2019年01月17日公開
2019年01月17日更新
自責の念の意味とは?自責の念に駆られるなどの使い方を例文で紹介
自責の念に駆られることはあるでしょうか?自責の念とは、後悔を示す感情を表現した言葉です。ネガティブなイメージのある言葉ですが、実際はどのように使う言葉なのでしょうか。自責の念の意味や使用例、自責の念に駆られやすい人やその対処方法について考察していきます。
目次
「自責の念」の使い方をマスターしよう!
「自責の念」という言葉は、ネットニュースなどで見かけることがあります。ですが、会話ではあまり使うことがない言葉です。
「あのとき、あんなことをしなければよかったのに。」のようなネガティブな意味の言葉だろうけれど、正確な意味が分からない。そんな人は、少なくないでしょう。
そこで、今回は、「自責の念」の意味や使い方を紹介します。また自分に沸いた「自責の念」にはどのように対処すればいいのかを、あわせてご紹介していきます。
「自責の念」の意味とは?
それでは、「自責の念」とはどのような意味か考えていきましょう。「自責の念」という言葉は、比較的、誰でも知っている言葉です。しかし、日常的に使う人は少なく、「言葉は知っているけれど、使ったことがない」という人もいるでしょう。
そのため、言葉の意味をあいまいにニュアンスで捉えていることも考えられます。
「自責の念」とは、強い後悔・自分を責めることです。起こった出来事に対して、激しく後悔したときに「自責の念」という言葉がよく使われます。
自責の念とはどのような感情?
言葉の表面上の意味だけを見てもよく分からないという人もいるでしょう。「自責の念」は、感情表現の一つで、感じやすい人と感じない人がいますから、感じない人にとっては、いまいちピンとこない表現でもあります。
自責の念とは、どのような感情のことを表現しているのか、少し掘り下げていきます。「自責の念」は、大きく3つの感情を表現していると考えられます。
後悔と罪悪感の気持ち
まず一つ目をご紹介します。「自責の念」とは、後悔して自分を責める気持ちのことです。
「あんなことをしなければよかった」「あのとき、ああしておけば」のような後悔の気持ちから自分を責めることが、人生には度々起こります。このようなとき、特に強く自分を責めてしまう気持ちを表現した言葉です。
恥ずかしくて悔やむ気持ち
二つ目の意味は、恥ずかしくて悔やむ気持ちのことです。人は、一度や二度くらい、他人に恥じたくなるような後悔をしてしまうものです。二つ目の意味も、後悔の気持ちがあるということにおいては、一つ目の意味に似たところがあります。
後悔と同時に、恥ずかしく感じる気持ちが強くあるときも、「自責の念」と表現されます。
重大な出来事に責任を感じること
三つ目の「自責の念」の意味には、重要な局面で自分に責任を感じるという意味があります。起きた事態を自分の責任と重く受け止めることです。この責任を感じるという意味は、文字通りではありますが、意外に思う人もいるでしょう。
どの意味においても、悪い事態が起こり、自分で自分のことを批判的に受け止めたときの感情といえるでしょう。
「自責の念」の使い方
「自責の念」の意味を捉えたところで、実際に会話や文章ではどのように使用するのかを、考察していきます。例文を用いて、実際に使用するときの言い回しを考えていきましょう。
「自責の念」は、自分に責任を感じて後悔していることを表現します。その後悔の強さの度合いにより、言い回しが変化します。
「自責の念」を使った例文
「自責の念」を使った例文を4種類ご紹介します。日常のどのような場面で使用できるか、また、自分ならどのように使うかなど、想像しながら読み進めてください。
例文①自責の念に駆られる
<例文>
「自分が投げたボールで、友達にケガをさせてしまい、自責の念に駆られている。」
「駆られる」とは、高まった感情に動揺することです。悪いことが起こり、自分を責め、後悔する気持ちが衝動的に押し寄せるような感情を表現するときに用います。
例文では、ケガをさせてしまった相手を前に、後悔し自分を責める気持ちが高ぶっている様子であることが分かります。
「自責の念」の使い方の中で、最も強い感情を表現しています。この、「自責の念に駆られる」という使い方はポピュラーな言い回しですから、見聞きする機会は多いでしょう。
例文②自責の念を感じる
<例文>
