南アフリカ共和国のヨハネスブルグの治安!世界一危険度の高い国?
魅力あふれる観光地である南アフリカ共和国。南アフリカを代表する都市のひとつ、ヨハネスブルグは世界で一番治安が悪く危険と言われていますがそれは本当なのでしょうか? ヨハネスブルグの治安の状況、危険を避けるための情報、他の注意すべき都市はどこかをまとめました。
目次
南アフリカ共和国のヨハネスブルグは治安最悪!?
もしも死にたいならばヨハネスブルグへ行けばいい。そんな噂話を都市伝説のように耳にすることがあります。事実、もっとも犯罪の多い都市のひとつであるヨハネスブルグは、歴史的背景により貧民層の犯罪組織化が悪循環をもたらし、犯罪の温床となっています。
その一方で南アフリカ共和国は世界有数の観光地としても有名。世界最大級のサファリ体験が楽しめるクルーガー国立公園。雄大な山岳リゾートが楽しめるドラケンスバーグ、南アフリカ最大のワインの産地で美食を楽しめる、ワインランド。おとぎばなしの世界のような美しい街、ケープタウンなどなど。
その南アフリカ共和国の観光の窓口として、ヨハネスブルグは交通の要衝となっています。世界中から旅人が訪れますし、もちろん日本の有名旅行会社もパックツアーを企画しています。また、仕事の関係などで日本人が住んでいるのも事実です。そう考えると本当に治安が悪いのか、疑わしくも感じます。
ここではそんなヨハネスブルグの治安に関しての、まことしやかな噂に対して、嘘か本当かを調べまとめました。噂が先行し恐怖心から遠ざけてしまうのではなく、真実を知り、本当に気をつけなければいけないことを知ることで、安全に旅ができるようにアドバイスしていきます。
ヨハネスブルグとはどんなところ?
1886年、ウィットウォーターランドで金鉱脈が発見されました。これにより南アフリカには移民が増えました。その金鉱に目をつけたのがイギリス人。積極的に入植部隊を投入しました。そうなると黙っていないのがもともと移住していたオランダ系移民のボーア人。何するものぞとボーア戦争が勃発します。
戦争はイギリスが勝利。その後イギリス人はボーア人と和解し、悪名高きアパルトヘイト政策を施行、黒人を虐げます。白人種と黒人では居住区も異なり、特に黒人の白人居住区へ足を入れることを厳しく制限しました。1976年以降、学生を中心とした暴動が起き、そのムーブメントは世界中の関心を集めました。
やがてその運動の成果により1993年、アパルトヘイトは全面廃止に。居住区の移動制限も廃止されます。しかしだからといって差別がなくなったわけではありませんでした。自由が増えたとしても職を得られぬ者たちが溢れ、その結果犯罪組織が増加、治安は悪化していったのでした。
ヨハネスブルグの治安は世界で一番悪いと言われていますが、その多くはギャング同士の抗争によるもの、酒場でのケンカが主なものです。犯罪多発地区に関しては昼間も立ち入りは非常に危険を伴います。町の喫茶店の窓に有刺鉄線が設置されている写真は私たちに衝撃を与えます。
その反面、富裕層の住む地域、例えば北部郊外のサントン地区では、綺麗なリゾートホテル、大型ショッピングモールがあり、それらは高圧電線、窓には鉄格子、電子防犯装置、銃火器で武装した警備員、そして警備犬が常駐しており治安が保たれています。
実際、これらの地域ではほとんど観光客が犯罪に巻き込まれることは皆無で安全と言えるでしょう。ヨハネスブルグはこのように、歴史的背景により人種格差、差別があり、それにより極端に地域によっての治安の良さ、悪さに差があるのが現状なのです。
嘘? 本当? 危険なヨハネスブルグのガイドライン
『ヨハネスブルグのガイドライン』として検索すると、『死にたい人におすすめなヨハネスブルグ』というデータが出てきます。都市伝説めいた話ですが、すべてが嘘であるとも言い難いものもちらほら。すべてを書きだすには紙幅が足りませんので5つほど抜き出してみましょう。
”腕時計をした旅行者が襲撃され、目が覚めたら手首が切り落とされていた”。”宿が強盗に襲撃され、女も男も全員レイプされた”。”「そんな危険なわけがない」と言って出ていった旅行者が5分後血まみれになって帰ってきた”震えるほど危ない話ですね。
”中心駅から半径200mは強盗にあう確率が150%。一度襲われてまた襲われる確率が50%の意味。200%に満たないのは最初の時点で死ぬ率が50%のため”。”ヨハネスブルグにおける殺人事件による死亡者は1日平均120人、うち約20人が外国人旅行者”。恐ろしいことに、100%を超えるデータです。しかしこれらが本当に正しい情報なのか。
そもそもこの情報はいつ発信されたのか。確認したところ2004年の情報です。またこのガイドラインの反響より在南アフリカ日本大使館は真偽のほどを回答しています。”中心駅から半径200mは強盗にあう確率が150%”について。「これは実例がある。駅とバスターミナルは時間によっては非常に危険だ」。
