2019年02月12日公開
2019年02月12日更新
おいとまするの意味とは?おいとまします・させていただくなどの使い方
社会人になって先輩や上司と行動を共にすることになると聞く言葉に「おいとまする」があります。ではこのおいとまするの意味や由来、正しい使い方をしっかりと理解していますか?今回はビジネス用語でもある「おいとまする」について具体的にみていきましょう。
目次
「おいとまする」の使い方をマスターしよう!
ビジネス用語でも日常言葉としても使われることがある「おいとまする」という言葉は、ビジネスマンは知っている、という言葉でも若い人は聞いたことがあるようなないような、という状態の人もいるでしょう。
新卒のビジネスマパーソンなどは中々使う機会がない言葉かもしれませんが、聞きなれない表現だからといって知らないままで済ませるのはやはりよくありません。
今回はそんな「おいとまする」とは何か、使い方や意味、漢字や語源などについて具体的にみていきましょう。
「おいとまする」の意味とは?
ではまず、「おいとまする」とはどんな意味があるのか、そして漢字で表現するならどうなるのかから見ていきましょう。
最初は「おいとまする」という言葉の意味からです。おいとまするの現代での意味は、「休む」「暇になる」という意味です。そこから婉曲的な言い方で、「やめさせていただく」とか「お別れを申し上げる」という意味にも広がりました。
いずれにせよ、謙譲語であり、非常にへりくだった言い方になります。
「おいとまする」の漢字
「おいとまする」とは敬語の接頭辞の「お」に「いとまする」という動詞をひっつけた言葉です。「おいとま」は漢字で「御」と「暇」と書きますので、そのまま「御暇する」と書くと知らない人であれば、「おひまする」と読んでしまうこともあるでしょう。
間違いを防ぐためにも文章ではひらがなで書かれていることが多いです。
「おいとまする」の語源とは?
「おいとまする」は古くは万葉集にもみることが出来る昔からある言葉です。元来は「物事と物事の間に出来る空間」のことを指していて、それが転じて「休み」という意味になったといわれています。
もう一つ、古語で「忙しい」という意味がある「いとなし」から、「いと」つまり「休み」という言葉に「間」がつながって成立した言葉だ、という見方もあるようです。
「おいとまする」の使い方
語源や漢字、意味を一通りみてきたので、次は具体的な「おいとまする」の使い方を見ていきましょう。
年配の方と同席した時にそのように話されたとして、意味がわからなければ焦って変な行動をしてしまうこともありえますから、具体例をしっかりと学習して自分のものにしてしまいましょう。
理解しなければならないのは、謙譲語は自分の行動に対して使う、ということです。
「おいとまする」を使った例文
使い方をより判りやすくするために、例文を使って説明していきます。例文は4つですので、最初から順番に見ていきましょう。
例文①おいとまします
どこかにお邪魔をして、さてそろそろ帰ろう、となったときには「おいとまします」と相手に伝えます。これは「失礼させていただきます」と同じ意味になりますので、「失礼させて頂きます」と代わりに言っても問題ありません。
その場から「暇をもらいます」という意味で、そこから消えるということを丁寧に言った言い方です。「そろそろ帰ります」というよりも「そろそろおいとまします」の方が上品な印象も与えられます。
例文②おいとまさせて頂く
同じくその場から離れる、という意味で使うのですが、このような言葉が使われる例としては、夫婦喧嘩をして妻が夫に言う言葉です。
「わかりました。これ以上は我慢できませんから、おいとまさせて頂きます」と妻に言われた場合、これは「離婚」を示唆しています。妻は実家なり友人の家なりに行く、あなたとは別れたい、という決意でこのような言い方になるのです。
例文③おいとまいたします
何か気がのらない集まりなどに渋々出ているときなども、失礼にならない言葉として「おいとまします」は使えます。
特に仕事の相手先との食事会など、気を遣う場面では「おいとまいたします」と丁寧にいうことであなたの印象はぐんと良くなるでしょう。
例文④おいとまを頂く
会社に勤めるのも生涯の長きに渡ることが出来ればいいですが、そんなことは稀でしょう。勤め先を辞めることになったとき、例えば取引先の人に引継ぎの同僚を紹介する際などには「おいとまする」を使います。
