「なるほどですね」は失礼?敬語での正しい使い方を紹介

目上の人の言葉に対して「なるほどですね」と相づちを打ってはいませんか?一見すると「なるほどですね」は、敬語のように扱われていることが多いかもしれませんが、実はビジネスシーンで扱う敬語としては相応しくはありません。この記事では、正しい敬語の使い方をご紹介します。

「なるほどですね」は失礼?敬語での正しい使い方を紹介のイメージ

目次

  1. 1「なるほどですね」は間違った日本語
  2. 2「なるほどですね」の意味とは?
  3. 3「なるほどですね」を目上の人に使ってはいけない理由
  4. 4「なるほどですね」が口癖になっている人は要注意
  5. 5「なるほどですね」のビジネスでの正しい使い方
  6. 6「なるほどですね」を連発する人への上手な注意の仕方
  7. 7「なるほどですね」の英語表現
  8. 8言葉遣い一つで大きく印象は変わる

「なるほどですね」は間違った日本語

社会人になると目上の人に対する敬語や、取引先との接待の仕方など、ビジネスマナーの大切さが仕事の上で重要なものとなってきます。仕事の出来や効率が良くても、言葉遣いが悪かったために、せっかくの成功のチャンスを逃すことも少なくはありません。

普段何気なく使っている「なるほどですね」という言葉も、一見すると敬語のように見えますが、これは正しい敬語ではありません。それどころか、日本語としての文法すら間違っているのです。

「なるほどですね」の意味とは?

「なるほどですね」は、上司の言葉に対して、同意や納得をしたときによく使われます。「なるほど」だけでは軽々しさを感じるために、その語尾に「ですね」と丁寧語をつけて組み合わせて出来上がったものが「なるほどですね」となります。

また、他にも「なるほど」と納得する言葉と、「そうですね」と相づちを打つ二つの言葉を混ぜ合わせて、省略した結果、「なるほどですね」といった奇妙な敬語に出来上がったものでもあります。

「なるほどですね」を使用する側は、肯定的な意味で使っているかもしれませんが、受け取る側はおかしな日本語に対して強く違和感を感じて、どこか見下されたような印象を受けてしまいます。

ビジネスマナーとして、目上の人に対する敬意を示す言葉は大切ですが、誤った敬語を使ってしまうと、相手に良い印象どころか「ビジネスマナーがなっていない」という、悪い印象を持たれる危険があります。

「なるほどですね」は方言なの?

「なるほどですね」という言葉は、九州地方の福岡県でよく扱われている言葉です。九州地方では丁寧な言葉遣いとして、言葉の語尾に「ですね」をつけることが多くありました。

そのため「なるほど」といった言葉に対しても「ですね」とつけ、それが「なるほどですね」と表現され、広まっていったと言われています。

九州地方では丁寧語の一つとして定着しているため、「なるほどですね」という言葉は不自然ではなく、日常会話やビジネスの中でも使われています。

「なるほどですね」を目上の人に使ってはいけない理由

九州地方では「なるほどですね」は馴染みのある言葉として使われていますが、通常のビジネスシーンで「なるほどですね」を使用することは避けたほうがいいでしょう。特に敬語として「なるほどですね」を使用するのは、相応しくないともいえます。

なぜ目上の人に対して「なるほどですね」を使ってはいけないのでしょうか。「なるほどですね」の言葉を使うのは避けるべきだという理由を、いくつがご説明していきましょう。

言葉に違和感が残る

「なるほどですね」は、まず本来の日本語として文法に大きな誤りがあります。なんとなくのニュアンスが通じても、根本的なところが間違えているため、どこかモヤモヤとした気持ちや違和感を相手の心に残すことになります。

また、「なるほどですね」は若年層の間で頻繁に使用されており、若い人たちの間では「なるほどですね」が定着していますが、「なるほどですね」に馴染みのない人には、文法の誤りに強い嫌悪感を抱く人もいるかもしれません。

正しい敬語ではない

「なるほどですね」は日本語としての文法がおかしいだけではなく、ビジネスマナーでの敬語としても正しくありません。「なるほど」といった感嘆詞に「ですね」と語尾につけただけですので、正確な敬語として機能していないのです。

