下世話の意味や類語とは？下世話な話などの使い方も紹介

一社会人として、きちんとした言葉遣いを出来る人の方が、しっかりしていて良い印象を持たれます。間違った言葉遣いで会話をしていると、恥ずかしい思いをすることもあるでしょう。今回は【下世話】という言葉に重点を置き、類語や対義語、例文等をご紹介します。

実はこの下世話という言葉、誤用している人が多くいるんです。あなたもそのひとりかもしれません。普段の会話で当たり前のように使っていた人も、もしかしたら間違った使い方をしていた可能性があります。

漢字のイメージからも、一見『下ネタの話』や『下品で低俗な話』のことなのかなと思われがちです。しかし、そのような意味だと思っているあなたは、間違って下世話という言葉を使っていることになります。言葉の使い方を知らない恥ずかしい人だと思われる前に、【下世話】の正しい使い方を覚えておきましょう。

あなたは普段【下世話】という言葉を、どのように使って会話をしていますか？『下世話な人』というとどのようなイメージを持ちますか？下品な下ネタを話す人、と嫌なイメージをする人も多くいるでしょう。ですが、下世話な人とは低俗な人を意味する言葉ではないのです。

何気なく日常で使っているかもしれませんが、その使い方は間違っているかもしれません。これから下世話の正しい意味を説明いたします。今まで間違った使い方をしていた人も、その意味を理解して認識しておきましょう。

【下世話】とは、『世間一般的な話』や『よく言う話』、『巷(ちまた)の噂』、『俗にいう話』といった意味があります。下世話の『下』は、昔でいう平民のことを指す言葉です。そこから普通の庶民がよく言う話、という意味になったのです。

決して程度の低い下ネタ話や悪い意味の言葉ではなく、『よくある、ありふれた話をする時』に使う言葉です。本来の意味を知らなかった人も多くいることでしょう。否定的な言葉ではないのです。

『下』という漢字から、下品な話や下ネタの話を連想させる人が多くいます。しかしそれは間違った意味であり、本来は上記のような世間一般の話を指すのです。

また、『噂好きな人の話』や『聞きづらい事柄の話』という意味の使い方が正しい、と思っている人もいます。しかし、それらも間違った使い方なのです。決して周りの目を気にする様な話、といった意味の言葉ではありません。

よく噂好きだったり、聞いてほしくないことまで詮索していろいろと聞いてくる人のことを、『下世話な人』と言いますがそれは間違った使い方です。お分かりかと思いますが下世話の本来の意味は、一般的なという意味になります。『下世話な人』の正しい使い方は後ほどご説明します。

なぜ『下世話』の意味が、間違ったまま私達に定着してしまったのでしょうか。その答えは、私たちのよくある会話の内容にあります。

普段の会話って、皆が綺麗な話しをしている訳ではありません。人の悪口で盛りあがったりすることもあることでしょう。中には余計なお世話だったり、下品な下ネタが飛び出すこともあるかもしれません。ありふれた会話の内容が、嫌な話しだったりすることが多くあるので、そこから勘違いが広まってしまったという説があります。

また、下世話を英訳する直接の言葉は無いのですが、「大衆的な話」を意味する『gossip（ゴシップ）』という言葉が近いものになります。ゴシップというと、芸能界やハリウッドセレブ、政界の黒い噂を想像しませんか？そこからも勘違いが生まれ、間違った意味が定着したのかもしれません。

そもそも正しい読み方が出来ていますか？読み方は、『下世話（げせわ）』です。（しもせわ）や（したぜわ）（げせばなし）ではありません。

（しもせわ）と読んで『介護の下（シモ）のお世話のことなのかな』と勘違いする人もいるかもしれません。読み方を間違えたまま相手と会話をすると、後から指摘されて恥ずかしい思いをすることもあります。これは覚えておきましょう。

『下世話』の類語は、主に以下のようなものがあります。類語なので似ている意味を指しますが、ニュアンスや意味合いが違います。これから4つの類語を説明します。その時々のシーンに合った使い方が出来ると、スマートな会話が出来るでしょう。

