高揚感の意味とは?使い方を例文を使って紹介!

一口に高揚感といっても、様々な意味があります。人を興奮(こうふん)させ奮起(ふんき)させるもの、心を満たし落ち着かせるもの、といった具合に真反対だったりします。高揚感とは、ストレスと同義であり人には不可欠ですが、そのバランスと付き合い方が大事なのです。

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目次

  1. 1あなたはどんな時に高揚感を感じる?
  2. 2「高揚感」の意味とは?
  3. 3「高揚感」の使い方
  4. 4「高揚感」と「昂揚感」の違いとは?
  5. 5高揚感を感じるのはこんな時
  6. 6ギャンブルにおける高揚感の矛盾
  7. 7高揚感を高めるとどんな効果があるの?
  8. 8高揚感を抑える方法とは?
  9. 9ハレとしての高揚感

あなたはどんな時に高揚感を感じる?

人が高揚感を感じる顕著(けんちょ)な例として、非日常が考えられるのではないでしょうか。コンサート、アミューズメントパーク、スポーツプレイおよびスポーツ観戦、飲酒、ギャンブル、薬物、祭り、記念行事、宗教儀式。

台風や地震など自然災害時においてすら、人が興奮(こうふん)する事実は否めません。また、癒(いや)しとされている温泉ですら、一旦、日常を断ち切るという意味で刺激となり、大人の夢の国となります。

「高揚感」の意味とは?

出典: https://unsplash.com/photos/8RmaJjapOEE

高揚感の意味とは、高ぶった気持ち、気分の高揚、興奮状態、上昇感覚、いずれも人間の心身の高まりを意味するようです。

「高揚感」の読み方

高揚感は「こうようかん」と読みます。ただそれだけです。言葉の成り立ちについては、以下の「高揚感」と「昂揚感」の違いとは? を参照してください。

「高揚感」の類語

その意味を「高ぶっている感情」とすれば次の通りです。高揚した気分 、 興奮 、興奮状態、、うわずった気持ち 、うわずった気分 、浮き立つ思い 、武者震い。カタカナ系では、 ハイテンション 、ハッスル 、ウキウキ、ワクワク 、ルンルン、ハイ、などです。

ちなみに、高揚感に「浸る」とした場合は次の通りです。幸福感に浸る、多幸感に浸る、恍惚感(こうこつかん)に浸る、陶酔感(とうすいかん)に浸る、など。「ふける」では、幸福感にふける、多幸感にふける、恍惚感にふける、至福に浸る、などです。

「高揚感」の対義語

高揚感を「高揚」とした場合は、「沈滞」が挙げられます。

「高揚感」の使い方

今度は、高揚感の使い方をみていきましょう。使い方としては、気持ちを高ぶらせる対象物や状況と、それに携わる精神状態が並置されることが多いでしょう。

高揚感を高める

国歌斉唱を目を瞑(つむ)って歌ったのは、彼特有の高揚感を高める方法だ。

ワールドカップに出られよう出られまいと、過去の国際試合でこのような光景をよく見ました。見ている側の高揚感も高まりましたね。

気分が高揚する

お祭りや遠足の前日の方が、気分が高揚するのはなぜだろう。

良く聞かれる言葉ですが、近い記憶、遠い記憶、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。

高揚感に浸る

周りは騒々しかったが、当の彼は勝利の余韻に浸っているわけではなかった。

同じ場所と境遇にいても、みんなが気分を共有するわけではありません。当事者と周りにズレがあるのは良くあることです。独り静かな高揚感にふけるといった、充実した時間を持つこともありえます。

「高揚感」と「昂揚感」の違いとは?

「高揚感」と「昂揚感」にちがいはありません。どちらも「こうようかん」です。1956(昭和31)年7月5日、国語審議会は「同音の漢字による書きかえ」を報告しました。

1981年にすでに廃止された当用漢字ですが、当時、当用漢字推進をはかるため、当用漢字外の漢字を含む漢語を処理する方法として、表中同音の別の漢字に置き換(か)えることになりました。

「昂」は当用漢字にならず、「コー」という発音にもとづき「高」に換えられました。したがって「意氣軒昂」は「意気軒高」となり、他にも「愛慾」は「愛欲」に、「暗誦」は「暗唱」へと変更されました。

「高揚感」と「多幸感」の違いは?