敬語に不慣れであると、ついつい語尾に「です」「ます」と丁寧語をつけてしまいがちですが、ほとんどの言葉は不自然な日本語となってしまうだけで、語尾に「です」「ます」をつけることで敬語として成立する言葉はほとんど存在していません。

目上の人に使う言葉ではない

そもそも、「なるほど」という言葉は感嘆詞であり、ビジネスの場であれば「なるほど」といった言葉自体が目上の人に使う言葉ではありません。相手の意見に感心したという意味の「なるほど」は、通常であれば目上の人が目下の人に対して使う言葉です。

同僚や部下に対して「なるほど」と使うのは問題ありませんが、上司や取引先の相手に対して「なるほど」と使うのは、ビジネスシーンでは相応しい対応ではないのです。使う側にそういった気持ちがなくとも、相手にとってはあまり良い印象は持たれません。

「なるほどですね」が口癖になっている人は要注意

「なるほどですね」が口癖になっていると、咄嗟の言葉でつい「なるほどですね」を使ってしまう危険があります。周囲でも同じような言葉を使う人がいると、馴染みが深いことでなかなか直すことが難しいかもしれません。

もしも、言いかけた途中で気付いた場合は、一度「なるほど」の言葉で一呼吸置き、次に「そうですね」と言葉を続ければ、より自然でスムーズな敬語に繋げることができます。

たとえ、「なるほどですね」と言ってしまった後でも、言ってしまったという意識を強く向けるだけで、今後の修正に効果があります。

また、普段から咄嗟に口にしてしまわないために、「なるほどですね」といった言葉を、これから紹介する敬語に言い換える練習をすることで、思わぬ失敗を防ぐことができます。

「なるほどですね」のビジネスでの正しい使い方

「なるほどですね」は感心したことや相づちなど、とても使い勝手が良いためにビジネスシーンでも使いがちです。しかし、ビジネスマナーとしては相応しい敬語ではないので、あまり歓迎されるような言葉ではありません。

「なるほどですね」に含まれた意味をビジネスの場で使う場合は、より相応しい言葉に変化させて、使用する必要があります。

「なるほどですね」の敬語表現の例文

それでは、「なるほどですね」を正しい敬語に直すには、どのように言葉を変化させていけばいいのでしょうか。

「なるほどですね」を使うときは、相手の言葉に相づちや同意を示したり、了解したことを表現するために使われることが多くあります。その「なるほどですね」を、それぞれ三つのパターンに分類して、それぞれの敬語表現をご説明します。

例文①仰る通りでございます

「仰る」は「言う」の尊敬語となっています。「あなたの言う通りです」という意味を敬語として変化させると、「仰る通りでございます」となります。この敬語は、相手の言葉に同意したときに使用する言葉となります。

「なるほどですね」を、相手の言葉に対する同意として使っている人は、「仰る通りでございます」や「仰る通りです」と表現するようにしてみましょう。

例文②左様でございますね

「左様」とは、「その通り」「そう」といった意味を持っています。「そうですね」「そのようです」といった言葉を丁寧にした敬語が、「左様でございますね」「左様でございます」と表現されます。

「左様でございますね」は、ビジネスシーンでは頻繁に使われる言葉ですが、あまりに多用しすぎると、少々堅苦しく感じる場合もあります。そういった場合は、「そうですね」と表現を言い換えて、堅苦しくなりすぎないように調整するのもよいでしょう。

「なるほどですね」を普段から相づちとして使用している人は、「左様でございますね」や「そうですね」と言い換えて表現してみましょう。

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例文③かしこまりました

「かしこまりました」という言葉も、ビジネスの場ではよく使われる敬語となっています。「かしこまりました」は、相手の言葉に対して「了承」「了解」をしたときに使われる敬語です。

「わかりました」も了解の言葉ではありますが、「かしこまりました」がビジネスマナーとして、より相応しいでしょう。

「なるほどですね」を相手の言葉に対する「了解」として使用している人は、「かしこまりました」といった敬語を使うように気を付けてみましょう。

「なるほどですね」を連発する人への上手な注意の仕方

これまで「なるほどですね」を使うことへの注意を説明してきましたが、中には部下が「なるほどですね」を使っていたり、同僚が上司に向かって「なるほどですね」と相づちを打っているところを見て、ひやりとしたことがあるかもしれません。

