2019年01月20日公開
2019年01月20日更新
示唆の意味や読み方とは?示唆に富むなどの使い方を例文で紹介
「示唆」の意味とは?と聞かれて、あなたは迷いなく答えられますか?「示唆」とは?と聞かれると言葉につまってしまうのでは?ここでは、ビジネスシーンで使い勝手のいい「示唆」という言葉の意味を例文を用いて詳しく解説していきます。
目次
「示唆」の使い方を学ぼう
「示唆」という言葉を聞いたことが無い。という人は、まずいないのではないでしょうか?テレビのニュースや新聞でもよく目にするこの言葉で、とくに特殊な言葉ではありません。普段、見慣れている言葉ですが、実際自分が使うかというと、どうでしょう?普段の生活の中ではあまり使用しないのでは?
少しかしこまった場面や、文章の中ではよく使用される言葉ですが、普段の喋り言葉ではあまり耳にしないこの言葉、ニュアンスは理解していても正確な意味までは理解していない人も多いです。いざ、自分が使用する場面になった時に自信をもって使えるように、「示唆」の意味を正確に理解して使い方を学んでいきましょう。
「示唆」の意味や読み方とは?
まずは、読み方の確認です。「示唆」とは「しさ」と読みます。漢検2級の熟語になります。
「示唆」の意味
「示唆」とは、「直接的に教えるのではなく、間接的に(ヒントなどを与え相手に考えさせるなどして)教える事」です。また、「事実をほのめかす」や「暗にそそのかす事」という意味も持っています。
「示唆」の「示」は「示す(しめす)という言葉通り、対象を指し示す。」意味を持っています。一方「唆」は、「口」と「夋」から出来ています。
「口」は言葉という意味で、「夋」は、織物の機械です。この織物の機械は左右に行ったり来たりしながら生地を織っていきます。この様から「夋」という漢字は「左右に振り回す」という意味も持つようになりました。
「口」と「夋」が合わさる事で、「言葉で振り回す」という意味になり、「唆す(そそのかす)」という漢字が出来上がっています。「唆す」とは「相手がその方向に行動するように、それとなく差し向ける。」事です。漢字の一文字一文字の意味を見ていくと、熟語の意味がより深く分かります。
「示唆」の使い方
「示唆」とは、遠回しに伝える事を意味しますのではっきりと指し示す場面では使う事はありません。あくまでもそれとなく指し示す場面で使います。それでは、例文を使って使い方を見ていきます。
「示唆」を使った例文
「示唆」にはいくつかのよく使われる言い回しがあります。ここでは、よく使われる形を使った例文をご紹介していきます。
例文①示唆を与える
「先生は、一から十まで教える代わりに示唆を与える事で、生徒たちの考える力を育てる。」と、言うように「示唆を与える」という形で使われることが良くあります。ここでの「示唆」とは、ヒントの事です。
例文②示唆的
「示唆的」という言葉も良く使われます。こちらには二つの意味があります。一つは「何かを暗示している様子」です。
例えば「痛めた足をこれ見よがしに引きずって歩く行為は、示唆的であった。」などのように、「あなたのせいでケガをしたのよ。」と、直接攻める事はしないけれども、間接的に指し示しているような場面で使われます。
もう一つは「不適切な(品の無い)物を提案する様子」です。こちらは「あやしげな」という言葉に置き換える事もできます。例文としては「私の発言があまりに場違いで示唆的だったため、周囲は困惑の表情を浮かべていた。」というような感じです。こちらは「場にそぐわない」といった意味で使われています。
例文③示唆される
こちらは、「遠回しに伝える」「それとなく伝える」という意味で使われます。例えば「この実験結果は、環境に多大な影響を与える事が示唆されている。」というように使った場合、まだはっきりとした結論は示されてはいないけれども、それを匂わせている状況が想像できます。
例文④示唆を得る
こちらでの「示唆」もヒントを指します。①の例文との違いはヒントを与えるのか、得るのかという所です。「同期の投手から示唆を得て、投球フォームを見直す。」のように、相手から間接的にヒントを得る様子を表します。
例文⑤可能性を示唆する
「可能性を示唆する」とは、曖昧な表現を二つ重ねて使っています。そのためかなり実現の確率は低いけれども無くはない。というような曖昧な状況を表す場面で使います。
