2019年06月13日公開
2019年06月13日更新
ご懐妊の意味とは?ご懐妊お祝いの言葉などの使い方を例文で紹介
「懐妊する」「ご懐妊」など、耳にすることはあっても自分ではあまり使わない言葉かもしれません。「懐妊」とは、どのような意味で、どのような場面で使うのが適切な言葉なのでしょうか。恥をかかない「懐妊」の意味と使い方をご紹介します。
懐妊の意味や正しい使い方を知っておこう!
ニュースや報道ではよく耳にする「懐妊」という言葉ですが、実際に使ったことがあるという人は、少ないのではないでしょうか。
「懐妊」の意味は何となくわかってはいても、いざ使おうと思ったら「合っているのかな?失礼にならないかな?」と不安になる人も多いのかもしれません。
「懐妊」は、比較的よく使われる言葉です。一人前の大人なら、使いこなせて当然。社会人として恥をかかないように、「懐妊」の意味や正しい使い方を知っておきましょう。
ご懐妊の意味とは?
「懐妊」とは、「お腹に赤ちゃんができる」ことです。「懐妊」は名詞ですが、「懐妊する」というさ行変格活用の自動詞にもなります。「懐妊」は、丁寧語の接頭語「ご」を伴って使われることがよくあります。
産院で医師が女性に「ご懐妊です」というシーンは、テレビドラマなどでもおなじみです。皇室関係の報道や、海外のロイヤルファミリーのニュースなどで、「ご懐妊」「ご懐妊される」などという使い方をしているのもよく耳にします。
このように、「懐妊」は、「赤ちゃんができる」「赤ちゃんができた」ことを意味する、改まった丁寧な表現です。
懐妊と妊娠の違い
意味としては、「懐妊」も「妊娠」も、まったく違いはありません。どちらも「赤ちゃんができる」という意味で、名詞であり動詞にもなるという点も同じです。
ただし、「懐妊」は、「赤ちゃんができた」ときにのみ使い、「懐妊3か月」というような使い方はしません。
もう一つ、「懐妊」と「妊娠」の違いは、「懐妊」が丁寧語の接頭語「ご」を伴って「ご懐妊」と表現されるのに対し、「妊娠」は「ご妊娠」とは言わないことです。
「懐妊」はそれ自体が、「妊娠」を意味する丁寧な表現ですが、さらに接頭語の「ご」をつけて妊娠した女性を敬う意味を強めています。
このように、「懐妊」は、「妊娠」を敬意をこめてあらわす言葉なので、自分自身のことを言うときに「懐妊」を使うのは、ちょっとおかしいです。
ご懐妊の使い方
「懐妊」「ご懐妊」は、何となく皇族や海外のロイヤルファミリーなど、高貴な身分の人にしか使えないと思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。「妊娠」を丁寧に言い換えただけの言葉なので、一般に使ってもまったく問題はありません。
ただし、自分自身について使うと、「言葉遣いがわかっていない」と失笑を買います。また、使う相手や場合によっては、慇懃無礼と受け取られることもあるので注意が必要です。
妊娠した女性に対する敬意と思いやり、心からの祝福の気持ちを込めて、「ご懐妊」という言葉を使いましょう。
「ご懐妊」を使った例文
会話で、手紙で、メッセージで、「ご懐妊」は普通に使ってかまいません。では、具体的に、どのような使い方をするのが正しいのでしょうか。「ご懐妊」を使った例文をご紹介します。
例文①ご懐妊おめでとうございます
親しい友達や身内なら、「妊娠おめでとう」でもかまいませんが、目上の人やそれほど親しくない人が相手なら、敬意を込めて「ご懐妊」を使ったほうがスマートです。
「妊娠」はおめでたいことですが、とてもセクシュアルでプライベートなことでもあります。ストレートに「妊娠」と言われると、戸惑う女性もいるかもしれません。
そんなときは、婉曲な表現として「ご懐妊」を使いましょう。もちろん、親しい友達や身内に使ってもかまいませんが、よそよそしいかしこまった印象を与えるので、手紙やメッセージカードに用いるのが一般的です。
例文②〇〇さんがご懐妊されました
妊娠について第三者が口にする場合は、やはり丁寧な言葉を選びたいものです。「妊娠されました」ではあまりにあけすけでデリカシーに欠けます。
一方、「ご懐妊されました」と言えば、オブラートに包んだ優しい表現になりますし、祝福の意味も強く感じられて好感が持てます。
例文③ご懐妊が発表されました
ここ数年イギリスの王室では「ご懐妊発表」が相次ぎ、ロイヤルベイビーの誕生に世界中が沸き立っています。やはり、もっともよく「ご懐妊」という言葉が使われるのは、皇室や王室関係です。
日本でも、現皇后陛下のご懐妊が発表されたときは、連日トップニュースとして扱われました。
一般人の妊娠に際し、「ご懐妊が発表された」と言うことはまずありませんが、一般常識として、皇室や王室関係には、「ご懐妊が発表された」という表現を使うということを知っておきましょう。
懐妊の類語
「赤ちゃんができる」ことを意味する「懐妊」には、いくつもの類語があります。意味は同じでも微妙にニュアンスが違うので、上手に使い分けましょう。
・妊娠 |
・受胎 |
・懐胎 |
