ウズベキスタンの治安は悪い？旅行や観光の危険度や注意点も紹介

かつてソ連の支配下に置かれていたウズベキスタンは、同じようにソ連の属国であったカザフスタンやトルクメニスタンなどに囲まれた内陸国です。

西側は実質的にカラカルパクスタン共和国が統治しており、フェルガナ盆地がある東側には、隣国との国境が複雑に入り組んでいます。

そんなウズベキスタンのことをよく知らない人は多いでしょう。その位置から、何となく治安が悪い国というイメージを抱いている人もいると思います。そこで、今回はウズベキスタンの治安の実態について、詳しく取り上げていきましょう。

特にウズベキスタン旅行に関心がある人は、ぜひ今回取り上げる観光中の注意点やおすすめの観光地などにも注目してみてください。

ウズベキスタンがどのような国か全くイメージできない人もいるでしょう。そこで、以下ではウズベキスタンの基礎情報を紹介していきたいと思います。

3,200万人もの人々が暮らすウズベキスタンは、約44万k㎡の国土の大半が砂漠と険しい山岳地帯となっている国です。91年までソ連の支配下にあった影響から、現在でもソ連の属国時代に行われていた麺栽培が主な産業の1つとなっています。

他にも鉱業や農業、観光業が主な産業となっており、最近では観光地化政策が功を奏し観光客が増えつつあるのです。しかし、長い間経済に苦しい状況が続いており、現在田舎の地域では約2割の人が失職しています。

以下では、ウズベキスタンの首都タシケントの特徴やウズベキスタンの物価について、詳しく見ていきましょう。

人口は約300万人のウズベキスタン首都タシケントは、国土のほとんどが砂漠化しているウズベキスタンで有名なオアシス都市です。チルチク川近くに位置しており、ナヴォイ劇場やタシケント動物園など、様々な観光スポットがあります。

ウズベキスタン人以外にも、ウクライナ人やウイグル人、アルメニア人やタタール人などが暮らすタシケントには、賑やかな雰囲気が漂っているのです。

ヨーロッパ文化やアジア文化からの影響も強く受けている都市で、独特の美しいデザインが施された建物が多くあります。

2004年頃には、タシケントではテロ事件が発生し、治安が悪いと評価されていました。しかし、最近ではテロ事件は発生しておらず、軽犯罪の発生率も低いため、治安は良いと評価されることが増えています。

ウズベキスタンの観光旅行では、治安の危険度だけでなく、物価も気になるものでしょう。ウズベキスタンの物価は、日本の物価よりもかなり低く、「スム」という通貨が流通しています。

現在100スムで1円というレートとなっており、レストランでの食事にかかる費用は1人当たり約50,000スム（約500円）とリーズナブルです。また、宿泊費用の平均額も低く、1人当たり1泊の宿泊平均費用は約100,000スム（約1,000円）となっています。

ちなみに、ウズベキスタンの街中では民間の両替商による、闇レートでの両替が行われているのです。通常のレートでは1ドル当たり約2,600スムに両替されますが、闇レートでは1ドル当たり約4,800ソムというほぼ倍額に両替されます。

闇レートでの両替はお得ですが、ウズベキスタンでは違法行為と見なされているので、観光中は銀行や空港などで正規レートによる両替を行いましょう。

ウズベキスタン人はどのような雰囲気なのか、観光前に知っておきたい人も多いでしょう。ウズベキスタン人は古くから他民族と生きてきたので、互いの違いを自然に認め合う寛容な性格であることが多いようです。

また、イスラム教を信仰する人が圧倒的に多いので、イスラムの教えにも忠実という特徴もあります。イスラム教では年長者を敬うことや家族の絆が重視されているので、現在でも親が奨めた相手との結婚が一般的です。

また、のんびり屋も多く時間にルーズな人も少なくないようです。

ウズベキスタンの治安状況の想像がつかないと、観光旅行前に不安になってしまうでしょう。以下では、ウズベキスタンの現在の治安状況について、詳しく取り上げていきたいと思います。

