幼児退行の原因や症状とは?大人の赤ちゃん返りは病気やストレス?

現代では誰もが日々大きなストレスを抱えて生きています。そんなストレスが原因となって起こる症状の一つが赤ちゃん返りとも呼ばれる「幼児退行」。大人が幼児退行してしまう原因とは一体何なのでしょうか。大人の幼児退行の原因や症状、セルフチェックの方法などをご紹介します。

幼児退行の原因や症状とは?大人の赤ちゃん返りは病気やストレス?のイメージ

目次

  1. 1大人も赤ちゃん返りをすることがある
  2. 2幼児退行の意味とは?
  3. 3大人の幼児退行の原因
  4. 4大人の幼児退行の症状
  5. 5幼児退行する大人の特徴
  6. 6大人の幼児退行を治す方法
  7. 7認知症における幼児退行との違い
  8. 8あなたは大丈夫?幼児退行のチェック診断

大人も赤ちゃん返りをすることがある

本来「赤ちゃん返り」とは2歳~5歳前後の幼児期の子どもが赤ちゃんのような行動を取ることを指す症状です。具体的には、おっぱいを欲しがる、抱っこをねだる、ベビーカーに乗りたがるなどの行動が見られます。

この赤ちゃん返りの症状は小さな子どもだけに起こるものではありません。見た目も中身も完全な大人であっても赤ちゃん返りは起こる可能性があるのです。

幼児退行の意味とは?

幼児退行とは言葉通り「幼児に退行する」こと。赤ちゃん返りと同じ意味を持つ言葉です。ちなみに「退行」とは心理学上で使用される言葉であり、精神や行動が未成熟な状態に逆戻りすることとされています。

心理学においては退行症状とは、自分の心を守る防衛機制の一つとして考えられています。小さな子どもに幼児退行が起こる時、多くの場合が、新しく生まれた弟や妹に母親の愛情を取られてしまったと感じて発症します。

今までは自分一人に注がれていた愛情が失われることは子どもにとって大きな不安です。その不安から身を守るために起きるのが幼児退行なのです。

大人の幼児退行の原因

赤ちゃん返りや幼児退行は自分の心を守る防衛機制の一つだとお伝えしましたが、大人の幼児退行も自分の心を守ったり、不安を軽減させたりするための心理的な作用だということができます。

子どもの幼児退行は親からの愛情の喪失感が原因となっていますが、分別のある大人に幼児退行が起きてしまう原因とは具体的にどのようなものが考えられるのでしょうか。

精神的なストレス

大人の幼児退行の原因として、最初に挙げられるのは精神的なストレスです。幼児退行や赤ちゃん返りは心を守る防衛機制の一つ。つまり、幼児退行することによって、大きなストレスから受けるダメージを軽減し、心を守ろうとしているのです。

職場や学校などの社会において強いプレッシャーを感じている人にとっては、心が休まる時のない毎日は緊張の連続です。か弱い赤ちゃんのように無防備に振る舞うことで守られたいという欲求を表していると考えられます。

甘えたい気持ち

人間であれば誰しもが少なからず甘えたい気持ちを持っているとは思いますが、その欲求が過度になってしまった場合、幼児退行という症状に発展してしまうことがあります。

例えば、べったりとくっついて離れない、極度に構ってほしがる、物を食べさせてほしいとねだるなどの軽度な甘え方から、極端なものでは赤ちゃん言葉で話すというものも挙げられます。

恋人同士や夫婦間、家族間で甘えるというのは不自然なことではありませんが、第三者に話せないレベルの甘え方になっていれば、幼児退行だと判断できるでしょう。

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脳の病気

赤ちゃん返りや幼児退行は心の防衛機制の一つとお伝えしましたが、必ずしもそうではない場合もあります。例えば、脳の病気の一種である可能性も考えられます。

脳の血管疾患や、事故による損傷、アルコール依存症などによって脳機能障害が起こってしまった場合、段取りが悪い、疲れやすい、道に迷う、感情の起伏が激しいといった症状が現れます。

病気だと知らずに接していればどれも「甘えている」と取られたり、子どもっぽく振る舞っていると判断されたりする症状ばかりです。

うつ病や統合失調症

幼児退行はストレスから心を守る心理が作用していますが、うつ病や統合失調症などを患っている人にも幼児退行の症状が認められることがあります。

うつ病では、若い世代に多く見られるタイプの「未熟型うつ」に幼児退行の症状が現れます。このタイプにおける幼児退行の症状は、ストレスに対しての免疫がなく、すぐに感情を爆発させてしまうといった形で現れます。