この場、合問題にしなければならないのは「多幸感」の方です。高揚感については説明してきました。多幸感には、人工的に引き起こされるものが含まれまれるからです。

薬物などの影響により、脳内で快楽を司るA10神経のシナプス間に、神経伝達物質であるセロトニンが大量に放出されると、幸福感が生み出されます。薬物すべてが依存症を生むのではありませんが、その幸福体験が依存を招くとされます。

上のような違法なものを除いても、多幸感には様々なものがあります。愛情による至福感、スポーツでの勝利と陶酔感(とうすいかん)、性的オーガズム、宗教儀式や瞑想(めいそう)によるもの、違法薬物以外の副作用、精神、神経疾患(しっかん)、お年寄りの持つ、ある種の幸福感情も多幸感の一種とされています。

高揚感を感じるのはこんな時

出典: https://www.pakutaso.com/20161054285post-9207.html

高揚感を感じる場面は、人により様々でしょう。趣味におよばず、それは多岐にわたります。個々の場面を想定し、その状況も分析してみてみましょう。

スポーツ観戦での高揚感

みんながスポーツ選手になれるわけではありません。ではどうして人はスポーツを観るのでしょう。スポーツボランティアに参加した人へのアンケートがあります。2005年度の試合観戦数は平均 15.3 回で、うちボランティアへの参加は7.35 回とありました。

観戦理由の内訳としては、単純にサッカーを観るのが好き、ひいきクラブの応援のため、クラブの地域貢献への感謝として、 お気に入り選手が在籍している、等が主な理由でした。

また、ボランティアになった動機としては、友達づくりのため、 好きなクラブへの貢献する誇らしさ、自身の成長のため、利害関係のない共通の目的を持った交流のため、仲間からが元気がもらえる、ゴールの高揚感を共有できる、などがありました。

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音楽における高揚感

McGill大学の研究者が、脳から分泌(ぶんぴつ)される「オピオイド」を一時ブロックする実験を報告しました。「オピオイド」は薬物依存患者へ治療目的で処方(しょほう)される薬です。薬物投与後、個々の参加者へ自分の好きな曲を聞かせたところ、今まで感じていた快感が得られなかったといいます。

論文著者のDaniel Levitinは「この実験により、脳内から分泌されるオピオイドが、音楽の快感に直接携わっていることが実証される」と語りました。脳から分泌されるオピオイドは、鎮静(ちんせい)作用と抑(よく)うつ効果があるので、ドーパミン分泌を促すことにより、まったりとした幸福感を得られるとされています。

ただし、オピオイドは現在アメリカで問題になっています。米国立薬物乱用研究所(NIDA)の報告によると、2015年度の薬物過剰摂取による死者数が、ヘロインなどの違法薬物を上回り、正規に処方された薬が半分以上を占めました。とくにオピオイド系鎮痛剤(ちんつうざい)の乱用が目立つそうです。

スリルによる高揚感

ジェットコースターに乗った時の高揚感は、なぜでしょう。安全と分かっていても、恐怖心により心拍数が上がります。死を回避するためのスピードとパワーを得るため、筋力増強システムが発動した証拠です。オランダの科学者による「ぜんそく患者」へのジェットコースター実験では、絶叫などにより肺機能は低下しましたが、息切れも低下したと報告しています。

バンジージャンプにおいては、アドレナリンが放出され覚醒(かくせい)状態になります。血中の神経伝達物質エンドルフィンを跳ね上げ、強い高揚感を経て幸福感をもたらします。その一方で、ストレスとなるコルチゾールも増加しますが、人は幸福感とストレスを同時体験するとストレスが感化され、ポジティブ傾向を示すそうです。

高揚感もストレスの一種ですが、生存本能のためか、味わいが変わってしまうのでしょう。もちろん、今まで述べてきたことは万人共通なわけではなく、個々の脳内物質の量によって受け止め方が変わるのは言うまでもありません。

