人格否定の意味とは？人格を否定する言葉やパワハラなどの発言の例

皆さんは人格を否定する言葉を言われた事はされたことはありますか？例えば、学校で宿題を忘れて先生に「また忘れたのか？お前はボンヤリしているからダメなんだ。」と言われる。この場合は「ボンヤリしている」と生徒の性質を否定しています。

また、ある議員が「LGBT（同性愛、両性愛、身体と心の性が一致しない人々を指す言葉）は生産性がない」と発言をして批判されていました。個人に向けてではないですが、LGBT個人を蔑視する発言と捉えれば広い意味で人格を否定する言葉になります。

では、社内で上司に「君！この商品の販売方法じゃ売り上げが落ちるじゃないか。もっと工夫してやってもらわないと困るよ！」と言われたらどうでしょうか。「もっと言い方があるだろう！」と腹は立ちますが、この場合は人格否定とは言えないかもしれません。

日本人は欧米人に比べると議論を避ける特徴があります。以心伝心という言葉もあるように最後まで言わなくても察してほしい、空気を読んでほしいと思うのです。日本人は和を重んじる特徴があるので場の雰囲気が悪くなるのを何よりも嫌います。

前述の上司も言葉だけ見れば仕事のやり方を注意しているだけなので人格否定にはあたらないでしょう。でも、怒りを含んだストレートな物言いには腹が立つでしょうし「お前は能なしと言われた」と自己翻訳する社員もいるかもしれません。

このようなケースは普段の二人の間柄も関係するので判断は難しいです。いずれにしても、日本人は相手にストレートな物言いをすると人格否定と取られかねないと考えるので、慎重に言葉を選ぶ人が多いようです。

では、人格否定かそうでないかの境目はどこにあるのでしょうか？会社の上司と部下を例にあげて人格否定に当たるのかそうでないのかを見てみましょう！

□　おい！また遅刻か！お客からクレームが来てるぞ！今から謝ってこい！
□　また遅刻？だらしのない性格ね。あなたこの仕事向いていないんじゃない？

上の言葉は感情的に怒っていますし、謝ってこい！と命令しています。しかし、怒ってはいるものの、事実だけを伝えお客さんのために上司としてやるべきことを指示しているだけです。従って、人格否定には当たらないでしょう。

下の言葉は事実を伝えるだけでなく相手の事を「だらしのない性格」「この仕事向いていないんじゃない？」と、相手の性質を否定しています。このような物言いは人格を否定していることになります。

□　今期の売り上げは最低になってしまったぞ？明日までに原因を考えてこい！
□　お前は何の役にも立たないな。今日は帰らずに残業しろ！

上の言葉は感情的に怒っていますし、命令もしています。でも、この場合も売り上げが最低になったと事実を伝え、今後の課題を見つけるように指示しているだけです。この場合は人格否定にはあたりません。

下の言葉は「お前は何の役にも立たない」と相手の存在そのものを否定しています。これは人格否定です。更に帰らずに残業しろ！とパワハラ発言をしています。パワハラとは職権を利用して相手に不当な仕事をさせる事です。

いかがでしたか？上の例のように、たとえ感情的になっていなくても人格否定になってしまうケースがあるのです。では、そもそも人格否定の意味とは何なのでしょうか。

人格否定とは、読んで字のごとく「人格」を否定することです。人格とは何かというと、「個人としての人間性」「個人としての在り方」を指します。

これだけでは漠然としているので具体的に言うと個人の性格、性質、価値観、趣味、趣向、生き方、考え方、物の捉え方、などを指します。「その人固有の在り方、特色」を否定するような発言をするのが「人格否定」に当たります。

では、人格を否定する人の特徴としてはどういった傾向があるでしょうか。会社の上司、恋人、夫、学校の先生など社会生活の中でそういった人たちと接する機会は度々あるでしょう。

自分自身も知らない間に相手の人格を否定しているかもしれません。また、「ついカッとなって相手を傷つける言い方をしてしまった」と言う経験も誰でもあるでしょう。

でも、世の中には確信犯的に悪意を持って人格否定する人や、悪意はあまりないけれど相手を思いやれない自己中心的な性格で相手を傷つける言葉を言う人もいます。そういった人の特徴を見てまいりましょう。

