往々にしての意味とは?往々にしてあるなどの使い方や例文を紹介

日本語には、語源が違っていても同じような意味合い(類語)の言葉があります。その中から、「往往にして」という言葉の意味はどんなものか。例文を用いて「往往にしてある」という言葉の使い方をご紹介します。語源や類語、例文を知り、正しい使い方を身につけましょう。

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目次

  1. 1「往々にして」ってどんなとき使うの?
  2. 2「往々にして」の意味とは
  3. 3「往々にして」の使い方のポイント
  4. 4「往々にして」の使い方《仕事編》
  5. 5「往々にして」の使い方《仕事のメール・報告書編》
  6. 6「往々にして」の使い方《日常・対人編》
  7. 7「往々にして」の使い方《日常・対物編》
  8. 8「往々にして」の使い方《日常・事象編》
  9. 9「往々にして」を使った名言
  10. 10世の中がより良くなる時「往往にして」問題が起こるもの

「往々にして」ってどんなとき使うの?

言葉には、よく使われる言葉と、昔から存在している言葉だけどあまり使われない言葉があります。「往往にして」という言葉は、たまに新聞で使われている為、なんとなく意味を理解しているものの、「じゅうじゅうにして」と読んでしまっている人もいますが、正しい読み方は「おうおうにして」です。

「往往にして」はどんな時にどのような使い方をするのか。「往往にして」を使った例文、その語源、類語をご紹介します。
 

「往々にして」の意味とは

「往々にしてある」という言葉を使おうと思った時、大体の意味はわかっているのに、うまく使うことができないということはありませんか?正しく「往往にして」を使うには、言葉の意味を知り、語源・類語を学ぶ必要があります。

「往々にして」の意味

「往往にして」という言葉は、「往往」という単語で辞書に登録されています。広く周知されていないと思いきや、小学生の国語辞典にも載っている「往往」。

その意味は、「よくあるさま」「そうなる場合が多いさま」とあり、主に「に」を伴って「往々にしてある」と用いられることが一般的です。そして、「多くは好ましくない事態について用いる。」とあるように、対象となる事柄が悪い時に使われます。

「往々にして」の語源

「往」という漢字は、会意兼形声文字という2文字以上の漢字・2文字以上の意味のある文字を合わせてできた漢字で、行にんべん(部首)には、「道を行く」という意味があります。右側の”主”という形は、斧をイメージした「大きい」という意味と、植物の芽生えという意味があり、「行く、すすむ、むかう」という意味があります。

そして、「去る、死」という意味もあります。その為、「往診」「往復」という言葉は、もう一度診る、もう一度行くと悪い言葉ではないけれど、「往往」と繰り返されることで、悪い意味を持つ言葉として使われています。

「往々にして」の類語

類語とは、意味が似ている言葉を言います。悪い意味合いのよくあるさま、つまりあまりたびたび起こってほしくない事に対して使われる「往往」ですが、この「往々にしてある」と似た意味を持つ類語とはどのような言葉があるのでしょう。

身近な言葉をいくつかご紹介します。

「やもすると」

「やもすると」とは、「ややもすると」の誤りです。「ややもすると」は、「どうかすると」「すぐに」という意味で、ある状態になりがちであることを表す言葉です。「ややもすると~」というように、後述する状況に陥りやすいさまを意味する表現です。漢字では「動もすると」と書きます。

【例文】連休は、ややもすれば夜更かししてしまうもの。

「えてして」

「えてして」とは、「そうなることが多い様子」という意味で、「往々にしてある」と同じく、「えてして~」の後述には、良くない意味の言葉がくる場合が多いです。

【例文】失敗をすると、えてして弱気になってしまう。

「しばしば」

「しばしば」とは、「たびたび」「何度も」という繰り返される時に使われる言葉です。「往々にしてある」という言葉は悪い意味で使われていますが、「しばしば」は、同じ行動や状態が何度も繰り返されるさまというだけで、悪い意味だけに使われるということはありません。

【例文】しばしば会合を開く。

「ことあるごとに」

「ことあるごとに」は、「ことごとに(事毎に)」とも言い、「何かにつけて」「いつも」という意味があります。これも、「往々にしてある」と同様に、悪い意味で使われることが多いです。

【例文】上司は私の行動をことあるごとに否定する。

「往々にして」の使い方のポイント

「往々にしてある」の意味、語源、類語を知り、使い方として、良い意味ではあまり使わないほうが良いということがわかりました。

ご紹介したとおり、語源には「すすむ」という良い意味と「死」という悪い意味の2通りあり、2文字繰り返して使うことで悪い意味が強くなります。類語の中でも悪い意味で使われるものが多く、「往々にしてある」を使う場を間違えないように気をつけなくてはなりません。