ウズベキスタンの治安に関する様々な噂に戸惑っている人は、ぜひ以下の内容からウズベキスタンの治安状況を掴んでみてください。

日本の外務省からは、ウズベキスタン全域に十分な注意を促す勧告が発令されています。

ウズベキスタンはまだ経済発展が進んでおらず、失業率も高まっていることから、金銭目的に犯罪が増えているのです。そのため、最低レベルの注意勧告が、ウズベキスタン全域に出されていると思われます。

また、キルギスとタジキスタンの国境線が入り組んでいる東端の国境沿いエリアには、渡航中止勧告が発令されています。国境沿いはかつて麻薬売買を行う組織やテロ集団の拠点となっており、それらの組織を撲滅するために多くの地雷が埋められているのです。

外務省からの注意勧告は4つの段階がありますが、この渡航中止勧告はレベル3の深刻な勧告です。そのため、観光旅行の際には、東側の国境沿い付近の地域には近づかないように注意してください。

ウズベキスタンの首都タシケントでは2004年に大規模なテロ事件が2件発生しています。警察官をターゲットにした襲撃事件と、連続して発生した悲惨な自爆テロでした。

当時は、アルカイダやタリバンなどのイスラム原理主義組織によるテロ事件が話題になっていた時期なので、これらの組織による犯行と思われています。

しかし、以降ウズベキスタンではテロへの警戒が強まり、最近までテロ事件は起きていません。首都のタシケントでも、テロの危険性は低くなっていると考えられているのです。

しかし、近隣国の1つであるアフガニスタンでは、タリバンによるテロ事件が頻発しています。そのため、ウズベキスタンはテロの危険が全くない国とは言えないでしょう。

ウズベキスタンの治安は総合的に見ると悪い訳ではありません。しかし、ウズベキスタンの一部地域は、治安が悪いと観光客から嫌厭されています。以下では、ウズベキスタンで治安が悪いとされている危険地域を、いくつか取り上げていきましょう。

ウズベキスタンの東端付近は、隣接しているタジキスタンとキルギスの国境が複雑に存在している地域です。この地域には、麻薬の売人グループやイスラム系のテロ組織の拠点があり、ウズベキスタンは対抗措置として国境沿いに地雷を大量に埋め込みました。

そのため、現在では主に地雷による事故の危険性が高まっている危険地域となっています。また、現在も麻薬や武器の売買を行う組織が見かけられることもあるのです。観光旅行で近づくには危険度が高く、治安も悪い場所なので、避けるようにしましょう。

トルクメニスタンとアフガニスタンとの国境があるウズベキスタンの南エリアも、観光旅行中は避けた方が賢明とされる場所です。不法な物資の売買を行う人やテロ組織に属する人などが多いので、治安は悪いとされています。

強盗や傷害事件の発生率は高く、観光客はターゲットにされやすいでしょう。テロが発生する危険性も高く、要注意のエリアとされています。

テロの危険性もあるウズベキスタンの旅行中は、身を守るためにも注意点を必ず守るようにしましょう。以下では、ウズベキスタンの観光旅行中は頭の片隅に入れておきたい注意点を、いくつか挙げていきたいと思います。

ウズベキスタンでは、鉱山資源の採掘技術の高まりによって、徐々に経済的に豊かになりつつあります。

しかし、現在は人口が多い都市部では特に貧富の差が広がっており、貧困によって置き引きやスリを行うようになってしまう人も増えているという負の面もあります。

そのため、ウズベキスタンの観光旅行中には、置き引きやスリに十分注意を向けるようにしてください。

ウズベキスタンの国民の大多数は、イスラム教を信仰しています。イスラム教では、女性が肌をさらす服装をすることは禁じられているため、ウズベキスタンで露出の激しい服装をしている女性はかなり目立ってしまうのです。

ウズベキスタンの特に人通りが少ない地域では、女性が被害者となる事件が時折発生しています。そのため、ウズベキスタン旅行に興味がある女性は、旅行中は露出が少ない服装をするように心がけてください。