人格を否定する人は、人との付き合いで優劣を付けたがる特徴があります。相手より自分の方が優れている、能力があると思うと途端に人格否定発言をして優位に立とうとするのです。

マウンティングという言葉も流行しましたが猿山のボスのごとく人々の上に立たなければ気が済まない特徴を持つ人もいるのです。マウンティングの方法は男性と女性で少し違っています。

女性の特徴としては、あからさまに人格否定発言はせず、夫の年収を会話の中でサラっと言ったり、ブランド品をチラつかせるなどで優位に立とうとします。男性は堂々と人格を否定する言葉を言います。相手を徹底的にやり込める人が多いようです。

自分に自信がない人や上司も人格を否定する発言をします。自信がある人は相手の人格を否定しなくても議論で勝負が出来ます。

しかし、自信がない人や自信のない上司はまともに議論しても負けてしまうと分かっているので、わざと相手の痛いところ弱みを突いてギャフンと言わせようと思うのです。

人格否定発言をする人の特徴はストレス発散が下手なことです。生きていればストレスから逃れる事は出来ません。しかし、健全な性格の人は山登りに行ったり、カラオケで歌ったり、友達と飲みに行くなどでストレス発散をします。

しかし、人格否定をするような人は、他人をこき下ろす事を言わないとストレス発散が出来ないのです。このような特徴のある人は趣味がない人や仕事が全てと言う人に多いです。あなたの会社にもそんな上司はいませんか？

人格を否定する発言をすると相手を服従させた気になります。そうやって人を支配下に置くことで一時的に満たされた気になるのです。

自分の非を認めない人っていますよね？そういう人も実は自分に自信がない人です。自分に自信がない人は非を認めてしまうと自己が保てなくなってしまうほど弱いのです。弱い自分を潜在的に分かっているので、必要以上に尊大に振舞います。

他人のせいにする弱い人は、相手に辻褄の合う意見が言えません。従って「俺はこんなやり方はしない。お前がだらしがないから悪いんだ」と相手の非を突くことで相手に勝とうとするのです。

余計なお世話をしたがる特徴がある人も、人格否定発言をしてしまう人です。なぜ、人格否定発言をするのかというと、相手の性格を治したいと思ってしまうからです。親や学校の先生、会社の上司にこの様な人が多くいます。

親や先生や上司自身は人格を否定する発言をしているつもりはないのも特徴です。例えば、子供に「あんたノロマなんだから早起きしなさい」生徒に「臆病な性格を治さないと友達出来ないぞ」などと言います。悪意はなく軽い気持ちで言っていることが多いです。

おせっかい上司は部下に対して「あなたファッションセンス直したほうがいいわよ」などと個人の趣向にまで口を出します。これも相手にしてみれば余計なおせっかいですが言った方はあまり悪気はありません。

人格を否定する人の特徴について説明してきました。あなたの周りにもそのような特徴を持つ上司はいましたか？次は人格を否定する言葉や発言の例【職場の上司編】です。

先日、韓国IT企業会長の元社員への暴力場面が放送されていました。他の社員は見て見ぬふりをしました。きっと怖くて止める事も出来なかったのですね。部下は上司に逆らえないので洗脳される傾向があります。自分が全て悪いと思ってしまうのです。

もし、人格否定だと感じたら我慢せずに同僚や弁護士に相談して客観的な意見を聞いてみるといいでしょう。ちなみに、パワハラは言葉として発せられるものだけでなく、無理な残業を強いたり社員を無視する事も含まれます。

ノルマが達成できない部下に向かってこのような言い方をする上司はいませんか？今は、パワハラの規定が厳しくなったので、この様にあからさまな言葉を投げつける上司は減りました。

しかし、パワハラ規定がしっかり浸透しているのは大企業だけです。中小企業には未だにこのような人格否定発言をする上司がいます。

似た言葉としては「低能な奴はしょうがないね」「頭悪いの？」「お前は会社に迷惑ばかりかけている」などがあります。他には「〇〇は、ちゃんとできているのになぜお前は出来ないの？」と人と比べて侮辱するのも人格否定に当たります。

性格が暗い、大人しいなど元々の個性について「陰気」だと決めつける発言も人格否定になります。他にも体型の事を揶揄するなど身体的な欠点をつつくのも人格否定です。

また、病気や介護や子育てで早く帰ろうとする社員に「結果出さずによく早く帰れるな」と、ネチネチ嫌がらせを言う上司もいます。これはパワハラに当たりますが人格否定でもあります。一人の人間としての生活そのものを否定していることになるからです。

