唇の乾燥にワセリンは大丈夫?リップクリームで唇ケアをしよう!
ワセリンを使った唇のケアについて解説します。ワセリンは皮膚保護剤として使用され、医療用軟膏の基材にもなっています。アトピー性皮膚炎や肌荒れ、乾燥肌対策にも使われますが、唇の乾燥対策に使っても大丈夫なのでしょうか?効果的なリップケアも紹介します。
目次
乾燥して荒れた唇にワセリンを使ってみよう!
ワセリンは皮膚保護剤として使用され、医療用軟膏の基材にもなっています。アトピー性皮膚炎や肌荒れ、乾燥肌対策にも使われます。
ワセリンはお肌のケアとしては馴染みのあるものですが、唇の乾燥対策などのリップケアとしても使えるのでしょうか。
今回は、ワセリンを使った効果的なリップケアや、唇の乾燥にワセリンを使用しても問題ないのか?などについて、紹介します。
そもそも「ワセリン」とは?
そもそもワセリンとは何でしょうか?ワセリンは石油を精製して作られたものです。石油から得た炭化水素などを脱色して精製して製造されます。英語での一般名は「Petroleum jelly(石油のゼリー)」です。
しかし、日本のユニリーバが商標登録した「ヴァセリン」の名称が有名になったため「ワセリン」という名前が使われるようになりました。ただし厳密にいうと「ワセリン」「ヴァセリン」は違うものです。「ワセリン」は後で紹介する「白色ワセリン」になります。
「ヴァセリン」はユニリーバの商品名で、白色ワセリンではありません。いずれにしても、石油のゼリーと言われると少し引いてしまいますが、白色ワセリンは、軟膏の基材や皮膚の保護剤として使用されており、比較的安全性の高いものです。
ワセリンの種類
石油から作られるワセリンですが、不純物を取り除く「精製」度合いによって、種類が分れます。ワセリンの種類は下記の4種類あります。個別に紹介します。
白色ワセリン
原料の石油から不純物をほぼ取り除いたものが「白色ワセリン」です。白色ワセリンには、日本薬局方の「第3類医薬品」のものと、医薬部外品の2種類があります。
日本薬局方とは、「医薬品などの有効性と、安全性の確保に関する法律により定められた基準書」に則って作られたもので、医療の現場でも使われています。薬局でも購入できます。
医薬部外品とは、日本薬局方で定められた医薬品と、一般的な化粧品との中間に位置するもので、薬用化粧品とされるものは、医薬部外品にあたります。
黄色ワセリン
黄色ワセリンは、不純物が残っているワセリンで、黄色味を帯びているものです。こちらも医薬部外品なので、スーパーなどでも普通に売られています。ユニリーバの商品として販売されている「ヴァセリン」は、黄色ワセリンとなります。
黄色ワセリンは、肌の強い人なら問題はありませんが、不純物が多いのでそれが刺激となって、肌のトラブルを起こしてしまう場合があります。お値段は安価ではありますが、子供や刺激性のものに弱い人は注意した方がいいようです。
サンホワイト
サンホワイトは、ワセリンの中で一番精製度が高いもので、日興リカ株式会社が製造販売しています。
こちらのホームページによれば、日本薬局方の白色ワセリンは、原料の石油に由来する不純物が微量に含まれており、紫外線などの影響で過酸化物が生成され皮膚への刺激となるそうです。
サンホワイトは、特殊な製法により不純物をほぼ完全に除去しているのだそうで、高品質の白色ワセリンとなっています。50gのチューブで1200円するので、そこそこ高価なワセリンです。
プロペト
プロペトは、白色ワセリンから更に不純物を取り除いてあるもので、眼科用に使われます。こちらも「日本薬局方」の第3類医薬品です。
医療用のプロペトは市販されておらず処方薬になります。一般用は「プロペトホーム」という名前で売られています。プロペトホームは眼科用には使用できないので注意しましょう。ただ、唇に塗るのには問題ないと思います。
精製度の度合でいくと、サンホワイトが一番不純物がなく、次がこの「プロペト」、3番目が「白色ワセリン」最後が「黄色ワセリン」となります。
ワセリンを唇に塗っても大丈夫?