例文としては「大臣が法改正の可能性を示唆する」などのように使います。この文章を聞くと、法改正の可能性が高いように感じますが、言葉をそのまま正確に受け取るのであれば、法改正の実現をほのめかしているだけなので、実際に実行されるかどうかは全く分からない状況です。
「示唆」の類語
次に「示唆」という言葉の類語をご紹介します。また類語についても例文を使ってご説明していきます。
・暗示 |
・ほのめかす |
・入れ知恵 |
「暗示」の意味と使い方
「暗示」は「あんじ」と読みます。「ヒントを与えて遠回しに知らせる事」という意味を持っています。例文を用いて使い方をご紹介します。
例文「事件の現場に残された遺留品は、内部の人間の犯行であるという事を暗示していた。」このように、はっきりと伝えてはいないけれども遠回しに伝えているような場面で使われます。
「ほのめかす」の意味と使い方
「ほのめかす」は、「仄めかす」と書きます。それとなく、遠回しに知らせる様子を表す言葉です。こちらも例文を用いて、使い方をご紹介します。
例文「上司に田舎暮らしを勧められた。左遷をほのめかせているのだろうか?」というように、それとなく伝えるという意味で、使われます。
「入れ知恵」も類義語の一つ
「入れ知恵」とは「いれぢえ」と読みます。「暗示」や「ほのめかす」とは、すこしニュアンスが違いますが、こちらは「他人にこっそり教える事や、他人からこっそり教えられた知恵」の事を指します。「示唆」の持つ意味の中では「ヒント」に近い意味です。こちらも例文を使って使用法をご紹介します。
例文「母親に出された無理難題は兄からの入れ知恵で何とかなった。」というような感じで、堂々とは教わっていないけれどもこっそり教わったような状況において使われる事が多いです。
「示唆」を使った敬語表現
「示唆」という言葉は、話し言葉というよりも少しかしこまった場面で使われることが多い言葉です。ですので、ここでは「示唆」の敬語表現を学んでいきましょう。
「示唆」を使った敬語表現の例文
「示唆」を使った敬語表現はいくつかありますが、その中でも「ご示唆いただきまして」「ご示唆賜りまして」などが良く使われます。これらの敬語表現は、「示唆」という単語に「○○してもらう」の謙譲語である「ご○○いただく」、「ご○○賜る」がくっついた敬語です。
またこの二つと並んでよく使われる形に「ご示唆くださり」という言い回しがあります。こちらは「○○してくれる」の尊敬語である「ご○○くださる」がくっついた形です。それでは、例文を用いて使い方を見ていきます。
例文①ご示唆いただきまして
「ご多忙の中、ご示唆いただきましてありがとうございます。」というような具合に、目上の人や取引先からアドバイスを貰ったときのお礼の場面などで使います。
例文②ご示唆賜りまして
「ご多忙の中、ご示唆賜りましてありがとうございます。」というように「ご示唆いただきまして」と同じ場面で同じ使い方が出来ます。しかし、「ご示唆いただきまして」よりも。「ご示唆たまわりまして」のほうが、より丁寧な言い回しになります。
例文③ご示唆くださり
例文①、②と似たような言い回しで「ご示唆くださり」という表現も、よく使われます。こちらもとても丁寧な言い回しです。例文としては「ご多忙の中、ごしさくださりましてありがとうございます。」となります。
こちらに挙げた三つの言い回しは、どれも丁寧な敬語なので、三つの内どれを使っても失礼に当たるようなことは無いでしょう。
謙譲語の「ご示唆」と尊敬語の「ご示唆」
「ご示唆」についている「ご」についてですが、上の項で挙げた例文は目上の相手の行動に対する言葉なので、「ご」が付いていても自然です。しかし自分が「示唆」をする場合でも、「ご示唆します。」のように「ご」を付けます。上の項での「ご」は、謙譲語の「ご」で、自分が「示唆」する場合にくっつく「ご」は、尊敬語の「ご」です。
自分の動作を尊敬語にしてしまうのではないかと思い、「ご」を付けるのをためらう場合がありますが、こちらでの「ご」は謙譲語の「ご」なので間違いではありません。目上の人に示唆が出来ないと断る時などには「ご示唆しかねます。」などと使っても間違いではないのです。
「示唆」の英語表現
それでは「示唆」「示唆する」を英語で表すとどの様な表現になるのでしょうか?
