ゆとり世代はいつから?定義の年齢や年代とは?ゆとり教育世代の特徴
ゆとり世代という言葉をよく耳にしますが、ゆとり世代にあたる年齢が何歳かご存じでしょうか。また、ゆとり世代とはどのような年代のことをさすのでしょうか。今回はゆとり世代の定義や年齢、仕事ぶりについて調べてみました。これを読んでゆとり世代とは何かを理解しましょう。
目次
ゆとり世代はいつから?
「ゆとり世代」という言葉を知らない人はいないと思います。それ程世間から注目されている「ゆとり世代」ですが、ゆとり世代がいつからいつまでの期間をさしているかご存じでしょうか。また、その定義はなんでしょうか。
みんなが知っている言葉だからこそ、その年代や特徴について理解しておく必要があります。
ゆとり世代は社会人になり、仕事で活躍している人も多くなりました。いつからの年代をゆとり世代と定義されているのかを知っておけば、仕事もプライベートもやりやすくなるはずです。
ゆとり世代の定義
ゆとり世代とはいつからの年代のことをさすのでしょうか。それは、2002年から2011年までの期間で改正された学習指導要領、いわゆる「ゆとり教育」で学校教育を受けてきた世代、と一般的には定義づけられています。
その「ゆとり教育」は小中学校では2002(平成14)年度から、高等学校では2003(平成15)年度から導入されています。
単純計算すると、1987(昭和62)年4月2日生まれから、2004(平成16)年4月1日生まれの人たちが「ゆとり世代」と定義されます。
ゆとり世代の年齢や年代と期間
ゆとり世代とは、具体的にいつからいつまでの期間の年代があてはまるのでしょうか。その定義をご存じでしょうか。
ゆとり世代の定義は、2002年から2010年までの8年間の期間で実施された「ゆとり教育」方策で学校教育を受けてきた世代のことをさします。その中でもバブル崩壊後の1990年代生まれは「さとり世代」と呼ばれ、ゆとり世代とは違った特徴があります。
ゆとり世代の年齢は現在14歳から31歳くらいまでです。また、ゆとり世代は大きく分けて3つの世代に分けることができます。ここでは、それぞれの年齢と特徴を説明します。
ゆとり第一世代(期間:1987年~1989年度生まれ)
ゆとり第一世代とよばれる年代が具体的にいつからの人をさすかと言うと、中学在校中に「ゆとり教育」が取り入れられた年代になります。年齢で言うと、30歳前後の人をさします。
時代背景としては、バブル景気中に生まれるものの大学在学期間中にリーマンショックが起こり就職氷河期に突入しています。
「ゆとり教育」を受けた年代ではありますが、このような時代背景から屈強にもめげない人も多いようです。
ゆとり・さとり世代(期間:1989年~1995年度生まれ)
この年代はバブル崩壊後から不景気期間の中で生まれ育った年代になります。
小学校の時代から「ゆとり教育」が実施され、完全週5日制で育っています。そのため、学力低下が目に見えてきた年代でもあります。
幼い頃からインターネットがある環境で育っているため、何をするにもGoogleなどで検索する年代です。
脱ゆとり世代(期間:1996年~2003年度生まれ)
いつからか「ゆとり教育」への不信感が叫ばれ始め、小学校から中学校の期間に「ゆとり教育」から「脱ゆとり教育」に変換された年代です。ゆとり世代の中でもいちばん若い年齢の人たちです。
しかし、「ゆとり教育」の「生きる力をはぐくむ」という教育方針を引き続いているため、通知表の評価は絶対評価のままであり、競争意識はあまり高くありません。
ゆとり世代の教育の特徴
以前の日本は「詰め込み教育」が行われていました。「詰め込み教育」とは、義務教育の期間でたくさんの知識をひたすら頭の中に叩き込む事に力をおいた教育のことを言います。
しかし、いつからか「詰め込み教育」のように知識を習得するだけではなく考える力を身に着けることが必要だという観点に変わり、実際に1980年度以降に数回にわたって教育カリキュラムが見直され、学習時間を減らしてゆとりを持たせるような学習指導要領の改訂が行われました。
ここでは、具体的な「ゆとり教育」の教育の特徴について調べてみました。
