バーナム効果の例とは？占いや血液型などは誰にでも当てはまる？

あなたはバーナム効果を知っていますか？初めて聞いたという人もいるでしょうし、聞いたことはあるけどよくわからないという人もたくさんいるでしょう。

バーナム効果はある心理を表す現象のことを指していて、占いや営業、恋愛などでも意識的にバーナム効果が使われていることもよくあるので、バーナム効果を知らないという人も気付かないうちに大きな影響を受けている人も少なくないでしょう。

逆を言えば、バーナム効果を知って、その効果をうまく発揮することができるようになれば営業や恋愛でも活用していくことができるようになるということです。そのバーナム効果とはどういったものかを例を交えながら紹介していきます。

まず、バーナム効果という言葉の意味について紹介します。バーナム効果とは、心理学効果の一つで、誰もが当てはまるような性格や特徴、心理などを表した曖昧な内容の言葉を、まるで自分にだけ当てはまるかのように思うという現象のことです。

バーナム効果という言葉の由来は、サーカス団を運営していたバーナムという人の名前から名付けられているのですが、バーナム氏が「誰にでも当てはまる要点というものがる」という言葉から心理学者がヒントを得てこの心理効果にたどり着いたと言われています。

また、バーナム効果の実験を行っていた心理学者のフォア氏にちなんでフォアラー効果と言われることもあります。

バーナム効果の言葉の意味について紹介しましたが、意味だけではいまいちイメージがつかめないという人もたくさんいるでしょう。そこで、バーナム効果の具体的な例をシーン別に紹介していきます。

まずは、占いでのバーナム効果についての例を紹介します。占いが好きな人は、バーナム効果を知らないという人でもバーナム効果をすでにたくさん体験しているはずです。

占いのなかでも日本人に人気のある占いの一つが血液型占いです。A型の人は几帳面で真面目、B型は天才肌など血液型によって性格や特徴を表すもので、自分や周りの人にすごく当てはまると思っている人もたくさんいるでしょう。

しかし、血液型占いには科学的根拠もありません。例えば、几帳面と言われるA型にも几帳面ではない人がたくさんいますし、天才肌と言われているB型の人にも天才肌の人もいれば、そうではない人もいます。

人には多くの人が当てはまる血液型の特徴に自分や他人を当てはめることで安心したいという心理が働きます。

その条件に当てはまる人がいるとやっぱり当てはまるという強い心理が働き、そうではない人がいても印象としてあまり残らなかったり、天才肌には見えないけど本当は天才肌なのだと思い込んだりします。これはバーナム効果の影響を大きく受けています。

ちなみに、血液型で性格や特徴が出ると考える人が多いのは日本ぐらいで、血液型占いも日本でしか行われておらず、海外の人に血液型を聞くと、どうしてそんなことを聞くのかと不思議がられます。

星座占いも、テレビ番組や雑誌などで紹介されていることが多く、自分の星座の運勢を占ってみたことがある人もたくさんいるでしょう。この星座占いにもバーナム効果が利用されています。

例えば、今日のいて座の運勢が「今日は想定外のハプニングに出くわしそう」という占い結果であったとします。日常生活を送っていると自分の想定外の出来事が起きることは誰にだってありえることです。

しかし、星座占いを見た人がその日にちょっとでも想定外のことが起きると、占いの結果に当てはまると解釈しやすくなります。そして星座占いは当たると信じるようになります。

また自分の星座「今日は疲れを感じやすい一日になりそう。早く帰宅して休息をしっかりとろう」という占い結果だった時に日中ちょっと疲れてきたら、今日は疲れを感じやすい日だ、やっぱり占いは当たっていると思ってしまう人も多いでしょう。

日常生活を普通に送っていたら疲れを感じることは誰にでもあることですが、占いで言われたことによって疲れに対して敏感になって、普段と同じくらいの疲れであっても、いつもよりも疲れた気分になります。そして占いが当たったと信じてしまうのです。