「来月でおいとまを頂くことになりましたので、ご挨拶させて頂きます」のように使います。
「会社を辞めます」というよりも上品で柔らかい印象を相手に与えることが出来ます。
「おいとまする」の類語表現
別れを告げる |
失礼する |
辞去する |
ほとんどの言葉には類語が存在しています。類語は似たような意味がある言葉であり、通常複数存在しています。では「おいとまする」の類語を1つずつ説明していきましょう。
別れを告げる
「別れを告げる」とはその場、もしくはその関係から去るということの表現です。「おいとまする」は自分の行動について使う言葉ですが、「別れを告げる」は誰にでも仕えます。
「彼は彼女に明るく別れを告げた」というように使います。
失礼する
「失礼する」とはその漢字の通り、「礼」を「失っする」のです。相手の家や会社に訪問している時、先に席を立ってしまうことの謝罪の意味がこめられます。
「おいとまする」の代わりに使っても問題ありませんが、「失礼する」は「おいとまする」に比べると形式的な挨拶になります。
「失礼する」は会社においても取引先など自分と重要な関係性である時に使いますが、「おいとまする」は面識があって今後もあう可能性がある人や会社などに使います。
辞去する
辞去する、とは相手のもとで商談などの用事をすませた後に挨拶をしてそこを去る、という意味で使います。
「あの人は楽しく語った後で速やかに辞去した」という風に使います。
「おいとまする」を使う際の注意点
おいとまします、を正しい場面で正しい使い方をしようとするときに、注意したいことをあげておきます。
言葉は正しく使って初めて効果を発揮しますから、ぜひチェックして自分のものにしてください。
メールでは使えない
「おいとまする」とは実際に対面している人の前から帰る、という時に使う言葉ですから、一般的にはメールでは使われません。
もしメールで使われることがあるとすれば、それは「辞めさせて頂く」とか「お別れを申し上げる」という意味で使うくらいです。
例えばお世話になったクライアントに「来月に一身上の都合で会社をお暇させて頂きます、長きに渡り、大変お世話になりました。ありがとうございました」といったメール分を送るような時に使いましょう。
目上の人に対して使う際は注意が必要
「おいとまする」は謙譲語です。謙譲語とは自分をへりくだらせて相手を上位にあげる、という行為ですから、上司や年配の人など目上の人に対してその行動を表すことに使うことは出来ません。
つまり、自分の上司がすでに帰社したことを先輩や同僚に継げるとき、「○○部長はおいとましました」とは使いません。「○○部長はお帰りになりました」が正しい日本語です。
あくまでも自分を下げて相手をあげる言葉が謙譲語ですので、使い方には注意をしましょう。
「おいとまする」の英語表現とは?
「おいとまする」の正確な英語表現はありません。ここから出ます、帰ります、という意味の表現では「I must say good‐bye now.」などを使いましょう。「leav」を使って表現をしてもいいかもしれません。
そもそも英語においては、席を先に立つことに対して謝罪をする気持ちを表現することがとても難しいのです。去るときでさえ相手に敬意を払うという、いってみれば日本文化特有の表現だからかもしれません。
「おいとまする」に方言はある?
「おいとまする」は標準語です。言葉にはそれぞれの地域で独特の言い回しがあり、それを方言と呼びますが、各地で「おいとまする」に対する方言はあるのでしょうか。
「おいとまする」は「帰る」「休みを貰う」「(仕事を)辞める」といった意味があり、それぞれの言葉に対して方言は勿論あります。
しかしそれらは口語体であることに注意しましょう。口語体では敬語表現にはなりませんので、丁寧に「帰ります」と相手に伝えたい場合には標準語の「おいとまします」を使うのがスマートです。
上品な印象を残して去ろう
「おいとまする」はビジネス用語でもあり、年配の人や上司など目上の人がいる場において、自分を下げる謙譲語として使われます。
ただ単に「帰ります」というよりも上品で丁寧な印象を相手に与えることが出来ますので、意味や使い方をチェックしたら是非実践してみましょう。去り際に上品な印象を与えることができれば、相手の中であなたの印象は非常に良くなります。
目上の人に使う時は注意することや、メールでは基本的には使わないことを理解して、自分の言葉で自然に使えるように練習してみてください。