エイジハラスメントの意味とは?エイハラの被害にあった時の対処法
皆さんはエイジハラスメントという言葉をご存知ですか?エイジハラスメントとは、年齢を理由にした差別を意味する言葉で、最近増加していると問題になっています。その差別の内容とはどのようなものなのでしょうか?対処法や防止方法も確認していきましょう。
目次
エイジハラスメントの意味とは?
皆さんは「エイジハラスメント」という言葉をご存知でしょうか?エイジハラスメントとはその名の通り、年齢を理由に、他人に嫌がらせのような言動を取ることを指します。
「エイジハラスメント」という言葉が生まれたのは1992年頃とされています。エイジハラスメントは元々、職場にいる中高年の社員に対して、年齢に関する嫌がらせや差別をすることとされていました。
しかし最近のエイジハラスメントは広い意味で使われるようになっています。例えば若い社員や女性社員、高齢者施設の高齢者への年齢を理由にした差別も、エイジハラスメントと呼ばれているのです。
今回はエイジハラスメントの詳細を中心に、職場でのエイジハラスメントの例や、被害者になったときの対処法も取り上げていきたいと思います。自分がエイジハラスメントの加害者や被害者になっていないか、よく確認しましょう。
エイジハラスメントの元々の意味
元々エイジハラスメントは、昇進していない中高年の社員に対する嫌味や差別を意味する言葉でした。バブル経済が崩壊し、経済的な余裕が急激に無くなった1992年頃の日本では、そのような社員を会社のお荷物のように扱う問題が多発したのです。
エイジハラスメントはその意味を微妙に変えながら、現代でも根強い問題として残っています。2015年に放送された「エイジハラスメント」というドラマは、現代の職場のリアルなエイジハラスメントを取り上げて、人気となったドラマです。
現代のエイジハラスメントに興味がある人は、ぜひ見てみて下さい。
エイジハラスメントの例
具体的にはどのような言動がエイジハラスメントになるのか、気になる人は多いでしょう。そこでエイジハラスメントの例を、いくつか紹介していきたいと思います。
ぜひ例をよく把握して、自分が被害者や加害者になっていないか、振り返りましょう。また周囲でエイジハラスメントが起こっていないか、注意してみて下さい。
中高年の社員への年齢に関する差別的な言動
中高年の社員に「年寄りだから仕方ない」「老人は足手まとい」などと、年齢を理由にその人の仕事を貶める言葉を言うのは、典型的なエイジハラスメントです。
しかしエイジハラスメントには、年齢を理由にした差別全てが含まれます。そのため中高年の社員への配慮のつもりで言った言葉が、エイジハラスメントに含まれてしまうこともあるのです。
例えば「高齢だから無理をしないように」といった言葉は、悪意でなくむしろ善意で言う人が多いでしょう。しかし言われた人がその言葉に傷ついた場合は、その言葉もエイジハラスメントとなってしまうのです。
大した意味なく言った一言でも、知らずに他人を深く傷つけてしまうことはよくあります。特に年齢は気にしている人が多いので、不用意に年齢に関する言葉を他人に言うのは避けましょう。
年齢を理由に若い社員の仕事内容を評価したり制限したりする
若い社員に「若いんだから」という理由で、身体的にきつい仕事ばかり押し付けることも、立派なエイジハラスメントになります。
さらに仕事の失敗を「ゆとり世代だから」と貶める言葉や、仕事上での成功を「若いくせに生意気だ」と妬む言葉もエイジハラスメントに含まれるのです。
また年齢を理由に、本人の能力に見合わない簡単な仕事しかさせないということも、エイジハラスメントに当るとされています。これらのように、若い社員に対する年齢を理由にした差別も、エイジハラスメントになってしまうので注意が必要です。
仕事中の若い女性に対して年齢に関する差別的な言動をとる
若い女性社員に「若いから先方に気に入られやすい」という理由で、接待への同行を強制することは、エイジハラスメントに当ります。また年齢や性別を理由に、若い女性社員を仕事ができないと決めつけることも、エイジハラスメントになるのです。
後者のような例では、セクシャルハラスメントとして捉えることもできるので、より悪質なエイジハラスメントといえます。
中高年の女性社員にその若々しさを妬まれて、「若いから何も知らない」と嫌味を言われたことがある若い女性社員は多いでしょう。実はそのような嫌味もエイジハラスメントに含まれるのです。
エイジハラスメント意味は広く、褒める意味で言った言葉も、エイジハラスメントに当ることがあります。そのため若い女性を褒めるときも、注意が必要なのです。
エイジハラスメントはなぜ起こる?