飲酒にまつわる高揚感

アメリカの国立衛生研究所のギルマン博士たちは、注射によるアルコール摂取(せっしゅ)時の、脳の反応実験を行いました。それによると、顕著(けんちょ)な反応を示したのは、快楽を生じさせる働きがある「線条体」と呼ばれる箇所でした。

また、被験者に「恐怖におののく人の顔」を見せた結果、反応が鈍かったそうです。通常、不安感は他者へ伝染しやすく、不安情動に関係する扁桃体(へんとうたい)や帯状皮質(たいじょうひしつ)などが活発化します。ところがアルコールの影響を受けた、快楽の只中にいる脳から強い不安反応は検出されませんでした。

これが、いわゆる「酒を飲むと気が大きくなる」のメカニズムです。それに加えて、酒宴の解放ムードと、味覚の嗜好性(しこうせい)も高揚感を倍増します。お酒の席でハメを外す頻度も上がろうというものです。

宗教がいざなう高揚感

画像はギリシアのエレウシス遺跡の中心部、テレステリオン跡です。ここでエレウシスの密儀が行われていました。エレウシスの密儀とは、女神デーメーテールとペルセポネー崇拝(すうはい)のための祭儀です。いくつかの説によると、こういった密儀において高揚感を得るために薬物を用いたとされます。

古代や未開の地域では、宗教や魔術のため、高揚感をもたらす植物などを用いることがよくありました。ケレーニイの説によると、クレタ島からケシの栽培とデーメーテール信仰が、セットでエレウシスにやって来たといいます。ケシから精製されるオピオイドが、エレウシスの密儀に使われた可能性を示唆(しさ)しています。

その他の説では、密儀で飲まれた「キュケオン」には幻覚剤としての効果があったとします。キュケオンには大麦やライ麦などにつく菌類の麦角菌(ばっかくきん)が含まれ、アルカロイドの一種であるエルゴタミン、LSD手前のエルゴメトリンを成分として含有します。もちろん、以上のことは全て仮説の域は出ませんが。

ギャンブルにおける高揚感の矛盾

パチンコ依存症の方の話を耳にしました。パチンコ依存症の人は、大当たりが出た時に興奮するのではなく、リーチがかかった瞬間に、一番心拍数が上がるといいます。遠足と同じ理屈で、期待によるものです。具体的にいうと、脳内にβ-エンドルフィンが分泌され、安堵(あんど)がやってくるそうです。

脳内モルヒネ物質の効果による苦痛からの解放が、多幸感を呼び寄せます。それは興奮というより、鎮静効果から来る「安堵の快楽」。今まで現実で失ってきた、お金、時間、仕事、信頼、そして家族。それらを一気に取り返せるワケはなく、ただ、一時的に、とにかく「間に合った」という感情に浸るのです。

依存症の人が求めている高揚感は、興奮ではありません。「不安からの解放」が目的であり、手段であり、原因なのです。元からあった不安は、とうの昔に置去りにしたガラクタと化しています。ギャンブルによる空転をギャンブルで穴埋めするしかない、そんな矛盾した今から抜け出せないのが依存症です。

高揚感を高めるとどんな効果があるの?

高揚感や満足感が高まっている時は、脳内には大量に「エンドルフィン」が放出されています。ランナーズハイが、その典型とされます。以下は東京都医学総合研究所の池田和隆参事研究員の言葉です。

「エンドルフィンはゆったりした気持ちよさを誘う。神経を興奮させて気持ちよくなるのではなく、幸せ感を高めてくれる」

ちなみに、エンドルフィンは太りやすい物を食べた時にも出ます。糖分や脂肪分の多い物、とくに、疲れた後のチョコレートやアイスクリーム、それに霜降り肉などは効果てきめんです。ストレスを生む自制と、至福な解放とのバランスに気をつけましょう。

「楽」の高揚感で治癒力のアップ

山王病院で肺がん患者を長く診てきた奥仲哲弥副院長によると、闘病中の人でも楽しみをみつけられる遊び心のある人は、行く末を悲観する人たちと比較して、痛みを訴える率は低く治療効果も良いといいます。また、ランナーズハイを求めるあまり、無理して走るのは逆効果だといいます。