勉強するカリキュラムを選択できる
ゆとり教育では生徒がただ黙々と学校から与えられた勉強をこなすのではなく、生徒自身が受けたい科目を選択するようになりました。いわゆる選択科目という教科です。
これにより、生徒の学習意欲をあげ、学習効率、学習の質を向上させようという目的で始めた取り組みでした。
そのため、ゆとり教育世代の年齢の人たちは、それ以前の年代と比べると、受講していない科目があるというのが現状です。
学習レベルを選択できる
先ほどの「カリキュラムを選択できる」とは、教科そのものを選択することでした。例えば、音楽か美術を選択しどちらか一方のみを受講する、などです。
一方で、生徒の学習レベルに合わせて授業の内容のレベルも選択できるようになりました。数学が得意な生徒は数学Ⅲ・Cまで学習するが、現代文はAのみとする、などです。
これにより、個々の生徒のレベルに合わせた学習機会を与えようとしたのがゆとり教育の特徴です。
総合学習の時間が設けられた
総合学習とは、学校ごとや学年ごとに独自の教育カリキュラムを組むことで、従来のような画一的な教育ではなくバラエティに富んだカリキュラムの時間のことを言います。
老人ホームや保育園などでのボランティア活動をさせたり、農業などの体験学習を組んだりと、学校によって多くの試みがなされることがこのゆとり教育の目的でした。
しかし、実際にはこの総合学習の時間は英語などの既存のカリキュラムにあてていた学校が多かったようです。
問題解決力を伸ばすカリキュラムが設けられた
先に述べた通り、ゆとり教育の目的は「考える力を身に着ける」ことです。それを実現するためにもうけられたのが問題解決力を伸ばすカリキュラムです。
問題解決力を養うと言っても単にプレゼンテーションやディスカッションだけではなく、生物観察や化学の実験などを通して、問題を解決するためのプロセスを考える力を必要とする学習を指します。
完全週休二日制の導入
ゆとり教育が導入される前は日曜日のみが休日であり、土曜日は学校に通っていました。しかし、ゆとり教育では、完全週休二日制が導入されます。
これは、学校教育以外の場で生徒が自主的に学習する機会を設けることがねらいでした。
実際のところ、ゆとり教育より上の年齢の人たちとは大きく学習時間に差ができてしまい、それが学力低下につながったと考える人もいます。
ゆとり教育を受けた年代の人の特徴
さとり世代は成長期に不景気という時代背景が加わり安定志向にある傾向がありますが、ゆとり世代、さとり世代ともに、ゆとり教育を受けてきた年代の人には共通した特徴があります。
ここではゆとり教育を受けた年代の人の特徴をご紹介していきます。
コミュニケーション力がない
ゆとり世代は生まれた頃から身近にインターネットが普及されている環境で育ちました。そのため、自分の考えを伝えたり友達とやり取りをする時は、SNSを通して行うことが当たり前となっています。
そのため、メールやSNSでコミュニケーションを取ることは得意ですが、面と向き合って会話をすることは苦手です。
SNSやメールなど、相手の会話内容を文字で確認した上で自分の返答を考えて伝えることはできますが、直接的な会話が不得意なのが特徴です。
SNSやメールで全ての連絡をすます
また、電話を嫌がるという特徴もあります。
小さい頃から自分専用の携帯電話を持っていたためか、電話に出ても自分宛とは限らないと言う理由で出ないゆとり世代も多いようです。
かけてきた相手が誰なのかが分からないから怖い、と思う人もいます。
あまりお金を使わない
ゆとり世代の年齢の人たちは、バブル崩壊やリーマンショックなどの時代背景からか、お金を使うことに抵抗感があるようです。
また、この特徴が安定したお給料をもらえる公務員が人気の職業にあがるなど、安定志向の発想にもつながっています。
競争意識が低くプライベートを重視する
仕事が残っていたり、上司や先輩からの飲みの誘いがあったとしてもプライベートを優先してきっぱり断るのがゆとり世代です。プライベートな時間は自分のもの、という気持ちが強いのがゆとり世代の特徴と言えるでしょう。
