特任助教とは?年収やボーナスや任期・助教やポスドクとの違いを解説

特任助教とはいったいどうのような役職なのでしょう。通常の助教やポスドクとの違いは?月の給与やボーナスは?任期はあるの?大学ごとに違いはあるの?特任助教になるにはどうすればいいの?ここでは特任助教はどういったものなのかをご紹介致します。

特任助教とは?年収やボーナスや任期・助教やポスドクとの違いを解説のイメージ

目次

  1. 1特任助教とは?
  2. 2特任助教と助教とポスドクの違い
  3. 3特任助教の任期はどれくらい?
  4. 4特任助教の年収はどれくらい?
  5. 5特任助教の月額の給与はどれくらい?
  6. 6特任助教の公募はあるの?
  7. 7特任助教の実状

特任助教とは?

通常の助教というのは、学生を教授することと同時に専門分野の研究を指導する、又は研究に従事する教育職員のことです。特任助教の責務は助教と同じですが、雇用期間に任期があります。つまり、一定の雇用期間内で雇用されている助教、ということになります。

ここでは特任助教と他の役職との違い、任期、給与やボーナス、手当などの待遇についてお話ししていきます。

特任助教と助教とポスドクの違い

特任助教と通常の助教の違いは何なのでしょうか?また、ポスドクとは何なのか、特任助教とポスドクの違いについてもご説明します。

特任助教と助教の違い

特任助教と助教では、特任助教に任期があるとご説明しましたが、ほとんどの助教にも任期はあります。特任助教と助教の任期の違いは、長さにあります。一般的に、特任助教は継続的に雇用される正規の教員ではありません。

特任助教は助教より短い任期で雇用されます。特任助教は特定の専門分野のプロジェクトや研究などを実施することが決定したり、予算が大きく取れたりしたタイミングで公募され雇用し、そのプロジェクトや研究、予算を使い切ったタイミングで任期が終了します。

給与も通常の運営費からではなく、一時的な予算枠から支払われます。そのため、任期が短く、更新も無いのが特徴です。大体の助教にも任期はありますが、給与の支払い枠は通常の運営費からで、中長期的な任期で雇用されます。

特任助教が一時的な短い雇用期間であるのに対し、助教は特任助教よりも長く更新もある場合が多いです。再雇用の可能性もあります。任期や更新回数等の条件は、各大学によって違います。

特任助教とポスドクの違い

ポスドクはポストドクターのことで通称ポスドクといわれています。特任助教とよく似ているとされますが、特任助教は仕事に学生の教授や指導が含まれていたのに対し、ポスドクは研究員であるため学生の指導責務は無いというところに違いがあります。

特任助教は短い任期の中で、学生の指導と研究の両方を行わなくてはならないため非常に多忙です。ポスドクは、特定の専門分野の研究プロジェクトで公募されることが多く、教育ではなく研究が主体となります。

大学院の博士課程終了後すぐに助教や特任助教になれる人は非常に少ないため、ポスドクで何年間か勤務し、その上の助教や特任助教を目指す人が多いです。
 

特任助教の任期はどれくらい?

特任助教の任期はどれくらいなのでしょうか?任期の詳細、助教との任期の違い、雇用元についてご説明します。

雇用元はどこ?

特任助教の任期は、おおよそ1~3年で、1年契約の最長3年というような条件になっていることが多いようです。特定の専門分野のプロジェクトや研究のために公募されているので、プロジェクトや研究が終了したタイミングで任期が終了し、任期が短く再雇用もないのが特徴です。

任期のない助教もいますが、大体の助教にも任期があります。任期は特任助教よりは長く、約5~10年です。5年契約の更新1回まで、というような条件で雇用されている場合が多く、再雇用の可能性もあります。

雇用元は特任助教も助教も各大学になります。

特任助教の年収はどれくらい?

特任助教の年収はどれくらいなのでしょうか?気になるボーナスや手当は?ここでは、ボーナスや退職金など給与の詳細についてもご紹介します。

特任助教の年収

特任助教の給与は年俸制になります。月給制は、ボーナスの金額が変動するのに対し、年俸制は年間で支払われる給与が事前に確定している給与体系のことをいいます。

月給制ですと、ボーナスの金額は個人の成績や評価によりますし、会社の業績によってはボーナス自体が出ないということもあり、変動があります。年俸制だと、年収が決まっているので長期的な計画ができますが、いくら個人が頑張っても給与の金額は変わらないということになりますね。

年収の金額は各大学によって違います。また、国公立の大学と私立大学でも金額は異なります。国立大学の助教の年収が平均で400~450万円、私立大学の助教が500~600万円くらいといわれていますので、特任助教はそれよりも低いのが一般的となるでしょう。
 

国公立大学の年収については公表されていますが、私立大学の年収等の待遇はほとんど公表されていません。年収の金額は号数によっても違います。号数の種類や金額は各大学によって違います。

また、大学教員は専門業務型裁量労働制として扱われるため、残業手当などの超過勤務手当は給与につきません。特任助教は非正規雇用なものなので、ボーナスや退職金もありません。交通費は支給されますが、家族手当や住宅手当のような手当が給与につく大学も少ないようです。ボーナスの有無も助教と違いになります。
 

号数で年収に違いがある?