カタルシスという精神排泄行為

カタルシスという言葉があります。ルーツはセム語の燻蒸(くんじょう)を意味する「qatar」から来ています。硫黄(いおう)などを使用する燻蒸の儀礼が、東方を経て、古代ギリシアに不浄を祓(はら)う方法としてもたらされました。アリストテレスは『詩学』で「悲劇の効用」としての独自のカタルシス論を説きました。

これには「純化」と「瀉泄 (しゃせつ)」の二通りの解釈があり、歴史的に問題となってきました。アリストテレスは音楽の効果として、医学におけるヒポクラテスの排泄と同じ意味で「カタルシス」を語っている場面があるので、後者の排泄の意味が妥当とするのが今や有力です。

アリストテレスは悲劇(演劇など)の鑑賞には、その恐れと憐(あわ)れみにより、日常でたまったものを吐き出す効果があるとしています。それが魂の浄化、もしくは排行為泄であれ、心をリフレッシュすることには変わりありません。

自閉症は幸せ気分で治る?

幸せホルモンといわれる幸福感をもたらす「オキシトシン」ですが、もともと脳内に存在します。女性の乳汁分泌促進や、ギリシャ語の早産が語源から分かるように、陣痛誘発剤(じんつうゆうはつざい)として使われて来ました。しかし、今回は別の角度から紹介します。

浜松医科大学の山末英典教授と共同研究チームは、世界初の自閉スペクトラム症へのオキシトシン経鼻スプレーの臨床試験(りんしょうしけん)を行いました。自閉症はコミュニケーションに難のある障がいです。

投与の結果、専門家の評価では面談場面でのふるまいに効果がみられず、自己由来でないオキシトシンの血中濃度の上昇がみられました。コミュニケーション能力に限って見れば、変化は認められませんでした。

しかし、自閉症の主症状である、同じ事を繰り返す「常同行動」と、物事への関心の幅の狭い「限定的興味」が有意に軽減されました。また、対人コミュニケーションの障害の客観的な指標である、視線計測でも評価されたそうです。

この結果から強引に導けば、薬に頼らずとも、自前のオキシトシンで幸せ気分に浸れば、自閉症は改善されることになりませんか。まあ、結果は微妙ですが、今後の研究に期待しましょう。

高揚感を抑える方法とは?

高揚感をおさえる方法は、一言でいってしまえば「何もしない」のが一番ですが、高揚感の真っ只中にあっては、そうもいっていられません。また、人間にとって「何もしない」は、立派なストレスの一種ですから、やっかいです。このような時には、上記で紹介したようなランナーズハイのような運動が良いでしょう。

せわしなく落ち着きのない高揚感を、べつの高揚感でなだめるのです。エンドルフィンのもたらす、ゆったりとした幸福感が落ち着きを取り戻します。エンドルフィンの分泌には、少し息が上がる程度の有酸素運動を30分以上持続させるのが効果的です。

マラソン、クラシック音楽やヨガなども、α波が出てることでエンドルフィン分泌が促進されます。また、人と係り感謝し、感謝されることでも活性化するといわれています。

ハレとしての高揚感

ハレとは祭りや儀礼などの非日常を意味し、ケとは労働などの日常を意味する、柳田國男の日本の時間論、世代論のキーワードです。このページのトップでいったように、高揚感とはケの切断により、突如として顕現(けんげん)する聖なるハレではないでしょうか。ただ、柳田が指摘している通り、近代化と共にその境目が薄れてきました。

例えば冷蔵庫があります。厳しい習慣もありません。我々はいつだって好きな時に好きな物を食べられ、誰に咎(とが)められることもないのです。こういった多種多様な嗜好品(しこうひん)的高揚感と、その享受の節操の無さは、ギャンブル依存症に重なって映らないでしょうか。後戻りできないドツボにはまっているように思えなくもありません。

太古から人は高揚感をもとめて来たました。どこをほじくっても付喪神(つくもがみ)のガラクタが出て来るということは、拒絶しようのない、その証拠ではないでしょうか。――と、百均のメガネごしにキーを叩いてみました。

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