また、この世代の人たちは「ゆとり教育」によって個を大切にして育てられてきたため、「自分は自分、他人は他人」という意識が強く、他人と比較することに価値を置きません。
そのことが上の世代からは「競争意識が低い」と見られてしまう要因のようです。
打たれ弱い
「ゆとり教育」は「ほめて育てる」という教育方針であり、学校でも家庭内でもあまり怒られずに育ってきたのがゆとり世代です。
そのため、他人から怒られたり注意されることに慣れていません。少しでも注意されるとストレスに感じてしまいます。
また、この年齢の人たちは失敗することを恐れる傾向にあります。そのため、少しでも失敗すると精神的に大きなダメージを受けてしまいがちです。
ゆとり教育を受けた年代が仕事ができないと言われる理由
いつからか、メディアなどではゆとり世代の年齢の人たちを「仕事ができない世代」と定義づけられてきました。
なぜそのように思われてしまうのでしょうか。
ゆとり教育を受けた年代が仕事ができないと言われる理由は大きく分けて4つあるので、ご紹介します。
積極性がなく指示待ち
仕事に対して積極的に自ら動くタイプではなく、マニュアルに記載されていたり指示されたことのみ対応するのがゆとり世代に生まれた人の仕事に対するスタンスです。
仕事に対して受け身で、指示がなければ動きません。
また、コミュニケーション能力が低いため何かしら思うことがあってもそれを口に出したりできません。そういった特徴が、積極性がないと思われることにもつながっています。
自力で考えずにネットに頼る
「考える力を身に着ける」ことが目的だったゆとり教育ですが、インターネット普及時代という時代背景からか、分からないことがあるとすぐにネットで調べて解決しようとするのがこの年齢の人たちの特徴です。
すぐに答えを欲しがる傾向にあり、自分で答えを導き出すことをしません。
そのような特徴から、問題が発生した場合はすぐに上司や先輩に解決策を聞きに来るなど、自ら率先して問題解決に取り組む姿勢が見られないと言われています。
応用力がなく臨機応変に対応できない
先に述べたふたつの特徴とつながりますが、ゆとり世代の年齢の人たちはマニュアルに記載されている内容以上のことができないため、マニュアルに記載されていないことが発生すると対処することが出来ません。
また、自分で答えを導き出そうとする姿勢がなく、少しでも想定と異なることが発生すると自ら解決せずに指導をあおぐ傾向にあるため、その特徴が他者からは臨機応変に対応できないと見られてしまっています。
すぐ辞める
先ほども述べたように「ゆとり教育」は「ほめて育てる」という教育方針のため、ゆとり世代は他人からあまり注意されずに育ってきました。
そのため、仕事においても上司や先輩から注意されてり、少しでも怒られると、非常にストレスに感じてしまいます。
また、そもそも物欲や出世欲などもあまりなく、今は売り手市場ですぐに転職ができる時代のため、居心地に悪さを感じると仕事を投げ出し退職という道を選択します。
ゆとり教育世代とさとり教育世代の違い
ゆとり教育世代の中でも、さとり教育世代とよばれている人たちがいます。
さとり世代がいつからの年代のことを指すかと言うと、1989年~1995年度生まれの人たちです。
ゆとり世代とさとり世代にはほとんど大差はないと言われていますが、不況という時代背景が重なって多少の差があるのも事実です。今回はさとり世代の年齢の人に対して、ゆとり世代と比較した時の違いについて説明していきます。
派手な暮らしに興味がない
不況時代に生まれ育ったのが、さとり世代の年齢の人たちです。そのため、お金の使い方には非常にシビアな傾向にあります。
物欲があまりなく、車やブランド品などにも興味がありません。また、お酒を含む飲食にもお金をかけない人が少なくありません。
高望みしない
ゆとり世代はのびのびと自由奔放に育っているのに対し、さとり世代の年齢の人たちは安定および堅実志向です。
会社の倒産などを目の当たりにしてきた世代のため、高望みせずに着実な人生を歩むことを選ぶ傾向にあります。
恋愛含め人付き合いが淡泊
SNSが普及した背景からか、他人とのトラブルに敏感に反応してしまうのがさとり世代です。トラブルになるくらいならあまり関わりたくないという気持ちからか、他人との関係性が浅くなりがちです。
