ファラリスの雄牛の実物はまだある?残酷な拷問・処刑器具を紹介

古代から中世にかけて、世界各地には残酷極まりない拷問器具がたくさん存在していました。中でも、罪人を焼き殺すために作られた「ファラリスの雄牛」という拷問器具は、特に残酷と注目を集めています。今回は、その「ファラリスの雄牛」について、詳しく紹介していきましょう。

ファラリスの雄牛の実物はまだある?残酷な拷問・処刑器具を紹介のイメージ

目次

  1. 1最も残酷な拷問器具「ファラリスの雄牛」
  2. 2ファラリスの雄牛が作られた経緯
  3. 3ファラリスの雄牛の構造とは?
  4. 4ファラリスの雄牛で処刑された犠牲者
  5. 5ファラリスの雄牛の実物はまだある?
  6. 6ファラリスの雄牛での処刑は本当に可能だった?
  7. 7ファラリスの雄牛が出てくる漫画・映画
  8. 8ファラリスの雄牛以外の残酷な処刑器具
  9. 9残酷ながら現代人の興味を惹く拷問器具「ファラリスの雄牛」

最も残酷な拷問器具「ファラリスの雄牛」

紀元前のシチリア島で制作されたとされる拷問器具「ファラリスの雄牛」は、その残酷すぎる処刑の様子から、現在でも最も残酷な処刑器具とされています。

「ファラリスの雄牛」とは、雄牛を象った金属製の大きな入れ物で、その中に罪人を閉じ込めて直接火にかけ、苦痛を与えるという残酷な処刑器具です。

罪人の苦しみを訴える悲鳴が、周囲の人には雄牛の鳴き声の様に聞こえるようになっていることから、「ファラリスの雄牛」という名が付けられました。

しかし、「ファラリスの雄牛」という名前も知らなかったという人も少なくないでしょう。そこで、今回は現在でも残酷すぎると多くの人を震え上がらせている拷問器具「ファラリスの雄牛」について、詳しく解説していきたいと思います。

ファラリスの雄牛が作られた経緯

残酷すぎることで有名な「ファラリスの雄牛」という拷問器具は、どのような経緯で作られてしまったのでしょうか?「ファラリスの雄牛」は、古代ギリシャ帝国が世界の覇権を握っていた紀元前600年頃のシチリア島で開発されました。

シチリア島のアグリジェントと呼ばれる地域は、長年ファラリスという人物によって治められていたのです。新しい刑罰を考案する必要に迫られたファラリスは、アグリジェントで一番腕のよい金属加工職人ペリロスに拷問器具の政策を依頼します。

その依頼を承諾したペリロスは、雄牛の形を忠実に再現した「ファラリスの雄牛」を作り上げるのです。閉じ込められ火にあぶられた罪人の悲鳴が、外からは雄牛の鳴き声に聞こえるような工夫も施された「ファラリスの雄牛」は、ファラリスを喜ばせました。

しかし、残酷な支配者であったファラリスは、何とぺロリスを処刑器具「ファラリスの雄牛」の最初の犠牲者にしてしまったのです。

ファラリスの雄牛の構造とは?

「ファラリスの雄牛」には、処刑されている罪人の悲鳴が雄牛の鳴き声のように聞こえるような仕掛けが施されています。古代ギリシャの時代に、そこまで複雑な仕掛けを金属素材のみで作ることができたとは驚きでしょう。

そんな「ファラリスの雄牛」の内部構造が気になる人も多くいると思います。そこで、以下では「ファラリスの雄牛」の内部構造を詳しく取り上げていきましょう。

なぜ雄牛なのか?

「ファラリスの雄牛」は、大人が1人入れるほどの大きさの金属製の容器で、「ファラリスの雄牛」の背部にある大きな穴が入り口となっています。

熱伝導の良い真鍮という金属で作られているため、罪人を入れたまま腹部を熱であぶると、全体に熱が行き渡り、罪人をより苦しめるのです。

「ファラリスの雄牛」の頭部部分には複雑に細かい筒状の金属が、絶妙なバランスで配置されており、口部に繋がる筒からは唯一内部から空気が通るようになっています。

頭部の表面にはいくつかの小さな穴があり、その穴の栓を取ると、口から聞こえてくる拷問されている罪人の悲鳴の音の高さが変わるのです。

罪人の苦悶を訴える悲鳴は、拷問器具の口から聞こえ、雄牛の唸る声そっくりに聞こえたことから、名前は「ファラリスの雄牛」となりました。「ファラリスの雄牛」は、拷問されている罪人の悲鳴すら音楽のように楽しむという残酷な仕組みの拷問器具なのです。

ファラリスの雄牛で処刑された犠牲者

残酷極まりない拷問器具「ファラリスの雄牛」は、実際に罪人の処刑や拷問に使われていたそうです。以下では、「ファラリスの雄牛」で悲惨な最期を迎えてしまった人達を、取り上げていきましょう。

