プロレスってやらせなの?勝敗の決め方などはどこまで決まってる?

昭和の頃、プロレスは大変人気があり、週末には一つの番組として毎週放送されていました。プロレス人気が下火になったのは、情報化時代による「やらせ」の暴露と、商品内容の明確化の義務が原因なのでしょうか。「やらせ」はガチを彩る過剰演出によるものか、それとも本当なのか。

プロレスってやらせなの?勝敗の決め方などはどこまで決まってる?のイメージ

目次

  1. 1ガチ?やらせ?プロレスはただのショーなの!?
  2. 2そもそもプロレスとは?
  3. 3プロレスがやらせだと感じてしまう点とは?
  4. 4プロレスの勝敗はどこまで決まってるの?
  5. 5プロレスはやらせでも八百長でもなくグレーらしい?
  6. 6ファンが多いプロレスの魅力とは?
  7. 7プロレス初心者のプロレスの楽しみ方
  8. 8事故と演出の間
  9. 9やらせへの指弾は子どもの涙に似ている?

ガチ?やらせ?プロレスはただのショーなの!?

ものごとには、楽しみ方があります。例えば、なんで苦しい思いをして走るの? とか、なんで危険な目に合うのに山登りするの? とか、なんでワザワザ自分で蕎麦打つの? パン焼くの? 買った方がコスパいいじゃん? とか、言い始めたら切りがありません。

映画も小説も作り話だし、密室で騒音を聞くのに何の意味があるの? ユーチューブでいいじゃん? ただで画もついているし、となります。こうしてみると、楽しみとは、それぞれ独特なものであるのが分かります。それへ入信するには、前段階で、ちょっとしたクセに耐える必要があるのです。

プロレスにおける、そのクセが、いわゆるヤラセ問題なのでしょうか。ここをクリアしないと楽しめないという方が多いのかもしれません。しかし、万人受けしないというのは言い過ぎでしょう。かつて昭和のころ、それは一世を風靡(ふうび)していました。今なお、根強い新しいファンが生まれ続けているのですから。

そもそもプロレスとは?

日本での名称の「プロレスは」、プロフェッショナル・レスリングの略で、昔は西洋相撲(角力)と呼ばれていました。アメリカでは単に「レスリング」、メキシコでは「ルチャリブレ」、ヨーロッパでは「キャッチ」と呼ばれています。

プロレスとは、ずばり「興行」のことです。それが基本です。その中身は、魅(み)せることを主体とした格闘スタイルのスポーツです。ルールに則った攻撃技には、投げ技、関節技、打撃技、があります。それらを駆使し、相手の体力と戦意を削ぎ、肩をマットに押しつけてカウントスリーで勝敗を決します。

時には、その著しいショーマンシップによる凶器攻撃もあり、流血をも辞さない徹底したエンターテイメント魂で観客を沸かせます。

プロレスの歴史

面白いことにアマレス(アマチュア・レスリング)より、プロのレスリングであるプロレスの方が歴史は古いのです。大相撲と同じで、学生相撲から神事である相撲が生まれたわけではありません。プロレスは近代オリンピック以降、スポーツとしてルールを整備した際、枝分かれしました。

1896年の第1回近代オリンピックアテネ大会、そこでのレスリングは現在のグレコローマン・スタイルに準じたもので行われました。その起源はイギリス、ランカシャー地方のランカシャーレスリングとされています。「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」と呼ばれ、現在のプロレスの主源流の一つと考えられています。

もう一つの源流として、同じグレコローマン・スタイルの賞金マッチが、アメリカで行なわれていた記録があります。1830年代には懸賞金をかけた興行があり、あの第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンも、若いころ闘っていました。

従来の説では、現在のプロレスの直系であるプロレス興行の始まりは、1850年後半~1860年代のアメリカとされてきました。しかし、最新の研究では、1830年代のフランスで「プロレス巡業」の原型が始まっていたことが明らかになりました。

最初のプロレスは見世物でした。それはレスラーのリングネームを見れば一目瞭然です。エドワード“ザ・スティール・イーター”は「鉄を食う男」、ガスタヴ・デアビヨン“ザ・ボーン・レッカー”は「骨折魔」、ボネット“ザ・オックス・オブ・ジ・アルプス”は「アルプス山脈の雄牛」といった具合です。

彼らは「動物の曲芸ショー」や「綱渡り」を披露するサーカスの一行に加わったり、見せ物小屋の奇人、変人、フリークス(奇形)などに交じってバーンストーミング(地方巡業)を回り、糊口(ここう)をしのぎました。「誰の挑戦でも受けて立つ。この大男を投げ飛ばせた奴には賞金500フランだ!」と煽り立て、賞金マッチの類を開いていました。

プロレスがやらせだと感じてしまう点とは?