プライベートは下世話の類語に分類されます。自分自身の個人的な、プライバシーに関わるような話をする際に使用します。自分の家族や恋人、趣味の話をする時に用いることが多いです。

あまり親しくない人に近づきたい場合や、親密な関係になりたい時の意思表示でもあります。

こちらは、相手のプライベートな部分に一歩踏み込んだ会話をする時に使用します。「立ち入った話、彼女と結婚の予定は？」等と、普段は聞きづらいような内容を聞く時に使うことが多いです。

私生活のことを干渉してほしくない人は多くいます。「立ち入った話、独身なんですか？」「立ち入った話、おいくつですか？」など、使い方や話の内容によっては相手に嫌がられてしまうかもしれません。一歩踏み込む、ということはリスクも伴います。不快な思いをさせないよう注意して使いましょう。

『突っ込んだ話〜』とは物事の話をしている最中に、その事のもっと深いところを責める話をする時に使用する、下世話の類語にあたる言葉です。会社の会議で詳細まで決めたい時に、突っ込んだ話し合いをしたりします。

「おおまかな事は決まったけれど、もっと突っ込んだ話をして内容を充実させましょう」といった具合に、深く切り込んだ話をする時に使う言葉です。

よく家電量販店等で『ここだけの話、お安くしますよ』と言われ、大きな買い物をした方もいるでしょう。他の人には知られないように話をすることによって、私は特別安くしてもらっているんだ、という心理が働き購買意欲がかきたてられるのです。

しかし、日本で言う『ここだけの話〜』はここだけの話じゃない可能性が高いです。日本語の難しいところというか、いいところと言うべきなのか。あなたも上手く使って、自分の会話を有利に運んでください。でも色々なところでここだけの話をしていると、信頼を無くしかねないので気を付けましょう。

『深い話』も下世話の類語ですが、こちらの定義は人それぞれ異なる部分もあり、一言では言い表せません。主に人生においての話や、その人にとって大事な話を指すことが多いです。上っ面だけでなくしっかりと考えられていて信じられるもの、自分の生い立ちや将来のこと等多岐にわたります。

深い中にある信頼のおける相手とは、深い話ができることによって、より関係が深まることでしょう。

『下世話』の類語をご紹介しましたが、次に反対の意味にあたる対義語を4つご紹介します。『俗な』『一般的な庶民』と反対の意味と言われれば、想像が出来るかもしれません。

普通の庶民には手が出ないような、高い存在や物を指す言葉です。

庶民には近寄りがたく、上品で気高い様を表す言葉です。雅(みやび)やかなことを指します。一般的ではなく、格調高いもののことです。下世話は庶民的なことを指すので、高雅とは反対の意味になります。

「あの建物には、高雅な装飾が施されている」「あの人は昔から美しい、高雅な顔立ちだ」といった使い方をします。

こちらはよく使う言葉ですし、耳にすることも多いでしょう。服を上品に着こなしている人を「あの人の着こなしはとてもエレガントだ」等と表現します。スッキリと落ち着いていて、気品のある様子のことです。

【エレガンス】という言葉もありますが、こちらは中身や内面を意味する言葉です。おもてなしの心があり、丁寧で気配りの出来る人のことを『あの人にはエレガンスな一面がある』といったような表現をします。

『神聖な』という言葉をよく聞きますが、こちらはけがれが無く清浄で尊いことを指します。日常の事柄とは程遠い様な、特別な価値のある存在です。宗教や信仰の対象でもあり、信じれば心が洗われるような事や物、人物を指したりもします。

「ここのお寺は神聖な場所なので、大きな声を出したり走らないでください」「神聖な気持ちを持って祈りましょう」といった使い方をします。

良い家柄で気遣いも出来、才色兼備な女性のことを『高貴な女性』と表します。こちらも下世話とは程遠い存在です。上品で近寄り難（がた）い、値段の高い値打ちのあるもののことを指したりもします。こちらは『ノーブル』の同義語です。

