ここで、森田雅の舎弟は逃げだしました。

その後、花形敬は自力で病院に行き治療を受けました。幸い弾は貫通していて、大事には至りませんでした。そして、花形敬は病院を抜け出し、朝まで酒を飲んで、女を連れて旅館に泊まりました。 

この話は先程ご紹介した、都市伝説と最後の部分が類似しています。残念ですがどちらが元となる話かは、特定することは出来ませんでした。ですが、2つの話に共通する部分である、銃で撃たれた後常人では考えられない活動を可能とする体は正に最強と言えます。

花形敬刺殺事件のプロローグから事件の詳細までをまとめました。

花形敬が亡くなったのは昭和38年8月のことです。当時安藤組の幹部・西原健吾の若衆の田中が、岡村文化部の組員と乱闘を起こし、その場を東声会組員の小川が仲裁しました。ですがこの仲裁の仕方で今度は安藤組の田中と東声会の小川が揉めてしまいました。そこで安藤組の田中が東声会の小川をナイフで襲い、花形敬に報告した後警察に自首しました。

花形敬は安藤昇の兄貴の小林光也に相談し、その兄貴分の方が、日本大学役員の工藤に取り成しを依頼しました。工藤は平野(東亜友愛事業組合初代理事長)に連絡すると、神戸に所用があるので東京に戻り次第連絡すると返答しました。なので工藤は、平野から連絡があれば花形敬に連絡すると小林光也に約束しました。

また花形敬は安藤組幹部の佐藤昭二と一緒に落合一家の高橋岩太郎総長にも相談しました。そして花形敬と佐藤昭二と高橋岩太郎の三人で日大の工藤に会いに行きました。工藤は平野からの連絡がないと答えただけだった

その後、高橋岩太郎は舎弟から自身の兄貴分で岡村の舎弟だった渥美幸一郎からの「至急洲崎の渥美邸へ出向くように」との伝言を聞き、尋ねると「花形敬が岡村に一物あるのか確かめてほしい」と依頼を受けました。

そこで高橋岩太郎は花形敬から確認した後、渥美幸一郎に「花形敬が岡村に詫びを入れたいと言っている」と伝えました。岡村吾一は渥美幸一郎から話を聞くと、改めてお詫びに来なくてもいいということを渥美幸一郎を通じて花形敬に伝えました。

後日高橋岩太郎は、渥美幸一郎から再度呼び出しを受けました。そこで平野が既に東京に戻っていることを聞かされて，また岡村吾一の伝言を知ることとなります。岡村吾一のとしては、花形に東声会への見舞金30万を用意して渥美幸一郎と高橋岩太郎に安藤組と東声会を仲介するように指示していました。

その後、高橋岩太郎は安藤組に電話をかけたのですが、花形敬は5分前に安藤組を出た後でした。花形敬は新宿のクラブで知り合いの人と1杯飲んで車で自宅アパートに帰りました。一方花形敬のアパート付近では東声会の刺客が2人待ち伏せていました。花形敬は車を降りた後、近所の料亭「仙寅」の前の路上で刺客二人に刺殺されました。

この花形敬殺害の瞬間を「仙寅」の店員と高校生2人が目撃していて、3人は刺客2人が現場から150m離れたところにある黒塗りの車まで追跡しました。黒塗りの車から拳銃が発砲され逃走し、「仙寅」の店員が撃たれ重体になり近くの病院に搬送されました。

安藤組に、花形敬の家族から電話で刺殺のことが伝えられました。佐藤昭二達が警察署と花形敬がた注ぎ込まれた病院に行きました。佐藤昭二は、花形敬が刺殺されたことを高橋岩太郎に伝え、高橋岩太郎も、若衆の運転する車で安藤組事務所に向かいました。既に安藤組組員の中には東声会へ報復しようとするものも少なくなかったが、高橋岩太郎がそれを何とか止めました。

翌日遺体は家族に引き取られ、実家で通夜が営まれました。高橋岩太郎は佐藤昭二に案内されて通夜に行き、花形敬の母から安藤組に対して報復はしないよう懇願されました。

ここでは素手喧嘩(ステゴロ)最強伝説の喧嘩師・花形敬をモデルにした作品をご紹介します。

花形敬をモデルにした小説として、著者 本田靖春「疵　花形敬とその時代」があります。初版が1987/04/10で作品の内容として、花形敬の生き様を追跡したノンフィクション作品となります。