主に良くないことに対して使う

「往々にしてある」の語源=よくない事柄に対して使うということから、使い方としては、繰り返されることによって悪くなること、または、悪い行いが繰り返されているということを表現する時に使われます。

口語で使いやすいため、日常生活で使うことができる反面、うっかり間違った使い方をしてしまうと、正しい使い方を知ってる相手からは幻滅されてしまうし、「往々にしてある」という言葉を知らない相手には、間違った使い方を教えていることになってしまうため、注意が必要です。

間違った使い方

「往々にしてある」の間違った使い方で一番やってはいけないことは、良い意味の繰り返される事柄に対して使ってしまうことです。

「私の提案が通るのは、上司の後押しが往々にしてあるからです」…この例文を、上司に対して使ってしまったら、大変です!「往往にして」は、類語の「ことあるごとに」と同じく悪い意味合いに使われるため、前後の言葉が良い意味の言葉ならば、嫌味を言っているようにとらえられかねません。

「現在この観光地は、テレビで取り上げられることが往往にしてある喜ばしい状況です」…この例文を観光地の代表が言っていたら、とんでもない間違いです。

テレビに繰り返し取り上げられている喜ばしい状況ということを伝えたいのでしょうが、「往往にしてある」は悪い意味で使われているため、繰り返される喜ばしい状況を表す時に使用するのは、間違いです。

「往々にして」の使い方《仕事編》

それでは、仕事の時に「往往にして」を使う時、どのような使い方が正しいのでしょう。仕事全般だけではなく、メールや報告書での使い方や、日常生活において人や物、事象に対しての使い方を、いくつかの例文を用いてご紹介します。

「往往にして」の使い方がどのように変化するのでしょうか。

「往々にして」の仕事での使い方

「往往にしてある」の類語も含めて、共通する意味は「何度も」など繰り返されていることを表しています。仕事をするときに、上司や取引先の人に対して、「何度も」という言葉を使うと、状況によりスマートではない印象を与えることに…

そんな時に、「往往にしてある」という言葉に言い換えることで、スマートな大人という印象を与え、信用を得やすいものです。

仕事で「往々にして」を使う際の例文

【例文】近頃、営業マンが安い見積もりを押し通そうとすることが往往にしてある…取引先からそのように言われたら、忠告を重く受け止めてしまいませんか?

これが、「近頃、営業マンが安い見積もりを何度も押し通しにくるんだが」と言われると、「それはすいません!」というように軽く返しやすく感じるでしょう。意味が同じでも、往往にしてあるを使うと、言葉に重みをもたせることができます。

【例文】こういった失敗は往往にしてあることだから気をつけて…そう上司から言われたら、重く受け止め、素直に聞き入れやすいでしょう。

これが、「こういう失敗は何度もしやすいから気をつけて」と言われると、どんな印象を受けますか?「往往にしてある」を使う上司の方が、よりスマートに感じるでしょう。

「往々にして」の使い方《仕事のメール・報告書編》

メールや報告書の場合、特にかしこまった言葉を使うことが重要になります。かといって、とんちんかんな使い方をしては、伝えるべき要件が伝わりません。メールや報告書の場合は話すとき以上に、「往往にして」の使い方に気を付けなければなりません。

「往々にして」のメール・報告書での使い方

メールや報告書で「往々にしてある」を使う場合、相手に対して苦言を呈す時や、悪い状況を報告する時に使います。なかなか、自分自身に対して使える言葉ではないので、反省文として自分に対して無理やり使おうとすると、少し回りくどい印象を与えてしまうため、あまりおすすめしません。

どうしても使う場合、以下の例文を参考にしてみましょう。

メール・報告書で「往々にして」を使う際の例文

【例文】社員が手を抜いていると思わざるを得ない行動が、往往にしてあることは明確である…この使い方では、相手に対して、手を抜いている社員の行動が目につくということを断言して伝えることができます。

【例文】相談に応じていただけないことが往往にして起こっています…この場合、相談に応じてもらえないという悪い意味が繰り返し起きているということを表しています。「往往にして」の類語にしばしばという言葉がありますが、悪い意味でつかわれる「往往にして」を使う方が良いです。

「往往にして」は自分に対してはあまり使われませんが、前後の語源に意識して使うことで、相手に違う意味で取られることを避けられます。

【例文】このようなミスはこれまでも往往にしてあったので充分注意していたのですが…この使い方は、これまで他人が繰り返しミスしていたから自分は気を付けていたけれど同じミスをしてしまったという、自分のミスに対して使っています。他人のミスの話を前に入れることが多少回りくどく感じるので、使う状況に注意して使うことが重要です。

「往々にして」の使い方《日常・対人編》

「往往にして」はあまり日常会話の中で使われることがないため、話す相手に馴染みのない言葉である可能性があります。

その為、初めて聞く人にも伝わりやすい「往々にしてある」の前後の言葉や使い方とは?

