ミーム汚染の意味とは?野獣先輩やSCPなどの具体例を紹介
ミーム汚染の意味とは?ミーム汚染という言葉を知っていますでしょうか。この言葉の意味についてのご紹介と「そもそもミームとは?」という部分もお伝えします。またミーム汚染の具体的な例なども取り上げていますのでチェックしてみてください。
ミーム汚染が拡大中!
インターネットが普及したことによって、「ミーム汚染」が拡大していると言われています。インターネット普及以前よりも様々なものや人、それぞれの価値観などに触れる機会が増えたことでそのような影響が出るのです。
インターネット普及以前であれば、自分の身近な人や環境、価値観くらいしか影響を受けるものも少なく、ミーム汚染するような機会も少なかったと言えます。
もちろん、インターネットがなくともテレビや書籍、漫画などの広い価値観に触れる機会はありましたが、やはりインターネットが普及したことによる影響は大きいでしょう。
ミーム汚染の意味とは?
ミーム汚染という言葉の意味を知っていますでしょうか。これはそのままの意味で考えてしまえば問題なく、「ミームに触れたことによって汚染されていく」ということを意味しています。
また、他の言い方では、「ミーム感染」という言い方をする場合もあります。さらに他の言い方にすると「ミーム災害」という表現もされます。
それぞれの意味はミーム汚染と同じ意味で、ミームに触れる、ミームを受けることで、そのミームに影響を受けていくような様を表した言葉と言えるでしょう。
そもそもミームとは?
ここで、「そもそもミームとは?」という部分が理解できていないとミーム汚染についても理解し難い部分があります。もともとミームとは、情報伝達における単位のことで、進化生物学者のリチャード・ドーキンスによって名付けられた概念です。
簡単にいうと、常識や文化、経験や知識、概念など人々の行動様式に影響を与えるものを表しているもので、その「ミーム」が汚染されることをミーム汚染と言うのです。
つまり、これを分かりやすく例えるなら「これまでの認識が変わる」、「常識が覆される」ようなことをミーム汚染と表現している形になります。
ミーム汚染の具体的な例
ここまでの説明で「ミーム汚染とはどういうものか」がしっかり理解できるという人はあまり多くはないでしょう。概念的な話になるので、聞き慣れない言葉の意味を理解するにはこれだけでは難しいです。
そこで、実際にミーム汚染が起こった場合にどうなるのか、ミーム汚染の具体的な例を交えながら「ミーム汚染とは?」という部分を詳しくご紹介していきます。
実は、ミーム汚染という言葉を知らなくても、「ほぼ間違いなくミーム汚染を経験したことがある」と言えるほどにミーム汚染というは頻繁に起こっているものなのです。
野獣先輩
ミーム汚染の具体的な例には、「野獣先輩」があります。この野獣先輩というのはインターネットにおけるミーム汚染の代表的なものとも言える例でしょう。
野獣先輩というのは、成人向けのビデオ「真夏の夜の淫夢」に出演している男優がその「野獣のような眼光」から付けられたあだ名のようなもので、インターネット上でとても有名な人物とも言えます。
「真夏の夜の淫夢」や野獣先輩の元となる話題を知らなくても、「野獣先輩」という言葉自体は聞いたことがある、という人も多いでしょう。それくらいに有名なあだ名です。
この「野獣先輩」という言葉自体がそもそもミーム汚染とも言えます。「野獣」と聞いたらすぐに「野獣先輩」を思い浮かべるという人も多いことから、「野獣」という概念自体がもともと持っている概念から外れて「野獣先輩」に繋がっています。
また、ほかによく見られるもので、「○○先輩」という言葉もあります。これについても「○○先輩」という言葉や、そのようなニックネームなどを見ると、即座に「野獣先輩」を思い浮かべる人もいます。
これについても野獣先輩がミーム汚染を起こしている例と言えます。そして、野獣先輩がインターネットでのミーム汚染を起こしている例としては、「野獣先輩」というあだ名が与えるものだけではありません。
野獣先輩と淫夢語録
野獣先輩が話題に上がるのは、その眼光や風貌から見られる部分だけではなく、その成人向けビデオのタイトルにある「淫夢」というところから取った「淫夢語録」があります。
この「真夏の夜の淫夢」では、数々の「名言」のようなものが飛び出しており、それらが発売から数年経った今でもインターネット上ではたびたび使われ、人気の語録となっているのです。
