麻原彰晃の歌「尊師マーチ」とは?オウム真理教の音楽の一つの歌詞を紹介

オウム真理教の麻原彰晃氏。自ら作詞・作曲をしたオウムソングを歌っていました。そのうちの一つが「尊師マーチ」。選挙戦ではオウムソングを歌いながらの選挙活動も印象的で、麻原彰晃氏の真似をしたりと社会現象になりました。今回は尊師マーチについてまとめます。

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目次

  1. 1尊師マーチ・オウムソングとは?
  2. 2衆選挙に出馬!麻原彰晃マーチとは?
  3. 3ソとドの2音だけ!繰り返しフレーズの尊師マーチ
  4. 4マインドコントロール?尊師マーチの持つ役割と危険性
  5. 5オウムソング・尊師マーチの歌詞を分析
  6. 6仏教用語について
  7. 7麻原彰晃が作曲したとされるオウム真理教ソング一覧
  8. 8麻原彰晃氏の影響力

尊師マーチ・オウムソングとは?

尊師マーチはオウム真理教の元指導者である、麻原彰晃氏によって作詞された曲です。作曲したのは、オウム真理教の音楽班で元ミュージシャンの鎌田紳一郎氏。

軽快なメロディとなっていて、尊師マーチの前に制作され、元となった曲「麻原彰晃マーチ」は、麻原彰晃氏が選挙戦に打って出た際にも真理党のPRソングとしてメディアなどでも取り上げられました。

この「尊師マーチ」に代表される、オウム真理教の音楽全般を「オウムソング」といいます。

地下鉄サリン事件・オウム真理教の宗教歌

1995年(平成7年)3月20日、大きな事件が起きました。「地下鉄サリン事件」です。警察庁は正式名称を「地下鉄構内毒物使用多数殺人事件」としています。その名の通り、地下鉄の車内でサリンが散布され、乗員乗客らに多くの被害が出ました。

オウム真理教の教祖である麻原彰晃氏は音楽好きとしても有名な人物でした。麻原彰晃氏が作詞・作曲したとされる宗教曲は数多く、オウム真理教も幅広い音楽活動をしていました。

幹部の鎌田紳一郎氏、現在は石井紳一郎氏は元ミュージシャンであり、真理教の音楽活動を支えた人物でもあります。オウム真理教の外だけでなく、信者向けにも多くの曲を作詞・作曲し、内部でしか使われなかったオウムソングもあります。

TVニュースで歌が放送され一般でも流行

「尊師マーチ」の元となった「麻原彰晃マーチ」は1990年の第39回衆議院議員総選挙の際にも使用されました。作詞は麻原彰晃氏です。出馬した麻原彰晃氏と真理党(オウム真理教が支持母体の政党)のPRソングとしてです。テレビでも取り上げられ麻原彰晃氏と真理教、真理党の名前が一気に世間に知れ渡ることになりました。

衆選挙に出馬!麻原彰晃マーチとは?

前述のように「尊師マーチ」は「麻原彰晃マーチ」が元になっています。作詞は麻原彰晃氏、作曲は鎌田紳一郎氏です。二つの曲を聴き比べると多くの類似点が見られます。前奏などはシンセサイザーで制作されています。

曲調、リズム、メロディはほとんど同じです。メディアでよく取り上げられた上に簡単なメロディなので、当時リコーダーで演奏したり真似る小学生が出たほどです。真似をしやすい特徴的な曲でした。

麻原彰晃マーチは真理党のPRソングだった

このように大ヒットした麻原彰晃マーチですが、1990年の麻原彰晃氏が出馬した選挙戦で、真理党の宣伝に大きく貢献しました。歌詞の中に真理教の公約が埋め込まれており、選挙での宣伝効果だけを見れば非常に有効でした。

消費税廃止、教育改革、福祉推進などです。覚えやすいメロディと歌詞で自然と頭に入ってくるように作られており、一度聞けば多くの人はある程度真似て、口ずさむことができます。