ワセリンには大きく分けて4種類あることが分かりました。では、果たして皮膚の保護剤であるワセリンを、唇に塗っても大丈夫なのでしょうか。
結論から言うと、「ほぼ大丈夫」です。絶対に大丈夫と言えないのは、ワセリンには、発がん性などを指摘する文献があることや、唇に付けるため、少量は体内に入るからです。
ただ、日本で販売されているリップクリームは、ほぼすべてに「ワセリン」が含まれています。ワセリン以外にも防腐剤や安定剤なども添加されているので、ワセリン単品の方が安全性は高いです。大量に舐めるような事をしなければ、気にする事はなさそうです。
唇のケアの大前提は刺激しないこと
皮膚科の先生によれば、唇の荒れは、皮膚の荒れよりも直すのが難しい場合があるのだそうです。唇は血流が豊富なため、ちょっと傷めてもすぐに再生するように出来ています。
しかし、再生力よりも刺激が勝っていると、唇の荒れはなかなか治りません。市販のリップや口紅には、ミツロウという原料が入っていますが、これも刺激になります。また、メンタムリップに含まれるカンフル剤(スース―するもの)も、唇への刺激になります。
香辛料や、熱い食べ物も勿論刺激になります。結論を言えば、唇の荒れを治すときに一番大事なのは、「極力唇への刺激を避けること」になるのです。また、乾燥しないように保護するのも有効です。
ワセリンを使った唇ケア《簡単唇パック》
ここからは、ワセリンを使ったリップケアをご紹介します。はじめは、ワセリンを使った唇ケア「簡単唇パック」です。
前述したとおり、唇は再生能力が高いのですが、食べ物を食べたり、唾液が付いたりして乾燥や刺激の方が大きくなります。そのため一旦荒れてしまうと再生能力が追い付かず、なかなか治らない結果となります。
添加物が使われている、リップや口紅よりもワセリンで保護しておいた方が、刺激は押さえられるので無難なようです。
効果のある唇状態
簡単唇パックが効果のある唇の状態は、荒れの程度が「軽度から中等度」です。ワセリンには、皮膚の保護効果はありますが、あくまでも油膜を作るだけ。再生を促したり、浸透させる力はありません。
ただ、市販のリップを使うよりは、ワセリンの方が添加物がないだけ良いですし、荒れが気になる人のファーストチョイスにはちょうどいいと思います。
準備するもの
簡単唇パックで準備するものは、ワセリン、脱脂綿、お湯、小さなタオル、ラップ、です。アレルギーや刺激に弱い肌の人、すぐに肌荒れする人は、不純物を取り除いた「サンホワイト」か「プロペト」を使うといいでしょう。
やり方・手順
簡単唇パックの手順は簡単で、大まかに言えば「ワセリンを唇に多めに塗ってラップで保護する」だけです。 できれば入浴後の温まった後がいいでしょう。
1、脱脂綿をお湯に付けて唇を清潔にする(洗面所で洗うだけでも良い)
2、蒸しタオルをしばらく唇に当てる
3、ワセリンを多めに唇に塗りつける
4、ラップを唇の大きさに切り2枚用意して上から貼る
5、3分間たったらラップをはがす。
唇は刺激に弱いので、頻回にパックするのはおすすめできません。週に1度程度にしておきましょう。
ワセリンを使った唇ケア《ワセリンとはちみつのパック》
続いては、ワセリンを使った唇ケア「ワセリンとはちみつのパック」です。はちみつは、「保湿効果が得られる」「殺菌、抗炎症作用がある」「抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれる」の3つの理由から、肌へのパックに使用されることもあるようです。
ただ、はちみつは食べる事で効果が得られるものであり、肌に直接つけることによる医学的な根拠は不明確です。したがって、はちみつパックをおこなうのは、自己責任でお願いします。
効果のある唇状態
ワセリンとはちみつのパックで効果があるとされるのは、「唇の皮がむけている」「中等度の荒れ」状態の人です。はちみつは、空気中の水分を取り込むという性質があります。そのため唇に塗ると、水分を与えられるといった効果が期待できます。
準備するもの
ワセリンとはちみつのパックで準備するものは、「はちみつ」「ワセリン」「ラップ」「脱脂綿」「お湯」「小さなタオル」「はちみつとワセリンを混ぜる容器」です。
はちみつには「純粋はちみつ」「加糖はちみつ」「精製はちみつ」の3種類あります。栄養価が高いものは純粋はちみつで、リップケアでポリフェノール効果を期待するなら「純粋はちみつ」がおすすめです。
ワセリンはできれば、刺激の少ないものを選びます。容器はラップの上ではちみつとワセリンを混ぜるようにすれば、なくてもOK、唇を清潔にする、蒸すためのタオルなども入浴後などに行えば不要です。
やり方・手順
ワセリンとはちみつのパックの手順も簡単で、大まかに言えば「ワセリンとはちみつを混ぜたものを、唇に多めに塗ってラップで保護する」だけです。 こちらも、できれば入浴後の温まった後がいいでしょう
ワセリンとはちみつのパックのやり方は、以下となります。はちみつが乾燥するまでパックするのは、逆効果となりますので、3分~5分でとどめておきます。長くパックすればいいというものでも、ないようです。
はちみつワセリンパックの方法
1、ワセリンとはちみつを1:1の割合で混ぜる
2、脱脂綿をお湯に付けて唇を清潔にする(洗面所で洗うだけでも良い)
3、蒸しタオルをしばらく唇に当てる
4、ワセリンとはちみつを混ぜたものを多めに唇に塗りつける
5、ラップを唇の大きさに切り2枚用意して上から貼る
6、3分間たったらラップをはがして、はちみつを洗い流す
注意点
ワセリンとはちみつのパックをするにあたっては、注意点もあります。それは「植物アレルギー」の問題です。
スキンケアをするときには「植物性の方が優れている」と思っている人もいますが、植物性は万能ではなくアレルギーやかぶれなどを起こす事があります。一度やってみてかゆくなる、腫れるなどの症状が出た場合は、はちみつを綺麗に落として中止しましょう。
また、酷い唇の荒れの場合は、ワセリンやはちみつパックだけでは、治らない場合もあるので、一時的にお薬を使った方が良い場合もあるようです。
中国産はちみつの安全性は?
