2018年10月08日公開
2019年07月31日更新
若輩者の意味や使い方の例文とは?若輩者ですが/若輩者ではございますが
「若輩者」は、若くて未熟な点があることを謙遜して使うというイメージがあります。でも、「若い新入社員が使うと謙遜にならず失礼になる」と聞いたことはありませんか?場面に応じて使い分けが必要な言葉「若輩者」の使い方のポイントを確かめていきましょう。
目次
若輩者とはどんな意味?
「若輩者」を、なんとなく「若くてご期待に添えるかわかりませんががんばります」という意味で使ってきたという方も多いのではないでしょうか。
でも、40代になるような他の部署から異動してきた方が、自己紹介で「若輩者」を使うのは間違いではありません。使い分けのポイントがわからずもやっとしていませんか?
「若輩者」は、単純に「若者」や「新人」という意味に加えて、キャリアが浅いというニュアンスが含まれ、へりくだった表現に使われます。社会人として知っておきたい意味・使い分けのポイントを例文を使いながら解説していきます。
若輩者の意味
「若輩者」は、目上の人に対して、へりくだった使い方をする言葉です。「私のような若輩者をお引き立ていただき光栄です。」や、「若輩者ですがご指導のほどお願いいたします。」と使われます。
目上の人に対して、「あなたよりも劣っている自分」という言い回しで使われますから、相手と比べることが明らかに失礼な人(新卒新入社員、日の浅いアルバイト、社会での実績がなにもない人)が言うのは使い方としてふさわしくありません。
「例文:若輩ながら謹んで任務に邁進いたします。」、「例文:若輩者ではございますがお受けいたします」などのように使われますが、「例文:至らぬ点もありますが~」という言い方と似た表現です。
若輩者の読み方
「じゃくはいもの」と読みます。「若=じゃく」「輩=はい」「者=もの」です。漢字の意味としては、「若=わかい、世慣れていない、未熟」、「輩=やから、同列のなかまやから」、「~者=~な人」です。
「若輩者」とは、漢字の意味から読み解くと「不慣れで未熟な人間」を表しています。単純に「若者」や「新人」とは置き換えられない意味を含んでいるので、言葉の意味だけでなく、場面や立場によって違和感が出てしまう使い方です。
目上の方から「常識や言葉遣いを知らない」と思われないように、「若輩ですが」、「若輩ではございますが」、「若輩ながら」といった言葉のポイントを押さえた使い方をしましょう。
若輩者の類義語・同義語
「若輩者とは?」と考えた場合、類義語・同義語など、他の言葉に置き換えてみると、意味や使い方が理解しやすくなります。また、場面に応じて使い分けることで、違和感なく気持ちを表現することができます。
「若輩者」の類義語・同義を例文とともにみていきましょう。
浅学非才(せんがくひさい)
「浅学(せんがく)非才(ひさい)」とは、知識が浅く才能もないということで若輩者の類義語です。普段の会話ではあまり使われず、硬い印象を受ける言い方です。
「未熟者」は能力が十分ではない、一人前ではないという意味で、「若輩者ですが」、「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」の類義語・同義語にあたります。
青二才・若造
他に「青二才」や「若造」とは、「未熟者」だというだけでなく、まだまだの存在として下に見ているニュアンスを含んでおり、男性に対して使われる若輩者の類義語・同義語です。「新米」なら性別を問わない言い方です。
文例としては、「若輩ながら出過ぎたことをした」⇒「青二才・若造ながら出過ぎたことをした」(若く未熟であるけれど手を出してしまった)、「若輩ながらなかなかやる」⇒「青二才・若造のくせになかなかやる」(若いのになかなかやる)
青二才・若造の方が、より見下して蔑んでいるニュアンスを与えるでしょう。
右も左もわかりませんが
「右も左もわかりませんが」とは、要領がよくわからないという時に使われる「若輩者ですが」、「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」の類義語です。
使い方としては、フレッシュな立場の若者なら応援したくなる印象ですが、いい年をして使うと頼りない、信頼できないというマイナスイメージを持たれるので注意しましょう。
「至らぬ点もあるかと思いますが」「まだまだ適い(かない)ませんが」「不束者(ふつつかもの)ですが」という言いかたでも表現でき、同義語・類義語といえます。話し言葉に近い表現を選ぶと、初々しい印象になります。
駆け出しですが・ペーペーですが