特徴的な歌い方なので当時、麻原彰晃氏の真似をして歌っている子供がテレビに取り上げられることもありました。

新・麻原彰晃マーチとして宗教歌に

「麻原彰晃マーチ」は選挙用の曲として公約が盛り込まれていました。ですが、それをオウム真理教内の宗教ソングとして使用する際には公約の部分の歌詞を変えることになりました。「中野」、「杉並」などの地名が歌われていたところが、「お兄ちゃんの」、「お姉ちゃん」のなどの歌詞に代わっています。

選挙用でなく、信者が歌うための歌として歌詞がより一般的になっています。これが、「新・麻原彰晃マーチ」です。

歌詞の一部を変更して尊師マーチへ

この「新・麻原彰晃マーチ」ですが、多くの部分は「麻原彰晃マーチ」と同じです。歌詞では「彰晃」という単語が繰り返されます。そのためこれを宗教歌とする際に、信者から問題視する声があがりました。教祖である麻原彰晃氏の名前を信者が呼び捨てにすることに抵抗があるということです。

ですので、「彰晃」が「尊師」として歌詞を変えられて、「尊師マーチ」が出来上がりました。「麻原彰晃マーチ」から「新・麻原彰晃マーチ」のときに変わった歌詞の部分も、変えられていますが同じフレーズが繰り返されるところは同じです。

ソとドの2音だけ!繰り返しフレーズの尊師マーチ

「麻原彰晃マーチ」、「新・麻原彰晃マーチ」、「尊師マーチ」すべてに共通する特徴があります。それぞれ簡単なフレーズが繰り返されることです。これは曲を印象付けるのに非常に大きな効果があります。

「麻原彰晃マーチ」や「新・麻原彰晃マーチ」なら「彰晃」、「尊師マーチ」なら「尊師」というフレーズが「ソ」と「ド」の音程で繰り返されています。また、このことが親しみやすさを演出しています。真似のしやすさもその一端でしょう。

小学生でも知っている麻原彰晃の歌

この「親しみやすい」メロディが当時の小学生にも真似されて歌われる、という結果を生み出しました。

当時の小学生がリコーダーやピアノで演奏する様子は、テレビなどのメディアにも映りました。「ソ」と「ド」を繰り返すだけのメロディなので、容易に再現できたのです。この「わかりやすさ」も相まって、オウム真理教内部だけでなく一般の人たちの間でも知られることになったのです。

繰り返しは音楽の基本?

音楽は同じ主題が繰り返されることで制作されることが多いものです。ですが、ここまでの同じフレーズが繰り返される曲は少ないです。

というのも、作詞家・作曲家は繰り返しすぎることに不安や恥ずかしさを覚えるのです。ですのでこの繰り替え続けることがある意味新鮮で、子供たちの間にも浸透していきました。

マインドコントロール?尊師マーチの持つ役割と危険性

大流行した「麻原彰晃マーチ」を元につくられた「尊師マーチ」ですが、「わかりやすさ」や「一定のリズム」という特徴はマインドコントロールにも使われるものです。尊師マーチの役割と危険性をみてゆきましょう。

親しみやすさを感じさせる尊師マーチ

尊師マーチの大きな特徴のうちの一つに「親しみやすさ」や「わかりやすさ」があります。新興宗教の団体の中には危険な団体もある中、オウム真理教の信者には誰もが知っている一流大学の出身者や学生もいました。

判断力に優れている彼らが、オウム真理教にのめりこんだ要因の一つに、この「親しみやすさ」があります。「危険な宗教ではない」というメッセージが伝わってくるのです。

徹底的に研究されて作られている?

オウム真理教の宗教ソング、通称オウムソングは徹底的に研究されて作られているという意見もあります。音楽をマインドコントロールに利用した人物として有名な人物にナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーがいます。ヒトラーは歌劇王ワーグナーを重用して、自身の発信力をさらに高めました。

麻原彰晃氏はこれに加え、前述の「親しみやすさ」、「繰り返し」によって洗脳効果、催眠効果を狙っていたという意見です。また、日本人が昔から親しんできた軍歌、数え歌などの童謡に真似て作詞・作曲された曲もあります。「エンマの数え歌」などです。