911という国際的大事件を引き起こしたとされる、イスラム過激派テロ組織アルカイダの本拠地であったアフガニスタン。アフガニスタンは現在でもイスラム過激派テロ組織との闘いが続いており、反政府組織と政府組織との内戦も続いています。

そんなアフガニスタンと南の国境で接しているウズベキスタンの治安は、アフガニスタンの情勢から大きな影響を受けるのです。そのため、ウズベキスタンの旅行中には、アフガニスタンの情勢も定期的に確認し、テロの脅威が迫っていないかチェックしましょう。

ウズベキスタンでは、国民のほとんどがウズベキスタン語かロシア語を使っています。そのため、英語で話しかけても、全く伝えたいことが伝わらないということがあるのです。

簡単な英語も通じないことが多いので、ウズベキスタン観光では英語現地の言葉が分かる人と行動したり、スマホの翻訳アプリを活用したりすると安心でしょう。また、年配の方よりも、若い世代の方のほうが英語を理解してくれる確率が高いようです。

しかし、基本的にウズベキスタン人は観光客に対して優しいので、観光中に困った時には身振り手振りを使って現地の人に話しかけてみてください。

近隣国と比べると治安が良いとされるウズベキスタンですが、交通マナーを守らない人が多いという悪い一面もあります。特に車が多い大きな通りでは、信号機だけでなく目視でも車が来ないことを確認してから横断するようにしてください。

また、自転車の交通も激しいウズベキスタンでは、自転車の走行マナーも悪いので、自転車との衝突には十分注意しましょう。また、ウズベキスタンでは、道路上の進行方向が日本とは真逆になっているので注意してください。

さらに、国際的な道路交通法である国連条約に調印していないウズベキスタンでは、国際運転免許を持っていても車の運転はできないことも覚えておきましょう。

ウズベキスタン旅行前に治安の実態をしっかり把握したら、ウズベキスタン観光で巡るスポットを選んでいきましょう。ウズベキスタン内の人気観光地周辺の治安は比較的良いので、人気観光地に限定した散策であれば治安を過剰に不安視する必要はありません。

以下では、ウズベキスタンで観光客から注目されている観光スポットを、3つ取り上げていきましょう。

ウズベキスタンで治安が良いと評価されている人気観光地には、「シャーヒズィンダ廟群」がまず挙げられます。11世紀～19世紀に建設されたとされる大規模な霊廟で、広大な敷地内には20種類以上の荘厳な建物が並んでいるのです。

建物の壁全体は、爽やかな青を基調にしたタイルで装飾されており、アラブの雰囲気漂う繊細なデザインを見ることができます。

綺麗な青空と青色の建物が多いことで、青の街とも呼ばれる人気観光都市サマルカンドを一望できる丘に位置しているので、絶景も楽しめるでしょう。観光客が多い周辺エリアの治安も良いので、じっくり観光できます。

一面青色の美しい景色から、世界遺産に認めらえているサマルカンド。そのサマルカンドにある、美しいモザイクタイルで装飾されたレギスタン広場も、おすすめの観光スポットです。広い敷地内にはイスラム系の学校マドラサが3校建っています。

地元の人々の憩いの場にもなっており、常に和やかな雰囲気に包まれているのです。夜になると広場がライトアップされます。周辺には土産店や飲食店もあるので、観光にぴったりのスポットと言えるでしょう。

首都タシケントで長い歴史を誇る市場、「チョルスーバザール」も治安のよいウズベキスタンの観光地とされています。青くドーム状の屋根がある大きな建物の中と、その周辺にたくさんのお店が立ち並んでいる市場で、常に活気があるのです。

ドームの中は特に治安が良く、観光客が休憩できる飲食店もあるので、ショッピングを楽しみたい人にぴったりの観光地と言えるでしょう。

今回は謎が多いウズベキスタンという国の治安について、詳しく紹介しました。ウズベキスタンの治安はそれほど悪くないものの、テロや麻薬、窃盗といったものの危険性は日本より高いとされています。

また、テロ組織との闘いや内戦が続いている隣国アフガニスタンや、東側の国境沿いには特に注意が必要です。今回取り上げた注意点も意識して、ウズベキスタン観光を楽しんでみてください。