2019年01月05日公開
2019年01月05日更新
不測の事態の意味とは?不測の事態に備える・対応などの使い方を例文で
「不測の事態」とは、「予測できないほどの望ましくない状況」の意味です。仕事でも、日常生活でも「おそく、大して問題は起こらないだろう」と思うのが人ですが、それでも「不測の事態」が起こるのが現実です。備えるためにも「不測の事態」について考えてみましょう。
目次
「不測の事態」を正しく使おう!
「不測の事態を予想して、対策を打っておきます」なんて使い方をされる方はおられるでしょうか。言葉を適切に使用することは、非常に大事なことです。ぼんやりと意味を把握してぼんやりと感覚で使用するのは時折、あることです。
しかし、そうすると本来の意味では一緒に使用することのない言葉とともに使用してしまいかねません。人前で使用してあとで調べて赤面するなんていう、不測の事態を避けるために、対策を打っておきましょう。
ところで例文の正誤は?
ところで先に挙げた例文の正誤を紹介しておきましょう。「不測の事態」の意味は後で詳しく述べさせていただきますが、文字通り、予測できない事態です。ですから、その反対の意味である「予想する」を続けて使用するのは、一見、矛盾した表現になります。簡単に予測できたら、不測の事態ではありませんからね。
さらに、その予想できる事態に備えた対策なんて、普通のことでもあります。上司やクライアントからしたら「さっさと対策打っとけ」です。なんて恥ずかしい事態でしょう。もうこんなこと言ったり書いたりした日には、不測の事態そのものです。
「不測の事態」の意味とは?
さて、「不測の事態」の意味とはなんでしょう。ご紹介したように、簡単に述べれば、この語の意味とは「予測できない事態」です。
「不測」とは、文字通り「はかり知ることができないこと。予想できないこと」を指します。そして、「事態」とは、「移り変わっていく物事のようす」を指し、通例、望ましくない状況について言います。ですからまとめれば、「不測の事態」の意味とは、「予想を超えるほどの望ましくない状況」を指すわけです。
不測の事態って具体的にどんな状況?
具体的に「不測の事態」とは、仕事や日常生活において起こりうるであろう、万が一の状況が不測の事態です。
仕事のトラブルや、災害、事故、傷病、失業、周囲の人に起こった不幸などが、まさに不測の事態でしょう。わたし達の持っている「恒常性バイアス」、すなわち、「そんなこと起こらないだろう」と思ってしまっている意識を超える状況、それこそ、「不測の事態」であります。
「不測の事態」の類語
「不測の事態」という言葉を使わなくても、同じような意図、意味を伝えることは可能です。意外にも、頻繁に使用している言葉でも、似た意味を伝えられます。次に「不測の事態」の類語を紹介しておきましょう。
万が一(の事態) |
もしものこと |
予期せぬ出来事 |
予想外(想定外) |
思いもよらない(思いがけない) |
「ひょっとしたら…」そんなニュアンスは「万が一の事態」
「不測の事態」は文字通り「予想できないほどの大変な状況」の意味、ニュアンスになります。事前に毎度「不測」を使用することや、「それほどまでに大変な事態」と言うのは仰々しい場合もあります。むしろ、「もしかしたら、起こるかもしれない」といったニュアンスのほうが汎用性はあります。
こうしたときに便利な類語が「万が一(万一)の事態」です。「万が一の事態」の意味とは、「ひょっとしたら起こるかもしれない、望ましくない状況」です。仮定、低い可能性に重点をおいた言葉ですから、「事態」を省いてもよく使用される言葉です。「万が一に備えて…」なんて、よく耳にします。
「もし起こったら…」なら「もしものこと」
もっと単純な言葉で、もっと頻繁に使用しそうな類語があります。「もしものこと」です。文字通り、仮定の言葉「もし」を強めた表現になります。説明不要かもしれませんが、「もしものこと」の意味とは「もし起こってしまったらと懸念されること」です。
