大阪府西成あいりん地区の治安は？危険でやばい地域なの？

「大阪府西成あいりん地区の治安がやばい！」という話題や噂を耳にしたことがある人もいると思いますが、これは「噂か事実か」どちらなのでしょうか。

実際に「やばいやばい」という話を耳にするし、大阪に住んでいる人、大阪が地元の人などに聞いても「あそこはやばいよ」ということも言われるケースが多いです。

なぜ、そのように「西成あいりん地区は治安がやばい」と言われるのか、その特徴や噂も含めた話題をご紹介しますので、西成あいりん地区について知りたい人はチェックしてみてください。

大阪府西成あいりん地区というのは、大阪市24区の内ひとつに「西成区」というものがあります。その西成の中に旧来からの呼び名で「釜ヶ崎」」という地域がありますが、そこが現在の「あいりん地区」になります。

場所としては、JR大阪環状線の新今宮駅の南側の地域一帯が「治安がやばい」と言われるあいりん地区です。これまた有名な「飛田新地」の東側という位置関係になります。

ときどき「西成＝飛田新地」とか「西成＝あいりん地区」という勘違いをしている人もいますが、西成全体から考えるとあいりん地区や飛田新地というのは、そのほんの一部の地域のことを指しています。

西成あいりん地区には「ドヤ街」や「ドヤ」と呼ばれるものがあります。これは「宿（ヤド）」の隠語のようなもので、つまりは簡易宿舎がたくさんある街ということです。

価格は色々とあり、「簡易」ということもありますが「やばいほど格安」のドヤが多く、1泊1000円前後は当然のようにありますし、安いところでは1泊500円というところもあります。

ただし、さすがに500円ともなるとセキュリティが甘く、部屋の鍵が壊れていたり、店主が何の用事か分からないが急に入ってきたりと女性が一人で泊まったりするのは治安の面も含めて危険を感じる環境と言えるでしょう。

ただ、1500円や2000円程度のドヤであれば、それは「高級ドヤ」と言えるようなところになるので、設備や治安・セキュリティ面も安心できるレベルのところが多いです。

西成やあいりん地区ではない付近、たとえば難波などにあるようなネットカフェのナイトパックなどと同程度の価格帯ですが、これでもドヤであれば高級なのです。

そして、その程度の価格を出せればドヤ内の廊下や部屋もホテルのように清潔感があり、冷蔵庫やテレビの備え付けもあって、さらにドヤによっては「女性専用フロア」などもあったりと治安など気にせず安心して泊まれる格安簡易宿舎があります。

大阪西成あいりん地区は「日本唯一のスラム街」とも言われています。元をたどれば江戸時代にまで遡りますが、当時の大阪には宿無しの人や浮浪者のような人が各地域から集まってきたと言います。

その流れで街道沿いにできたのが、非認可の素泊まりの宿の「ドヤ」の始まりです。そして貧困層が集まるようになると治安や衛生面が悪化していくのは当然で、そこからどんどんスラム化が進みます。

その主な場所というのは、現在の日本橋の電気街あたりでしたが、その地域のスラム街は一掃され、そこから流れ着いたのが現在の「あいりん地区」だと言われています。

今現在では暴動のようなことは起こっていませんが、以前は今よりも治安が乱れていましたし、「貧困層」と言われるような人が集まっていたこともあって度々暴動のようなことも起こっていました。

「西成暴動」と呼ばれるようなことが1990年ごろにも起こっていて、警察と暴力団の癒着などに激怒した住民や労働者が警察に投石を繰り返して訴えかけていた様子などがTVなど各種メディアで取り上げられていました。

日雇いなどで給料の安い労働者が多い中で、その安い給料も暴力団にピンはねされていたりと怒りが溜まっていたところに、その暴力団から警察がお金を受け取っているというのは怒りが爆発するには十分な理由と言えるでしょう。

西成あいりん地区が治安が悪いとかやばいと言われるのにはそれ相応の特徴があります。その特徴を見た人たちが「治安がやばい」「危険」だと感じるのです。

また、実際にそれらの特徴によって治安が悪いケースもありますが、「勝手な噂」が広まってしまって治安が悪い、危険だというイメージがついてしまっているということも言えます。

西成あいりん地区で見られる特徴によって「あそこは治安が悪いんだろうな」と思われても仕方ないような部分もありますが、あくまでも噂の域を出ないというものもあるのです。

西成あいりん地区が治安が悪いと見られるやばい特徴としては、「あちこちの路上で人が寝ている」というものが挙げられます。いわゆるホームレスの人や日雇い労働者が多く、路上で寝ている人も多いのです。

