甲斐智枝美の現在！死因は？旦那や息子の現在も紹介

まだテレビがなく、娯楽といえば映画が全盛だった頃の日本では、人気のある芸能人はアイドルではなくスターと呼ばれていました。アイドルは、アメリカで人気を得ている若者というニュアンスで使われていたのです。

1960年代には、映画が衰退してテレビ時代となり、徐々に「スター」と並行して「アイドル」という言葉が国内の人気若手芸能人に対しても使われるようになっていきます。1970年代に入ると、芸は稚拙で未熟ですが、可愛らしくて親しみやすいという日本独特のアイドル像が作られます。

テレビでは「スター誕生！」を始めとしたアイドルオーディション番組がいくつも放送され、アイドルは完成されたスターではなく、視聴者がその成長過程を応援していく対象となりました。1980年代には数多くのアイドルが誕生し、歌を始めドラマや映画、バラエティ等でアイドルを見ない日は無いというほど活躍します。1980年代は日本のアイドル全盛期でした。

今回取り上げる甲斐智枝美さんは、1980年代に活躍したアイドルの1人です。福岡県大牟田市出身で、大牟田高校から堀越高等学校に編入し、卒業しました。まさにアイドル全盛時代に活躍したアイドルの1人で、大物アイドルたちの中で奮闘しましたが、アイドル歌手としては今ひとつ奮わず、徐々に活躍の場をドラマに移していきました。

1990年、結婚を機に引退し、2人の息子に恵まれます。生花店で働きながら幸せな結婚生活を送っている甲斐智枝美さんの姿がテレビで紹介されましたが、その2年後に亡くなりました。今回は、甲斐智枝美さんのアイドル時代、結婚後の生活、現在の旦那さんや息子さんたちについて、見ていきましょう。

まずは、甲斐智枝美さんのアイドル時代について見ていきましょう。

1971年に始まった日本テレビのアイドルオーディション番組「スター誕生！」は、大変な人気番組で、現在も変わらず活躍している大物アイドルを何人も生み出しました。甲斐智枝美さんは、1979年に「スター誕生！」の第29代グランドチャンピオンを獲得し、1980年にホリプロからアイドル歌手としてデビューしました。

1980年にアイドル歌手としてデビューした甲斐智枝美さんは、ポスト山口百恵としてホリプロから売り出されます。山口百恵さんは甲斐智枝美さんと同じ「スター誕生！」出身でホリプロに所属しており、1980年に結婚・引退した、現在でも伝説のビッグアイドルです。ソニー・ミュージックでは現在も山口百恵さんの公式サイトで、ベスト盤等を販売しています。

甲斐智枝美さんのデビューシングル曲は「スタア」でした。当時のアイドルには、みなキャッチフレーズがつけられていましたが、甲斐智枝美さんのキャッチフレーズは「KIRARI！瞳が語る」でした。

1980年デビューの甲斐智枝美さんの同期生には、松田聖子さん、田原俊彦さん、柏原芳恵さん、河合奈保子さん、三原順子さん、岩崎良美さん、浜田朱里さん、比企理恵さん、松村和子さん等々、現在もさまざまな場で活躍されている錚々たるアイドル達が顔を連ねています。まさに、アイドル全盛期の真っ只中でのデビューでした。

甲斐智枝美さん自身のアイドル歌手としてのシングル曲オリコン最高順位は、「マーマレード気分」の103位でした。このことからも分かるように、アイドル歌手としては鳴かず飛ばずの状態が続きました。

当時のアイドル達の夏の定番番組だった「芸能人水泳大会」でも、トップアイドルがプールの中で競っている間、プールサイドで歌っている様子が小さなワイプ画面に映されているという寂しい状況もありました。

アイドル歌手としてなかなか成果を出せない状況でしたので、甲斐智枝美さんは活躍の舞台を徐々に歌の世界からドラマの世界に移していきます。

甲斐智枝美さんは、当時人気だったドラマ「GOGO！チアガール」（1980年）、「野々村病院物語」（1981年）、「高校聖夫婦」（1983年）に、立て続けに出演します。徐々に演技力をつけていった彼女は、1987年に日本テレビの連続ドラマ「見上げればいつも青空」でヒロインに抜擢されるまでになりました。

