おったまげーの意味や元ネタとは?おったまげるなど使い方を紹介
「おったまげー」とは、バブルネタで一躍人気者になった平野ノラさんの十八番です。つい笑ってしまいますが、「おったまげー」の意味や語源を知っていますか?「おったまげー」の由来を知ると、それこそ「おったまげー」かもしれません。「おったまげー」とは何かを、詳しく解説します。
おったまげーってどういう言葉なの?
きりっとした太い眉に真っ赤な唇、ソバージュにしたワンレングスの長い髪に肩パットの入ったジャケット、タイトなミニスカートにハイヒール。バブル時代のファッションに身を包み、もはや死語に近いバブル言葉を駆使した芸で大人気の平野ノラさん。
「おったまげー」は、数ある平野ノラさんの決め台詞の中でも、最も有名なものの一つです。平野ノラさんのオーバーなアクションが可笑しくて爆笑を誘いますが、「おったまげー」とはどういう意味か、知らない人もいるのではないでしょうか。
「おったまげー」は、バブルっぽくアレンジされた平野ノラさんのオリジナルですが、語源はれっきとした日本語で、江戸時代から使われている言葉です。そこで、「おったまげー」の語源や意味について詳しくご紹介します。
おったまげーの意味とは?
「おったまげー」は、「非常に驚く」という意味の「おったまげる」の変形です。「おったまげる」とは、接頭語の「おっ」と「たまげる」という動詞から成っていて、漢字では「おっ魂消る」「押っ魂消る」と書きます。
「魂消る」とは、「魂が消えるほどびっくりする」という意味で、江戸時代から使われている言葉です。同じ「魂消る」と言う字を用いて「たまぎる」と読む場合もありますが、こちらはもともとは「魂切る」と書き、「びくびくする」「怯える」と言う意味でした。
鎌倉時代から使われていた言葉ですが、室町時代に「たまぎる」の意味が、「怯える」から「驚く」に転じたため、今では「魂消る(たまげる)」と同じように使われます。
おったまげーの元ネタ
「おったまげー」の元ネタは、「非常に驚く」という意味の古い日本語「魂消る」です。「おったまげー」の「おっ」は、驚きや強調をあらわす接頭語で、「おっ立てる(おったてる)」「おっ始める(おっぱじめる)」などの「おっ」と同じです。
「おったまげー」の「たまげー」は、「たまげる」が語源です。「たまげる」を「たまげー」としたのは、ネタとして面白く工夫した平野ノラさんのアイディアです。
「たまげる」は、漢字で書くと「魂消る」です。「消える」が「ける」と変化するのは、日本各地の方言にもよく見られる特徴です。平野ノラさんの「おったまげー」は、「魂消る」に強調の接頭語「おっ」をつけ、語尾を伸ばしたものです。
おったまげの使い方
平野ノラさんのネタ以外で、「おったまげー」はどのように使うのでしょうか。
「おったまげー」はバブルっぽくアレンジされた言葉なので、そのまま使うのは抵抗があるかもしれませんが、「おったまげる」は、「非常に驚く」という意味の正しい日本語なので、日常会話でも無理なく使えるはずです。
例えば、とてもびっくりした時、「心臓が止まるかと思った」ということがよくありますが、そのまま「おったまげた」と言い換えることができます。
「おったまげ」を使った例文
「おったまげる」は、ガ行下一段活用の動詞ですが、使われるのは連体形や終止形の「おったまげる」や、連用形に過去や完了をあらわし助動詞「た」がついた「おったまげた」がほとんどです。
では、具体的に「おったまげる」を使った例文をご紹介します。
例文①腰を抜かすほどおったまげる
「腰を抜かすほど」とくれば「びっくりする」「驚く」と続くのが一般的です。もはや決まり文句と言ってもいいかもしれません。
「びっくりする」「驚く」は、そのまま「おったまげる」に変換できるので、「腰を抜かすほどおったまげる」と言えばOKです。
「肝をつぶす」「仰天する」も、同じように「おったまげる」に置き換えることができます。
例文②本当におったまげたわ
例えば、絶対に当たらないと思っていた懸賞が当たったり、長年音信不通だった友だちに街でばったり会ったりしたときに、使ってみてはどうでしょう。「おったまげー」と言えば、驚きの程度がよく知れます。
「本当にびっくりしたわ」と言う代わりに、「本当におったまげたわ」と言ってみましょう。もっとも、友だち同士の会話の中で「びっくりしたわ」と言う代わりに「おったまげたわ」なんて言うと、それこそ「おったまげ」られるかもしれませんが。
例文③これを知ったらおったまげるに違いない
ビックニュースやサプライズがあるとき、相手がそれを聞いたときの様子を想像して、ニヤニヤしてしまうことがありませんか?「びっくりするだろうな」と思うと楽しくなります。
「うわ~」と歓声を上げるその状況がまさに「おったまげる」と言うことです。「おったまげる」は、「驚愕する」という意味でも使うことが多いですが、「喜びで驚く」場合にも使うことができます。
「おったまげ ー」が話題になった理由
平野ノラがブレイクの兆しを見せたのは2014年ですが、さらに知名度が上がったのは2017年に、大阪府立登美丘高校ダンス部が、「第10回全国高等学校ダンス部選手権」でバブルの女性たちをイメージしたダンスで準優勝したことが大きいです。
平野ノラさんがネタで演じる「バブリー・美奈子」を彷彿とさせる派手なメイクと衣装で、1980年代にヒットした荻野目洋子さんの『ダンシング・ヒーロー』をバックに踊るコミカルでキレキレのダンスは、「バブリーダンス」と呼ばれ、一世を風靡しました。
平野ノラと登美丘高校のコラボダンス
平野ノラさんのネタを随所に盛り込んだ登美丘高校ダンス部の「バブリーダンス」は、メディアでも大きく取り上げられ、テレビで目にしない日はないほどの人気を博しました。
平野ノラさんは、「バブリーダンス」に持ちネタの「おったまげー」などの声が取り入れられていたことを知り、「ゲロマブすぎるゾ」と自身の公式Twitterに投稿。これがきっかけとなり、平野ノラさんと登美丘高校ダンス部とのコラボが実現しました。
練習期間わずか5日という過酷な条件のもと、「平野ノラバージョン」として完成したダンスは、2017年10月29日の「ビートたけしの知らないニュース」で放送され、大反響を呼びました。
登美丘高校ダンス部とは?