「示唆」の英語表現は「suggestion」
「示唆」を英語で表現すると「suggestion」です。不可算名詞で、「示唆」の他に「暗示」や「連想」、「提案すること」と訳されることもあります。例えば「throw out a suggestion.」(それとなくほのめかす。示唆する。)のように使います。
また、「示唆する」という動詞になると「suggest」に変わります。「I suggest in action.」(私は行動で示唆する。)のように使います。動詞では「recommend」や「inspire」で表現されることもあります。
日本語になじみ深い表現として「hint」でもOK
「示唆」という単語は「suggestion」で表されることが多いですが、「hint」と表現されることもあります。日本語としてはこちらの方が馴染みがあります。たとえ「Blue skies hinted that summer would be early.」(青い空は夏が早く来そうな事を示唆した)というように使います。
「ご示唆」を使ってビジネスメールの印象をワンランク上げよう
いままで、目や耳にすることはあってもあまり使う機会がなかった「示唆」という言葉を取引先や上司へのメールに使えば、とても丁寧な印象を与える事が出来ます。例文を出しつつ使い方を見ていきましょう。
ビジネスメールの締めには前置きを
相手の「示唆」を仰ぐ場合の文末に「ご示唆くださいますようお願い申し上げます。」や「ご示唆いただければ幸いです。」と使うと、とても丁寧です。文頭に「どうか」や、「どうぞ」などと付け足し「どうぞご示唆くださいますようお願い申し上げます。」とすると、より丁寧になります。
ご示唆の「程」も使い勝手のいい言葉
ビジネスメールでお願い事をする場合、文章の中に。「ください」や「いただければ」や「存じます」などの言葉が多くなってしまってしつこい印象になってしまう事があります。そのような時に使えるのが「程」という言葉です。「ご示唆の程」の「程」は、限定を避ける表現で相手にこちらの意図を汲み取ってもらう形になります。
「ご示唆ください」を「ご示唆の程お願い申し上げます」に変えるだけで、文章の印象が柔らかくなります。これは「ご示唆ください」では命令形だった文章が「ご示唆の程」とすることによって強制する形ではなくなるためです。強い口調を避ける事が出来るこちらの言い回しは、ビジネスにおいて使い勝手の良い言葉です。
ビジネスメールでの使い方の例文
それでは、約束を取り付ける際のビジネスメールを一通り作ってみます。
件名:貴社訪問のお願い 株式会社○○ △△部 ◇◇様 お世話になっております。(自分の名前)です。 さて、先日ご注文いただきました製品の試作品が出来上がりましたので、貴社訪問いたしたく存じます。 以下の日程のいずれかでお時間を頂ければと存じますが、ご都合はいかがでしょうか? ・1月30日(水)PM ・1月31日(木)AM ・2月 1日(金)PM 大変恐れ入りますが、ご示唆の程よろしくお願いいたします。 (自分の社名、部署名、名前、連絡先などを文末に入れる事を忘れずに。) |
言い回しが多すぎてどれを使えばいいの?
さて、ここまで「示唆」を使った丁寧な言い回しをたくさんご紹介しきましたが、多すぎてどれを使えばいいのか迷ってしまうのでは?結論を言えば、どの言い回しも丁寧な言葉使いなので失礼にはなりません。しかし、丁寧さの上下はありますので目安の為にいくつか丁寧さ別に、使い方をご紹介します。
主に会話で使われる丁寧さ
上司や取引先との会話や電話で使うのは、「ご示唆ください」や、「ご示唆くださいませ」または「ご示唆いただけますか?」などがお勧めです。あまりかしこまり過ぎても、しつこい印象になってしまいます。
上司宛などの社内でのビジネスメールでお勧めは?
「ご示唆くださいませ」「ご示唆をお願いいたします」「ご示唆の程お願い申し上げます」など、やはり話し言葉よりも丁寧さがあがります。また、上下関係にうるさい上司などの場合は、「ご示唆いただきたく存じます」のように、「思う」の謙譲語である「存じる」を使ってもいいでしょう。
取引先やお客様宛のビジネスメールの時には?
「ご示唆いただければと存じます」や「ご示唆をいただけましたら幸いです」「ご示唆くださいますようお願い申し上げます」などがお勧めです。やはり、社内よりもより丁寧な言葉遣いの方が好ましいでしょう。「ご示唆いただけましたら」でも「ご示唆をいただけましたら」でもどちらでも構いません。
上にご紹介した文章よりもさらに丁寧な言い回とは?
「ご示唆賜りますと幸甚に存じます」「ご示唆賜りましたら幸甚に存じます」などとすると、上の項でご紹介したよりもさらに丁寧な言い回しになります。
「示唆」という言葉は便利な言葉
ニュースや新聞で耳にしたり、目にする事が多い「示唆」という言葉ですが、自分で使うのにもなかなか便利な言葉です。特に、ビジネスシーンでは、お礼状では文頭に、お願いの文章では文末にと、とても使いやすく、丁寧な印象を残してくれる言葉です。上司や取引先にメールや手紙を送る際に、使ってみてはいかがでしょうか。