「万が一」同様、仮定や低い可能性の事柄について用いる言葉になり、しばし「人の不幸」をぼかす場合にも使用される言葉でもあります。「あなたにもしものことがあったら、わたし……」なんて言われてみたいものです。
「想定を超える」は「予想外(想定外)の事態」
「不測の事態」とは、「予想できない」ほどの「大変な状況」を意味することが多くあります。個人や組織の想定を超える事態とは、仕事であれば、大トラブルや災害、事故や事件など、本当に大変な事態です。
これよりも純粋に「考えもよらない」、「想定を超える」のほうが、あってほしくないですが、ありがちな話です。「個人やチームの計画から漏れた、望ましくないこと」が起こるのを指すなら、「予想外(想定外)の事態」のほうがしっくりきます。「事態」がなければ、良い結果にも使える言葉です。
おちゃめな社員が「いやぁ、予想外の事態が起こってしまいまして……」なんて言って、怒られている風景。会社ですね。
「予め期待していなかった」は「予期せぬ出来事」
「予期せぬ出来事」も、「不測の事態」、「予想外(想定外)」と似た意味で使用することが可能です。「予期せぬ出来事」の意味とは、「予め期待していなかった出来事」です。「不測の事態」のように、「予測できないほど」や「予想を超える」というニュアンスよりも、純粋に「予め期待してない」の意味になります。
良い結果であろうが、悪い結果であろうが、予測できないのではなく、「予め期待、覚悟していなかった」という意味です。予測する能力を超えるという仰々しい状況でも、格好わるい意味合いでもなく、純粋に「予期」していなかった結果に使用する言葉です。言葉の意味上、事後に使用する言葉になります。
「前もって考えていなかった」は「思いもよらない(思いがけない)事態」
「不測の事態」の持つ「予測できないほど」の「望ましくない状況」というネガティブな意味合いから少し離れて、「思いもよらない」も使用できます。「思いもよらない」の意味とは、「前もって考えていなかった」になります。
「思いもよらない事態が起こったために……」なんて、起こった後に敗戦の弁を述べる際に、ピッタリの言葉です。「事態」を省き、良い結果にも使用できる言葉です。
「不測の事態」の使い方《例文紹介》
それでは「不測の事態」の使い方を具体的に見ていきましょう。予測できないほどの望ましくない状況が起こっていない段階で、それを想定した表現がまずひとつめの使い方になります。「不測の事態に備える」なんて表現よく見聞きします。
他に、それが起こってしまったときに使用する表現がもうひとつの使い方です。「不測の事態に対応する」や「不測の事態が起こってしまった」は、この場合の最もよく使用される表現でしょう。他にも種々の使い方があります。それでは見ていきましょう。
不測の事態に備える
業務や日常生活において、予測できないほどの望ましくない状況は、あってほしくないものです。しかしながら、万が一もあるのが現実です。
災害、傷病、事件・事故はもとより、人の不幸や、失敗やトラブルなど、「不測」なことはありえると同時に、起こり得るのです。みんなが持つ恒常性バイアスをできる限り廃し、リスクヘッジをしておくのも、仕事や日常生活において必要なことです。
そんなときに、「不測の事態に備えるために、スケジュールや人員に余裕をもたせておくのは必須のことだと思います」なんて、仕事の上で言ったり書いたりするのは、皆さんされておられることです。
他にも、日常生活でも使用できます。「地震が多いのが環太平洋であり、日本です。不測の事態に備えて、防災マップの確認や、防災時に使用できるグッズの用意など、できることはたくさんあります」これ、本当に必要です。
不測の事態に対応する
「不測の事態」は起こってほしくないのが普通です。仕事はもとより、日常生活でも、わたしたちの想像を超える事態や、わたしたちの想像の穴、恒常正バイアスを突く事態は起こりうるものです。起こってしまったら、対応しなければいけません。
「『どうして起こってしまった』かも重要ですが、起こってしまったことは仕方ありません。この不測の事態に対応することこそ、今、わたしたちに必要なことです」なんて、上司やリーダーがみんなを鼓舞する風景、まさに仕事の風景です。日常生活でも、皆さん、こうした言葉で自らを鼓舞し、現実に立ち向かっていることでしょう。