これも意外によくある人格を否定する言葉です。例えば、「お茶もちゃんと入れられないの？」と女性社員に言う、若手社員に「こんな常識も知らないの？」などと言うことも人格否定になります。

この言葉の何が問題かというと、自分の常識だけで相手を見下す発言をしているからです。個々の生育歴や経験が違う中で出来る事、出来ない事があるのは当たり前です。その違いを理解せずに自分の価値観を押し付け侮辱するのがダメなのです。

もちろん、お互いの関係性によって人格否定と取られるか、会話のエッセンスとして捉えてもらえるかは変わってきます。何でもかんでも人格否定だ！となるわけではありません。しかし、職場でこの言葉を使うのは注意した方が良さそうです。

人格を否定する言葉は恋人どうしでも使われる事があります。特に男性は女性を支配したいという気持ちが強いので人格否定と取られかねない発言は多数あります。

そんな彼氏の発言を多めに見てあげられるなら良いですが、我慢できないようなら別れた方がいいかもしれません。侮辱されることに慣れてしまうと自分が蔑まれていることに気づかず自尊心をなくします。その結果、歌声を忘れた鳥のようになります。

意外に多いのが自分好みの女性になってほしいという言葉。痩せている方が良い、ふくよかな方が良い、など好みの差はありますが個性ともいえる体型の事を平気で言う彼氏には要注意です。

体型だけではありません。「一緒にいても面白くないんだよね」など個々の性格や性質のことをあげつらうような言い方も人格の否定です。彼氏が面白くなるよう工夫してもいいはずですが女性だけに非があるような言い方をするのも特徴です。

他には「〇〇ちゃんみたいに気が利く人がいいな」など、別の女性と比べるようなことを言って否定する彼氏もいます。「おふくろの料理の方がおいしい」と言うのもあなたの料理を否定していることになります。

デートではお茶をしたり食事をすることも多いですが、こんな言い方をする男性も多いようです。他の人格否定言葉としては「女性なのに肉食なの？野蛮だね」「大食いだね」「髪を毎日洗わないの？臭くなりそう」などがあります。

食やお風呂の習慣、掃除などについては個々の家族のやり方があります。そこを見下したり侮辱するのは、彼女の今までの生活そのものを否定することになります。どうしても治してほしい部分は慎重に言わなくてはいけません。

例えば、「汚いね」と批判するのではなく「こうやって食べるといいんじゃない？」とアドバイスをすれば角が立ちません。

女性を支配したい気持ちが強い男性にありがちな人格否定発言です。似たような言葉としては「女性の癖に偉そうな言い方するなよ」「もっと謙虚な物言いをすれば？」「お前は意見を言わなくてもいいよ」「俺の話は黙って聞いていればいい」などがあります。

このような彼氏は人格を否定するどころか女性に人格なんてあるの？ぐらいに思っています。往々にして彼氏の家も女性蔑視であることが多く、大抵は自己中心的なまま甘やかして育てられた男性が多いようです。

このような男性は自信家で女性をぐいぐい引っ張ってくれる事があります。そのため、自信のない女性ほど「頼もしいわ～」とついていってしまう傾向があります。しかし、エスコートしてくれるのは恋人関係の時だけです。結婚したら苦労するでしょう。

次は人格否定する言葉と発言【夫編】です。恋人関係のうちに相手の性格を見抜くことが出来れば、さっさと別れればいいのです。しかし、結婚してから気づいた場合はすぐに別れる事も出来ないし大変ですね。

夫に人格否定をされ続けたまま何年も結婚生活をしている人は尽くすタイプの人や経済力がない人が多いようです。ひと昔前は我慢するのが当たり前でしたが今は熟年離婚に踏み切る女性も増えています。人格否定夫は気を付けないと離婚されてしまいますよ。

妻の家族を全否定する夫の言葉に傷つく女性は多いようです。婚約中から結納金が少ないだの、お礼の仕方も知らないだの、妻の家族をバカにしまくる夫も未だにいるようです。往々にして夫の両親も似たような性格であることが多いです。

夫婦は元は他人です。それに対してそれぞれの家族は長い間生活を共にしてきた背景があります。それほど仲良し家族ではなくても、相手の家族を否定するのは妻（夫）自身を否定することになるので注意が必要です。