また、タレントとしても朝日放送（ABCテレビ）のクイズ番組「三角ゲーム・ピタゴラス」の司会を務めるなど、だんだん芸能界に自分の居場所を作っていきます。

1980年にTBSと東宝が制作した、三原順子さん（現三原じゅん子）主演の青春ドラマです。男子校だった三ツ星学園に女子部と芸術コースが新設され、転校してきた女子生徒たちを描いた青春コメディードラマです。

出演していた女性アイドルたちが応援団のチアリーダーとして成長していく話しだったので、このドラマがきっかけでチアリーダーという言葉が全国に広がっていきました。

TBS系列で放送された人気ドラマで、同様なシチュエーションで内容は別物の「野々村病院物語Ⅱ」も制作されたほどでした。大病院に勤務していた野々村隆之（宇津井健）は、念願だった地域医療を実現するため、吉祥寺に個人病院を開業します。この病院で起こる波瀾万丈な出来事を描いたドラマです。

甲斐智枝美さんは、院長野々村隆之の一人娘の高校3年生、ゆかりの役を演じていました。

TBSと大映テレビが制作したドラマで、1980年代にブームとなった大映ドラマの初期のドラマです。高校生の安西俊（鶴見辰吾）と上条典子（伊藤麻衣子：現いとうまい子）は、成り行きで偽装結婚をすることになります。偽装結婚した若い2人がさまざまな経験を通して成長し、本物の夫婦になっていくというドラマです。

甲斐智枝美さんは、安西家の隣人である早川克子（山田邦子）の同居人である遠井節子役を演じていました。

甲斐智枝美さんが結婚した旦那さんは、ザ・スクエア（現T-SQUARE）の元メンバーでドラマーの長谷部徹さんです。ザ・スクエア脱退後はスタジオ・ミュージシャンとして活躍していました。

旦那さんの長谷部徹さんは、元々はジャニーズ事務所に所属しており、４人組アイドルグループ兼バンドグループ「ギャングス」を経て、「ANKH（アンク）」というグループのメンバーとしてドラムを叩いていました。長谷部徹さんがザ・スクエアに在籍していたのは1982年から1985年までです。

甲斐智枝美さんと旦那さんの長谷部徹さんは、堀越高等学校の同級生でした。1990年に2人は結婚し、甲斐智枝美さんは芸能界を引退しました。したがって甲斐智枝美さんが結婚した時には、長谷部徹さんは既にザ・スクエアは脱退し、スタジオ・ミュージシャンとして活躍されていたようです。

その後、甲斐智枝美さんと旦那さんの長谷部徹さんは、2人の息子に恵まれ、家族4人で仲睦まじく暮らしていたようです。

2004年に、甲斐智枝美さんはテレビ番組の「あの人は今!?」に出演し、主婦業の傍ら生花店で働いているという結婚生活を披露しました。「幸せ太りをしてしまいました」と言っていたそうで、番組の中では、スタジオで「スタア」の歌唱も披露したそうです。甲斐智枝美さんのテレビ出演は、これが最後でした。

甲斐智枝美さんは、引退後も所属していたホリプロの先輩アイドルである榊原郁恵さんとは親交があり、連絡を取り合っていたようです。しかし、その榊原郁恵さんも、2006年の甲斐智枝美さんの訃報を聞き、大変驚いたそうです。しかも、死因が自殺というのですから、驚きはいかほどだったことでしょう。

2006年7月10日。千葉県習志野市の自宅２階の寝室で、首をつってなくなっているところを、当時中学3年だった息子さんに発見されました。元アイドルの訃報、それも死因は自殺です。周囲の衝撃は大きく、親交のあった榊原郁恵さんや、アイドル同期生の松田聖子さんたちのコメントが紙面を賑わせました。死因についても、さまざまな憶測が飛び交いました。

