エロイムエッサイムの意味や由来とは?悪魔召喚のための呪文?

懐かしの漫画ファンなら「エロイムエッサイム」の呪文はおなじみです。悪魔くんの真似をして、意味も分からず唱えたことがある人もいるのでは?妖しくも魅力的な呪文、「エロイムエッサイム」の本当の意味や由来をご紹介します。意味が分かって唱えたら、呪文の効果もあがるかも。

エロイムエッサイムの意味や由来とは?悪魔召喚のための呪文?のイメージ

目次

  1. 1エロイムエッサイムの意味や使い方は?
  2. 2エロイムエッサイムの意味とは?
  3. 3エロイムエッサイムの由来は?
  4. 4エロイムエッサイムが登場する作品
  5. 5エロイムエッサイムを最初に日本に紹介した本
  6. 6エロイエッサイム以外の有名な呪文
  7. 7エロイムエッサイムで悪魔が呼び出せる?

エロイムエッサイムの意味や使い方は?

魔法の呪文は、いつの時代も人間の心を虜にします。世界中でベストセラーとなっているファンタジー小説『ハリーポッター』然り。ハリーやハーマイオニーの真似をして、そっと杖や羽ペンを振ってみたことがあるのは、子どもだけではないでしょう。

「エロイムエッサイム」は、『ハリーポッター』には出てきませんが、漫画『悪魔くん』で主人公の少年が唱え、当時の子どもたちを夢中にさせた呪文です。どんな場面で使っていたのでしょうか。

呪文は、言葉だけを知っていても、意味を知らないと使い道がありません。「エロイムエッサイム」の意味を知って、使い方をマスターしましょう。

エロイムエッサイムの意味とは?

魔法の呪文なのだからそれもそのはずですが、まったく聞きなれない言葉の羅列。「エロイムエッサイム」は日本語でもなければ、現代の言語でもありません。「エロ」とついてはいても、いやらしい意味はありません。

「エロイムエッサイム」と、誰かが呪文を唱えているのを聞いたことがなければ、どこで切ればいいのかも、アクセントの位置もわからないくらい不思議な言葉です。

「エロイムエッサイム」は、一続きの単語ではなく、「エロイム」と「エッサイム」という二つの単語です。まずは「エロイム」と「エッサイム」の言葉の意味から、解説します。

エロイムの意味

「エロイム」は、ヘブライ語で「神よ」という意味の呼びかけの言葉です。

「エロイム(Elohim)」は、ヘブライ語で「神」を意味する「El」に、複数形を表す接尾語の「-im」を合わせた言葉です。しかし、「複数の神々」という意味ではなく、キリスト教における父と子と聖霊の、「三位一体」における神を表しています。

エッサイムの意味

「エッサイム(Essaim)」は、フランス語では「群れ」という意味で使われますが、ヘブライ語では、いくつかの解釈があります。

呪文としての「エッサイム」には、「悪魔」とする解釈や、古代イスラエルの王・ダビデの父であるエッサイ(Jesse)の複数形が変化したものとする解釈がありますが、はっきりとはわかっていません。

「エロイム」が神への呼びかけとするならば、「エッサイム」はその対となる存在、キリスト教の神の対極にある邪神と考えられます。意訳すると、「神よ、悪魔よ」となります。

「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」の意味?

「エロイムエッサイム」の呪文には続きがあります。「我は求め訴えたり」の部分は、'frugativi et appelavi'または'frugativi et appellavi'で、現代イタリア語に似た綴りや同じ綴りがあることから、イタリア語の古語か、ラテン語の俗語と思われます。

'frugativi'はイタリア語で「探す」という意味の'frugare' で、'appelavi'は「要求する」という意味の'appellare'です。

そこで、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」と訳されるのが一般的ですが、漫画『悪魔くん』執筆の際に参考にしたとされる小説『黒魔術の手帖』では、「エロイムよ、エッサイよ、わが叫び声を聞け」となっています。

つまり、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」は、「神よ、悪魔よ、私の願いを叶えてください」という意味ですが、この「願い」には、お金持ちになりたいとか、恋人がほしいとか、出世したいとか、汎用性があるわけではありません。

「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」の呪文で、神や悪魔に求め訴えるのは、悪魔召喚。「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」は悪魔を呼び出すための呪文です。

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エロイムエッサイムの由来は?

「エロイムエッサイム」が有名になったのは、漫画『悪魔くん』で主役の悪魔くんがこの呪文を唱え、子どもたちの間で大人気となり、アニメや映画にもなったからですが、原点はフランスの「グリモワール(Grimoire)」にあります。

「グリモワール」とは、15世紀末から18世紀にかけて書かれた、魔術や呪術に関する書籍、書物の総称です。'Grimoire'は、英語で文法を意味する'grammar'と同じ、ギリシャ語の'grammatike'が語源になっています。

その「グリモワール」中の一つ、『La Poule noire(黒い雌鶏)』が、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」の出典とされることが多いです。

しかし、『The Grand Grimoire(大奥義書)』の異本『The Red Dragon(赤い竜)』に'Eloim Essaim frugativi et appelavi'の記述があり、卵を産んだことがない黒い雌鶏を二つに引き裂きながらこの呪文を唱えると、悪魔が現れると伝えられています。。