中国産はちみつは、国産のはちみつと製法は同じです。それなのに国産が高くて中国産が安いのは花畑が大量にあり、生産量が多い事や人件費が安いからのようです。
しかし、中国の大気汚染は深刻だと言われていますので、安全性は気になるところです。過去に抗生物質入りのはちみつが見つかった経緯などもあるので、やめておいたほうが無難です。
「全国はちみつ公正取引商標」がついているはちみつなら安全とする人もいます。確かに一定の基準にはなりますが、どこまで検査できているかは、分かりません。比較的安全なのは「ドイツ」「ルーマニア」「ニュージーランド」産のようです。
ワセリンをリップクリーム代わりにするメリットとデメリット
最後に、ワセリンをリップクリーム代わりにするメリットとデメリットを見てまいりましょう。ワセリンは市販のリップに比べれば、安全性は高いですが、デメリットもあります。
メリット①リップクリームより安い
ワセリンは、リップクリームより安いです。ワセリンをリップクリーム代わりにするメリットとしては、これが大きいかもしれません。リップに比べると使いづらいですが、指の腹で取ってサッと唇に付けるだけなのでそれほど手間でもありません。
白色ワセリン | 50gで300円~400円 |
プロペトホーム | 100gで700円~1000円 |
サンホワイト | 50gで1200円 |
メリット②持続性がある
ワセリンは、皮膚の保護剤としては、一番強力で、保湿性としても持続性が高くなっています。飲み物を飲んだり、食べたりすれば、多少は落ちますが、外に出かけるときも保護効果が長持ちするので乾燥を防ぐには、おすすめです。
デメリット①日焼け予防はできない
ワセリンは、皮膚の上に膜を作るので、保護作用は強いですが、脂分しか入っていないためそれ以外の効果は一切期待できません。
これから夏にかけて紫外線が気になる季節ですが、UVカット剤も入っていないので、唇の日焼け予防の効果として使うには不向きです。
デメリット②油焼けすることもある
ワセリンのもう一つのデメリットとしては、油焼けすることもあることです。これは不純物の入っているワセリンの場合に多く見られます。
油焼けとは、肌についた油が紫外線などによって、酸化油となり肌を刺激したり色素沈着を起こすことです。白色ワセリン以上のものならば、不純物はあまり含まれていないので気にする事はないと思います。
しかし、白色ワセリンで「接触性皮膚炎」を起こすなど、トラブルに見舞われる場合もあります。刺激に弱い方は、不純物の少ないサンホワイトにしておくといいようです。
ワセリンは唇の保護になる
唇の乾燥にワセリンを使って大丈夫なのか?ワセリンを使ったリップケアの方法、乾燥が酷いときのはちみつワセリンケアなどについて、紹介してきました。
ワセリンは石油から作られているものなので、皮膚に塗ったり、唇につけるのをためらう人もいるようです。また、ワセリン自体はただの「油」であり、それ以外の効果は期待はできません。
しかし、乾燥しやすい時期の唇の保護にはなりますし、市販の色々混ざったリップよりは、ワセリンを付けておいた方が効果はあるでしょう。油焼けや、アレルギーなどが気になる方は、純度の高い物を使用するようにして、唇をケアしていきましょう。