バーナム効果はビジネスシーンでもよく利用されます。特に、営業マンのなかには営業するときにバーナム効果をうまく活用して言葉を駆使して相手の心理を自分のもっていきたい方向に誘導するというテクニックを使っている人もたくさんいます。

営業トークについつい乗せられていつも購入してしまい、家族から注意されたり、後悔することが多いという人や、仕事で営業や交渉をよくする人で、なかなか思うような結果がでないという人も少なくないでしょう。

そういった人達は、バーナム効果についてや、使用例を知っておくと良いでしょう。そこで、営業の場面でのバーナム効果の例を紹介していきます。

まずは、保険会社の営業マンが家族をもっている人に保険の営業をする際のトークの一例です。最初は「大切な家族のことを思うと自分に万が一何かあったらと不安になりますよね」と家族持ちなら誰もが当てはまるような言葉をかけて相手に同意させます。

そして「実際、30代、40代でも癌など重い病気にかかってしまう人はこれくらいいるので今は健康だと思っている人も他人事ではありません。」と具体的にデータを提示したりしながら、誰もが抱く病気への不安を強調します。

そして最後に「保険について一度説明だけでもさせてもらえないでしょうか」と言われると、保険が必要な人物に自分が当てはまると思ってしまうので、説明を聞いてみようかなと思うようになります。

次はセキュリティシステムの営業を行う営業マンのトークの一例です。まず「あなたの会社のセキュリティに不安なところはありませんか？」と聞くと、よほどすごいセキュリティシステムを導入していることがない限り、不安はないと答える人はほとんどいないでしょう。

そして、「情報社会と言われている現代で、会社の情報が洩れてしまうことを考えると不安になるのが当然ですよね。」と、どこの会社でも当てはまることを言って、セキュリティシステムがあ必要な会社にうちの会社も当てはまるなという気持ちにさせます。

そうして最後に「うちの万全のセキュリティシステムについて、内容だけでも聞いてもらえないでしょうか」と言うと、内容だけでも聞いてみようかと思うようになります。

最後の例は、省電力製品を営業する人の営業トークです。まず「あなたは毎月の電気代を抑えたいと思ったことはありませんか？」とほとんどの人が当てはまる言葉をかけて、自分に当てはまると思わせます。

そして、「毎月の電気代がこれだけ抑えることができれば年間でこれだけもの電気代を抑えることができます。」と具体的に数値化して、電気代を抑えることのメリットを強調します。

最後に、「これを使用することによって、毎月の電気代を抑えることが可能なのですが、説明だけでもさせてもらえないでしょうか」と言うと、いきなりこの製品の説明をさせてくれと言ったときよりも話を聞いてもらえる可能性が高くなります。

営業トークの例を紹介しましたが、こうした例を見ているとバーナム効果が身近な存在に感じる人も多いでしょうし、もっといろいろな場面でも知らないうちに体験していたり、利用することができたりするのではと思う人もいるでしょう。

バーナム効果は営業トークだけではなく、恋愛のやりとりでも利用することができます。意中の相手へ振り向いてもらいたいけど、どのように話しかけていったらいいかわからないという人もたくさんいるでしょう。

そこで、ここで恋愛の場面でのバーナム効果の使用例を紹介します。恋愛の場面で知らないうちに使っていた人、使われていたという人もたくさんいるでしょう。

例えば、意中の人に「あなたは人が見ていなくてもちゃんと努力してますよね」とか「実はあなたは頑張り屋さんだよね」という言葉をかけるのは効果的です。

人は、他人が見ていないところでも大なり小なり何らかの努力はしているものです。そして、時には自分が頑張っていることを認めてもらったり、褒めてもらったりしてもらいたいという心理があるものです。

しかし、こうした言葉をかけられると自分にだけ当てはまることを言われたという心理になり、この人は自分のことをわかってくれている、自分のことを認めてくれているという気持ちになって二人の距離が縮まり、恋愛へと発展することもあるでしょう。

