2019年03月18日公開
2019年03月18日更新
妊婦はうなぎをいつから食べれる?妊娠初期・中期・後期の鰻の摂取量
妊婦さんになると、食べるものには気を付けることが多くなると思います。一般的に栄養価の高いイメージがあるうなぎですが、妊娠中の妊婦さんは、うなぎを食べることを良しとしない噂もあります。本当に妊婦さんは、うなぎを食べてはいけないのでしょうか?噂の真相を解明します。
目次
妊娠中だけどうなぎが食べたい!
妊娠中である妊婦さんは、食べたものが直接、胎児へと影響を与えます。すくすくと健康な子どもを授かりたい場合は、より栄養価の高い食べ物を摂取したいと考えることでしょう。
中でも栄養価が高く、美味しい食べ物である「うなぎ」は、積極的に摂取したいと思うかもしれません。しかし、中にはご両親やご友人から「妊婦さんがうなぎを食べることはダメ」と、注意を受けたことがあるのではないのでしょうか。
妊婦さんは本当に、うなぎを食べてはいけないのでしょうか。また、なぜうなぎを食べてはいけないと言われるのか。それらの事実を詳しく解説していきます。
妊娠中にうなぎはダメと言われる理由
「妊娠中にうなぎを食べるのはダメ」と言われる理由は、何も根拠がなく言っているのではありません。うなぎにはビタミンAが多量に含まれており、中でもそのうなぎのビタミンAに含まれている、「レチノール」という成分が、妊婦さんに対して悪影響を及ぼしているのです。
妊娠中のビタミンAの過剰摂取による影響
ビタミンAには免疫力を高める効果があり、風邪の予防などにも効果的と言われています。しかし、それは適度にビタミンAを摂取した場合のみで、ビタミンAを過剰摂取してしまうと、体に大きな負担がかかることが判明しています。
それは、妊娠中の妊婦さんだけに限らず、お腹の中にいる胎児にも大きく影響を受けます。ビタミンAを過剰摂取してしまうとどうなってしまうのか。妊婦さんと胎児にどのような影響を与えてしまうのか、ご説明いたします。
妊婦さんへの影響
妊婦さんがビタミンAを過剰摂取してしまうと、急激にビタミンAを摂取してしまった場合は、腹痛や吐き気、嘔吐やめまいなどを引き起こしてしまいます。
長期間にわたってビタミンAを多量に摂取し続けてしまった場合、皮膚の乾燥や食欲不振、頭痛を引き起こしたり、全身の関節や骨の痛みを感じることがあります。
胎児への影響
妊婦さんのお腹の中にいる胎児への影響には、ビタミンAを過剰摂取することで、胎児の奇形や先天異常を引き起こしてしまうリスクが高まります。より具体的な症例では、水頭症や口蓋裂になりやすいと言われています。
また、毎日ビタミンAを摂取し続けることにより、胎児が上記のようになる確率が高まっていきます。特に妊娠初期は、胎児の体や内臓の形成をし始める時期なので、ビタミンAの過剰摂取が胎児の体に大きく関わってきます。
妊婦さんが1日に食べても良いうなぎの摂取量
それでは、妊婦さんは少しもうなぎを食べてはいけないのかと言われると、そうではありません。過剰摂取によって引き起こされるものなので、うなぎを大量に食べずに適度な量を摂取すれば、大きなリスクを回避することが可能です。
内閣府の食品安全委員会からの資料では、妊婦さんのビタミンAの摂取できる上限量は2,700㎍REと定められています。しかし、推奨量や上限は妊婦さんの年齢によってそれぞれ異なります。
18~29歳の妊婦さんの場合
妊婦さんの年齢が18~29歳の場合、摂取できる推奨量は450~650㎍REとなります。うなぎは100gで約1,500㎍REとなっているので、丸々一尾を食べてしまうと一気に過剰摂取となってしまいます。うなぎを食べるとしても、三分の一に抑えると良いでしょう。
30~49歳の妊婦さんの場合
30~49歳の妊婦さんの場合は、500~700㎍REと、18~29歳の妊婦さんと比較して、少しだけ推奨量が多くなっています。しかし、それでもうなぎを半分食べてしまうと、推奨量の上限を超えてしまうので注意が必要です。
こちらも18~29歳の妊婦さんと同じく、うなぎを食べる場合は丸々一尾でも半分でもなく、三分の一程度に抑えて食べることをオススメとしています。
妊婦さんはいつからうなぎを安心して食べられるの?