”ヨハネスブルグにおける殺人事件による死亡者は1日平均120人”について。「これは嘘だ。1日の殺人事件の死亡者は50名程度だ」。充分に日常的に危ないことがうかがえる情報です。とはいえ、先に挙げた3例を含む、ガイドラインに書かれている情報はほとんど実例がない、ということもわかっています。
ヨハネスブルグの実際の治安状況
ヨハネスブルグの治安状況が悪いのは南アフリカ共和国の歴史的な背景があることを説明しました。続いては実際の治安状況について、それぞれの犯罪ごとに細かく説明を行います。どんな犯罪が多いかについては傾向があり、それを知ることで危険を回避することにも役立ちます。危ない思いをしないためにも知っておきたいポイントです。
車上荒らし
車のガラスが割られ、車内に置いていたものを盗られる事件は非常に多いです。車を離れる際には車内に荷物を残さないようにしなければいけません。また、車に乗っている時に襲われることもあり、特に夜間の車の利用は注意が必要です。ヨハネスブルグのみならず、南アフリカ共和国全体の傾向と言えるかもしれません。
強盗
ヨハネスブルグのガイドラインの中で、紹介していなかった項目があります。”「何も持たなければ襲われるわけがない」と手ぶらで出かけた旅行者が、靴と服を盗まれ下着で戻ってきた”。これについては実例はないようでジョークと考えられますが、実際にはどのような盗難が多いかを紹介しましょう。
狙われるのはバックパッカーや駐在員で、普通の旅行者はほぼ被害に遭うことはありません。盗られるものは現金、携帯電話、カメラなど。旅行だからと着飾らず、大人しい格好をしているだけでも危険度は下げられます。また、襲われた際に抵抗すると危険ですので、その時は潔く渡した方がよいでしょう。
殺人
ヨハネスブルグでの殺人は、危険区域でのものが多く、一般の旅行者が襲われることは皆無。日本人が殺害されたという例もほぼありません。しかし先の強盗のケースもありますので、危ない目に遭わない為にも警戒は必要です。殺人の数が多いのはギャング同士の抗争など。それでも日に50人ほど起きている、という現実を考えると恐いですね。
不法侵入
普通の飲食店の窓に有刺鉄線が張り巡らされている、という日常的な光景は平和な日本に住んでいてぎょっとしてしまいますが、それだけ不法侵入による被害が多い事を裏付けています。部屋を留守にする時、また夜寝る時には窓の施錠は必ず確認する必要があります。
レイプ
南アフリカ共和国は世界でも最も高い強姦率を誇る国でもあります。暴行率132%という数値がありますが、一人が複数回襲われているからでしょう。なぜ強姦が行われるのかには理由があります。人口の1割ほどがエイズ患者という社会問題を抱えていますが、その病を治すのに処女と交わると治るという都市伝説があるのです。
まったくのでたらめですが、この暴走が残念ながら止まらないのですね。そのような理由があるため子供でも安心はできず、注意が必要です。赤ちゃんへの強姦も大きな問題となっているくらいです。危険な行動は慎み、安全が確保された場所での行動を心がけましょう。
警察官による犯罪
南アフリカ共和国の空の玄関口となっているO.Rタンボ国際空港(旧ヨハネスブルグ国際空港)での悪質警官の話は旅行者の間でも有名、警官にも注意が必要です。まるで違反を犯しているかのように呼び止め、賄賂を要求してくるなどのケースがあります。
トラブルを避けるために「勘違いがあると困るので、後で確認できるよう携帯電話で録音しますね」といって対応するの無難です。
ヨハネスブルグに行った場合の注意点
魅力あふれる観光地である南アフリカ共和国。世界一危険と言われると行きたくても危ない思いをしたくないので旅行を避けたくなりますね。実際には旅行者が犯罪に巻き込まれるケースは少ないので、注意を怠らなければ危ないことはありません。ここではヨハネスブルグへ行った際に注意するべきポイントを簡単にまとめておきます。
治安のいい場所、治安の悪い場所。危ない行動、服装などなど。実際に行く場合にはよくよく確認し、準備を怠らないようにしましょう。海外旅行に慣れているから自分は大丈夫、と慢心しないようにして、常に注意、注意、注意としつこいくらいに警戒して準備しておくことが楽しい安全な旅行につながります。
一人で行動しない
ヨハネスブルグのガイドラインの中に”軍人上がりの8人なら大丈夫だろうと思っていたら同じような体格の20人に襲われた”というのがあります。そんなことをいったらもう打つ手がないのですが、安心して下さい。これは実例は無いようです。基本的な注意としては一人で行動しないこと。犯罪を誘発するのは犯罪しやすい隙を見せた時ですから。
一人での行動よりも二人での行動の方が必然的に危険度は下がります。男性がいるから、というよりは、女性同士でも人数が多い方が安全でしょう。そして露出の多い服装は避け、金品は身につけずさっぱりとした格好で行動するように心がけましょう。
車に貴重品を置かない