「私が遅刻したために飛行機に乗り遅れて、旅行の予定が半日台無しになり、自責の念を感じている」
「自責の念を感じる」とは、自分のせいで相手に迷惑をかけ、その相手に対して申し訳なく思う気持ちです。仕事上でも、自分のミスで他のスタッフに迷惑がかかった時などにこのような感情をもつことがあるでしょう。
「自責の念に駆られる」と比較すると、後悔や自分を責める感情はやや柔らかいといえます。
例文③自責の念を覚える
<例文>
「私はこの案件が中断したことに自責の念を覚えている」
「自責の念を覚える」という言い回しは、「責任を感じる」という感情にきわめて近いといえます。ネガティブ度は、やや低めでしょう。仕事のシーンでの表現に使うと、なじみやすい言葉です。
例文④自責の念を込めて
<例文>
「敗因は私の指示にもあり、自責の念を込めて、次の試合では責める気持ちで挑むよう指導した」
「自責の念を込めて」という言い回しは、自分も悪いところがあったことを認めた上で、という意味で使われます。ここでご紹介した例文の中では、後悔の感情からくるネガティブ度は最も低いです。後悔ではなく反省のニュアンスがある使い方となります。
相手にアドバイスをするときに、角が立たないよう、「自分の反省点も踏まえていますよ」ことを伝えることができる便利な言い回しです。また、後ろ向きな気持ちばかりではなく、未来を見ていることがうかがわれる表現です。
自責の念にかられやすい人の特徴
「自責の念」について、その言葉の意味や使い方をみてきました。ここからは、自責の念にかられやすい人にはどのような特徴があるのかをみていきます。
自責の念にかられるとは、とても強い衝動的な後悔の感情を抱くことです。自責の念に駆られやすい人は、自分が悪いと感たり、自分の責任に感じたり、失敗したことを恥ずかしく思ったりしやすい人が多い傾向があります。
また、自責の念にかられやすい人は、息苦しい気持ちを抱えがちだと言えます。自分や身の回りの人であてはまる人がいないか、考えてみてください。
気持ちが優しく繊細
自責の念に駆られやすい人は、気持ちが優しく繊細な人が多いです。他人の気持ちに敏感ともいえます。優しい人は、いつも他人の立場で物事を考えるため、自分がした行為で傷つけてしまったことに、とても強い罪の意識を感じます。
また、そこまで大きなことではなくても、とても大変なことをしてしまったと悔やんでしまいます。
実は、自分を責めることでそれ以上責められたくないという心理が働いていることもあります。繊細な人ほど、自分で自分を責めているようにみえて、それ以上傷つかないように守っているということがあります。
人に頼ることが苦手
自責の念に駆られやすい人は、人に頼ることが苦手な人も多いです。すべてを自己完結しようとするため、物事の責任は、すべて自分にあると考えます。
自分から人を頼ることも苦手ですが、他人から頼られた経験も少ないでしょう。他人から見ると、ひとりで何でもおこなってしまう人は、周りからの手助けを必要としないことと同時に、周りを助けてくれないような印象にみえます。
このような人は、一人の世界に入ってしまうため、起きた出来事は、良くも悪くもすべて自分の成果と捉えがちです。悪いことが起きた場合は、自分一人の責任と感じ、自責の念に駆られやすくなります。
完璧主義で学生時代優秀だった
完璧主義で、学生時代優秀だった人も、自責の念に駆られやすい人でしょう。学生時代優秀だった人は、ミスや出来ないことに慣れていません。社会に出ると、学生時代のように完璧ではいられませんから、ときにはミスをすることもあるでしょう。
このようなとき、他人から見るとよくあるミスであっても、本人は取り返しがつかないミスをしたような気持になって、自責の念に駆られてしまいます。
また、完璧主義な傾向がある人は、自分のせいで何かの進行がストップしたり、他人に迷惑がかかったりといった状況が耐えられないほど苦痛に感じやすいものです。こうした苦痛が、後悔と恥じる感情として、自責の念につながっているといえるでしょう。
将来に希望がもてない
将来に希望がもてない状況にある人や、目標がない人も、自責の念に駆られやすくなります。自責の念は、とても後ろ向きで自分の内面にだけ向かう感情です。
将来に楽しいことが待っていたり、目標に向かっているときなら、自分の置かれている状況を未来から考えて、悪いことが起こったとしても成長の過程だと考えることができます。