他にも恋愛でよく使われるバーナム効果の例を挙げてみると「疲れていない？」という言葉も、恋愛でバーナム効果を発揮する言葉です。

仕事の休憩中や終わった後や、忙しいときの合間などに「疲れていない？」と聞かれたらほとんどの人が多少は疲れを感じていますし、慢性的に疲れを感じている人もたくさんいるでしょう。

よって、ほとんどの人に当てはまることを聞かれているのですが、自分にだけ当てはまることを言われた気分になって、この人ちゃんと見てくれている、この人自分のこと理解してくれていると思って、二人の距離が縮まる効果が期待できます。

「あなたは純粋ですね」「あなたって実はピュアですよね」というような言葉も、バーナム効果によって恋愛では効果的な言葉になります。

人は純粋な部分を持っている人が多いですし、例えそうではない人でも純粋な気持ちは持っていたいという心理があります。そこで、こうした言葉をかけられると、自分のことを理解してもらえているとか自分のことを認めてもらっているという気持ちになります。

恋愛では、相手に自分はあなたの理解者であると思ってもらい心の距離を縮めていくことが大切なので、意中の人にこうした言葉をかけるのは効果的です。

バーナム効果を影響を受けやすい人とそうではない人がいますが、その人達の違いは確証バイアスにかかりやすいかどうかに大きく関わってきます。

確証バイアスというのは、自分にとって都合の良い情報や言葉には目を向けやすく、都合の悪い情報や言葉には目を背けてしまいやすいため、受け取る情報が偏ってしまい、その結果、解釈や判断も偏ってしまうという現象のことです。

血液型占いや星座占いでも、自分に当てはまるという情報や言葉は都合の良い情報として印象に残りやすく、当てはまらない場合は印象としてあまり残りません。その結果、この占いはよく当たると思ってしまうのです。

物事を前向きに捉えたり、占いを信じて楽しむというのであれば、問題ありませんが、冷静な判断が必要な場面で、受け入れる情報や考え方が偏ってしまうと、判断を誤ってしまうこともあるので注意が必要です。

人の心理に影響を与えるバーナム効果をうまく利用することができれば、仕事や恋愛などいろいろなシーンで使うことができるようになります。

そのバーナム効果をじゅうぶんに発揮させるためにはいくつかのコツやポイントがあります。ここで、そのコツやポイントを紹介するので、仕事や恋愛などで活用していみたいという人はそのポイントをしっかりと抑えておきましょう。

バーナム効果は誰にでも当てはまるような言葉をかけて、相手に同意や共感をしてもらい信頼してもらったり、心の距離を縮める効果が期待できますが、誰にでも当てはまるような言葉でもタイミングを間違えると当てはまらないこともあるので注意が必要です。

例えば、恋愛で「疲れてない？相談にのるよ？」と意中の人に声をかける場合でも、その人が趣味などを楽しんでいるときに声をかけても「疲れてない」と言われてしまうでしょう。

また、営業マンがリフォームの営業にいく場合、築年数がある程度経過していている家であれば「家で困っているところはありませんか？」と言えば、家に対する不満点がある家庭がほとんどなので、話を進めていきやすいでしょう。

しかし、新築の家に行って「家で困っているところはありませんか？」と言ったりしても「別に」と言われてしまうでしょう。

このように、タイミングや言う相手を間違ってしまうと見当違いのことを言っていることになり、効果がないどころか、逆に信頼を失ったり、心の距離が離れてしまうことがあるので注意が必要です。

仕事や恋愛など日常生活でバーナム効果を活用するときは前向きな言葉をかけることを意識すると、バーナム効果を発揮しやすくなります。

誰にでも当てはまるような言葉や内容はいろいろありますが、なかでも褒め言葉など前向きな言葉は、心理的に相手も受け入れやすいですし、自分に当てはまると思いやすいので、バーナム効果がじゅうぶんに発揮されやすくなります。

「頑張り屋さんですね」「純粋な一面がありますね」と言われると、実際はあまりそうではない人でも、自分のわずかに当てはまる部分を見て当てはまると思ったり、自覚はなかったけどそうかもしれないと思う人もたくさんいるでしょう。