・身ごもる |
・おめでた |
妊娠
「妊」も「娠」も、ともに「お腹に赤ちゃんができる」ことを意味する漢字です。「赤ちゃんができる」ことをあらわす言葉の中で、日常的に最もよく使われる言葉と言ってもいいでしょう。
「妊娠初期」「妊娠経過」「妊娠経験」など、「お腹に赤ちゃんができる」こと全般を指す言葉で、出産するまでの期間ずっと使われます。
「妊娠」は、「懐妊」に比べて、あけっぴろげで遠慮がない印象があるので、人によっては不快に感じる場合もあります。とくに目上の人の妊娠がわかった場合は「ご懐妊」を使ったほうが無難です。
受胎
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画で有名な『受胎告知』。大天使ガブリエルがマリアにキリストの受胎を告げる聖書の一場面が描かれています。
「懐妊」や「妊娠」は、漠然と「赤ちゃんができる」ことを意味しますが、「受胎」は、具体的に精子と卵子が結合し、受精卵として着床することを指します。
「受胎」は、「受胎可能期間」や「受胎後週数」など、医療現場で使われることが多い言葉です。
懐胎
「懐胎」は、「懐妊」とほぼ同義ですが、文語的なので会話で使われることはほとんどありません。
「赤ちゃんができる」というより、「子を宿す」という意味合いが強く、キリスト教では、聖母マリアが処女のままイエス・キリストを妊娠した「処女懐胎」「処女受胎」の概念が大切にされています。
身ごもる
漢字では「身籠る」とも書きます。「子を身ごもる」という言い方をする場合もあります。少し古い言い回しのようにも感じますが、「授かる」同様、自分自身の妊娠について話すときにはよく使われる表現です。
他人に対して使う場合は、「身ごもっておられる」など、かなり遠回しな言い方になります。
女性や年配の方の中には、「妊娠」という露骨な表現を避けたがる人もいます。そんなときには、「身ごもる」「授かる」「子を宿す」などの婉曲な表現はとても便利です。
おめでた
「おめでた」は、「懐妊」を、もっともフランクにした表現です。目上の人に対して使うと無礼と受け取られることもないとは言えませんが、そこまで目くじらを立てる人は少ないのではないでしょうか。
「懐妊」を「おめでたいこと」と喜び、祝福する気持ちが一番素直に伝わる言葉かもしれません。
ご懐妊された時の正しい対処法
ご懐妊はとても喜ばしいことです。身近な人がご懐妊されたとき、その気持ちを伝えたいと思うのは当然ですが、うかつな行動や発言はいらぬトラブルのもとになることもあります。
ご懐妊を知ったとき、どのように行動するべきなのか、その対処法をご紹介します。
お祝いメッセージを贈る
ご懐妊されて一番うれしいのは当の本人に違いありませんが、周りからの祝福はその喜びをさらに一層大きくします。
職場などでは、「もしかしたら迷惑だと思われるのでは」と、妊娠したことに引け目や不安を感じる人もいるかもしれません。そんなときに「おめでとう」と、お祝いのメッセージを受け取ったら、どれほど心強いかしれません。
ご懐妊が明らかになったら、早いうちに気持ちを込めてお祝いのメッセージを送りましょう。あまり長文だと返事に気を使わせるので、「ご懐妊おめでとうございます」の一言だけでも十分です。可愛いイラストのメッセージカードがおすすめです。
体を気遣う
妊娠初期は体調も悪くなりがちですし、無理も禁物です。外見の変化はまだあらわれないので、パッと見は妊婦だとはわかりませんが、体の中では大きな変化が起きています。
以前と全く同じというわけにはいかないということを、十分に理解しておきましょう。重い物を持ったり、高い所の物を取ったり、走ったり、体を冷やしたりといった些細なことが、大きな負担になります。
妊娠は病気ではありませんが、注意が必要なことは間違いありません。わざとらしくないちょっとした気遣いが、妊娠初期の妊婦には何よりの支えになります。
ご懐妊祝いは安定期に入ってから
が懐妊がわかってお祝いのメッセージを贈ったら、次は何か品物を贈りたくなるものですが、それは安定期に入るまで待つのが賢明です。
何を贈れば喜んでもらえるのか、ゆっくり考える時間が必要ということもありますが、妊娠初期は何があるかわかりません。勇んでベビー用品を贈って、万が一使い道がなくなってしまったら、不要になった品物を目の当たりにして悲しみは増すばかりです。
ご懐妊祝いは本人の希望を聞いて欲しいものをリクエストしてもらうのが理想です。安定期に入って、心身ともに落ち着いたころに贈るようにしましょう。
懐妊を上手に使って格好良い大人になろう
「懐妊」の「妊娠」も言っていることは同じです。でも、そこに含まれる気持ちにはほんの少し差があります。女性の中には、「妊娠」という言葉をあからさまに言われることを好まない人もいます。
「懐妊」は別に皇族にしか使えない特別な言葉ではありません。身近に「赤ちゃんができた」人がいたら、敬意を込めて「ご懐妊おめでとうごいます」と言ってみてください。ちょっとエレガントな気持ちになれるかもしれません。