摂取量の上限が厳しいように、妊婦さんはなかなかすぐにはうなぎを丸々一尾も食べることができません。丸々一尾を食べたからといって、すぐにはビタミンAの過剰摂取に繋がるわけではありませんが、なるべく妊娠初期は避けるほうがよいでしょう。
妊娠の時期を考えて摂取する量を守れば、うなぎを食べても構いません。しかし、中にはうなぎと同じ成分が含まれていると気付かず、うなぎと似たようなものを食べてしまうかもしれないので、食べるものには特に注意が必要です。
肝吸いやうなぎパイも注意が必要?
和食料理として出される「肝吸い」にも注意が必要です。肝吸い一杯では400~880㎍REが含まれており、うなぎほど多くはありませんが、だからといって摂取し続けると過剰摂取にも繋がる危険があります。
また、うなぎ繋がりである「うなぎパイ」は大丈夫だろうかと心配する妊婦さんもいることでしょう。しかし、こちらに含まれるものはごく少量となっているので、多量に食べることがなければ摂取してもさほど大きな影響はありません。
穴子は食べても大丈夫?
うなぎによく似た穴子も、摂取しても大丈夫か気になる妊婦さんがいることでしょう。穴子は100gあたり約500㎍REと、うなぎと比較して含まれている量は少なく、うなぎの約半分以下となっています。
しかし、それでもこちらも食べすぎることで、ビタミンAの過剰摂取に繋がることがあるので、多量に摂取することは控えるとよいでしょう。
妊婦さんが最適量のビタミンAを摂取する方法
うなぎをあまり食べられないとなると、どうやってビタミンAを適量に摂取できるかが悩みどころとなりますが、妊婦さんと胎児に悪い影響を与えず、ビタミンAを安心して適度に摂取できる食べ物があります。
それは緑黄色野菜に含まれているβ-カロテンです。β-カロテンが含まれる野菜を摂取することで、摂取したβ-カロテンが体内でビタミンAに変わり、同じような働きをしてくれるのです。
β-カロテンでビタミンAを摂取
うなぎに含まれるビタミンAは、動物性ビタミンAと呼び、動物性ビタミンAは体外に排出されにくく、肝臓に蓄積されてどんどん溜まっていってしまいます。また、動物性ビタミンAには胎児に悪い影響を与える「レチノール」が含まれています。
しかし、野菜に含まれるビタミンAは植物性ビタミンAと呼び、動物性ビタミンAと比べて体内に不足な分だけ補給した後、蓄積されずに体外へ排出されます。そのため、動物性ビタミンAとは違い、ビタミンAの過剰摂取になりにくいメリットがあります。
β-カロテンを含む食材
β-カロテンを多く含む食材は、緑黄色野菜です。ほうれん草や小松菜、パプリカやニンジン、カボチャなど、一見して色鮮やかな野菜の多くが、β-カロテンを含む緑黄色野菜となっています。
緑黄色野菜を使った料理などでは、ほうれん草とニンジンの醤油和えや、小松菜の炒め煮、緑黄色野菜の素材をそのまま活かしたサラダや、温かい緑黄色野菜のスープなど、さまざまな方法で楽しくビタミンAを摂取することができます。
サプリメントでのビタミンAの摂取は?
体に良いものはなんでも多量に摂取すれば良いと考えがちですが、ビタミンAを過剰摂取すると妊婦さんや胎児に良い影響どころか、大きな悪影響を及ぼしてしまうように、摂取する量には適度な量が最適であることがわかりました。
しかし、適度な量を含む食材を覚えるのが大変だと、料理をするのも一つ一つ注意が必要で大変になります。そこでついつい頼ってしまうのが「サプリメント」ですが、便利なサプリメントだからこそ、こちらにも大きな落とし穴があります。
サプリメントは見た目から小粒な量に見えるため、過剰摂取とは繋がりにくいイメージがありますが、手軽に栄養を摂取できる分、サプリメントによる過剰摂取をしてしまう人が意外にも多く存在しています。
サプリメントは小さな粒にギュッと多くの栄養が詰まっているため、誤って一粒多く飲んでしまっただけでも、過剰摂取に繋がってしまいやすいのです。上手に扱えば便利な健康食品ですが、妊婦さんはできるだけ、食材から栄養を摂るようにしましょう。
ストレスのない食事を楽しみましょう!
知らずにうなぎを食べてしまって、「やってしまった!」と後悔している妊婦さんがいるかもしれませんが、うなぎを一尾食べてしまっただけでは、すぐにはビタミンAの過剰摂取に繋がることはないので安心してください。
適度な摂取量さえ守れば、妊婦さんでもうなぎを食べることは可能です。何よりも、食事の我慢によって出てくる強いストレスが、妊婦さんと胎児に最も悪い影響を与えてしまいます。適切な量を守って、楽しく食事をしましょう。