大阪府立登美丘高校ダンス部は、高校ダンス部日本一を決める「全国高等学校ダンス部選手権」で、2013年、2014年に優秀賞、2015年、2016年に全国優勝に輝いたダンスの強豪校です。
3連覇を目指して挑んだ2017年大会では惜しくも準優勝でしたが、大会で発表した「バブリーダンス」が大ヒットし、一躍有名になりました。平野ノラさんや荻野目洋子さんとのコラボのほか、様々な音楽番組に出演して人気を博しました。
2017年第59回日本レコード大賞特別賞を受賞、同年第68回NHK紅白歌合戦にも出場、翌2018年には関西元気文化圏賞・ニューパワー賞も受賞しました。2017年にキャプテンを務めた林沙耶さんは、「伊原六花」の芸名で女優としてデビューしました。
芸人の平野ノラ愛用のバブリー用語
人気の女性芸人平野ノラさんは、バブリーネタが持ち味です。「おったまげー」以外にもたくさんのバブリー用語を愛用しています。平野ノラさんお得意のバブリー用語をご紹介します。
平野ノラさんのバブリー用語は、実際にバブル期に使われていた言葉と言うよりは、バブルっぽく感じられるように、平野ノラさんが創造した部分が大きいです。
「おったまげー」も、使ったことがあると言う人は案外多くはありません。でも、平野ノラさんのセンスに磨かれたバブリー用語は、十分にその時代の雰囲気を伝え、笑いを誘います。
しもしも
片手で操作できるコンパクトなスマホが当たり前の今からしてみれば、冗談にしか見えない昭和の携帯電話。ショルダーバックほどの大きさのがあります。
そんな「ショルダーフォン」を肩にかけ、長い髪をバサッとかき上げながら「しもしも」と電話に出る平野ノラさんのポーズは、いろいろな人が真似をするほど人気があります。
ご飯を「シーメー」と言ったり、お寿司のことを「シースー」と言ったり、言葉を反対にするマスコミ言葉が、バブル期には一般人の間でも流行しました。平野ノラさんはそこに着目し、バカでかい携帯電話に「しもしも」と話しかける芸を作りました。
ケツカッチン
「ケツカッチン」とは、もともとはテレビ業界で使われていた言葉で、バブル期には業界人であることをひけらかしたい業界人や、業界人の真似をしたい一般人が使っていました。とは言っても、それほど流行していたわけではありません。
そんな言葉を見つけてきて流行らせてしまうあたり、平野ノラさんのセンスが優れている証です。「ケツカッチン」の「ケツ」は、「終わり」「締め切り」「期限」のことです。「カッチン」は予定が詰まっているという意味です。
つまり、「ケツカッチン」とは、「後がない」「終わりが決まっている」という意味で、今日はケツカッチンだから解散」と言うような使い方をします。
バブルとは
平野ノラさんがよみがえらせたバブルの喧騒。バブル期を知らない若い世代の人たちにとっては、ピンとこないことも多いかもしれません。バブルとは、1986年12月から1989年2月までの51か月間に、日本に起こった好景気とそれに伴う社会現象です。
日経平均は連日高値を更新し、シャネルやヴィトンなどの高級品が飛ぶように売れ、クリスマスは一流ホテルのスイートルームが満室になりました。土地の値段が何倍にも跳ね上がり、地上げが横行したのもバブルの特徴です。
平野ノラさんの衣装そのものの、ボディラインを強調したスーツやワンピースに身を包み、長いソバージュのワンレンヘアをかき上げて闊歩する女性がたくさんいました。
バブル用語を使ってみよう
バブル用語は、「おったまげー」や「しもしも」「ケツカッチン」などのほかにも、「ぶっとびー」や「アッシーくん」「メッシーくん」などいろいろあります。今となっては死語ですが、使っているうちにまたはやり始めるかもしれません。
面白い言い回しが流行るのはいつの時代も同じです。バブル時代に流行った若者言葉は、今使っても案外斬新で受けるかもしれませんよ。