エイジハラスメントの最大の原因は、世代を超えたコミュニケーション不足とされています。エイジハラスメントの加害者の多くは、加害者であるという自覚がありません。
相手のことをよく知らないと、相手が傷ついたり嫌がったりすることをしていても、自覚することができないのです。そのため相手が我慢していると、どんどんエスカレートしていってしまうこともあります。
そのためエイジハラスメントを防止するためには、社会全体で世代が異なる人と触れ合う機会を増やす必要があるのです。エイジハラスメントだけでなく、パワハラやマタハラなど、最近増えているさまざまな差別の防止にも、この対処法は有効とされています。
エイジハラスメントを未然防止することはできる?
組織内でのエイジハラスメントを防止するには、世代間のコミュニケーションを増やすことと注意を喚起することが有効です。
例えば職場の中では普段あまり話さない、年齢が離れた社員や上司とも時々世間話をするように心がけましょう。また会社の飲み会のときは、お互いのことを理解し合う絶好の機会なので、積極的に世代が違う社員や上司と話してみて下さい。
小さなことですが、少しでも違う世代の人のことを知ろうとする姿勢は、エイジハラスメントの防止にきっと役立つでしょう。
また会社側がエイジハラスメントを重く捉え、社員にエイジハラスメントへの注意を促すことも、エイジハラスメント防止には重要です。エイジハラスメントの防止には、社員1人1人の意識を変えていくことが大切とされています。
しかし根深い差別的な考え方や言動は、本人が気づきにくいもの。そのため差別的な言動をしている人がいたら、本人に知らせることも、エイジハラスメントの防止では重要なのです。
エイジハラスメントの被害者になった場合の対処法
職場で起きやすいエイジハラスメントは、その後の人間関係のことを考えて、被害者がつい我慢してしまうことが多いとされています。しかし我慢にも限界がありますし、加害者が自覚しなければ解決に向かうこともありません。
そこで以下では、エイジハラスメントの適切な対処法を見ていきましょう。いつでも誰でも、エイジハラスメントの被害者になる可能性があります。そのため今エイジハラスメントの被害者でない人も、ぜひしっかり対処法を覚えておきましょう。
被害の詳細な記録を残す
エイジハラスメントの被害者になってしまった直後は、ショックで呆然としてしまうでしょう。しかしエイジハラスメントを解決するためには、第三者にしっかり相談できるように、受けた被害の詳細を記録しなくてはいけません。
エイジハラスメントの被害が深刻である場合は、裁判で解決することもあります。そのためなるべく被害の内容の記録だけでなく、音声データや証拠写真も確保しておきましょう。自分が被害者であるという事実と向き合うのは、辛いことかもしれません。
どうしても辛い場合は、信頼できる人の助けを借りて、証拠を集めてもよいでしょう。
第三者に積極的に相談する
エイジハラスメントの被害者は、つい自分の問題として1人で抱え込みがちです。しかし身近に相談できそうな上司や同僚などの第三者がいる場合は、積極的に相談することをおすすめします。
相談することで精神的なショックが軽減することもありますし、有効なアドバイスを貰えることもあるためです。さらに第三者に相談することで、職場内のエイジハラスメントの注意喚起が促され、加害者が自覚しやすくなるというメリットもあります。
特に若い社員は先輩社員よりも経験や知識が無いことで、仕事上先輩社員や上司から言われたことに逆らえないことも多いでしょう。
しかしエイジハラスメントの被害者になったときに、1人で我慢する必要はありません。どんどん周りの人の協力を仰ぎ、味方をたくさん作っていきましょう。また、社内にエイジハラスメントが相談できる窓口がある場合は、ぜひ利用してみて下さい。
感情的に反応を返さない
エイジハラスメントの被害が軽い場合は、加害者の言動に感情的な反応を返さないことも対策として有効です。
例えば年齢が若いことを理由に知識や経験が浅いと嫌味を言われたときは、「ご指摘ありがとうございます」と冷静に返してみましょう。相手にお礼を言われると、誰でも意地悪なことはしにくくなるものですから、これ以上の被害を抑えることができます。
さらに年齢の高さに嫌味を言われたときは、冷静に「そうですね」と相手の言葉を肯定してみましょう。相手から意表を突く返答をされることで、加害者も冷静になりやすくなるのです。
第三者機関の相談窓口を利用する
職場内に相談できる第三者がいなかったり、職場がエイジハラスメントを指摘しづらい雰囲気であったりすることもあります。その場合はぜひ、エイジハラスメントの防止法や対処法に詳しい、第三者機関の相談窓口を利用してみましょう。
