惰性の意味とは?惰性でなどの使い方を例文を用いて解説

よく聞く言葉の「惰性」とは、どんな意味でしょうか?皆さんは正しい使い方をしていますか?様々な場面で見聞きしますが、実は間違った使い方をしているかもしれません。そこで今回は「惰性」の意味とは、何か。正しい使い方、「惰性で」や「惰性的」などを解説します。

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目次

  1. 1「惰性」の正しい使い方を知ろう
  2. 2「惰性」の使い方
  3. 3「惰性」を活用するシーン
  4. 4「惰性」の類語表現
  5. 5「惰性」の対義語
  6. 6「惰性」の英語表現
  7. 7「惰性」を正しく理解して使いましょう

「惰性」の正しい使い方を知ろう

日常の会話や文章の中で「惰性」という言葉を使ったことがある人は多いと思います。しかし雰囲気では理解しているつもりでも、本当の意味や使い方をきちんと知っている人は少ないかも知れません。

「惰性」は抽象的で感覚的なニュアンスをもった言葉でもあるので、実際に使っていても効果的な表現になっていない場合もあります。間違った使い方をしてしまうと会話の中で誤認識を相手に与えてしまう危険性もあり、会話のすれ違いにもなる場合があります。

そこで今回は「惰性」の正しい使い方について例文も交えてご紹介します。「惰性」を正しく理解して、使いこなせるようになりましょう。

「惰性」の読み方

まずは「惰性」の読み方について解説します。

惰性とは、ひらがなで「だせい」と読みます。「惰」と「性」に分けた場合、常用漢字辞典によると「惰」は音読みでは「ダ、タ」と読み、訓読みの場合は「おこた(る)」と読みます。「性」は音読みでは「セイ、ショウ」と読み、訓読みでは「さが、たち」と読みます。

「惰性」の意味

「惰性」のもつ大きな意味は「だらだらと繋がってきた習慣や癖」「努力を要することなく、自然に従い取り組むこと」です。つまり、今まで特に気にせずとも継続的に続いてきた事柄や習慣を指しています。「惰性」の「惰」には、「だらける」または「おこたる」という意味があります。意図せずとも自然とそうなってしまったという状況も示します。

そして「惰性」の「性」は「さが」と読み、こちらには「生まれつきの性質」や「生まれ持った資質」などの意味があります。本人の性分を示すもので、無意識に行なっている行動や反応などを示しているものです。どちらかというと本能的なものであり、反射的にそうしてしまう行動や感情、思考なども含まれます。

「惰性」の使い方

「惰性」とは、「習慣や癖で行なってしまうもの」「そのままの勢いで自然とそうなってしまったもの」を意味しているので、一般的な使い方としては、人の内面や心理的なものを表現をしたい場合に当てはめます。

この言葉が表現しているものは、具体的には行動面と心理面、ふたつの要素があります。だらだらとした行動や態度・生活習慣など、何かしらの動作が伴うものがまずひとつ。もうひとつは、意識せずとも自然にそう思考してしまう癖や、「なまける」という言葉が表すような心理に心がかたむいてしまうことです。

「惰性」を使った例文

ここで「惰性」を使った例文をご紹介します。「惰性」はそれ単体でも意味をなす言葉ですが、接続するフレーズによって使い方が変わります。最も頻繁に使用される例でいえば「惰性で」や「惰性的」などが該当します。

まず「惰性で」の意味ですが、「惰性」という名詞に対して「で」という接続助詞がついているので、惰性のあとに続く文を説明していることになります。「惰性で〜している」「惰性で付き合っている」などです。

一方「惰性的」とは、「惰性」という名詞に対して「的」という接尾辞がついたものです。意味は「惰性」と近いのですが、少しニュアンスが変わります。完全に「惰性」といい切るのではなく、「惰性とも捉えられるような状態」と定義付けている言葉といえます。