どんな土地であってもある程度栄えている街であればホームレスや路上生活者は一定数見られますが、西成あいりん地区にはそれが「多い」ということです。その様子を見て治安が良いと感じる人は少ないでしょう。

ただ、事実として「ホームレスが危険人物」かというとそういうこともなく、「ホームレスが多い＝治安が悪い」と直接的に結びつくとも言い切れないのです。ただ、この特徴によって治安が良くないように見えるのは事実でしょう。

西成あいりん地区の治安が悪く見えるやばい特徴には、「異様な雰囲気の西成警察署」も挙げられます。異様と感じるかは人それぞれな部分もありますが、一部では「要塞」と揶揄されるような風貌をしています。

これも、以前の日雇い労働者などが起こしていた度々の暴動によるもので、、西成署周囲を高い柵や鉄格子で取り囲み、門は鉄製になっています。

さらに、常に警杖を保持した警察官が門番に立ち、警備を固めているので、建物の作りとこの物々しい警備のために「要塞」という呼ばれ方をします。これも「治安が悪いからだろうな」と思われる一因になります。

西成あいりん地区には「闇市」と言われる「普通のお店では取り扱っていないもの」や「普通のルートで仕入れていないもの」が売られている市場のようなものがあります。

そこで売られているものは、盗んできたものや拾ってきたもの、捨てられていたものなどが多いです。盗んできたものはNGですし、捨てられているものも、厳密に言えば拾ってはいけないのでNGです。それらを売っているのももちろんNGです。

また、コピーDVDや生活保護受給者が病院でもらった薬をそのまま転売しているという「やばい」状況もあります。薬事法違反ですし、薬をそういったところで買うのは危険を感じます。そのような闇市が西成あいりん地区にはあるのです。

西成あいりん地区では、「色々な話題」があり事件を起こした人物が逃走先として使い、身を潜めるということもそれほど難しくない地域と言えます。

以前にも千葉県市川市で起きたリンゼイ・アン・ホーカーさん殺人事件の容疑者である市橋達也が身を潜めていたこともあり、そのような場所として話題に上がりやすいです。

2018年8月12日に大阪・富田林警察署から逃走した樋田淳也容疑者も西成あいりん地区にいるのでは？という話題が出たということもありました。

西成あいりん地区は、以前は「路上」での違法薬物の密売が横行していたくらいに治安がやばい状況でしたが、それは大掛かりな取り締まりの結果、ある程度のところまでは沈静化できました。

しかしながら、2018年の8月頃にも実際に無職の男2人が覚醒剤を売ったとして、警察に逮捕されています。それはここまでにもご紹介した「ドヤ」を使った密売の方法でした。

これまでは、路上で密売されていたか、指定場所に宅配するデリバリー方式が多かったのですが、この例のように路上で客をキャッチしてドヤの室内で取引するという方法も行われていたりします。

西成あいりん地区は本当に治安が悪く危険なのか、というところですが、ここまでの特徴や噂だけを見てみると実際のところも治安が悪く危険という結論に見えるでしょう。

しかしながら、ある程度都会で人が集まるようなところであれば頻繁に事件が起きていたり、覚醒剤や違法薬物の取引なども存在しています。

ですので、特別、西成あいりん地区だけが治安が悪く危険な地域だということはないでしょう。ただし、スラム化が進んでいたり他では見られないドヤ街、闇市などがあったりと特殊なのは確かなので、少し詳細に危険度を見てみましょう。

西成あいりん地区の治安や危険度を探るのに「女性が1人で出歩いても大丈夫か」というところですが、昼間はほとんど問題ないと言えるでしょう。

西成あいりん地区は路上を見渡しても見かけるのはほとんど男性で、いわゆる「おじさん」や「おじいさん」のような人ばかりです。ですが、女性が1人で歩いてたとしても昼間からいきなり襲いかかってくるほどの治安の悪い街ではありません。

夜に女性が1人で出歩いているのは「安心」とは言えませんが、これも人目の少ない路地や治安が多少悪いような地域であれば、西成あいりん地区でなくとも危険なので、その危険さは珍しいほどではないでしょう。

西成あいりん地区には、公衆トイレがぽつぽつと点在しています。そして「わりと」清掃も行き届いていて、トイレットペーパーなども設置してあることが多いです。

ですので、キレイとは言えませんが、「想像どおりの超汚い公衆トイレ」とは違うと言えます。ただし、入り口は男女で分かれているのに中では繋がっているという場所もあります。そもそも女性がほとんど利用しないからということもあるでしょう。

また、中には「便器に注射器を捨てないでください」という張り紙があるところもあります。これはつまりトイレの中で薬物をやっている人がいる可能性があり、そこに出くわすのは非常に危険なので、公衆トイレに危険があるのも確かです。