「往々にして」の日常・人に対しての使い方

「往々にしてある」という言葉をあまり聞いたことのない人に、話したいこと、伝えたいことがわかるような言葉を選び、組み立てなければなりません。仕事編とは違い、相手にわかるようにするにはどんな使い方が良いのでしょうか。

例文を用いてわかりやすい使い方をご紹介します。

日常・人に対して「往々にして」を使う際の例文

【例文】あなたは過度なダイエットをすることが往往にしてあるから心配だわ…「往往にしてある」の意味を知らない友人は、自分が過度なダイエットを繰り返していることは自覚しているため、例文のように言われると、「往往にしてある」が悪いことが繰り返されているというように理解することができます。

【例文】あなたは仕事で関わった女性と食事に行くことが往往にしてあるから嫌だわ…これは恋人同士で使われる例文です。この場合も、言われている相手は、自身の行動を自覚しているため、「往往にしてある」という意味を知らなくても、正しく意味を理解することができます。

「往々にして」の使い方《日常・対物編》

次に、日常の中で、人ではなく物事に対して「往往にしてある」を使う場合、どのような使い方が正しいのでしょうか。

対人や仕事に対してとどのような違いがあるのでしょう。

「往々にして」の日常・物に対しての使い方

日常生活の中で、「往往にしてある」を物事に対して使う場合に注意しなくてはいけないのは、その語源・類語からわかるように、悪い意味で使われている言葉だということ。

繰り返される良い物事に対して、語源の良くない「往」を使った「往往にしてある」を使用すると、「往往にして」の正しい意味を知っている聞く人・読む人に、悪い印象を与えてしまいます。正しい意味を知らない人には勘違いした言葉を教えてしまうことに…

日常・物に対して「往々にして」を使う際の例文

【例文】この路線は、往往にして遅延することがあるから急いでいる時は乗るべきでない…この「往往にして」の使い方は、遅延するという悪い意味で使っていること、たびたび遅延することがあるということを、正しく伝えることができます。

【例文】昨今、地方の商店街は往往にしてシャッター商店街となる…この例文は、地方の商店街は、閉店に追い込まれる店が増えており、シャッターが閉まっている店が多い様を表していて、「往往にしてある」の語源を合わせることで、地方の商店街は閉店に追い込まれやすい傾向にあることがわかります。

「往々にして」の使い方《日常・事象編》

次に、日常生活にたびたび起こる事象に対しての「往往にして」の使い方をご紹介していきます。事象というと難しくとらえがちですが、何かをしたことで現実に起こる事柄を意味する言葉です。

この事象は、日常生活の中で良いことも悪いこともたくさん発生しています。その事象に対する「往往にしてある」の正しい使い方とは?

「往々にして」の日常・事象に対しての使い方

「往往」の語源や類語にあるように、2文字繰り返すことで、「往」のもうひとつの語源である「死」の意味が強くなるため、良くない事象に対して使われます。

その為、「往往にして」とは良くない事象に対して使うのが正しい使い方ですが、一般的には、「往」の語源にある「すすむ」という意味だけが目立ち、良くない言葉とは連想されず、誰もが投稿できるインターネットの世界では、「往往にして」を間違って使っている記事を目にすることも。
 

このように、対人でもなく、対物でもなく、善悪どちらにも受け取れる事柄の多い事象に対しては、「往往にして」は間違った使い方がされていることが多いため、正しい意味を相手に伝えることが難しい場面もあります。

では、どのように「往往にして」を使うことによって、正しい意味を相手に伝えることができるのでしょうか。

日常・事象に対して「往々にして」を使う際の例文

【例文】日本語には、あいまいな表現が多く、通訳が頭を抱えることは往往にしてあることだ…この例文を読み、良い意味で受け取る人はいないでしょう。「頭を抱える」=困っているという悪い意味になるため、この場合は、誰が読んでも、あいまいな表現にたびたび悩まされている通訳者の思いを正しく伝えられています。