自分に対して使われることに違和感がなくとも、取引先とのビジネスの場で、部下がうっかり「なるほどですね」とこぼしてしまい、取引が残念な結果に終わってしまう可能性もあります。

しかし、注意をするといっても、一方的に「それは日本語として間違っている」「きちんと敬語を使え」と言っても、効果があるどころか、物分かりが悪い頑固な人だと解釈されて、ギスギスとした嫌悪な関係になってしまうかもしれません。

大事なのは、できるだけ柔らかい口調で指摘して、部下や同僚の今後のためを思って、温かい気持ちで接することです。どのように注意すれば棘がなく、上手く直すことができるのか。いくつかご説明していきましょう。

間違った言葉であることをすぐに指摘する

もしも、「なるほどですね」を相手が会話の中で使っていた場合、すぐにその場で指摘することが効果的です。その場で間違いを指摘されることで、「確かにそうかもしれない」と、相手は素直に指摘されたことを受け入れてくれます。

反対に、指摘することを後回しにしてしまうと、「どうして今なの?」と、相手に不快感を与えて反感を持たれてしまいます。「なるほどですね」と使ったときに、その言葉は間違いであることを指摘するようにしましょう。

他に使える敬語を提案する

中には、正しい敬語の知識がないために、自分なりの努力の結果、「なるほどですね」と不自然な日本語を使っている場合もあります。その場合は、たとえこちらから指摘されたとしても、どのように直せば正しい敬語になるかが理解できていません。

指摘すると同時に、「こう言い換えれば良いよ」と、正しく使える敬語を相手に提案するといいでしょう。その場で指摘するだけではなく、言葉の代替案を提案することで、より効果的に「なるほどですね」という言葉を防ぐことができます。

「なるほどですね」の英語表現

ビジネス上、日本語だけではなく、ときには英語として自分の意思を表現する必要がたびたびあります。「なるほどですね」は日本語としては不自然ですが、英語として「なるほどですね」に似た意味を持つ言葉を使いたい場合、どのような英語表現があるのでしょうか。

英語で相手に対して相づちや同意、納得などを示したい場合、どういった英語を使えば適切な対応になるのでしょうか。「なるほどですね」の英語表現をいくつかご紹介していきましょう。

相づちの「なるほどですね」

日本語で相手と会話をしているとき、相手の話を聞いているという証拠に「はい」や「そうですね」と相づちを打つことで、話をスムーズに進める効果があります。それと同様に、英語での表現にも相づちがあり、相手の話に相づちを打つときは「I see」と言います。

「I see」は、どのような立場の人間に対しても使用できるので、相手が上司であっても失礼になることはありません。

「I see」だけでは物足りない場合は、初めに「Oh」や「Ah」といった感嘆詞をつけることで、「あー、なるほどね」と相づちだけではなく、納得と同時に表現することもできます。

同意の「なるほどですね」

「I see」でも相づちとして役立ちますが、簡単な相づちとして表現されるものなので、「I see」だけを連発していると、本当に話を聞いているのだろうかと相手が不審に思うことがあります。

より強く相手の言葉に同意し、納得した上で相づちを打ちたい場合は、「That makes sense」といった英語で表現してみましょう。

「なるほどね」という意味を持つ「I see」と違い、「That makes sense」は「そういう意味なんですね」と、相手の言葉を理解した上で相づちを打っています。

話を聞いていて、強くその意見に同意をしていることを伝えたい場合は、「That makes perfect sense」と、「perfect」を入れることで「すごくよくわかります」と表現することができます。

言葉遣い一つで大きく印象は変わる

日常生活でも、ふとした言葉でお互いの関係が嫌悪になるように、ビジネス上でも些細な言葉遣いの間違い一つで、大きな損失や失敗を引き起こす可能性があります。

言葉遣い一つで悪い印象を与えることもあれば、適切な敬語を使うことで、「とても丁寧な人だ。この人なら仕事を任せてもいいだろう」と、相手に良い印象を与えて、大きな信頼を勝ち取ることもできます。

「なんとなくでもニュアンスが伝わるから」といってそのままにせず、自分の使っている言葉が本当に正しい敬語なのか、正しく日本語を使えているのか、それぞれの意味を理解して、ビジネスで使っていくように心がけていきましょう。

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