実は西成あいりん地区出身だった芸能人もいます。「実は」と言っても特に隠しているわけではありません。芸能人の出身地などは一部のコアなファンが知っている程度で、それほど広く知られているものでもないでしょう。

ただ、そのキャラクターによっては「ネタになる」ということであえて西成あいりん地区出身なのを言うこともあるでしょうが、それをあえて「わざわざ言う」ようなことは避ける芸能人も少なくはありません。

俳優の豊川悦司さんは西成あいりん地区出身の芸能人です。大阪府八尾市出身なので厳密にあいりん地区なわけではないのですが、周辺ということになるでしょう。

小学生のころは父親の仕事の都合で千葉県内に住んでいたという話もあるので、ずっと大阪にいたわけではありません。

元プロボクサーでタレント・俳優の赤井英和さんも西成あいりん地区の出身芸能人です。赤井英和さんは、大阪府大阪市西成区出身で中学・高校時代は喧嘩に負けた事がなく、大阪一帯にその名は響き渡っていたと言われるほどです。

ただ、赤井英和さん本人の自伝などによると、両手の指に数えられるくらいしか（喧嘩を）したことがないと主張しています。

プロボクサーとしては「浪速のロッキー」として有名であり、現在はタレント・俳優としてテレビ番組などで活躍している芸能人です。

西成あいりん地区出身の芸能人には「やしきたかじん」さんもいます。やしきたかじんさんも先にご紹介した赤井英和さんと同じように大阪府大阪市西成区出身です。

2014年1月3日に64歳ですでに亡くなっていますが、、歌手やタレント、司会者やラジオパーソナリティとして活躍していました。

主に関西ローカルや大阪の放送局製作で、関東を除く広域ネットの番組に出演していることが多かったです。「やっぱ好きやねん」という歌とその歌詞が有名で、いまだに使われたり話題になることも多いです。

治安が悪いと言われたり、実際にスラム化が始まり治安が悪化したのは、先にもお伝えしたとおり電気街のスラム街が一掃された頃なので、もうずいぶん前の話になります。

西成あいりん地区に実際に住んでいる人やその周辺に住んでいる人も、「昔とは変わった」ということを言っている人も多いです。どのように変わってきたのかを以下にご紹介しましょう。

西成あいりん地区は住所不定の人なども日雇い労働者として働きやすい環境なので、日雇い労働者が集まってくる傾向にありますが、それでも徐々に若い人の流入はなくなり、高齢化が進んでいます。

それに伴ってというのか、結果的にというのか治安の悪化も進まなくなっていると言えるでしょう。やはり若く血気盛んな年頃の人たちが集まっていたほうが「悪さ」を行ないやすので、治安も悪化します。

高齢者が犯罪をしないというわけではありませんが、全体的な治安としては落ち着きやすいのも確かでしょう。

西成あいりん地区にある安宿、つまりドヤが外国人に人気があります。とにかく安いですからバックパッカーなどの外国人は泊まりやすいのです。

しかも確かに日本国内の治安の良い地域に比べれば治安が悪いとも言えますが、外国から考えるとそれでも治安が悪いとは思えないくらいの治安であるケースも多いので、「ただ宿が安いだけ」という印象にもなります。

直接的なあいりん地区ではないのですが、西成リゾート化計画ということで「高級ホテル」で有名な星野リゾートが西成およびその周辺に進出してきています。

実際にあいりん地区から見てJR新今宮駅を挟んだ北側に星野リゾートのホテルが建設される予定となっています。さらに南海電鉄の訪日外国人交流施設なども建設予定で、その環境が大きく変わろうとしています。

西成あいりん地区にある自販機の飲み物が安いというのも有名な話です。通常の自販機では130円や150円で売っている飲み物が多いですが、あいりん地区にある自販機では100円を超えると「高い」と感じるほどです。

50円で売っているものは多く、中には「30円」などで売っているようなものもあります。ただ、普通の自販機で見かけるような飲み物ではなく、「どこのメーカーのコーヒー？」というような銘柄ばかりなのも特徴です。

西成あいりん地区は決して治安が良いとは言えませんし、安心安全の地域とも言えない部分はあります。ただ、少しずつ変わってきていて、思っているほどの「やばい」状況は改善されてきています。

ただ、そこで昔から暮らしている人は変わることで住みづらくなるとも感じていて、変わっていくことを良しとしない人も少なくありません。

良いところを残しつつ、治安が悪い部分や危険な部分だけを取り除けるような動きで、住んでいる人の多くが不満を持たないような施策が重要かもしれません。