第三者期間の窓口は職場とは関係ないので、相談しやすいというメリットがあります。さらに、いざというときに、法律の専門家とコンタクトが取りやすいというメリットもあるのです。
また厚生労働省や法務省が運営する、公的な相談窓口もたくさんあります。さらにそのほとんどが、無料で相談を受け付けています。そのためエイジハラスメントの対処法が分からず悩んでいる人は、ぜひ気軽に利用してみて下さい。
以下では気軽に利用できる相談窓口を紹介します。
厚生労働省の「こころの耳」 | https://kokoro.mhlw.go.jp/ |
厚生労働省の「総合労働相談コーナー」 | http://www.mhlw.go.jp/general/ seido/chihou/kaiketu/soudan.html |
法務省の「みんなの人権110番」 | http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html |
「法テラス」 | http://www.houterasu.or.jp/ |
あなたもエイジハラスメントの加害者に!注意したい職場での言動
エイジハラスメントの加害者にならないようにするためには、普段から自分の言動に注意することが大切です。以下では職場でぜひ注意したい、エイジハラスメントになる可能性が高い言動を紹介します。
仕事をスムーズにこなすには、職場の人間関係を円滑に保つことが欠かせません。そのため、ぜひこの機会に、自分の職場での言動を振り返ってみましょう。
若い社員は特に気をつけたい「~歳過ぎてこんなこともできないなんて」という言葉
エイジハラスメントは、年下の社員から受けることもあります。その代表的な例が「~歳過ぎてこんなこともできないなんて」といった言葉です。
年下の社員からこのような言葉を言われると、自分が情けなく感じて、落ち込んでしまうでしょう。しかし相手が年下だからといって、相手の全ての言動に耐える必要はありません。自覚を促すためにも、言われて嫌だと感じたことは、相手にはっきり伝えましょう。
また若い人は、普段職場でそのような言動をしてしまってしないか、定期的に確認してみて下さい。
結婚適齢期の社員に投げかけがちな「そろそろ結婚する歳だね」といった言葉
結婚するタイミングは本人が決めることであり、他人に決められるものではありません。しかし職場では上司や年上の社員から、結婚を急かすような言葉をかけられる若い社員が多いのです。
何気ない世間話のような感覚で、「そろそろ結婚でしょう」というような言葉を、年下の社員に言ってしまう人も多いでしょう。
しかし結婚はプライベートなことなので、他人に詮索されると不快に思う人も多いのです。そのため結婚に関する話題は、職場では避けることをおすすめします。
男性社員は気をつけたい「若い女性がいると職場が華やかになる」といった言葉
若い女性社員を褒めるつもりで、「若い女性がいると職場が華やぐ」といった言葉を使ってしまう男性の人は多いでしょう。
しかし言われた本人が不快だと思えば、褒め言葉であってもエイジハラスメントになるので、そのような言葉にも注意が必要です。
若い女性社員を褒めたいときは、年齢については触れず、純粋に能力を褒める言葉を使いましょう。年齢を理由にした差別は、ポジティブな意味であっても、相手を傷つける差別になる危険性があることを、忘れてはいけません。
「やっぱりゆとり世代だから」というような皮肉の言葉
若い社員が仕事で失敗してしまう度に、「ゆとり世代だから」と皮肉のように言ってしまっていませんか?失敗へのフォローをしたり、アドバイスをしたりしようとせず、ただ年齢を理由にした差別をするだけでは後輩は育ちません。
さらに差別的な嫌味を言うだけの上司や先輩社員は、次第に若い社員から避けられるようになってしまいます。後輩から慕われるステキな先輩社員や上司になるためにも、差別的な言動は控えるようにしましょう。
自分の言動を時々客観視してみよう
エイジハラスメントの意味や防止策、対処法について見てきましたが、参考になったでしょうか?
被害者に大きな精神的苦痛を与えるエイジハラスメントは、何気ない言葉から始まることがほとんどです。そのため加害者が自分の差別的な言動に気づきにくいという問題があります。
自分が加害者になることを防止するために、ぜひ普段から自分の言動を客観視する癖をつけて、差別的な言動を修正できるようにしましょう。
さらに仕事で会う人からエイジハラスメントを受けている人は、ぜひ今回取り上げた対処法を実践してみて下さい。また自分や身近な人が被害者になってしまったときのために、今回見てきたエイジハラスメントの対処法はぜひ覚えておきましょう。