自分の母親が自殺しているところを発見した息子さんの気持ちも、どんなに辛かったことでしょう。直接の死因は自殺ですが、真の死因、自殺の理由は何だったのでしょうか。

特に、甲斐智枝美さんの遺書がみつかったという報道はされていなかったようですので、真の死因である自殺の理由はわかりません。しかし、当時の報道では、心不全を患っていたので、それを苦にしての自殺が死因ではないかという憶測が流れていました。

また、家族には更年期障害で体調が悪く、死にたいと漏らすこともあったという報道もありました。更年期障害の症状の1つにうつ状態になるというものがありますので、心不全に加え、更年期障害によるうつ状態からきた発作的な自殺が死因ということもありそうです。

甲斐智枝美さんの自殺報道の際、死因に絡めて、旦那さんの長谷部徹さんがミュージシャンの活動からは半ば引退状態で、非常に家計が苦しい状態だったということも報道されました。

甲斐智枝美さんが生花店で働いていたのも、家計を助けるためだったようですが、それだけでは足りず、夜も週に3日、スナックで働いていたようです。ミュージシャンは、サラリーマンとは異なり安定的に収入を得られる職業ではありません。一旦仕事が途切れると、なかなか元には戻らず、生活が苦しくなるものなのかもしれません。

また、同居していた義父との仲も良くなかったという報道もありました。しかし、いずれの報道も、それ単独で真の死因とするには弱いように思われます。真の死因については、報道されたこれらの要素が複雑に絡まった結果ということなのかもしれません。

甲斐智枝美さんが結婚していた元旦那さんや2人の息子さんたちは、現在どうされているのでしょうか。わかる範囲で調べてみました。

ザ・スクエアを脱退した後の旦那さんの長谷部徹さんは、スタジオ・ミュージシャンとして活躍し、ジャニーズ事務所のアイドル歌手たちの他に、中島みゆきさん、中森明菜さん、尾崎豊さん、沢田研二さん、高中正義さん、日野皓正さん、はにわオールスターズといった数多くのミュージシャンのレコーディングやツアーに参加していました。

しかし甲斐智枝美さんが亡くなった頃には、これらの活動はほとんどなくなっていたようです。そして、現在はアン・ミュージック・スクールという音楽学校で講師をし、後進の育成に力を注いでいるようです。

アン・ミュージック・スクールは、渋谷区幡ヶ谷にある音楽学校で、学長は作曲家でピアニストの加古隆氏です。作曲・編曲科、ギター科、ベース科、ドラムス科、ピアノ・キーボード科、ヴォイス・カンパニー（ヴォーカル科）を擁しており、プロミュージシャンを育成する本格的なコースから趣味のコースまで、幅広い音楽教育を行なっている学校です。

長谷部徹さんはドラム科の講師で、「熱中すると時間にとらわれず生徒に疑問を残させない長谷部徹氏の授業は、常に新鮮な発見と驚きの連続である」と評されています。現役ミュージシャンとしての長谷部徹さんは、現在はスタジオ・ワークが中心のようですが、T-SQUAREの40周年記念コンサートに出演するなど、まだ生で演奏を聴く機会もあるようです。

甲斐智枝美さんが亡くなった時、息子さんは中学3年生と小学6年生でしたから、現在息子さんたちは成人されています。亡くなる前の日は、2人の息子さんのサッカーチームの練習に付き添っていつもより遅めに帰宅したということですから、息子さんは2人ともサッカー少年だったようです。

残念ながら、2人の息子さんたちが現在どうされているのかは分かりませんでした。ただ、お母さんの死因を考えると、芸能界に進もうとは思わないのが当然かもしれません。

甲斐智枝美さんは、アイドル全盛時代だからこそアイドルとしてデビューできたのかもしれませんが、それ故に厳しい競争に勝ち残ることが難しく、同じくアイドル出身の旦那さんの苦境も重なって、悲しい人生の最期を迎えたことが分かりました。

甲斐智枝美さんのご冥福を祈ると共に、せめて現在残された旦那さんと2人の息子さんたちには、残りの人生が明るいものであって欲しいと願わずには入られません。