「駆け出しですが」「ペーペーですが」「まだまだ力不足ですが」なども、「若輩者ですが」、「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」類義語・同義語として使うことができます。話し言葉として馴染みやすい表現と言えます。
「例文:まだまだ駆け出しですが、一生懸命やらせていただきます」などということができます。新人というニュアンスでは「新参者(しんざんもの)」も、類義語・同義語と言えます。
若輩ながらを使う?言葉選びのポイント
とても若い人が謙遜した言い方をする場合、「若輩者」では硬すぎたり、何の実績もないくせにと違和感を与えてしまうことがありますから、場面や相手に応じて使い分けましょう。類義語・同義語でふさわしいものを選んだほうが良いでしょう。
例文としては、「若輩ながら」ではなく、「至らぬこともありますが誠実に取り組んでまいります」や、「不慣れな点もありますが精一杯取り組んでまいります」などが似合うでしょう。
また、地位・ステイタスがある人、一定以上のキャリアがある人が、むやみにへりくだって「若輩者」を使うと、嫌味や皮肉として受け取られかねません。相手を立てていることが伝わる場面に応じた類義個・同義語を探しましょう。
置き換えの判断
類義語は「置き換えが利く言葉」、同義語は「完全置き換えは難しいながら同様の意味を持つ言葉」を指しています。
「若輩者」に対する「若造」や「青二才」では、置き換えできる類義語と呼べるケースと、経験値に重きを置いた置き換えできない同義語になるケースがでてきます。
場面に応じて言い換えができる同義語を詳しく見ていくと、シチュエーションごとの話し手の気持ちがわかりやすいでしょう。同義語・類義語を使って書き直すと、相手の真意により迫リやすくなるでしょう。
何歳なら若輩者?
「若い」という漢字が入っているので、若年層などで表される年齢をイメージします。統計では、15歳~24歳、あるいは15歳から34歳くらいまでとすることが多く、30代前半までの人に当てはまるのではと思いがちです。
しかし、40代前半で部署が変わった人が自分のことを「若輩者」と表現する場合もあり、その分野で経験が浅いということに焦点を当てている場合には、間違いではありません。
ただし、40歳にもなって「まだまだ若造ですがよろしくおねがいします」というのは違和感があります。類義語・同義語で表現する場合には、使われ方のニュアンスを読み取って近い言葉を選ぶ必要があります。
若輩者の反対語にはどんなものがある?
「若輩」に対して「老輩」という言葉がありますが、老輩とは、お年寄り、老人の意味です。お年寄りが自分自身を謙遜したときに「老輩ごときの出る幕ではありません」などと使うことはあっても、第三者が「老輩をいたわりましょう」とは言いません。
「若輩者」に対しての「老輩者」という言い方もありませんから、反対の意味を表す言葉としては、まったく違った表現になります。
「若輩者=経験が浅く至らない、未熟者、実績不足」という意味の反対と考えると、「習熟者」、「ベテラン」、「実力者」、「老練」、「経験豊富」となるでしょう。配慮ができる、抜かりない対応ができるという意味の言葉が、反対語となります。
ただ「若輩者」は、使い方としてへりくだった表現で使われるので、わざわざ反対語を使って言い換えるようなことはありません。日本人としてしっくりくる謙遜して相手を立てる感覚が影響した表現に使われる言葉なのです。
「老練ではありませんが」や「軽々不足ですが」などのように否定することで、「若輩者ですが」のように使うことがあります。
若輩者と類義語の使い分け
「若輩者」は、やや硬い言い回しが似合うかしこまった場面で、へりくだって使います。相手に対して経験や力不足であるとわかりきっているときは失礼になるので使いません。他の類語との使い分けについてまとめてみましょう。
硬 ↑ ↓ 柔 |
若輩者 | 釣り合う実績がないと失礼になる。 |
浅学非才 | 硬い言い回しが生意気な印象になるときは避けたほうがよい。 | |
未熟者 | 未熟は話し言葉でも使われるので印象がすこし柔らかくなる。 | |
不束者ではございますが | 不束者=気が利かないの意味。結婚の挨拶でへりくだって「不束な娘」などと使われる。 | |
至らぬ点もありますが | 話し言葉に近く、使いやすい言い回し。 | |
右も左もわかりませんが | 話し言葉の感覚で親しみやすい。ただ、ストレート過ぎて頼りない印象を与えたくないときには「至らぬ点もあります」程度にしておいた方がよい。 | |
ペーペーですが | かなりくだけた言いかた。「ペーペーなんですみません」と新人をかばうのはアリかもしれませんが、かしこまった場面では軽すぎる言い回しです。 |