統合失調症の幼児退行は、統合失調症の消耗期における症状の一つとして現れます。消耗期の当事者はは依存的になり、家族にまとわりつくようになりますが、回復期へと向かう重要なプロセスだと考えられています。

大人の幼児退行の症状

大人であってもストレスやケガ、精神疾患などで赤ちゃん返りや幼児退行は起こります。それでは、大人の場合の幼児退行の症状にはどういったものが挙げられるのでしょうか。

軽度のものから中度、重度のものまで詳しくご説明します。症状によっては治療が必要な場合もありますので、参考にしてみてください。

軽度の場合

幼児退行の軽度の症状としては、家族や恋人にくっついて離れない、赤ちゃん言葉で話す、わざと的外れな返答を返すなどが挙げられます。

誰しも他人に甘えたい時があるもの。一時的なものだったり、ごく短期間のものであったりすれば特に問題はありません。むしろ、ストレス解消の手段となっているため、制限したり、やめさせたりするとうつ病などに陥ってしまう可能性があります。

ある程度は甘えを許容することで結果的には良い方向に繋がるでしょう。しかし、甘え方があまりにひどく、甘えられる側の負担になっているようであれば、専門機関でカウンセリングを受けることもおすすめします。

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中度の場合

いわゆる「構ってちゃん」な症状が目立つ軽度に比べ、甘え方や依存がより深刻になったものが幼児退行の中度の症状です。

例えば、着衣や脱衣が一人では難しくなる、どこへ行くにもぬいぐるみを手放さない、自分の指をしゃぶる、食事を一口ずつ運んでもらうなどが挙げられます。

意識的に行われることの多い軽度の症状と比較すると中度の症状はより無意識に行われます。幼児退行が起きる頻度や期間も頻発かつ長期化するようになるため、生活に深刻な支障をきたようになります。

重度の場合

もっとも深刻な幼児退行の症状では、まさに乳児そのものと化してしまいます。具体的には、おしゃぶりや哺乳瓶を欲しがる、おもらしをする、オムツが必要になる、会話ができなくなる、一人でお風呂に入れなくなるなどが挙げられます。

ここまでくると日常生活に大きな支障が出ていると考えられます。専門の機関で適切な治療を行えば症状が改善される可能性は高いもの。迷わず医療機関を受診するようにしましょう。

幼児退行する大人の特徴

赤ちゃん返りや幼児退行の原因と症状について見てきましたが、そもそも誰にでも幼児退行は起こるものなのでしょうか。実は、幼児退行しやすい人にはある特徴があります。パートナーや自分が特徴に当てはまらないかどうかチェックしてみてください。

心が傷つきやすい弱い人

幼児退行が心の防衛機制の一つであることはくり返しお伝えしてきましたが、もともと心が傷つきやすく、メンタルが弱い人は無意識のうちに防衛機制が働きやすいと考えられます。

そもそも防衛機制とは、自分にとって辛いことや苦しいことを軽減しようとする心の働きです。心が傷つきやすい人は個人差はあれど、些細な出来事でも辛く感じてしまいます。そうすると、その辛い出来事から自分を守るために幼児退行を行ってしまうのです。

完璧を求められる人

いわゆる「完璧主義者」な人も幼児退行をしやすいタイプだと言えます。完璧主義者の人たちは周りの人からするとしっかりしていて、とても赤ちゃん返りをするようには見えません。

そういった周りからの「完璧である」ことへの期待が本人をどんどん追い込んでいくのです。彼らは完璧であることを求めて日々、心をすり減らして生きているため、緊張の糸が切れると一気に甘えたい欲求が爆発してしまいます。

大人の幼児退行を治す方法

子どもだけでなく、肉体的には成熟した大人にも幼児退行は起こってしまいます。しかし、子どもの幼児退行と違って大人の場合は当事者、関係者ともに一刻も早く治したいと考える人が多いもの。

ここでは、大人の幼児退行の治し方をいくつかご紹介します。あなた自身が幼児退行していたり、周りに幼児退行をしている人がいたりする場合の参考にしてください。

ストレスをなくす

大人の幼児退行を治す一つ目の方法は、幼児退行を引き起こしているストレスをなくすことです。そもそも赤ちゃん返りや幼児退行はストレスから心を守る防衛機制の一つ。心にダメージを与えているストレスがなくなれば、幼児退行の症状も収まります。

ストレスをなくす方法としては、人間関係や仕事関係などストレスの原因となっている問題そのものを解決する方法のほか、美味しいものを食べたり、カラオケに行ったりするような代替手段でストレスを発散する方法も考えられます。