これもありがちな人格否定発言です。自分は優秀なのに妻に似たから能力がない子供になったと言いたいのでしょう。これも子供を通して妻の能力を否定している言葉です。

不思議な事に子供はお互いの悪いところが似るようです。夫婦で対等に「悪いところが似ているね」と冗談を言うぐらいなら問題ないのですが、一方的な物言いをする夫は要注意です。

例えば、妻が夫の両親の介護でうつ病になってしまったとします。普通の夫婦なら妻に負担をかけ過ぎたと思って協力的になるものですが人格を否定するパワハラ夫はうつ病とは認めません。

本人の気力ではどうにもならない病をサボっている、と決めつけて非難する、これも立派な格否定です。

最後にパワハラ・モラハラへの対処法をお伝えします。パワハラはパワーハラスメントの略です。意味は職場の権限を使って無理な残業を強いたりすることです。

モラハラとはモラルハラスメントの略です。陰湿なイジメなどがこれに当たります。身体的な暴力はしないものの、相手の人格を否定し貶めるような物言いをして精神的に疲弊させます。職場ではパワハラ、家庭ではモラハラが多いでしょう。

パワハラ、モラハラをされている本人は相手の言葉によって自信を失ってしまうので反論できない事が多いようです。そういう時は、まず相手に今の気持ちを伝えてみましょう。

「そのような言い方をされるととても傷つきます」「今とても悲しい気持ちです」「とても辛いです」「治そうと思っても治らないんです」「どうすればいいのか私に分かるように教えてくれませんか？」

パワハラやモラハラ上司は自分の非を認めない性格です。従って、批判をしても受け入れないでしょう。それよりも「辛いです」と感情に訴える方が効果があります。又は、どうすればいいのか教えてほしい、とアドバイスを求めるのも有効です。

上記の方法で反省してくれる上司であれば、それほど悪い人ではないかもしれません。しかし、気持ちを伝えても態度を変えない場合は分かってもらうのは諦めましょう。辞める覚悟でしっかり意見を言った方がいいでしょう。

「その発言は人格を否定していることになります」「パワハラで訴えます」「〇〇さんにも相談しましたが、やはりあなたのしていることはパワハラに当たります」など相手のしていることは違法であるとハッキリ伝えるのです。

部下は「自分に能力がないからダメなのだ」と思いがちです。しかし、謙虚になりすぎるのもいけません。自分を守れるのは自分だけなのです。

上司にハッキリ意見を言う覚悟が出来たら、社内で根回しをします。具体的には同僚や同じ職場の先輩、パワハラ対策室、産業医、産業看護師などに相談に行って味方を作りましょう。

その際には必ず証拠が残るようにパワハラ上司に言われた内容や日時、状況などを記録しておきます。

味方を作る時は、自分を裏切ってパワハラ上司に進言する人に注意しましょう。会社に残りたい人、巻き添えを食いたくない人はあなたより上司側につくでしょう。慎重に信頼できる人を選び今の状況を伝えましょう。

社内で味方を作ってもどうにもならない時は社外に相談するしかありません。不当な解雇、給料の未払い、パワハラにより精神的身体的なダメージを受け通院中、などの場合は泣き寝入りはしたくないでしょう。

自分が会社を辞めて気持ちも新たに出直せるのであれば、何もしなくても構いません。しかし、たった一人のパワハラ上司のために社会人としての道が閉ざされる人は予想以上に多いのです。

今はパワハラの概念が浸透し、あからさまに人格否定発言をする上司は減っているようです。でも、かえって陰湿になっているケースもあるので厄介です。そうした上司と戦うのは労力が入りますが良い弁護士がいたら頑張るのもいいかもしれません。

人格否定の意味、人格を否定する言葉や具体的な発言の例を見てきました。人格否定となる発言には相手の受け止め方や、相手との関係性によって変わる場合があるので線引きが難しいことも多いです。

もし、ご自分が会社や家庭や友達付き合いの中で人格を否定されたと思ったら、その場で「そういう言い方をするのはやめてほしい」と率直に言うのが一番の対処法になります。

相手が何を感じているのかについては、お互いに気持ちを伝えあわないと分からない事も多いものです。お互いの立場を思いやりながら自分の気持ちを伝える努力も必要かもしれません。