不測の事態が起こる(に至る)
不測の事態が起こって、まず問題なのは、何が起こっているかを知ることです。ある人は驚き、ある人は原因が何かを究明しようとし、ある人は誰かを責め、ある人はその事態そのものを楽観視したり否定したりすることでしょう。
そのときに、「不測の事態が起こったときに必要なことは、責任追及や現実逃避ではありません。みんなで一致団結してこの事態を精査し、立ち向かうことです」その通りです。
「不測の事態」が起こることは、他の言い方でも表現可能です。「不測の事態に至る」、「不測の事態が発生する」など、種々の表現を使用することができます。
不測の事態に巻き込まれた
「不測の事態」が起こる際、いつも自分たちの業務や日常生活にまつわることとは限りません。むしろ、「不測の事態」、予測できないほどの望ましくない状況なのですから、降ってかかる厄災のような状況が多くあります。例えば、事故、災害などはそれでしょう。このような場合に、この言葉を使用するのもグッドです。
例えば、「すいません。不測の事態に巻き込まれました。事故が起こってしまったようで、まだ駅で足止めされています。何時には着くと思いますので……」なんて言い訳、皆さんついたり、聞いたりしたことありますよね。よくあることです。
不測の事態に備える方法
「不測の事態」とは何でしょうか。人の予測を超える、望ましくない状況とは具体的に予想可能でしょうか。その事態そのものは、当事者にとって未体験でも、一般的に由々しき事態とされるものは予想可能です。
特定の地震とその被害を具体的に想定するのは、現在の研究をもってしても予測困難であっても、地震が起こりうること、大きな地震が起こったらどのような被害が降りかかるかは予測可能です。不測の事態に備えるとは、まさにこの事態に備えることです。
不測の事態を想定する
不測の事態に備えるために必須にして最低限するべきことは、不測の事態を想定することです。予測できないことを予測するのは、逆説的なことではありますが、漫然と不安に備えていては、備えになりません。まずは、日常生活や仕事においても、恒常性バイアスを少し取り除いて、起こりうる事態を想定することです。
例えば、地震に不安を抱いている人なら「地震が起こったら、何が倒れやすいだろうか」、「何を持ってどこに避難するか」と想像し、避難マップなどを調べていることでしょう。これと同様に、何事においても「大丈夫だろう」という慢心を取り除き、漫然とした不安をひとつひとつ具体的に想定することが、備えることにつながります。
不測の事態の対策を練って準備しておく
特定の災難、事態が起こりえると判断できるなら、備えるために、いっそその対策を練って準備しておくのも必要です。予測できるなら「不測」とは呼べないかも知れませんが、いつどのような災難やトラブルに見舞われるかまでは、予測できないのも確かです。
事前にリスクヘッジとして対策を練り、代替案を準備しておいたり、最初からそうした事態に対応できる体制にしたりすることこそ、「不測の事態」の備えに必要です。こうしたことは全く過剰防衛ではありません。
人員が傷病で倒れたり、予算の問題がおきたり、急な災害や事故で遅延が生じたり……。こんなことは期待していないことですが、十分起こり得る事態です。備えるために、少しの手間や少しの余裕をもたせた体制や計画で乗り越えられることです。
不測の事態にまつわる問題意識と情報の共有
「不測の事態」を予想したり、対策を準備しておいたりというのは、実は非常に難しい話です。人はひとりで仕事をしているわけではありません。日常生活もまた、一人暮らしであっても種々の関係により成り立っているのが、現実です。
そのため、備えるために、業務やプロジェクトにまつわるチームのなかで、問題がおきれば「不測の事態」になりえる事柄に関して、問題意識を共有、喚起しておくことが必要です。さらに、その問題にまつわる情報を共有しておくのも「不測の事態」に備えることになります。