職員は等級によって号数が決められており、その号数によって年収が定められています。等級による号数の種類や金額は大学によって違いますので、東京大学を例にとって説明します。

東京大学の場合、号数は1~14段階で分けられています。特任助教としてどの号数になるのかは、採用時の本人の経験や実績、能力で決まります。

 

 号数   年 収
 1   2,400,000円
 2  3,600,000円
 3  4,800,000円
 4  6,000,000円
 5  7,200,000円
 6  8,400,000円
 7  9,600,000円
 8  1,080,000円
 9  12,000,000円
 10  13,200,000円
 11  14,400,000円
 12  15,600,000円
 13  16,800,000円
 14  18,000,000円

東京大学の場合、特任助教は1~9の号数に割り振られますので、1号であれば年収は240万円、9号であれば1,200万円ということになり、大分差があることが分かります。

特任助教は1~9号ですが、助教は1~4号になっていて上限が抑えられています。准教授は2~11号、教授は3~14号になっています。

特任助教の月額の給与はどれくらい?

特任助教の月額の給与はどれくらいなのか、大学別にご説明します。

特任助教の月額の給与

特任助教の月額の給与は大学ごとに違います。4つの大学を例にあげてご紹介します。

東京大学の場合

東京大学の場合、特任助教の月の給与は次のとおりです。
 

号数  支給月額
1  200,000円
2  300,000円
3  400,000円
4  500,000円
5  600,000円
6  700,000円
7  800,000円
8  900,000円
9  1,000,000円

月額の給与は20万円が最低で、1号上がるたびに10万円ずつ増え、最高は100万円となっています。

大阪大学の場合

大阪大学の場合、東京大学とは違い号数が小さいほど年収が高くなっています。そして特任助教の号数に制限は特に設けられていないようです。
 

号数  基本年俸額  支給月額
1  18,813,600円  1,567,800円
2  16,009,800円  1,334,150円
3  13,386,600円  1,115,550円
4  11,007,600円  917,300円
5  9,797,700円  816,475円
6  8,769,600円  730,800円
7  7,862,400円  655,200円
8  7,136,700円  594,725円
9  6,350,400円  529,200円
10  5,763,000円  480,250円
11  5,307,900円  442,325円
12  4,852,800円  404,400円
13  4,488,900円  374,075円

号数により大分差はありますが、一番下の13号であれば月額の給与は374,075円になります。

北海道大学の場合

北海道大学は特任助教の号数を10号以下としています。
 

号数  基本年俸  基本給
1  3,600,000円  300,000円
2  4,080,000円  340,000円
3  4,560,000円  380,000円
4  5,040,000円  420,000円
5  5,520,000円  460,000円
6  6,000,000円  500,000円
7  6,480,000円  540,000円
8  6,960,000円  580,000円
9  7,440,000円  620,000円
10  7,920,000円  660,000円
11  8,400,000円  700,000円
12  9,000,000円  750,000円
13  9,600,000円  800,000円
※14~22号は省略します。

1~10号では大分差がありますが、一番下の1号であれば月額の給与は30万円のようです。

佐賀大学の場合

佐賀大学の場合、特任助教の給与体系は2種類あり、フルタイム雇用職員と時間雇用職員に分かれるようです。フルタイム雇用職員は月給となり、時間雇用職員は時給になります。

フルタイム雇用職員(特任助教)

経験年数区分  号数  支給月額
3年未満 1  313,000円
3年以上6年未満 2  350,000円
6年以上9年未満 3  408,000円
9年以上12年未満 4  450,000円
12年以上15年未満 5  471,000円
15年以上18年未満 6  496,000円
18年以上21年未満 7  513,000円
21年以上24年未満 8  525,000円
24年以上27年未満 9  533,000円
27年以上30年未満 10  542,000円
30年以上33年未満 11  550,000円
33年以上 12  558,000円
満65歳以上の者    352,000円
※経験区分は4年制大学卒業後の経験年数になります。

時間雇用職員(特任助教)
経験年数区分  号数  時給
3年未満 1  1,310円
3年以上6年未満 2  1,470円
6年以上9年未満 3  1,690円
9年以上12年未満 4  1,880円
12年以上15年未満 5  1,960円
15年以上18年未満 6  2,070円
18年以上21年未満 7  2,140円
21年以上24年未満 8  2,190円
24年以上27年未満 9  2,230円
27年以上30年未満 10  2,270円
30年以上33年未満 11  2,300円
33年以上 12  2,340円
満65歳以上の者    1,750円
※経験年数区分は4年制大学卒業後の経験年数になります。
 

特任助教の公募はあるの?

通常の教授や助教のように、特任助教も公募されています。しかし、大学院で博士課程を修了した後、即助教や特任助教になれる人はとても少ないです。まずはポスドクになって何年か経験を積み、その後に助教や特任助教を目指すことが多いです。その倍率は10~100倍ともいわれ狭き門です。

採用条件として、博士学位が必須である場合が多く、年齢制限や実務経験、専門資格の保有や研究業績として原著論文の提出、研究発表、受賞歴、教育経験の有無等があります。


特任助教の公募はJREC-IN Portalというサイトに掲載されています。国立研究開発法人科学技術振興機構という団体が管理している研究人材のためのポータルサイトになります。求人公募情報の閲覧ができたり、求職者として登録をし、照会メールを受け取ったりもできます。

ネット上で公募先へ応募することもできる他、履歴書や業績リストの作成機能もあります。大学のサイトでも公募状況を見ることはできますし、公募状況を専門分野別に集めて掲載しているサイトもあります。通常の就活のようにネットで公募状況は調べることができるので確認してみましょう。

特任助教の実状

特任助教の待遇を例をあげていくつかご紹介しましたが、待遇は各大学によってさまざまです。ボーナスがなくても年収が高いところもありますが、退職金や残業等の手当がないことを考えると生涯賃金で差が出るかもしれません。

そして、短い任期の中で任期完了後の勤め先のことも考えて、公募している大学について調べなければなりません。

しかし、大事なのは給与やボーナスなどの待遇だけではありません。大学院を卒業しても研究を続けたいという気持ちと、今まで競争に勝って狭き門を通ってきたという自信をもって、ぜひ夢をかなえて頂きたいです。

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