滅相もないの意味や類語とは?敬語表現との使い方を例文を用いて紹介

日常的に何気なく使ったり聞くこともある「滅相もない」という言葉。正しい意味や使い方はご存知でしょうか?「滅相もない」の語源や意味、類語なども含め、具体的な例文もご紹介します。また、「滅相もない」の正しい敬語表現についても解説します。

滅相もないの意味や類語とは?敬語表現との使い方を例文を用いて紹介のイメージ

目次

  1. 1「滅相もない」という言葉を正しく使おう
  2. 2「滅相もない」の語源や意味とは?
  3. 3「滅相もない」の使い方
  4. 4「滅相もない」の類語表現
  5. 5「滅相もない」の敬語表現
  6. 6「滅相もない」と「とんでもない」の違いとは?
  7. 7日本人らしさが感じられる表現

「滅相もない」という言葉を正しく使おう

「滅相もない」という言葉を正しく使おう

「滅相もない」という言葉。日常の会話の中でも、ときどき聞いたり使ったりすることがありませんか?

なんとなく使っている言葉ではありますが、そもそも「滅相もない」とはどういう意味なのでしょうか?どういう使い方が正しいか、ご存知ですか?

ここでは類語や例文もご紹介しながら、「滅相もない」という言葉の意味や使い方を詳しく解説していきます。

「滅相もない」の語源や意味とは?

「滅相もない」の語源や意味とは?

「滅相もない」という言葉の正しい意味を知らずに使うと、ビジネスや公の場で恥ずかしい思いをすることになります。ときに誤解を生むことにつながるかもしれません。

まず、「滅相もない」という言葉の語源を知るところから始めると、その意味も理解しやすいでしょう。「滅相もない」という言葉は気軽に使われてはいますが、なかなか奥が深い言葉なのです。

「滅相もない」の語源

「滅相もない」の語源

「滅相もない」の「滅相」というのは、仏教用語に由来しています。

仏教では物事や生物の移り変わりを、4段階に分けて考えます。ひとつは「生相」で、事物がこの世に出現すること。ふたつめは「住相」で、存在や持続すること。みっつめは「異相」で、変化すること。そして、最後に「滅相」と続きます。つまり、この仏教で考えるところの四相のひとつが「滅相」なのです。

最後の段階の「滅相」とは、消えてなくなることを指します。滅相の業が尽きて、命が終わる段階という意味です。「滅相な」どころではないという意味から、「滅相もない」と使われるようになったのです。

「滅相もない」の意味

「滅相もない」の意味

では、「滅相もない」という言葉の正しい意味は、どういうものなのでしょうか?

先ほど、「滅相」とは命が終わる段階であり、「滅相な」どころではないという意味が語源とお話しました。つまり、「滅相もない」とは、「とんでもない」とか「あるべきことではない」という意味が含まれて使われるようになったのです。

「滅相もない」の使い方

「滅相もない」の使い方

「滅相もない」という言葉の意味について、なんとなくおわかりいただけたでしょうか?次に、「滅相もない」の具体的な使い方について説明していきます。

普段「滅相もない」という言葉を使うとき、相手が言ったことに対して、「いえいえ、そんなことはありません」と否定する意味で使いませんか?しかも、あくまでも相手より自分を下に置いて、へりくだった意味を含めて使うはずです。

「滅相もない」という言葉には、「謙虚に否定する」意味合いが含まれるということです。

「滅相もない」を使った例文

「滅相もない」を使った例文

「滅相もない」とは、「謙虚に否定する」場合に使うとお話ししました。

ただ、「滅相もない」と一言で使う場合もありますが、語尾を変えたりすると、相手に与える印象が変わります。たとえば、「滅相もないです」。または、「滅相もありません」などです。

では、様々な場面を想定しながら、具体的な例文を見ていきましょう。

例文①滅相もないです

まず、「滅相もないです」という使い方での例文です。「滅相もない」と一言で終わらせず、語尾に「です」を付けることで、丁寧な敬語表現になります。

たとえば、上司から仕事の出来を褒められたとき、「いえ滅相もないです。自分はまだまだ半人前です」という使い方なら、ビジネスシーンでも通用します。

他にも、相手から「先日はありがとうございました」と言われたことに対して、「滅相もないです。また何かお役に立てることがあれば、いつでもご連絡ください」というふうに使うと、謙虚な気持ちが表現できます。

例文②滅相もありません

「滅相もありません」という使い方も耳にすることが多いのではないでしょうか。この使い方は「滅相もないです」よりも、さらに丁寧な印象を受けます。

たとえば、クライアントから手土産についてお礼の言葉があったとき、「滅相もありません。いつもお世話になっておりますので」と使えば、感謝の気持ちに対して謙遜の意味合いが込められます。