昨今の業務遂行において、各種様々なコミュニケーションツールが利用されているかと思います。これこそ、この「不測の事態」を備えるための情報共有そのものでしょう。
リスクマネジメントで「不測の事態」に備える
「不測の事態」を備えるの代表的な手法は、それを組織的に行うリスクマネジメントです。想定、危惧されるリスクのうち、頻度や影響が高いものがあるなら、個人ではなく、組織として、もう最初からその対抗策を打っておくことが最適になります。
新人がチームに配属された際、あらかじめリスクが少ないとわかっているプロジェクトに参加させることは、よくある会社の風景です。このように、「不測の事態」に個別的に対応するのではなく、動的に組織的に対応することも備えるためには必要です。
常日頃から気に掛けて「不測の事態」に備える
「不測の事態」を備える上で基本的な手段は、何かありそうなポイントを常日頃から気に掛けることでしょう。「多分大丈夫」を排して、起こりうる事態を想定し、リスクを明確にして、そのポイントに注意しておけば、自然と緊張感が生まれ、あなた自身の対応も変わってくることでしょう。
そうすれば、リスクの少ない箇所では、相対的に気楽に対応できることにもつながります。さらに対策も講じておけば、もう「人事を尽くして天命を待つ」です。
不測の事態への対応方法
不測の事態への備えを万全にしたとしても、未来は完全には予測できないものです。「おそらく、大丈夫だろう」という恒常性バイアスを取り除き、想定しうるリスクを勘案し、さらに、そこに対策を打っていたとしても、期待通りにいくとは限りません。想定外の災難やトラブルが起きてしまったとき、あなたはどうますか。
「不測の事態」たる現状を認識する
不測の事態が起こってしまったら、どうしましょう。まず、必要なのは、現状把握をし、課題を認識することです。そもそも、急な災難やトラブルは大きかろうが小さかろうが、すぐに現状に何が起こっているのかを把握するのは難しいのです。
人が混乱したりバタバタ慌てたりしている雰囲気は「不測の事態」そのものでも何でもありません。傍から見れば何か起こっているようにも見えますが、問題の本質は人の雰囲気ではなく、その業務そのものです。
このように、現状を把握して課題を明確にすること、そして落ち着いて行動することこそが肝要です。「慌てない。慌てない。一休み、一休み」です。
「不測の事態」たる課題解決に向けて断即決即行
不測の事態かのような問題が起こったときに、やはり必要なのは、果断に即断即決して行動することでしょう。問題は複数あるかもしれませんし、大した問題ではないかも知れません。しかし、解決に向けて、とにかくひとつずつ行動していくのが必要です。
「不測の事態」たる問題を明確にして優先順位を明確化する
大変な事態に至っときに重要なことは、起こっていることを冷静に認識して、問題を明確化することです。そして、何よりも優先順位を決めることです。非常に当たり前のことであり、皆さんが公私共に自然と行っていることです。不測の事態が起こったときでも、これを冷静に行うことが必要です。
助けを求めて「不測の事態」を乗り越える
不測の事態です。予測できなかった由々しき事態に至ったのですから、冷静に現状を認識し、課題を明確にして優先順位を決めて即断即決して行動できないときは、もう人に助けを求めましょう。
仮に現状を認識できて必要なことがわかった際でも、これは重要です。冷静に客観視してもらうだけでも、また、少し業務に助力してもらうだけでも、「不測の事態」を乗り切るには必要です。人はひとりで生きていないのですよ。
不測の事態の対処法はほかにも!
「不測の事態」ってそもそも何?
「不測の事態」とはそもそも何でしょうか。予測できないほどの望ましくない状況とは、そもそもあるものでしょうか。確かに災害や傷病、事故は、自分が原因でも予測しづらいものではあります。
しかし、これこそ「不測の事態」を語る上でわかりやすい事例です。「おそらく、大して問題は起こらないだろう」は皆誰しもある程度、抱いている恒常性バイアスです。これを少しだけ取り除いておくだけでも、「不測の事態」、予測できないことは減ることでしょう。