たとえば、「イキスギィ!」などの言葉は「○○過ぎィ」などの言葉に変換されて使われています。これの影響で、ただ普通に「○○過ぎ」という発言を見ただけでも淫夢語録を思い浮かべてしまうような状態がミーム汚染の状態です。
淫夢語録には、50音順にして言葉を並べられるほど数々のものがあり、それらがすでに淫夢語録とは知らない人でさえも普通に使ってしまっているくらいにインターネット上では普及しているほどになっています。
それだけの語録があるので、それを野獣先輩や淫夢語録と繋げられるような人であれば、日常的に使われているような多くの言葉が「淫夢語録」と繋がってしまうので、ミーム汚染は強いものと言えるでしょう。
元ネタを知らずに使っている人が数多くいるくらいに、そしてその語録の数の多さからも、インターネットにおけるミーム汚染の代表的なものとも言える例に「野獣先輩」が挙げられるのです。
SCP界隈
SCPやSCP財団という言葉を聞いたことがあるでしょうか。このSCPとはSCP財団という空想上の組織を舞台にした、同じ世界観を共有する作品が集まる、シェアワールド形式の作品投稿サイトのことを指しています。
また、SCPというのは、財団だけではなく、自然法則に反した異常な存在・場所・物体・現象それ自体のことも指していて、財団はSCPの保護・研究を世界各国の政府より委任された秘密組織ということになります。
砕けた言い方をすると「そういう設定」ということになり、これらはあくまでも空想、架空のことではありますが、SCPのサイトには日夜新たなSCPの報告事例が作成されて続けています。
そして、このSCP財団の界隈でもミームというものが扱われていて、この財団界隈においてミーム感染とは、「感染力を持った異常な情報による認識や記憶の歪曲とそれに伴う行動」とされています。
本来ミームが変わっていくのは、時間をかけてゆっくりと行われるものですが、それを強制的に変えてしまい別の常識を相手の中に作ってしまうのが「ミーム汚染」ということになっています。
そもそもSCPとは、「ざっくり」言うと短編ホラーのようなものなのですが、頭を使って文章を読み解くことが必要で、そうしないと真の恐怖が理解できないものも多く、「分かりづらい」ものなので、SCP界隈の話題についても難しいものが多いです。
ねこがいる
SCPの中で分かりやすい例が「SCP-040-JP」というオブジェクトで、通称「ねこですよろしくおねがいします」というものがあります。
ネタバレを含むので軽く説明すると、最初に「見るな、見る場合は肉眼ではなくカメラ越しに見ろ」というようなことが書かれています。これのロックを外して中を確認すると目つきの悪いネコが書かれているのです。
そこに、「ねこですよろしくおねがいします」という文字も書かれているので、通称がそのようになっています。そして、1度このネコを見てしまうと「ねこがいる」という概念にとらわれるようになり、暗闇にすらネコがいるように見えてしまうというものです。
これが認識災害、ミーム汚染という状態です。本来はそこにねこはいないのに、ねこがいるという概念や認識にとらわれてしまって、常にねこがいるという認識ができてしまうということになります。
そして、SCPではこの「ねこ」も危険な収容対象のものであるけれど、簡単に拡散され多くの人に強い影響を与えてしまっていることから、それがミーム汚染やミーム災害ということになるのです。
ミームという言葉自体は先にお伝えしたようにリチャード・ドーキンスという学者が作ったものですが、この言葉を日本で広めたのはSCPとも言えます。
現場猫
現場猫というのもネット上で生まれたものですが、こちらもミーム汚染が進んでいるものと言えるでしょう。現場猫の元ネタになるものは、くまみね氏がTwitter上に投稿した電話をしている猫、通称「電話猫」が元となっています。
「電話応対する猫」ということで、その様子を色々と表している猫のキャラクターが描かれているイラストなのですが、それがネット上の掲示板、主に「二次元裏板」などで話題になり、別のものに二次創作されているものになります。
特に猫が指を指して「ヨシ!」と指差呼称している画像が有名です。実際には「ヨシ!」とは言えないような大事故に繋がるようなところで、「ヨシ!」と言っているようなシーンで使われることが多いものです。
これの何がミーム汚染なのかというと、「現場猫」のほうが有名になりすぎたため、元ネタである「電話猫」が知られてないということならまだしも、元が現場猫だと思われてしまっているというところです。