花形敬をモデルにした漫画は6つあり、
「実録・安藤組(ブヤ)」コミック全八巻 著者 神田たけ志、安藤昇
「餓狼の系譜」コミック全八巻 著者 安藤昇
「餓狼一代」コミック全四巻 著者 仲城健、安藤昇
「修羅の男たち 実録・人斬り五郎異聞 4　渋谷編」コミック全四巻 著者 一の瀬正、藤田五郎
「実録　疵－ヤクザ伝　安藤組　花形敬 伝説のケンカ師編」バンブーコミックス 著者 安藤昇、影丸穣也
「実録　一徹ヤクザ伝　高橋岩太郎　懲役仁義編」バンブーコミックス 山平重樹著
があります。

花形敬をモデルにした映画は6つあり、
映画「血と掟」湯浅浪男監督、尾形敬(花形敬)役は菅原文太、1965年
この映画は安藤昇が終戦後ヤクザを始めたきっかけとヤクザとしての活動、そして解散までの道のりを描いた映画です。

映画「安藤組外伝 人斬り舎弟」中島貞夫監督、安藤昇主演、花形敬役は菅原文太、1974年
この映画は花形敬の壮絶な生き様を描いた映画です。

映画「疵」梶間俊一監督、陣内孝則主演（花形役）、1988年
この映画は花形敬の33年の生涯を高度経済成長時代の背景で描いた映画です。

映画「修羅場の人間学」梶間俊一監督、高嶋政伸主演、花形敬役は山下真司、1993年
この映画は安藤組の下っ端・平吉の目線で描かれた映画です。

映画「実録・安藤組外伝 餓狼の掟」梶間俊一監督、哀川翔主演（花形役）、2002年
この映画は安藤組の勢力拡大と花形敬の破天荒な生き方を描いた映画です。

映画「渋谷物語」梶間俊一監督、村上弘明主演、花形敬役は嶋尾康史、2005年
この映画は安藤昇の若き日の姿と「弱者を排斥する巨悪に対する怒り」を本人の原作「激動」を基に描かれた実録ドラマです。
 

板垣恵介が作者であるグラップラー刃牙。もとい刃牙シリーズと花形敬には一体どのような関係があるのでしょうか。

まず刃牙シリーズに登場する花山薫とは一体どのような人物なのでしょうか？花山薫は、五代目藤木組系暴力団花山組二代目組長で花山薫の父・花山景三が他の組との抗争で亡くなってしまい、15歳と言う若さで花山組の二代目組長として就任しました。

そんな花山薫ですが、どうやら花形敬をモデルとして描かれているようです。作者の板垣恵介は本田靖春が書いた「疵」を参考に花山薫のキャラクター像を作られたそうです。

では花山薫と花形敬を比較していきましょう。まずは外見ですが、花形敬は傷だらけの顔に縁無しメガネをかけ、白いスーツが特徴的な人物でした。

花山薫も花形敬と同様に、傷だらけの顔に縁無しメガネをかけ、白いスーツを着ています。身長と体重ですが、花形敬は身長180cm程で体重は不明です。花山薫は身長190cm程で、体重は166kgです。身長は10cm程度違いますが大柄という点では一緒です。

花山薫は背中に入れ墨(侠客立ち)を入れていますが、花形敬は何も入れていなかったようです。

そして花山薫の戦い方ですが、素手喧嘩(ステゴロ)最強と呼ばれた花形敬と同じく素手喧嘩(ステゴロ)で戦います。また日本一の喧嘩師と呼ばれています。

花形敬は素手喧嘩(最強)伝説の喧嘩師と呼ばれましたが、他にも伝説のヤクザと呼ばれた人物が居たのでご紹介します。

名前を大西政寛と言い、花形敬より7つ上のヤクザで、キューピー人形の様な幼くかわいい顔立ちですが、大西政寛が一度怒ると、目がつり上がり、凄まじい形相になったといいます。また大西政寛が何故悪魔と呼ばれるかというと、敵組織の人間の腕を連続で切り落としたり、八百長レースのもつれから、競馬の騎手を割り木でボコボコにしたりしました。

また大西政寛の事を知らず、妻と二人で歩いている時に数人にからかわれ、その男が名前を大西と語った為、自分の名前を語られたと思い、怒り、拳銃で頭をぶち抜くその凄まじい狂暴性でから悪魔のキューピーと呼ばれました。

伝説の喧嘩師「花形敬」について紹介してきました。彼の生涯は短かったですが、生き様は濃く深いものでした。またヤクザという生き方の中で、素手喧嘩(ステゴロ)を用い花形敬は伝説と呼ばれるまでに上り詰めました。

何か一つにこだわり生きていくのは難しいことですが、それを成し遂げた時、人は強さを得るのでしょう。