製作者のペリロス

「ファラリスの雄牛」が残酷な処刑器具と言われる理由には、最初に処刑された人物が製作者ぺロリスであるということも挙げられます。ぺロリスが支配者であったファラリスに「ファラリスの雄牛」を献上した際に、ファラリスは大層喜びました。

「ファラリスの雄牛」の出来の良さに興奮したファラリスは、何とその場にいたぺロリスに、「ファラリスの雄牛」の仕組みがきちんと動くと証明してみろと命令します。

ぺロリスは「ファラリスの雄牛」に入り、内部からの音が雄牛の唸り声に聞こえる仕組みを説明しました。その際に、ファラリスは従者に命令してぺロリスを「ファラリスの雄牛」の中に閉じ込め、残酷にも火であぶり始めてしまいます。

ぺロリスは半狂乱になり助けを求めて悲鳴を上げるものの、助けられることなく焼け死んでしまったのです。残酷なファラリスはぺロリスの最期の悲鳴すら、楽しんで聞いていたとされています。

「ファラリスの雄牛」の出来が良すぎたばかりに、製作者ぺロリスは「ファラリスの雄牛」の最初の犠牲者として命を落としてしまったのです。

キリスト教の殉教者

「ファラリスの雄牛」の犠牲者の中には、多くのキリスト教信者もいたそうです。「ファラリスの雄牛」は拷問器具として長期間使われ続け、ローマ帝国の時代になっても、罪を問われたキリスト教信者達の処刑に使用されていました。

「ファラリスの雄牛」の犠牲者の1人であるキリスト教信者のエウスタキウスは、権力者の言う通りに宗教を変えなかったことで処刑されています。本人だけでなく家族も皆「ファラリスの雄牛」で処刑されてしまったそうです。

ローマ帝国が覇権を握っていた時代には、キリスト教信者は理不尽な迫害の対象になっていたため、このような残酷な処刑がまかり通っていたのでしょう。

ファラリス自身が最後の犠牲者

「ファラリスの雄牛」で最後に処刑された人物は、皮肉にも「ファラリスの雄牛」を作るようにぺロリスに命令したファラリスとされています。民に暴虐であったファラリスは、支配者としての地位を剥奪され、これまで犯してきた罪が暴かれるのです。

ファラリスは、最終的に「ファラリスの雄牛」による処刑という皮肉な刑罰を下され、命を落とします。「ファラリスの雄牛」の最初と最後の犠牲者が、「ファラリスの雄牛」の制作に深くかかわった人物ということには、皮肉な運命を感じるでしょう。

処刑された犠牲者の骨はブレスレットに

「ファラリスの雄牛」の残酷さが現代人の間でも話題になっている理由には、犠牲者の骨をブレスレットにしたというエピソードも挙げられます。

「ファラリスの雄牛」によって高温で焼き殺された犠牲者達の骨は、高温で熱せられ続けたため、ダイヤモンドの結晶に化学変化したのです。

骨に含まれる炭素は、高温で加熱し続けると化学変化を起こしダイヤモンドに変化します。そのため、「ファラリスの雄牛」の犠牲者の遺骨は、ダイヤモンドとなりその美しさで人々を魅了したのです。

現在では、主にスイスで故人の遺骨をダイヤモンドに加工し、形見にするという供養方法が流行しています。日本でも、その供養方法は新しい供養の形として受け入れ始めているのです。

ファラリスの雄牛の実物はまだある?

罪人の断末魔の叫びも音楽として楽しむという残酷な処刑器具「ファラリスの雄牛」は、本当に実在するのか気になる人もいるでしょう。現在「ファラリスの雄牛」の実物は残っていません。

「ファラリスの雄牛」の実物はファラリスが最後の犠牲者となった後に、廃棄されたという説があります。当時は「ファラリスの雄牛」の模造品が作られていた可能性もあるでしょう。

しかし、現在発見されている歴史書の中に、「ファラリスの雄牛」の行方に関するはっきりした記録は無いのです。そのため、「ファラリスの雄牛」の実物の見ることはできません。

しかし、「ファラリスの雄牛」のイメージ画像や、「ファラリスの雄牛」をモチーフにした作品などは多く存在しています。実物を見てみたい人は、ぜひこれらの画像や作品から実物を想像してみてください。

ファラリスの雄牛での処刑は本当に可能だった?