プロレスを「やらせ」だと感じてしまう原因は多々ありますが、その過剰な演出や、リング内外のストーリー性などが、自ら「やらせ臭」を放っているのは否めません。しかし、それはひとまず置いて、いくつか「やらせ」に見えてしまう具体的な点をあげてみましょう。

1.なぜ技を受けるのか

理由はカンタンです。客にウケるから、それだけです。興行です。商売です。リアルファイトなんて地味ですぎます。ガチなら、寝技に持ち込み締め技が主体となるでしょう。決まるときには、あっという間に勝負がつくでしょう。かつての「パンクラス」のように。素人には中々その醍醐味は伝わりません。

本気の殺し合いでも、殴って相手の息の根を止めるなんて骨折りです。木偶の坊じゃないんだから、逃げるに決まっています。しかし、首を絞める裸絞(はだかじめ/反則行為)ならで一発です。かつて、UWFという団体がブック(台本)なしのガチンコを目指しました。試合は地味になりましたが、熱狂的な信者も生みました。

以下は、その時のルールです。
 

・フォールは体固め、ブリッジフォールしか認められない。
・減点ポイント制を導入。ロープエスケープを繰り返してポイントが0になった時点で負けが確定。
・UWF認定キック専用シューズを履かなければキックは禁止。

その後、この路線の流れを組む団体は枝分かれしていき、最後に残ったのが「パンクラス」でした。ボクシングのような体重別階級まで導入し、真剣勝負にこだわった現在の姿はどうなったか。プロレスラーがいなくなり、総合格闘技の団体になってしまいました。

2.必殺技を骨抜きに

タイトルが全てを物語っています。それがさく裂したら、必ず死を免れない大技のことです。一例を挙げれば「パイルドライバー」があります。もし、なんの容赦(やらせ)もせずこれをやたら、どうなるか? 頸椎骨折、頭蓋骨陥没は必至でしょう。ゆえに本気を出せないが、観客が興奮する見せ場は欲しいというわけです。

この技は相手を逆さまにして抱え、太腿で頭を挟みマットに正座で落とす技です。なぜ足で挟むのか? なぜ正座なのか? 頭を剥き出しにして二人分の体重200kgをかけ、「そのまま、マットに叩きつければいいじゃん」と、プロレスファンに尋ねました。

答えは「足で挟んで固定することよって、脳天の一点に集中して打撃を与えるため」でした。納得しませんでしたが、プロレスが様式美(お約束)であることを双方とも了解していたので、それ以上野暮なツッコミはしませんでした。二人とも会話のプロレスを楽しんだのでした。

3.順位が年功序列

オリンピックや他のスポーツを見れば分かるでしょう。30歳を過ぎた選手が活躍しているのなんて稀です。ましてやNO.1など、ほぼありえません。有名になる=集客力を得るまで時間がかかるのか、単に年功序列なのか、会社内における地位なのか、判然としませんが、人は安定と秩序を求めるものです。

誰だしも先の見えない暮らしは御免でしょう。リアルな弱肉強食なんて、力能のある若者だって嫌に決まっています。やがて彼らも老いるのです。それに、仲間内のゴタゴタは避けたいところ。一般社会をみならって年長者、功労者を立てておくのが無難です。夢はありませんが、結局、互助精神(民主主義)が一番強いのです。

プロレスの勝敗はどこまで決まってるの?

プロレスはスポーツの一種ですが、内実は演劇に似ています。お芝居を「やらせ」と非難する人はいないでしょう。しかし、演劇で本物の血が流れたり、人死のでる確率は交通事故より、はるかに少ないのではないでしょうか。

台本が用意されている?