例文①目的もなく惰性で生きるばかりだ

「惰性」が示す意味をそのまま表現した例文です。これといって大きな変化もない状態でただ日々が継続し、過ぎていくというシチュエーションを表現しています。

例文②名ばかりの彼氏と惰性で付き合うのは飽き飽きだ

男女の付き合いとは基本的に、ある一定の期間をともに過ごす行為であり、その行為そのものの価値を評価して「惰性」と位置づけています。この例では「だらだらと発展性のない状態」を示しています。

例文③惰性で仕事をしていても一向に成果は上がらない

「惰性」が「ものごとをだらだらと続けてしまう心理」を示しており、さらにそれが行動に影響を及ぼしていることを表している例文です。積極性はなく、仕事の質も向上していないことを示しています。

例文④マンネリ化したカップルは惰性で結婚しやすい

こちらも「惰性で」何をするかを示した例文です。「惰性」という言葉は感情や内面情報を多く含むフレーズなので、こういった複雑な心的状況も端的に表すことができます。

例文⑤現在の仕事にはやる気が持てず、惰性で働く

「惰性」が「だらだらと継続している様子」を示しており、それを「仕事」という能動的なアクションを必要とするシチュエーションに対して否定的な意味合いで使っている例です。「惰性」が心理的なものを表す言葉であることを活用し、主観的な表現をしています。

例文⑥僕がタバコを吸い続けるのは惰性的ともいえる行為だ

「惰性的」は「惰性で」とは少し違って、文章が少し硬い雰囲気になります。「惰性で」と比較すると、口語的というよりは文語的な表現といえます。また、あくまでも「惰性的」といっているので「惰性」ではなく、あえて意識的にそうしているともとれる表現です。このように「惰性的」という言葉は、とても微妙な空気感を表現したいときにも使われます。

例文⑦惰性的な見解ばかりが散見される会議は無意味だ

この例文での「惰性的」という表現は、完全に「惰性」といい切ってはいないのが特徴です。「惰性的な見解」とは、いまいち発展性がなく、パッとしないという状態を示しています。「惰性」よりは多少前向きではあるものの停滞感があるような状況であり、それが「惰性的」であると評しています。

「惰性」を活用するシーン

言葉はそれぞれ、会話や文章の中でどのように使うかということが重要です。適用する場面と言葉の意味が噛み合っていないと、他者に対して伝えたいことが正確に伝達できないという事態にもなります。「惰性」の場合はどのようなシーンで使うのが適切なのでしょうか?

「惰性」が適用される状況

「惰性」とは人の心理的な状況や、それにともなう行動などを表す言葉です。多くの場合では、人が関わっている場面のほとんどで使用することができます。例えばビジネスシーンでの仕事の仕方や人付き合いでの関係性、そして自分自身や他者への評価としての表現にも使用されます。

また「惰性」という言葉は、日常会話はもとより文語的表現の中でも問題なく適用することが可能です。「だらだらと」や「何となく」といったニュアンスをより断定的に伝えたい場合にも「惰性」は最適な言葉といえます。

「惰性」の類語表現

・漫然と、だらだらと、目的もなく、当てもなく、考えなしに、無駄に
・無目的に、目標もなく、軸も持たず、ふらふらと、無為に、無意味に
・習慣で、これまでの勢いで、癖で、勢いで

「惰性」と同様の意味をもつ類語についてもご紹介します。類語辞典によれば「漫然と」「だらだらと」「目的もなく」などが類語に相当するとされています。また、同義語としては「慣性」という言葉が相当しますが、こちらは人以外の単純動作や作用に適用されるものであり、別の使い方をするものです。

「惰性」と同様の意味をもつ「大した思慮もなく、物事を何となく行なっているさま」を表すのであれば、類語を適用するのが最適といえます。ここではその例文もいくつかご紹介します。

例文①漫然とした気持ちで道ゆく人を眺めている

この文章では「漫然と」が「惰性」に相当する言葉として使われています。明確な考えがなく、ぼんやりとした心持ちで「眺める」という行為をしていることを表しています。「漫然と」を文中に入ることにより、行動に対して大きな意味がないということを説明できます。