そういう背景もあり、恋愛に対しても淡泊になってしまうようです。中には恋愛自体にまったく興味がない人もいるようです。
IT系に強い
生まれた時から身近にパソコンやインターネットがある環境で育ってきているため、基本的にIT系が得意とされています。
実際、学校でもパソコンの授業があった人も多いようです。
ゆとり教育世代への上手な接し方
ここまでゆとり世代の特徴をご紹介してきましたが、「ゆとり教育」という特殊な教育下で育ってきた彼らと、どのように付き合っていけば良いのでしょうか。
次に、ゆとり世代と上手く関わっていくためのノウハウをお教えします。
指示出しを明確にする
先ほどもお話した通り、ゆとり世代は「指示を待って動く」という特徴があります。自ら率先して行動をおこすようなことはしないため、まず指示をするようにしましょう。
また、指示された通りのことしかできないので、指示をする時は細かく丁寧にすることがポイントです。
言われたことはしっかりこなせるのがゆとり世代なので、彼らの仕事の力量は支持する側にかかっていることを忘れないようにしてください。
注意をする時は気持ちを最大限配慮をする
ゆとり世代はストレス耐性が低く、注意されることに慣れていません。そのため、従来通りの注意の仕方をすると精神的に病んでしまったり、辞めてしまう恐れがあります。
注意をする時は、周りに誰もいない環境でゆっくりと優しい口調で話すように心がけてください。また、高圧的な態度はゆとり世代の前では絶対にしてはいけません。
また、注意するゆとり世代の状況や気持ちを汲み取った上で、余計なことは言わずに今回注意すべきポイントのみを話すことが大切です。
ほめて伸ばす
個性を伸ばすという定義で導入されたのがゆとり教育です。そのため、ゆとり世代は個性や個々人のこだわりが強い人が多い年齢でもあります。
また、先述した通り、ゆとり世代の年齢の人たちは注意されることに慣れていません。むしろ、それは個性だとほめられてきた可能性もあります。
そのため、従来通りミスを減らして欠点を克服するという教育ではなく、例え見ミスをしても良かった点を認めた上で指導するなど、肯定的な教育をするとやる気が出て伸びるはずです。
ゆとり世代の前後の世代
何かと他の世代と比較されがちなゆとり世代。
そんなゆとり世代ともっとも比較されてしまうのは、その上の世代です。
最後に、ゆとり世代の上の世代であるバブル世代と氷河期世代についてご紹介します。
ポスト団塊の世代(期間:1975年~1981年)
ポスト団塊ジュニアや真性団塊ジュニアとも呼ばれた世代がこの世代の人たちです。ゆとり世代のふたつ上の世代になります。
インターネットや携帯電話が学生時代に出現し、大学進学率が急増するのですが、それと同時に就職氷河期の被害を最も受けた世代でもあります。
また、この世代から仕事を義務と捉えず、やりたいことややる意味のあることを優先するようになったと言われています。
ミニマムライフ世代(期間:1982年~1987年度生まれ)
ゆとり世代のひとつ前の世代がミニマムライフ世代です。ミニマムライフ世代とは、小学校の時にバブルが崩壊し、大学卒業時に就職氷河期を経験している年代です。そのため、リスクに対して敏感で危機感を大きく持っているのが特徴です。
ポスト団塊の世代の就職氷河期という時代背景を目の当たりにし、非正規社員など縛られない自由な生活を好みます。
また、消費をできるだけ抑え不必要な物を極力持たないなど、ゆとり世代と共通している特徴もあります。
ゆとり世代の特徴を理解し寄り添う
ここでは「ゆとり教育」が実施された期間に生まれ育ったゆとり世代の特徴や仕事ぶりについてご紹介しました。
失敗することを恐れ、積極性がなく、メンタルが弱いというネガティブな側面ばかりにフォーカスが当てられがちなゆとり世代ですが、その特徴を生かせば仕事においても成果を出すことが可能です。
いつからか働く世代の中心はゆとり世代へと変わっていきます。そのためにも、ゆとり世代の定義ばかりにとらわれず、1人1人と向き合って接するように心がけましょう。