大まかな流れは決まっているでしょうが、細かなところは、その場の会場のお客さんの反応を見ながら、臨機応変に対処するのがプロの腕のみせどころです。ミュージシャンの即興セッションのように、お互いの呼吸を合わせ、場の空気を読みます。鍛え抜かれた体で危険と戯れ、タイミングの妙で潜り抜けるのです。

最初から勝敗は決まってる?

結果は決まってます。そうでなければ、通年の興行プログラムが成り立たなくなってしまいます。プロ団体にとっての本当の勝負は、客を呼べるかどうかなのです。アマレスとは違い、ただ勝てばいいのではありません。明日の糧がかかっているのは、プロレス創成期のころから変わらないのです。

今でこそ社会的に認められたスターですが、プロレスラーには、そこはかとない「見せ物」の悲哀が今でも漂っています。現代でも体で稼ぐ商売はありますが、これほど体を剥き出しにして、命を賭けて稼ぐ商売はないでしょう。これは命を賭けた見せ物=ショービジネスであって、やらせ=安全な催し物ではないのです。

プロレスはやらせでも八百長でもなくグレーらしい?

プロレスとは、強い大男たちの取っ組み合です。本気で闘ったら死んでしまいます。一回こっきりならまだしも、それでは食べていけません。お金も名声も要らぬとなれば興行自体なくなり、我々は楽しめなくなります。

また、プロレスを「やらせ」ではなく命を賭けた演劇と捉え、それを持って本物とするなら、従来の演劇は偽物になってしまい立つ瀬がなくなります。このような、ややこしい事態を招く原因は、プロレスの魅力である「自由さ」に帰するではないのでしょうか。

命を懸けて本気で頑張ってるのは本当!

こちらは、三沢光晴さんの言葉です。これだけで他言は無用でしょう。しかし、何も書かないとお金が発生しないので蛇足します。200kgを越える男たちが、ぶつかり合い、大技を繰り出し、それを"わざと"受けるのです。ただでは済みません。

タイミングを間違えれば、当たり所が悪ければ、あっさり死にます。尋常ならざる力の強さは諸刃の刃、彼らの体は我々と同じ肉と骨で出来ているのであって、鋼鉄製ではないのです。相撲で人死にが出づらいのは、ガチガチの規則と特殊なルールの縛りがあるからです。プロレス特有の自由には、ロマンと危険が背中合わせなのです。

ファンが多いプロレスの魅力とは?

あまりにカンタンな理由ですが、男性は満たされない闘争本能の代償であり、女性は弱さからくる補完です。戦国時代を最後に、無邪気な命のやり取りは終わりました。後に残ったのは陰湿な闘争だけです。現代でいうなら、情報戦や金融などです。男たちが命がけで遊ぶことは、もうできないのです。

1.チャーチルの言葉

近代以降の戦争の特徴を良く捉えた言葉があります。画像より下は、戦争マニアのチャーチルの著作、『世界の危機』1923年からの引用です。

 
 

「戦争から煌めきと魔術的な美がついに奪い取られてしまった。アレキサンダー大王や、シーザー、ナポレオンが兵士らと共に危険を分かち合い、馬で戦場を駆け巡って帝国の運命を決定する。そんなことはもう無くなってしまった。

これからの英雄は、安全で静かな、けだるいオフィスにいて、書記官らに囲まれて座るのだ。一方、何千という兵士らが、電話一つで機械の力によって殺され、息の根を止められる。これから後に起きる戦争は、女や子供、一般市民すべてを殺すことになるだろう。

やがて各国は、大規模で、限度のない、一旦発動されたらコントロール不能となるような破壊のための機構を生み出すことになる。人類は始めて自分たちを絶滅させられる道具を手に入れた。これこそ、人類の栄光と苦労の全てが最終的に到達した運命である。」

2.圧縮された物語は人生である

冒頭、プロレスにはクセがあるといいました。物語としてのやらせ臭さです。半面、それは魅力にも通じています。人は誰しも、自分の人生を物語とみなし生きています。プロレスはリング上で圧縮されたストーリーを演じます。その濃密なストーリー性は、人を引き付けてやまない魔力があるのです。

団体を越えたリングの外まで及ぶ葛藤(かっとう)に遺恨(いこん)、そこから生まれる抗争もまたドラマなのです。見ている側が自分の人生に重ね合わせ、それを生きるのです。どこまで本当で「やらせ」かなんて問わず、全部ひっくるめて楽しむのが、真のプロレスファンといえます。