『大奥義書』には「Eloim, Essaim」を3度唱えるとあり、『赤い竜』では「Eloim, Essaim, frugativi et appelavi.」と唱えるとされています。儀式で黒い雌鶏を用いるので、『黒い雌鳥』が出典だと誤解されることが多いようです。

エロイムエッサイムが登場する作品

『悪魔くん』のヒットで「エロイムエッサイム」は一躍有名になり、いろいろな作品に影響を及ぼしました。「エロイムエッサイム」の呪文が使われている作品をご紹介します。

これを機会に、「エロイムエッサイム巡り」をしてみるのも面白いかもしれません。「エロイムエッサイム」が作品にどんな効果を与えているのか、比べてみるのも面白いです。

悪魔くん

『悪魔くん』は、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者として知られる故水木しげる先生が、1963年に発表した貸本漫画『悪魔くん』がもとになって、雑誌掲載され、アニメや映画にもなった人気作品です。

設定やストーリーは時代や作品によっていくつかのバリエーションがありますが、大筋は、「悪魔くん」と呼ばれる主人公の少年が、人類の平和のために悪魔の力を借りて奮闘するファンタジーです。

「ソロモンの笛」「魔法陣」「エロイムエッサイム」の呪文が印象的で、多くの子どもたちが真似をして遊びました。水木しげる先生は、『悪魔くん』執筆に当たり、澁澤龍彦氏のエッセイ集『黒魔術の手帖』を参照にしたと言われています。

魔界転生

1981年公開の映画『魔界転生』は、1964年から1965年にかけて『大阪新聞』に連載された山田風太郎氏の新聞小説『おぼろ忍法帖』がもとなっています。映画は、そのの歴史伝奇小説を大胆にアレンジした話題作で、舞台化もされました。

首をはねられた天草四郎時貞が、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」の呪文とともに悪魔の力を身につけてこの世に蘇り、非業の死を遂げた歴史上の人物を次々に蘇らせて、復讐の戦いを繰り広げるという、オカルティズム満載の作品は、大きな話題を呼びました。

ゲゲゲの鬼太郎

『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝・魔笛 エロイム エッサイム』は、『悪魔くん』の作者水木しげる先生の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』の実写ビデオ作品で、水木しげる先生本人も登場しています。

「エロイムエッサイム」の本家とも言える「悪魔くん」が友情出演しているのも見どころの一つです。

四月は君の嘘

『悪魔くん』世代以降に、「エロイムエッサイム」を浸透させたのが、漫画『四月は君の嘘』。天才ピアニストとして称賛されながら、母の死をきっかけにピアノを弾けなくなった少年と、難病を抱えながらも明るく生きるヴァイオリニストの少女の切ないラブストーリーです。

死の影に怯えながらも前向きに生きる少女が、コンクールで演奏する前につぶやくのが「エロイムエッサイムエロイムエッサイム、我は求め訴えたり」。悪魔召喚と言うより、渾身の思いを込めた「神へのお願い」といった意味合いで使われています。

『四月は君の嘘』の世界観をあらわしたこのセリフが、広瀬すずさんと山崎賢人さんが主演した実写版映画『四月は君の嘘』ではカットされており、原作ファンを落胆させました。

エロイムエッサイムを最初に日本に紹介した本

『黒魔術の手帖』は、フランス文学者でもあった澁澤龍彦氏が、タロットや占星術、黒ミサなど、一般的に黒魔術と呼ばれる物事についてさまざまなエピソードを集めた本で、初版は1961年、後のオカルトブームの先駆けともなった一冊です。

おそらく日本で最初に「エロイムエッサイム」について紹介したのが、この『黒魔術の手帖』で、そこには悪魔を呼び出す呪文として'Eloim Essaim frugativi et appelavi'が紹介されており、「エロヒムよ、エサイムよ、わが呼び声を聞け」と訳されています。

エロイエッサイム以外の有名な呪文

呪文が印象的な作品はほかにもあります。ついつい口ずさんでしまう人もいるかもしれません。意味は知らなくても、耳に残っているという人も多いかもしれません。

テクマクマヤコン

1962年に連載が始まった故赤塚不二夫先生の「ひみつのアッコちゃん」は、現在に至るまで何度もアニメ化やドラマ化され、実写映画も作られている人気作品です。

鏡の精からもらった魔法のコンパクトに向かって、主人公の女の子が「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、~になれ」と唱えると何にでも変身します。

エコエコアザラク

1975年から1979年まで漫画雑誌『週刊少年チャンピョン』で連載された故古賀新一先生の『エコエコアザラク』は、ホラー漫画の代表作です。何度も映像化もされ、2009年には30年ぶりに『週刊少年チャンピョン』に読み切りが掲載されました。

主人公の少女が使う黒魔術の呪文が『エコエコアザラク』。呪文がそのままタイトルになっています。

エロイムエッサイムで悪魔が呼び出せる?

「エロイムエッサイム」と唱えるだけでは、悪魔は召喚できません。'Eloim Essaim frugativi et appelavi'までが一続きの呪文ですが、唱える回数も2回とも3回とも言われていてはっきりしません。

生贄には卵を産んだことのない雌の黒い鶏が必要で、手順もいろいろあるようです。やはり、悪魔を呼び出すのは、簡単なことではにようです。

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