【例文】ワンマン社長がかじ取りを誤ると、社員が路頭に迷うことは往往にしてある…この例文も、「露頭に迷う」=失業して困るという悪い意味になるため、ワンマン社長のかじ取りが悪いと、会社が傾く傾向にあることを伝える、「往往にして」の正しい使い方になります。

「往々にして」を使った名言

「往往にしてある」を使う時の背景、前後の意味を踏まえた正しい使い方が理解できたことでしょう。これまで、「往往にしてある」を正しく使い、世に名言を残してきた偉人がいます。

その偉人は、どのように「往往にしてある」を使っているのか、名言をご紹介していきます。

太宰治の名言

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太宰治…昭和の時代のベストセラー作家。自殺未遂や薬物中毒を克服し戦前から戦後にかけて多くの作品を発表してきた、一言では人生を語れないほど多くの経験をされた人物。没落した華族の女性を主人公にした『斜陽』はベストセラーとなり、その作風から坂口安吾、織田作之助、石川淳らとともに新戯作派、無頼派と称されてました。主な作品に『走れメロス』『津軽』『お伽草紙』『人間失格』があります。

そんな太宰治の「往往にして」を用いた名言とは…

「議論とは往往にして妥協しがたい情熱である。」

「妥協」とはどちらかというと悪い意味に使われますが、「しがたい」という否定が使われているので、「情熱」と同じく良い意味になります。「妥協しがたい情熱」とつなげると、目標に向かって「議論」=「戦う」ことは毎度妥協することは絶対にしない。つまり目標に向かって戦っていこう!という熱い気持ちを表しています。

シェークスピアの名言

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シェイクスピアとは、イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもあります。人間観察により人の心理描写にすぐれ、英文学の作家として全世界で有名です。彼の残した著作は、貴重な言語学的資料ともなっているほど、優れていたと言われています。

そんなシェイクスピアの「往往にして」を用いた名言とは…

「もっとよく、というあがきが、往往にして、すでによいことを台無しにしてしまう。」

もっとよいものを。と上を目指して何度も何度も物事を、繰り返し、あがき続けていても、結局は一番最初に行動したことや仕上がりが良いということを表している名言。

エルバート・ハバードの名言

エルバートハバード…アメリカの思想家であり作家。出版社「ロイクロフターズ」の創設者であり、雑誌「ペリシテ人」「時代」の創刊者。エッセイも書いており、代表作に米西戦争の一事件を題材にした「ガルシア将軍へのメッセージ」があります。

エルバートハバードの「往往にして」を用いた名言とは…

「成長は往往にして苦痛を伴う過程である。」

成長するということは、しばしば辛い出来事や壁が目の前に迫り、辛い状況に陥ることがあります。けれど、目の前に壁がない状況とは、できることしかない環境ということ。成長するということは、できないことをできるようになることなので、辛い過程を通過して成長できるということを表しています。

世の中がより良くなる時「往往にして」問題が起こるもの

「往往にして」の正しい使い方を知り、良い使い方とはどんなものかが理解できたのではないでしょうか。偉人の名言にあるように、「往往にして」という言葉は、目標物に向かっている時に繰り返し起こる悪い意味の事柄を乗り越えるという、明るい未来に向かっている時に使うのが良いでしょう。

いくつかの類語を紹介しましたが、類語の中でも、「往往にして」と同じような深みのある言葉・意味を持つものはありません。それは、「往」の語源の深さが関係しているのではないでしょうか。
 

「往往にして」は、その言葉の深さから、ご紹介した偉人以外にもたくさんの偉人が使っている言葉です。シャルル・ペローというフランスの詩人は、「好奇心というものは、とても人の心をひきつけるが、往往にして多くの後悔のもとになる。」と名言を残しています。

他にも、かの有名なドイツの作曲家であるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、「名声を勝ちとった芸術家は、そのことによって苦しめられている。そのため、処女作が往往にして最高作となる。」と、シェイクスピアと同じような名言を残しています。

最後に、イングランドの文学者であるサミュエル・ジョンソンの「思慮分別は人生を安全にするが、往往にして幸せにはしない。」という名言の意味をご紹介します。思慮深く、周囲に合わせた分別のなかでまじめに実直に生きていくことは、人生を安定させることができるけれど、それが幸せと言えるのだろうか。というとても深い意味を表しています。

このように名言となる言葉に使われる「往往にして」という言葉は、深い意味を持つことがよくわかるでしょう。語源を知り、偉人にどのように使われてきたのかを学んだことで、自然と使えるようになっているはずです。

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