現場猫があって、そこから電話猫が生まれたと思われているという状況や、くまみね氏がそもそも「現場猫」を描いたのだと思われているなどもあります。
そういった「認識のズレ」がミーム汚染を起こしていて、くまみね氏本人さえも、「これ誰が権利もってんだろ」と言ってしまうほどになっています。
日常会話がネットスラングに聞こえる
ミーム汚染でよく見られる現象には、日常会話でさえも「ネットスラング」に聞こえてしまうということです。さきに挙げた野獣先輩や淫夢語録でもお伝えしたように普通の言葉がネットスラングに繋がってしまうのです。
ネットスラングがふさわしくないような場面、たとえば人が亡くなったような場面で、「悲しいなあ」という言葉を見た時に、そんな時にネットスラングは常識外れだろ、と思ってしまうというような状態です。
「悲しいなあ」という言葉は普通に使われる言葉なのですが、ネットスラングとしても頻繁に使われる言葉です。これが、「普通の言葉」というよりも「ネットスラング」としての認識のほうが優先される状況がミーム汚染されている状況と言えます。
物に人の顔のようなものが見える
そもそもミーム汚染の意味はインターネットだけにとどまらないのですが、この「物に人の顔のようなものが見える」というのもミーム汚染と言えるでしょう。
天井のシミが人の顔に見えるとか、木の幹に人の顔が見えるなどの認識のズレが生まれることがあるでしょう。これも本来のものとは違ったものが見えているという意味では、ミーム汚染と言えるのです。
CMや広告のキャッチコピー
ミーム汚染には、CMや広告、それらに使われているキャッチコピーなども影響しています。たとえば、「満足」と聞いたら「一本満足」をすぐに思い浮かべたり、「初めての」と聞いたら「アコム」を思い出すというようなものです。
「満足」にはそれ自体に意味があり、それで完結していますし、「初めての」といってもそれにはアコム以外の選択肢が色々とあるでしょう。
しかしながら、普通の認識とは違ってズレていたり、それが新しい認識として一般化するほどになるのもミーム汚染やミーム災害と言えます。
ミーム汚染と似たような言葉
ミーム汚染と似たような言葉があります。これらもインターネット上で一般化した言葉が多いですが、それだけインターネットは広まるのが早いということも同時に言えます。
意味が似ている言葉や成り立ちが似ている言葉など様々なものがありますが、ここでは2つほどミーム汚染と似たような言葉をご紹介します。
ゲシュタルト崩壊
ミーム汚染に似た言葉には、「ゲシュタルト崩壊」という言葉があります。これもいわゆる「認識のズレ」のようなことを意味していて、たとえば「粉粉粉粉粉粉粉粉」というようなものを見たときに「これってこんな字だっけ?」と感じるような状態です。
漢字などの「字」だけではなく「図形」などでも同じようなことが起こります。ゲシュタルト崩壊が起こりやすい文字や図形というものもありますが、特に何と決まっているわけではなく、あらゆるもので起こりうる現象です。
カリギュラ効果
「カリギュラ効果」というものもミーム汚染と似たような言葉として挙げることができるでしょう。これは、「ダメと言われるとやりたくなる」というような現象を意味している言葉です。
もともとはローマ帝国の皇帝カリグラをモデルにした映画『カリギュラ』が語源です。あまりに過激な内容のため一部地域で公開禁止になったのですが、それがかえって世間の話題を集めたということにちなんでいます。
ミーム汚染は予測不可能
これまでミーム汚染されてきたものというのは、「知らず知らずのうちに」というものがほとんどです。いつの間にか当たり前になっているような状態で予測できるようなものではありません。
今も気づかぬうちにミーム汚染は進んでいて、いつの間にか当たり前になっているけれど、「これって前まではそう考えてなかったよね」と思うようなものも必ず出てくることでしょう。
ミーム汚染は身近なところにたくさんある
ミーム汚染が見られるのは特にインターネット上が多いですが、特にそれほどインターネットに依存していなくともミーム汚染は起こっています。
簡単な「認識のズレ」や「すでに当たり前になっているもの」なども日常生活の中にあるでしょう。色々と思い返してみれば、「思い当たる節がある」ものもあるはずです。
「汚染」や「感染」などの言葉が使われるので悪いもののように感じますが、特に悪いものということではないので、何がミーム汚染されているのかを見つけるのも、一つの楽しみとも言えるでしょう。