ほかにもロックンロール風の曲調で親しみやすさを演出している「魔を祓う尊師の歌」も有名です。

オウムソング・尊師マーチの歌詞を分析

尊師マーチの歌詞は「尊師」のフレーズが繰り返されます。ではその歌詞について詳しくみてゆきましょう。

「尊師」とは

歌詞の中で繰り返し使われる「尊師」という言葉。これには尊敬する教師などの意味も含まれますが主には、宗教における指導者を表す言葉です。サンスクリット語の「グル」という言葉があり、グルを日本語で尊師ということもあります。

グルには「闇から光へ導くもの」という意味もあり、尊師マーチの歌詞に出てくる、「光を放ち 今立ち上がる」というフレーズに合致しています。

歌詞を変えてゆくこと

「麻原彰晃マーチ」から「新・麻原彰晃マーチ」へ、そして「尊師マーチ」に変遷してゆく中で、それぞれの主題が見えます。麻原彰晃マーチは選挙用に作られたため「社会を守る」や「消費税廃止」などの公約が歌詞に登場しました。

一方それをもとに作られた新・麻原彰晃マーチでは、「おじいちゃんの」「こどもの」というように、信者個人個人に向けたメッセージ性が伺えます。そして尊師マーチでは、より壮大な尊師像に仕上がっています。「世界の尊師」「十方諸仏の変化身」などです。

宗教ソングにするにあたって、より偉大なイメージを植え付けるように作られたものだからです。

仏教用語について

尊師ソングに限らず、オウムソングには多くの仏教用語がちりばめられています。なかには仏教だけでなく、キリスト教の影響もうかがえます。歌詞に出てくる仏教用語についてみてゆきましょう。

仏陀

歌詞には氏を仏陀に見立てる表現が現れます。仏陀とは釈迦の尊称で、悟りの境地である「仏の悟り」を開いた人を指します。仏教では仏陀と言えば釈迦だけを表します。

如来

また同じく如来に例えられる場面も歌詞にでてきます。如来とは仏のことで阿弥陀如来のように使います。本来は釈迦、仏陀、如来は同じ人物すなわち釈迦を表しましたが、ほかの仏にも如来という敬称が使われるようになりました。

マストレーヤ

マストレーヤは弥勒菩薩のことで、釈迦の次に悟りを開く人であり、まだ修行中です。菩薩は如来などとは異なりまだ悟りを開いていません。さきに釈迦という悟りを開いた人と歌詞では同一視されていましたが、別人である弥勒菩薩とさらに重ねるのは無理があります。

麻原彰晃が作曲したとされるオウム真理教ソング一覧

麻原彰晃マーチ 新・麻原彰晃マーチ 味覚の歌
尊師マーチ 魔を祓う尊師の歌 なげきの歌
ガネーシャ体操 はばたけ!明日にむかって 色情の歌
神聖賛歌 天へ帰れ 青蓮華に捧げる歌
覚者の数え歌 輪廻を超える SSAの歌
黎明 五戒の歌 エマホ
マハーヤーナ タントラヤーナ 救済ストーリー
ヴァジラヤーナ 未来へ 救済の構図Ⅰ
賛歌 戦え!真理の戦士たち 救済の構図Ⅱ
超越神力 覚者 極厳修行者音頭
輪廻転生 打ち勝て悪魔に 戯忘の悲哀
休まずたゆまず真理の修行 修行者の歌 修行よすすめ
進め真理教 戦え!真理の戦士た2 シヴァ大神マーチ
さまよえるバルド エンマの数え歌 すがれサマナよ
真の意味 魂の苦悩 素敵なかわいい恋人
愛のために生きる 戦え!真理の勇者 サマナよ聞け
貪りの苦しみ 哀しみの動物世界 堕落の悲哀
地獄 光音天 進軍
大神聖天 神聖世界 戦いの雄叫び
人間転生 マルパのドーハー 無明意識堕落天

麻原彰晃氏の影響力

2018年7月6日に麻原彰晃氏の死刑が執行されました。オウム真理教はAlephという団体に改組され現在も存続しています。関連団体に光の輪があり、亡くなってもその影響力は絶大なものがあります。むしろ死刑が執行されたことで一層神格化されたという見方もあります。

警察もこれらの組織への警戒を強めています。ともあれ、曲も以上のことがわかっていれば楽しめる内容です。一度聞いてみてはいかがでしょう。

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