治安の悪い南アフリカ共和国で最も多い犯罪の一つが車上荒らしなどの車にまつわる犯罪です。貴重品をうっかり車に置いてしまえば、それを目にした人の犯罪への意識を誘発し、それは盗難に遭うと考えた方がよいでしょう。
治安が悪い、というのは怖いことで、それだけ普通の人でも”みんなやっているから自分もやってもいいだろう”と思い犯罪を犯す恐れがあります。
ヨハネスブルグに限らず、南アフリカ共和国では貴重品を必要以上に持ち運ばないようにしましょう。持ち歩く場合も常に注意を行い、危ない目に遭わないように自助努力をいたしましょう。治安のいい日本では車の鍵をかけない、貴重品を少しの間だからと置きっぱなしにする、ということがありますが。本当に平和だからそれができるのですね。
大金を持ち歩かない
先に書いている通り、犯罪を誘発する行動を避けることが危ない目に遭うことを避ける大きな手段です。一見普通のいい人でも、誘発すれば犯罪を犯す可能性があります。最も注意したいのがお金です。大金を持ち歩かないよう、注意しましょう。ヨハネスブルグの物価は低く、日本の半額以下のものがほとんどです。必要以上に持ち歩かないこと。
治安のよい日本でもお金となると人が豹変する、というのは身近に例があるのではないでしょうか。お金には魔力があるとか、お金が人を変えるとか。お金のためなら危ない行動もためらわない人もいますよね。これは南アフリカ共和国だからというより、世界共通で注意したいポイントです。
日本人と言わない
南アフリカ共和国は怖い人ばっかりな印象をもたれるかもしれません。ヨハネスブルグのストリートの写真をみると、決してそうではなく、人懐っこい少年や、親切そうなおばさんなど、やはり人は人、愛情で繋がることができると感じます。何も危ない人ばかりではありません。でも注意しておきたいポイントがあります。
特に買い物に行った時には絶対に日本人とは言わないこと。チャイニーズ、コリアンと偽った方が吉。日本人は”お金を持っていて押しに弱い”という印象を持たれているため、店の人は日本人だと分かった瞬間物凄い勢いで押し売りをしてきます。楽しい旅行で、人との触れ合いも楽しみたいのに、そんなことでがっかりするのは避けたいところです。
その他南アフリカ共和国の治安の悪い危険地域3選
南アフリカ共和国の歴史的背景を考えると、何もヨハネスブルグのみが危ない、危険な地域であるとは言えません。日本の外務省が発行する資料によると、南アフリカ共和国の危険な地域は、ヨハネスブルグ、ツワネ(プレトリア)、ダーバンとなっており、レベル1の「十分に注意して下さい。」と定めて観光客に注意を促しています。
ここではヨハネスブルグ以外の治安の悪い地域を3つご紹介します。ヨハネスブルグ同様に治安はその都市の場所により大きく差があります。特に注意が必要な場所も併せてご紹介いたします。ゆめゆめ近づかないようにご注意を。
1.ケープタウン
美しい街並み、観光名所として知られるケープタウンですが、南アフリカ共和国の中でもっとも殺人が多いのがこの都市です。そう聞くと殺伐とした恐ろしい町に感じますが、ヨハネスブルグ同様にすべて危ないわけではなく、注意すべきところを注意していれば安全に過ごすことができます。
もっとも殺人が多い場所はケープタウンの近郊、タウンシップです。タウンシップは通常特別な用が無い限りは観光客が立ち寄ることのない場所。治安の悪い場所に足を踏み入れないように、好奇心に駆られて冒険しない限りは安全といえましょう。
【危険度】★★★
2.ツワネ
南アフリカ共和国の首都であるツワネ。首都であるにも関わらず、治安に関してはヨハネスブルグよりも少しましな程度、とやはりかなり危ない都市であると言えます。昼まであるにも関わらずメインストリートには人影も少なく不気味です。特に中心部にあるチャーチ・スクエア周辺やプレトリア駅の東部に位置するコッズ通り周辺は特に治安が悪い。
【危険度】★★★★★
3.ダーバン
ダーバンはケープタウンに次いで治安の悪い都市です。特に気をつけなければいけないのが中心部の旧ボインド通りから旧スミス通り。殺人、強盗が多発する危ない地域で、夜間に限らず、日中も足を踏み入れないように注意が必要です。ヨハネスブルグ同様、安全に思える場所でも車上荒らしの被害には十分注意を。
【危険度】★★★★
南アフリカに訪れる時は十分に備えて!
こうして南アフリカ共和国、ヨハネスブルグの情報をまとめますと恐い話が多く、調べれば調べるほど近づきたくなくなってきますが、南アフリカ共和国は生きているうちに一度は訪れたい場所がたくさんある観光名所でもあります。治安が悪いのは現実ですが、最も大切なのは安全を確保するための知識をしっかり入れておくことです。
悪質な警察官に対する対策、危険なエリアへは近づかない、服装に注意するなどなど。文章ベースの情報だけではなく、複合的に調べ、現地ではガイドにもよく相談し、どう旅順を設定するか、行動するかを決めていくべきです。安全を確保し、素敵な旅を楽しみましょう。