例文②これといった目的もなく電車に乗車する

こちらの例では「目的もなく」が「惰性」に相当する言葉です。電車に乗車するという行為の動機がなく、ただそのまま乗ったという状況を示しています。

例文③何ひとつ考えもせずに書類に判を押した

こちらでは「考えもせずに」が「惰性」に相当する言葉です。「惰性」と同様に「大した思慮がない」状態で書類に判を押すという行為を行なっているという意味になります。

「惰性」の対義語

・積極的
・意欲的
・精力的

「惰性」には「慣性」などの同義語や「漫然と」などの類語はありますが、対義語となる言葉は厳密には存在しないといえます。もし対になる言葉を何か当てはめるとしたら「積極性」がそれに最もふさわしいともいえますが、特に定義付けられたものではなく、あくまでも分類上での参考となります。

しかし「〜的」という言い方に変えた「惰性的」であれば、対義語となる言葉がいくつか該当します。その場合は「積極的」「意欲的」「精力的」などがおもな例となります。いずれも「惰性的」が示す「だらだらとしたさま」とは反対の、「行動的で意欲に満ちたさま」を示しています。

例文①ビジネスにおいて積極的なアプローチを展開する

こちらは「積極的」を用いた例文です。「惰性」とは反対の「能動的な心理状態」を示しており、それが行動につながっているという文です。「積極性」も「惰性」と同様に心の状態を表している言葉なので、どのような内面の状況なのかを説明するために使うことができます。

例文②彼の意欲的な仕事ぶりにはいつも感心させられる

こちらは「意欲的」を用いた例文です。「惰性的」が「だらだらと継続している様子」であることに対し、「意欲的」とは「自らの意思をもって行動している様子」を示します。やる気に満ちた状態でものごとに対峙している状態を表しています。

例文③精力的な営業活動が良い成果をもたらす

最後に「精力的」を用いた例文をご紹介します。「惰性」が受動的な要素を含んでいるのに対して、「精力的」は能動的な要素をもっており、自ら行動を起こしている状態です。「惰性」がそのままの勢いで継続するさまであるのに対し「精力的」は自ら勢いをつけて行うさまを表しています。

「惰性」の英語表現

ここで「惰性」の英語表現についても解説します。「惰性」は英語で表すと「inertia」 となります。正確には「物体の慣性」という意味なので、日本語での「惰性」とは少々違った表現での使い方です。

もし心理的な状況を強く表現したいのであれば「force of habit(習慣)」や「out of habit(習慣で)」が最も適切といえます。ほかにも「unthinkingly(何も考えないで)」などが「惰性」に近い表現です。

「惰性」の英語例文

英語表現の「force of habit(習慣)」や「unthinkingly(何も考えないで)」を用いた例文もご紹介します。

例文①「My legs carry me there from sheer force of habit everyday.」

「My legs carry me there from sheer force of habit everyday.」とは「私は毎日、惰性でそこに足が向く」という意味です。「意図せずとも自然に足が私をそこへ連れてゆく」という状態を示しており、「惰性」が意味する「何となくそうなっている心理」を表しています。

例文②「He was one of typical role model that acting unthinkingly.」

「He was one of typical role model that acting unthinkingly.」とは「彼は惰性で(何も考えないで)行動している典型の例だった。」という意味になります。

「惰性」を正しく理解して使いましょう

いかがでしたか?「惰性」について、意味や例文を交えて解説しました。

日常的によく聞く言葉なだけに、ついなんとなく使ってしまっていませんでしたか?「惰性で」や「惰性的」という表現に変えただけで、意味合いも変わってきます。

また「漫然と」や「目的もなく」などの類語もありますが、「惰性」そのものを表す別の言葉はほかにはあまりないといえます。ぜひ「惰性」という言葉を正しく理解して使い、表現の幅を広げてゆきましょう。

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