「若輩者」と似た意味を持っている言葉でも、その場の雰囲気や相手との関係で置き換えに適しているかどうか考えることがポイントです。
フォーマルやビジネスでの「若輩者」
大人らしい言葉遣いとして、堅い表現を知っておくのは大切です。取引先との会話で、かしこまった雰囲気で「若輩者」を使った挨拶をされることがあるかもしれません。そんなときには、丁寧な言葉を選んで謙遜している、へりくだった態度を表現しているのです。
若い経営者同志、ベンチャー企業の場合には、こうしたビジネス上の回りくどい表現を嫌ってストレートな話し言葉が主流になっていることも多いですが、信用を重視する老舗企業との取引には、大人らしい言葉遣いが必要になります。
場面に応じて、へりくだった表現を使うことや、ビジネス上の慣用句として頻出する言葉を知っておいて損はありません。取引や交渉ごとの時に、落ち着いた印象を与えるのに役に立ちます。
話し言葉なら噛み砕いた言葉でストレートに表現
初対面の挨拶では「はじめてでスムーズに進まないことがあるかもしれませんが、一生懸命やりますのでよろしくお願いします。」という内容を話すことが多いでしょう。
あまりにも正直に「初めててで自信ないです」では頼りないですし、「やれることをやるだけなんで…」なんて言い方は、生意気で反感を買ってしまうでしょう。
日本人の気質としては、経験者や既存のスタッフに敬意を表した上での挨拶が大人として受け入れられやすいものです。
フランクにものが言える中でも、「至らないところがあるかもしれません」や、「駆け出しで」や「手の届かないところもあるかもしれませんが」などの表現を挟むと、生意気な印象を与えずにすむでしょう。
若輩者の使い方
自分のことを「若輩者」ということで、謙遜して相手を立てる使い方と、目下の者を「若輩者」と呼ぶことで格下であることを強調する使い方があります。
謙遜した使い方は、ビジネスでの交渉事や会議、取引先との会話、式典や結婚式などのかしこまったシチュエーションで使われることがある言葉です。
使い方のポイントを押さえていないと、常識ある社会人という印象が揺らいでしまいます。「若輩者とは」という単語の意味だけでなく、使い方を確かめておきましょう。
若輩者は「謙遜」の意味で使う
若輩者とは、謙遜の意味を含んで使われる言葉だというところを押さえておきましょう。「あなたには及ばないのですが」と相手を立てる使い方をします。
単純に、力不足であるということを言って謙遜するなら、どんなに若く、経験がない人が使ってもおかしくありません。
しかし、相手との差が明らかな時には使わない方が良いでしょう。言葉の響きから、若い人が話し言葉として使うと違和感を残す場合があります。すこしあらたまった挨拶の場面で、謙遜して使う言葉です。
年下や経験の少ない者に使う
自分に対して「若輩者」とつかうだけでなく、部下や後輩を指して「若輩者」と表現することがあります。「若輩者ではございますが、期待に応えるだけの気概を持った社員でございます。」などと、自社所属の人間を、へりくだって言うときにも使われます。
結婚式などで上司が部下の挨拶に使う
結婚式のスピーチなどで、新郎の上司が「若輩者ですが、(新郎の〇〇君への)ご指導よろしくお願いいたします」などと使うことがあります。部下の〇〇君を自社の身内としてへりくだって表現することで、来賓各位の立場を上にするニュアンスになります。
また、ステイタスの高い人を差し置いて挨拶や乾杯の音頭を引き受けた直属上司が、「若輩者ながら一言申し上げたいと思います。」や「若輩者ながらご指名をいただきましたので~」などと使うことがあるでしょう。
相手に敬意を示して場を円滑にするはたらきがある
ビジネスやフォーマルな場での挨拶では、前置きなしに本題をだけをサクッと言うのはなく、ワンクッション入れるのが日本流のやり方です。集まっている人、話す相手に敬意を払って、話を聞いてもらうという姿勢を示すのが一般的です。
「いつもお世話になっております」や、「ご理解に感謝いたします」に近い働きを持っています。「若輩者」のフレーズを入れることで、自分に足りないものがあることを認めた上で、次のステップに話を進められます。
摩擦や衝突を回避しやすく場の雰囲気がスムーズになる、気遣いあるフレーズです。こうした言葉をさり気なく言えるようになれば、社会人としての信頼も増すでしょう。
若輩者の例文【ビジネスシーン】
では、「若輩者ではございますが」「若輩ながら」「若輩者ですが」という言い回しが、ビジネスシーンでどのように使われているのか、例文を紹介しましょう。
部下を取引相手に紹介する場合
「経験が浅い」、「担当についたばかり」、「転勤してきた」といった自社の社員を取引先に紹介する時に、「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」、「若輩者ですが」と使う例文をみてみましょう。