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甘えて欲求を満たす

あなたは誰か信頼している人に「甘えたいだけ甘えなさい」と言われたらどう感じますか。人によるかもしれませんが、多くの人がホッとしたり、安心感を覚えたりするのではないでしょうか。

この言葉は幼児退行の症状に陥っている人にとってはより効果的。甘えたい欲求をとことんまで満たしてあげることで、ふっと心が軽くなるのです。

日常生活に支障をきたさない程度の甘え方なのであれば、満足するまで甘えさせることが一つの解決方法だと言えます。

医療機関に相談する

日常生活が困難になるほどの幼児退行を起こしている場合は、個人の力ではどうしようもありません。素直に医療機関に頼ることがもっとも効果的な方法です。

幼児退行の程度や頻度がひどくなると、幼児退行を起こしている本人だけでなく周りの人にも悪い影響を及ぼしてしまう恐れがあります。家族やパートナーに中度~重度の幼児退行の症状が出ているようであれば、迷わず医療機関の診察を受けましょう。

認知症における幼児退行との違い

ここまではストレスやケガ、うつ病などが原因となって起こる幼児退行についてご説明してきましたが、大人が陥る幼児退行にはもう一つ重要な側面があります。もう一つの重要な側面、それは「認知症」における退行の症状です。

超高齢化社会において、認知症はほとんどの家族にとって現実的な問題として迫ってきている病気です。そんな認知症の症状は大きく「中核症状」と「行動・心理症状(周辺症状)」に分かれます。

しかし、実は医学的には、認知症の症状の中に幼児退行や幼児化は含まれていません。その他の症状が複合的に合わさって幼児退行しているように見えてしまっているのです。

認知症の幼児退行って?

認知症の周辺症状に幼児退行は含まれていませんが、認知症になったお年寄りが子ども返りするという話はよく耳にします。これは、認知症の中核症状である「見当識障害」と行動・心理症状である「人格の変化」による影響だと考えられます。

見当識障害では、自分が今いる場所が認識できなくなり、トイレの位置が分からなくなって粗相をしてしまうといった排泄のトラブルが起こります。そこに人格の変化によってワガママになったり、甘えたになったりといった性格の変化も加わります。

これらの症状が起こることから、医学的には認知症の症状には幼児退行は含まれていないにもかかわらず、認知症にも幼児退行が起こると認識されているようです。

あなたは大丈夫?幼児退行のチェック診断

大人の身にも起こりうる幼児退行。あなたも無意識のうちに幼児退行していませんか。ここでは、幼児退行セルフチェックをご紹介します。

幼児退行のチェック診断

□完璧主義者である

□子どもの頃から「しっかりしてるね」と言われ続けてきた

□どんなことがあってもルールは守るべきものだと思う

□他人にも自分にも厳しい

□恋人や家族などに甘えることができる人がいる

□時々やる気が起きずお風呂やトイレを手伝ってほしくなる

□恋人やパートナーと二人きりの時に無性に甘えたくなる

□家では恋人やパートナーにべったりとくっついている

□ぬいぐるみやマスコットキーホルダーを手放せない

□赤ちゃん言葉で喋ることがあったり、しゃべりたい願望がある

診断結果

【当てはまった数が0~3:軽度の幼児退行】
ストレスを抱えやすかったり、現在ストレスが溜まっていたりするのではありませんか。軽度の幼児退行の症状が見られますが、そこまで深刻に捉える必要はありません。ストレス発散のためにも、思い切り恋人やパートナーに甘えてみては?

【当てはまった数が4~6:中度の幼児退行】
幼児退行の症状が少し強く出始めています。自覚がない場合は、早めに幼児退行の原因を突き止め適切な処置を行いましょう。恋人や家族に相談してみるのも一つの手。これ以上、症状が悪化しないようにするのが重要です。

【当てはまった数が7~10:重度の幼児退行】
7~10当てはまってしまった人には、重度の幼児退行症状が見られます。日常生活に支障をきたすレベルの症状に困っているようであれば、医療機関で診察を受けることをおすすめします。

大人の幼児退行はストレスの表れ

いかがでしたか?大人の幼児退行や赤ちゃん返りについて、原因を探るとともに症状や幼児退行しやすい人の特徴、幼児退行を治す方法などをご紹介しました。

大人の幼児退行は重度でなければ、ストレス解消の一つとして有効な方法です。あなた自身が子どものように甘えてしまう場合も、またパートナーから子どものように甘えられる場合も深刻に受け止めすぎず、コミュニケーションの一環として捉えていいでしょう。

ストレス社会と言われる現代においては幼児退行も含め、上手にストレスと付き合っていかなければなりません。幼児退行に悩んでいる人は、今回の記事を参考にしてより自分らしく生きる指針としてください。

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