3.flesh and bones(自由の神髄)

プロレスには自由があります。そう見せかけるのがプロレスラーの仕事です。矛盾していますが事実です。彼らは命を賭けたアイドルなのです。

本物の戦い、ガチのフリーファイト、なんなら武器使用も可。そんな漫画のような、刃牙シリーズの『死刑囚編』のような残酷な闘いが、古代にはありました。皮膚が裂け、真っ赤な鮮血が迸(ほとばし)って、肉が露わとなり、白い骨が飛び出す。

血沸き肉躍る高揚感と犠牲の悲壮さ。悲劇を神前に捧げる瞬間に立ち会いたいと、我々の遠い記憶が願っているのかもしれません。

プロレス初心者のプロレスの楽しみ方

ここからは、特にプロレス初心者の女性のために、イケメンプロレスラーを三人ほど紹介していきたいと思います。独断や知名度などを加味して選びましたので、彼らがベストスリーというわけではありません。したがって、他に好みの選手がいるかもしれないので、ご自分でググってみてはいかがでしょうか。

1.棚橋 弘至

棚橋 弘至(たなはし ひろし)選手。所属は「新日本プロレス」。身長は181cm、体重は103kg。生年月日は1976年11月13日で、出身地は岐阜県大垣市です。

キャッチフレーズは「100年に1人の逸材」と言われ、必殺技は「ハイフライフロー」、「スリングブレイド」、「ドラゴンスープレックス」など多数あります。

2.飯伏幸太

飯伏幸太(いぶし こうた)選手。所属は「DDT/新日本プロレス」から「飯伏プロレス研究所(仮)」へ移籍。芸能活動における所属は「オスカープロモーション」。身長は181cmで、体重は86kgです。生年月日は1982年5月21日、出身地は鹿児島県姶良市です。

得意技は「シューティングスタープレス」、「ムーンサルトムーンサルト」です。漫画『空手小公子 小日向海流』の中に登場するプロレスラー「田伏隼」のモデルとされます。寡黙なタイプでおしゃべりではありません。

3.プリンス・デヴィット改めフィン・ベイラー

プリンス・デヴィット改め、フィン・ベイラー選手。所属は「WWE・NXT」。身長は180cmで、体重は81kg。生年月日は1981年7月25日で、出身地はアイルランド・ダブリンシティです。

キャッチフレーズは「リアル・ロックンローラー」。必殺技は「ブラディサンデー」、「ノータッチトペコンヒーロ」などになります。

事故と演出の間

プロレスで流れる血は「やらせ」ではなく本物です。50年くらい前の昔は、血袋を使ったりしたそうですが、今はそんな単純な「やらせ」はしません。といっても、最近は感染症への配慮からか流血戦は減ってしまいましたが。

やり方としては、本人、レフリー、セコンドがカミソリで切ります。鉄柱に頭をぶつけたり、マットに体を擦りつけたくらいでは、血が滲んでも流血はしません。よく見れば、鉄柱に頭をぶつけた直後ではなく、まわりが取り囲んだ後に血が流れているのに気づくでしょう。

アメリカのプロレス団体WWEでは、やらせを認めています。テレビの試合直前に「これはフィクションです」、「プロレスラーは日々体を鍛えているから可能なのです。絶対にマネしないでください」等の注意喚起のCMが流されます。小学生のプロレスごっこによる死亡例からそうなりました。訴訟大国アメリカならはでの企業防衛措置といえます。

やらせへの指弾は子どもの涙に似ている?

昔ほど盛んでなくなったものに、音楽、オカルト、プロレスがあげられます。音楽は技術的行き詰まりを無視しても、ネットの影響によるライブ以外の商売の不成立があります。それとは違い、オカルトとプロレスには共通する問題があります。それは「やらせ」のガッカリ感。サンタの正体を知った、子どもの怨みに似ているかもしれません。

期待に胸を膨らませ、夢を見ていたからこその落胆なのです。夢の中と書いて夢中、そのように生きることが許されない時代になったのでしょうか。「もういい加減目を覚ませ、大人になれよ。今度はお前が夢を見せる番だ」とでも? しかし、このような大人な態度でデフレ30年を突破できるとは、到底思えないのですが。

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