ところが、未来が見えずに今の自分だけに注目しているときには、今起こっていることがすべてとなり、後悔にとらわれてしまうことにつながるのです。目標が見いだせないという人は、自責の念につかまらないよう注意したいです。
後悔と自責の念を感じた際の対処法
さて、自責の念に駆られやすい人の特徴をみてきましたが、いかがでしたか?もしかしたら、ひとつくらい当てはまったかもしれません。
そこで、次は、自責の念を感じたとき、どのようにその感情を対処すればよいのかについてみていきましょう。自責の念の対処法は、「後悔」と「自分を責める気持ち」をどのように落ち着かせるかがポイントとなります。
他の人のせいにする
自責の念を感じたとき、他人のせいにできないか考えてみましょう。自分のせいだと考えるから、自責の念に駆られてしまうのです。自分のせいではなければ、その苦しさから解放されます。
他人のせいにするというのは、一見、よくないことのように思われがちですが、自責の念に駆られている人は、そもそも、自分の責任を痛感している人ですから、少しくらい他人のせいにする緩さをもってもよいでしょう。
世界は一人でまわっているわけではありませんから、探せば他人のせいにできる部分が出てきます。そこで、その相手に「あなたが悪い」と言っては関係が壊れてしまう恐れがありますから、そこは自分の胸にしまいつつ、「自分だけが悪かったわけではない」ということだけ、噛み締めてみましょう。
そして、自分に「よく頑張ったね」と褒めてあげてください。実際にご褒美を買ってみるのもよいでしょう。
他人を頼ってみる
自責の念に駆られている自分に気がついたら、他人を頼ってみましょう。自責の念に駆られやすい人は、完璧主義で責任感が強い人が多いですから、他人を頼ることが苦手という傾向があります。
自分だけでなんでもできるかもしれませんが、他人を頼ってみると、自分だけの責任ではなくなりますから、肩の荷が下りるでしょう。
また、こちらから頼ってみると、今度は相手からも頼ってもらえるようになります。すると、「こんなことで頼っていいんだ!」というケースや「こんなミスなら許されるんだ!」というケースに遭遇することもでてきます。
このように経験値を積むことで、少しずつ自責の念を感じることが少なくなってくるでしょう。
目標や楽しみを見つける
自責の念に駆られたときは、目標を見つけてみましょう。近い日程のちょっとした目標でも大丈夫です。目標なんて大それたことでなくても、楽しみを作ってもいいです。興味のある映画を見に行くといった何気ないことでも十分です。
自責の念を感じているときは、どうしても自分の内面にばかり目がいってしまいます。それがどんどん傷をえぐっていくことにつながりますから、目をそらしてみることは良い対処法になります。
自責の念を感じやすい人は、「物事にはきちんと向き合わなければいけない」というストイックな価値観をもっていることもありますが、時には目をそらしてみることも大切です。
未来を見据えた反省や分析ならばよいのですが、自責の念は、どちらかというとその場で立ち止まってしまうネガティブなパワーをもっています。後ろ向きな感情にとらわれすぎているときには、矛先を変えてしまうことが良い結果につながることもあるでしょう。
「自責の念」の英語表現
続いては、「自責の念」の英語表現について学んでみましょう。
remorse
<例文>feelings of remorse
「remorse」は、激しい後悔や良心の呵責を表す英語です。「自責の念を感じる」に最も近い表現といえるでしょう。
guilt-ridden
<例文>guilt-ridden people
自責の念に駆られた人と訳されます。「guilt-ridden」は、罪の意識にさいなまれている様子を表す英語です。「自責の念に駆られる」という強い後悔の気持ちが表現されています。
自責の念を感じたときには少し先を見つめよう!
いかがでしたか?今回は、「自責の念」とはどのような意味か、また言葉の使用例をみてきました。また、自責の念に駆られやすい人とはどのような人なのかや、自責の念を感じた時の対処法をご紹介しました。
自責の念は、とらわれてしまうと、ネガティブな感情に引きずられてしまい息苦しくなるでしょう。自責の念を感じやすい人は、責任感が強く、優しい人が多いですから、自責の念を感じたとしても恥じることはありません。
ただ、少しだけ先の楽しみや目標を見つめて、自責の念から解放されましょう。