バーナム効果は言った相手が自分よりも権威や地位が高いと思っていると、より効果を発揮するようになります。

例えば「その努力を続けていたらきっと成功するでしょう」と弁護士、医者、社長などに言われると「やはりこの努力の方向性は間違っていない」と確信する人も多いでしょうが、仕事をしていないニートに言われたら、その言葉を信じない人も多いでしょう。

では、特別な権威や地位を持っていない人はバーナム効果を発揮させることは難しいかというとそうではありません。

権威や地位がなくても、相手から認めていたり信頼されていたりすると、バーナム効果を発揮しやすくなるので、普段の自分の振る舞いや相手との信頼関係も重要になります。

バーナム効果を初めて知ったという人のなかにはバーナム効果を発揮することができるようになれば、仕事や恋愛がもっとうまくいくかもと思った人もいるでしょうし、もっとバーナム効果について知りたいと思った人もたくさんいるでしょう。

そういった人に、バーナム効果をもっと知ることができる本を紹介します。現在、バーナム効果に関する本はたくさんありますが、そのなかでもおすすめの本を3つ厳選して紹介していきます。

バーナム効果についてもっと知ることができる本でまずおすすめなのが村上宜寛氏の「心理テストはウソでした」（講談社＋α文庫）という本です。

「心理テストはウソでした」では血液型診断を始め、様々な性格診断や心理テストなどはほとんど使い物にならないと主張し、その理由も詳しく紹介されています。

バーナム効果についても詳しい説明がされていて、バーナム効果について知りたいという人はもちろん、バーナム効果にかかりやすいのを何とかしたいと思っている人にとって、物事の視点を変えるきっかけとなるかもしれないので、特におすすめの本になります。

バーナム効果をもっと知ることができるおすすめの本で次に紹介するのは小鳥遊柳（たかなしりゅう）氏の「モテる！心を惹きつける！７つのコミュニケーション術」（インプレス）という本です。

人の心理的傾向をどのようにマーケティングに応用することができるかという研究を行っている小鳥遊柳氏が、バーナム効果を始めいろいろな心理学を用いて、社会で役に立つコミュニケーションスキルを紹介しています。

恋愛や仕事でうまくいくための小手先のテクニックではなく、社会で成功するためのコミュニケーション能力や、自分だけではなく周囲の人も幸せな気持ちにさせることができる能力を身につけることができるノウハウが紹介されているのがおすすめポイントです。

バーナム効果をもっと知ることができるおすすめの本の最後に紹介するのは、マッテオ・モッテルリーニ氏の「世界は感情で動く～行動学からみる脳のトラップ」（紀伊国屋書店）という本です。

この本では、バーナム効果について知ることができるのはもちろんのこと、バーナム効果以外のいろいろな心理効果も知ることができます。

日常生活における具体例が紹介されていて非常にわかりやすいのと、日常生活には本当にたくさんの心理効果が影響しているかを知ることができるというところがおすすめポイントです。

バーナム効果が仕事や恋愛にも活用していけることを紹介しましたが、心理効果を活用するというのは、相手をだましているようで悪い印象を持つ人もいるかもしれませんし、自分が使われるかもしれないと思うと怖いと思った人もいるでしょう。

たしかに、バーナム効果は相手を騙してやろうとか手玉にとってやろうという気持ちがあると使い方によっては悪用することも可能ではあります。

しかし、バーナム効果は使い方によっては自分だけではなく周囲の人も良い気分にさせたり幸せにすることも可能です。

バーナム効果を活かそうと考える人は、バーナム効果はそれだけ周囲に影響を与えるものだということを理解した上で、自分やみんなが幸せな気分になれるように活用していくと良いでしょう。

バーナム効果についていろいろと紹介しましたが、バーナム効果について知っておくことで、恋愛や仕事にも活用していくことができますし、バーナム効果を活用している人に対しての対応力も身につけることができます。

また、バーナム効果を積極的に活用したいとは思わない人でも、このような心理効果があるということを知っておくだけで、物事の捉え方や考え方に幅ができて視野が広がっていくことが期待することができるので、知っておくと良いでしょう。