「ファラリスの雄牛」での残酷な処刑は、実際に可能であったのかどうか疑問に思う人もいるでしょう。アメリカのケーブルテレビ番組「ディスカバリーチャンネル」では、「ファラリスの雄牛」で実際に処刑が可能かという検証を行っています。

その検証では、「ファラリスの雄牛」が作られた当時は、技術的に人を焼き殺すだけの火力を出すことは不可能であったという結論が出されているのです。

また、「ファラリスの雄牛」の仕組み自体にも欠陥があることから、罪人を殺す器具としては使用できなかったという結論を出しています。

ファラリスの雄牛が出てくる漫画・映画

「ファラリスの雄牛」の実物は現存していませんが、「ファラリスの雄牛」が部分的に登場する漫画や映画などは数多く存在しています。以下では、「ファラリスの雄牛」が登場する漫画や映画について、具体的に取り上げていきましょう。

漫画「嘘喰い」

集英社の週刊漫画雑誌「週刊ヤングジャンプ」に、2006年から2018年まで連載されていた漫画「嘘喰い」には、「ファラリスの雄牛」が登場します。

古今東西のあらゆるジャンルのギャンブルが登場する漫画で、迫力のあるアクションやシュールなギャグ要素もあることから、多くのファンを獲得したのです。

ストーリーは、ギャンブル中毒に陥っている主人公梶隆臣が、かつて「嘘喰い」と呼ばれていた凄腕ギャンブラー斑目貘と出会う場面から始まります。

全国で大規模な賭博を取り仕切っている秘密組織「賭郎」とも関わるようになり、主人公はスリリングな賭博の世界に巻き込まれていくのです。

警視庁を舞台に行われた賭郎メンバーとの「迷宮勝負」の中で、主人公は負ければ殺人罪をなすりつけられる上に、「ファラリスの雄牛」で処刑されるという勝負に参加します。この勝負で、主人公は初めて斑目貘の力を借りずに勝利するのです。

この勝負はストップウォッチで時間を当てるという単純なゲームで行われますが、ゲーム中の罰として「ファラリスの雄牛」に入り焼かれるというシーンがあります。実際の「ファラリスの雄牛」の処刑方法を、巧みにギャンブルの中に取り入れているのです。

全49巻で完結しているため、気になる人はぜひ実際に全巻読破してみてください。

漫画「たとえ灰になっても」

「たとえ灰になっても」は、スクウェア・エニックスの月刊漫画雑誌「ヤングガンガン」に、2016年から連載されていた漫画です。妹の病の治療にかかる莫大なお金を得るために、主人公四宮良真が命がけの「ゲェム」に参加するというストーリーとなっています。

「ゲェム」に負けた参加者は、「ファラリスの雄牛」によって処刑されるという設定になっているのです。作中では「ファラリスの雄牛」の処刑方法や楽器としての仕組みなどが、忠実に表現されています。

極限状態の中でも主人公が「ゲェム」に挑戦していくストーリーは、二転三転して読者をハラハラさせるのです。しかし、作者の鬼八頭かかしさんが2019年2月に亡くなったことで、漫画は56話目で連載中止となっています。

映画「インモータルズ 神々の戦い」

2011年に公開された映画「インモータルズ神々の戦い」は、ギリシア神話に登場する神々同士の壮大な戦いを描いた作品です。

かつて、不老不死とされるギリシャ神達に戦いを挑んで破れ、ギリシャの大地の地下に幽閉されていたタイタンを復活させようとする王ハイペリオン。

その王にギリシャ神話で最も偉大とされるゼウス神と、人間テセウスが立ち向かっていくというストーリーになっています。映画の中で、ハイペリオンに捉われていた巫女パイドラを、テセウス達は救出するのです。

その際にパイドラの身代わりになった女性達が、ハイペリオンによって処刑されてしまいます。ハイペリオンは「ファラリスの雄牛」を使って、その女性達を処刑してしまうのです。

ファラリスの雄牛以外の残酷な処刑器具

近現代に至るまでには、世界各地で残酷な処刑器具が考案されていました。例えば、中世ヨーロッパでは、「ユダのゆりかご」 という拷問器具が存在していたのです。

「ユダのゆりかご」とは、ピラミッド状の先端が尖った装置で、その上にロープで縛り上げた罪人を落として使用します。また、中性ドイツでは、乳房を力づくでもぎ取る「ブレスト・リッパー」という処刑器具もありました。

さらに、宗教裁判が行われていた15世紀頃には、「アイアンメイデン」という、鉄の棺桶のような処刑器具が考案されたのです。「アイアンメイデン」の中には、全身にたくさんの鋭い棘が付いており、中に罪人を入れて無理やり蓋を閉めて処刑します。

これらの拷問器具には、実際に使用されたかどうか定かでないという説もありますが、当時の民衆を恐怖させたことは確かでしょう。

残酷ながら現代人の興味を惹く拷問器具「ファラリスの雄牛」

今回は、古代ギリシャの時代に生まれた、残酷極まりない処刑器具「ファラリスの雄牛」について詳しく取り上げました。「ファラリスの雄牛」の罪人を焼き殺し、最期の悲鳴すら音楽として楽しむという残酷な使用方法は恐ろしいものです。

残酷な処刑器具ですが、「ファラリスの雄牛」に興味を惹かれるという人は多く、今回紹介した通り、実際に「ファラリスの雄牛」が登場する作品はたくさんあります。「ファラリスの雄牛」に興味が湧いた人は、ぜひ今回紹介した作品を見てみてください。

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