着任間もない若輩者ではございますがよろしくお願いいたします
へりくだった言い方で丁寧な表現だという印象になります。言葉通りなら、「ベテランではないので、行き届かないところもあるかもしれませんがお許しください」という意味になりますが、社交辞令的な面もあります。
新しい部署に配属されて間もなくの得意先周りでの挨拶で、「着任間もない若輩者ではございますがよろしくお願いいたします」⇒「経験が浅く、そちら様と釣り合うかわかりませんが、良い仕事ができるようにがんばります」というニュアンスになります。
新人として部署に配属された場合
新人として新しい部署に配属されたときにも、「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」、「若輩者ですが」という言葉が使われる場面があります。キャリアが浅いことを前置きしてスムーズに受け入れてもらえる挨拶をしたいものです。例文を見てみましょう。
若輩ながらチームの一員として力になれるよう努力いたします
挨拶のようなややかしこまったやり取りの中で「若輩ながら」という言い方が使われることがあります。「現メンバーよりは経験が浅いですが」といった意味を付け加えることで、気遣いのニュアンスをプラスすることができます。
空気を壊さないチームプレーで、結果に貢献しますというニュアンスの挨拶になります。いきなりでしゃばりすぎない常識的な人間ですという印象をもってもらえるでしょう。
当然、続く言葉も「お役に立てるよう精進いたします」や「努力いたします」といったものになります。「未熟者ですが」と同義語になるので、自慢になるような内容が続くのは違和感を生みます。
若輩者の例文【冠婚葬祭】
続いて、結婚式で使われる「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」、「若輩者ですが」という言葉を使った場合の例文を紹介しましょう。
結婚式の乾杯の音頭をとる場合
乾杯の音頭をお願いするのは、上司などが多いですが、主賓となる格上の方には祝辞をお願いすることが多いものです。
乾杯はそれ以外の方ですから、「若輩者ではございますが」、「若輩ながら」、「若輩者ですが」と前置きして、気遣いを表すのです。例文を紹介しましょう。
若輩者ですがご指名に預かりましたので乾杯の音頭を取らせていただきます
控えめが美徳、周囲への気遣いをするのが礼儀というところがありますから、フォーマルな場面での指名を受けるときには、「若輩者ですが」、「若輩ですが」、「若輩者ではございますが」や、「諸先輩を差し置いて恐縮ですが」などの言葉を使います。
主席者の格付で、不愉快な思いをさせないように、挨拶や乾杯の音頭の指名を受けた場合には、気を使うものです。乾杯の音頭を取る時に、周囲への気遣い、配慮のある一言がいえると、社会人としての株が上がります。
新郎が結婚式で挨拶をする場合
新郎が挨拶する場合にも、「若輩者ですが」、「若輩ですが」、「若輩者ではございますが」が使われます。家庭人としてのスタートを切ったばかりなの未熟者だという、へりくだった表現になります。例文をみていきましょう。
若輩者ではございますがご指導のほどお願いいたします
結婚式披露宴では、新生活を始めたばかり、あるいは、これから始める二人の未熟さや至らなさを前置きした上で、「これまでお世話になった方に感謝し、結婚を認めてもらえるようにお願いする」といった内容の挨拶をするのが一般的です。
年配の方もお迎えするフォーマルな席ですから、「まだ至らぬ点も多いですが」や「未熟な二人ですが」といった表現の同義語として、「若輩者ではございますが」という言葉を使うと、落ち着いた社会人らしい印象になります。
ただ、雰囲気がカジュアルな披露宴や、新郎がとても若い場合には、無理せず「至らないところも多くお世話に場面があるかと思いますが~」など、話し言葉に近い挨拶のほうが気持ちがストレートに伝わると感じるゲスト多いかもしれません。
「若輩者」の正しい使い方を知っておきましょう
「若輩者ですが」、「若輩ですが」、「若輩者ではございますが」という言葉には、「若造」や「経験の浅い半人前」という意味がありますが、へりくだって相手を立てるニュアンスが含まれています。
このため、相手と比べて明らかに未熟な立場の人が使うと失礼になることがあります。
また、言葉の響きがやや堅苦しく感じるので、ややフォーマルな場面、ビジネスでの改まった言い回しのときに使われます。20歳前半のペーペーの若者がむやみに使うと違和感を与えることがあるので、シチュエーションを考えて使いましょう。