「丘の上にある豪邸には、高貴な家柄の方が住んでいるのだろう」「このネックレスは高貴で輝かしい」といった使い方をします。

上記の通り、下世話とは下品な話でも低俗な話でもありません。正しく使うには「ただ単に一般的な話なのですが〜」「俗にいう普通の話ですが〜」というニュアンスを込めて使いましょう。決してマイナスな話ではなく、なんでもないようなことを話す時の、前置きの言葉として使用します。

これから『下世話』を使った例文を3つご紹介します。よければ参考にしてみて下さい。

1、今日もテレビでは、いつも通りの下世話なニュースが流れている。

2、下世話な質問ですが、この辺で美味しいお店はどこですか？

3、ここの出版社の雑誌は、下世話にも評判が良い。

といったように、普通の世間話をする時に使うのが正しい使い方なのです。このような使い方をしている人の方が、逆に少ないのかもしれません。

1、人の給料を聞いてくるなんて下世話な人だ。

2、下世話だけど、〜〜さんって課長と浮気してるらしいよ。

3、あれこれ詮索してくる下世話な人とは仲良くなりたくない。

こちらのような、間違った使い方をしている人も少なくないです。上記と似ている会話を、よく耳にする人もいることでしょう。『下世話な人』という使い方は誤用です。

下世話な人が、下品で下ネタ好きな人のことではないことは説明をしました。では、実際の『下世話な人』とはどんな人のことを指すのでしょうか。

本来の下世話な人とは、『世話焼きな人』のことを意味する言葉なのです。世話『好き』な人ではなく、世話『焼き』な人なので、少し余計なおせっかいという意味も含まれているのかもしれません。「隣の家の前まで掃除して、下世話な人ね」といったような会話が正しい使い方になります。

下世話の類語とも思われがちな、『下ネタ・下衆・野暮』という3つの言葉があります。それらの言葉との違いは何なのでしょうか。比べていきましょう。

もうお分かりかと思いますが『下世話』は一般的な、よくありふれた話を指す言葉です。『下ネタ』は性的な話だったり下品な内容も含まれます。よって、両者は全然意味の違う言葉なのです。

今まで下世話を、下ネタという意味で使っていた人も多くいるでしょう。下ネタばかり話す人のことを、『下世話な人だ』といっていたら、それは話の内容が変わってしまいます。間違えないように使い分けましょう。

『下衆の極み』なんて言葉が流行りましたが、下衆とは『身分が低く、下劣（げれつ）な様』の事を指します。人として最低な行動をとったり、これ以上ない程の品位にかけている人のことを『下衆な人』と言うのです。

こちらも下世話とは全く違う意味の言葉です。『下世話なこと』を話そうとしているのに、「下衆な話があって〜」と言ってしまうと、相手に低俗な品位のない話をするのかと思われてしまいます。気を付けましょう。

野暮とは、『疎くて周りの空気が読めず、聞いても無駄な様子』を指します。融通の利かない人のことを『あの人は野暮な人だ』と言ったりもします。

また、洗練されていないという意味もあるので『野暮ったい服を着ている』はいい意味ではありません。『野暮用が出来たからお先に』と席を立つ人がいますが、はこの野暮用とは大したことではない、つまらない用事のことを指します。

野暮の意味と下世話の『一般的な〜』という意味を比べると、違う意味を示しているのがお分かりでしょう。一見似ているように感じても類語ではないので、同じ意味として使わないようにして下さい。

下世話の正しい意味や類語、例文をご覧になって本当の意味を理解出来ましたか？今まで、下ネタ好きで下品な話をする人のことを『下世話な人』と思い、普段の会話に使っていた人も多くいたことでしょう。

今まで勘違いをしていた人は、下品や下ネタ、いやらしいといったイメージは捨てて下さい。ぜひ本来の意味で正しい会話をしましょう。悲しいことに現代の日本では、この『下世話』の様に誤用されている言葉が他にも多く存在します。

日本語は、細かい文法や言い回しが世界的にも難しいと言われているひとつです。その一方、難しい分奥が深く、細かいニュアンスや気持ちを伝えやすい言語でもあります。正しい言葉を使って、美しい日本語を話せる人を目指しましょう。