例文③滅相もないことであります

他にも「滅相もないことであります」という使い方も、ごくまれに聞いたことはあるのではないでしょうか。とても丁寧な使い方ですが、少し古臭く堅苦しさも感じさせる表現になります。話し言葉として耳にすることはあっても、メールや手紙で使われることはないでしょう。

たとえば、野球部のコーチが部員に向かって、今日のバントは最高だったと褒めたとき、「滅相もないことであります。今後さらに精進します」というような使い方が考えられます。

「滅相もない」の類語表現

「滅相もない」の類語表現

では、次に「滅相もない」の類語表現について解説していきます。「滅相もない」の類語には、以下のような言葉があります。
 

・ とんでもない
・ 決してそのようなことはありません
・ 思ってもいません

いずれも「予想外」といったような意味合いを含み、相手の言っていることを強く打ち消す形で使われます。ただ、使い方として注意する点は、先ほどもお話ししたように、謙遜する意味も含めて使う必要があります。会話の流れが「否定しながらも謙遜する」にふさわしいものか、気を付けなければいけません。

上記の類語について、具体的な例文を見ていきましょう。

とんでもない

とんでもない

「滅相もない」の類語表現として、「とんでもない」を使う場合の例文を挙げてみます。

たとえば、近所の人に自分の娘のことをきれいだと褒められたとき。「とんでもない。うちではなかなかのお転婆で」という使い方があります。謙遜しながらも、気安さが感じられ、日常的に使いやすい表現と言えるでしょう。

決してそのようなことはありません

決してそのようなことはありません

「滅相もない」の意味合いに近い言葉ではありますが、「決してそのようなことはありません」と言った場合、否定する気持ちがさらに直接的となります。例文を見てみましょう。

たとえば、上司との会話の中で、君も課長の座を狙っているのではないかと聞かれたとき。「いえ、決してそのようなことはありません。自分はまだそのような責任あるポジションは無理です」という使い方ができます。

思ってもいません

思ってもいません

「思ってもいません」も「滅相もない」の意味に近い言葉です。ただ、口語表現として、より口に出やすい言葉と言えるでしょう。

たとえば、大学の先輩に今年のミス・キャンパスに立候補するんでしょと聞かれたとき、「え~、そんなこと思ってもいません。他にきれいな人はたくさんいるじゃないですか」という感じで使えます。

「滅相もない」の敬語表現

「滅相もない」の敬語表現

では、「滅相もない」の正しい敬語表現とは、どのようなものがあるのでしょうか?「滅相もない」の一言だけでは、あらたまった席などでは失礼にあたる場合もあります。

先ほどもお話ししたように、語尾に「です」を付けて「滅相もないです」という表現もあります。または、「滅相もないことです」や、さらにあらたまった敬語表現としては、「滅相もないことでございます」などもあります。

それぞれ使うにふさわしい場の雰囲気やシーンがありますので、会話の流れなども見ながら使い分けてみてください。

「滅相もございません」は文法的に間違い

「滅相もございません」は文法的に間違い

では、「滅相もない」の敬語表現として、「滅相もございません」というのは正しい使い方なのでしょうか?これもよく耳にする使い方ではありますが、実は間違った敬語表現と考えられる場合があります。

なぜなら、「滅相もない」という言葉自体がひとつの形容詞であるためです。形容詞を「滅相」と「ない」という二つの言葉に分けて、さらに「ない」を「ございません」というふうに敬語で表現するのは、間違っているという考え方です。

「滅相もない」と「とんでもない」の違いとは?

「滅相もない」と「とんでもない」の違いとは?

先ほど「滅相もない」の類語として、「とんでもない」という言葉を挙げました。意味は同じなのです。

ただ、使い方として、「とんでもない」のほうが、よりくだけた印象を与えます。そのため、上司やクライアントなどの立場が上の人と会話する場合は、「とんでもない」ではなく、「滅相もない」を使うほうが適切と言えるでしょう。

「とんでもない」という表現に比べると、「滅相もない」にはへりくだった意味合いが含まれ、謙虚な印象を与えることができます。

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日本人らしさが感じられる表現

日本人らしさが感じられる表現

普段なにげなく使うこともある「滅相もない」という言葉について、意味や類語、例文なども含めて解説してきました。いかがでしたか?

「滅相もない」という言葉は、相手の言うことを否定しながらも謙虚さも加えられるという意味から、日本人らしさが感じられる言葉ではないでしょうか。さらに「滅相もないことです」と敬語表現もプラスすれば、とても大人な印象です。社会人として適切なタイミングで使うと、一目置かれるかもしれません。

言葉は実際に使ってこそ身につくものです。ぜひ今日から使ってみてはいかがでしょうか?

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