魚に痛覚はある?ない?痛みを感じる痛点に関して詳しく解説!

痛覚というのは神経伝達物質などが関与する神経系の感覚の一つです。子の痛覚というのは魚において存在するのかどうか、長年議論されてきましたが、ようやくその結論が出たようです。魚類、甲殻類それぞれにおける痛覚について見ていくことにしましょう。

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目次

  1. 1魚に痛覚はある?ない?その謎にせまる!
  2. 2そもそも「痛覚」とは?
  3. 3魚には痛みを感じる「痛点」があるらしい
  4. 4魚には「痛覚がある」
  5. 5魚にも「痛覚がない」
  6. 6魚以外の動物には痛覚はある?
  7. 7魚の痛覚に関する最新研究
  8. 8魚類の調理方法も見直される可能性があります
  9. 9魚は痛みを感じる・感じないのどちらか気になっていたあなたへ

魚に痛覚はある?ない?その謎にせまる!

魚には痛覚があるかないかという議論は長きにわたって続いてきました。実際のところ、魚に痛覚があるのかどうかというのは、魚自身に「痛い?」と聞いて見るよりほかありません。しかし、そのようなことが不可能であるというのは当たり前です。

ということで、今回は魚に痛覚があるのかないのかという議論について見ていきましょう。最新の研究結果ではついに、有力な結果が得られたようです。その実験の内容と結果もご紹介するので、楽しみにしながらおよみください。

そもそも「痛覚」とは?

さて、そもそも「痛覚」とは何なのでしょうか。痛覚というのは漢字の読みの通りで痛みを感じる感覚です。視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚のような五感には含まれていませんが、生命が生きていくうえで非常に重要な感覚であるということには変わり在りません。

ここでは医学的な観点から痛覚について説明していくことにいたしましょう。痛覚というのは痛みの神経伝達反応でもあり、意外と複雑な過程を経て反応するものなのです。また、痛覚というのは生き延びるためにも非常に重要なもののようです。

痛覚は痛みの神経伝達

痛覚は脊髄視床路という経路と伝わることによって伝えられます。侵害受容器(神経細胞一次ニューロン)が痛み刺激を受けた後、 →脊髄後角(二次ニューロン)→視床(三次ニューロン)→大脳皮質へ伝導される。といったような神経伝達を介するのです。

医学部の学生でない限り、上記の内容というのはいまいちピンとこないという人が多いでしょう。しかし、「ニューロン」という語句が含まれているから、なんとなく神経伝達物質を介しているのだろうということさえわかれば十分でしょう。

痛覚とは痛点の受容体

引き続き、痛覚について生理学的観点から見ていくことにしましょう。痛覚というのはもともと痛点の受容体です。つまり痛点から痛みのシグナル伝達を受けることによって、働いているのが痛覚なのです。少し難しい話である人は飛ばして読んでも大丈夫です。

痛点からシグナル伝達を受けると神経伝達物質が放出されます。そして、痛覚をコードするニューロンがそれを認識して、シナプス後部に取り込むのです。このような話というのは基本的に医学部や薬学部で扱う内容なので、わからなくても問題ありません。

痛覚は生き延びるための手段です

さて、少々難しい話になってしまいましたが、基本的な部分に立ち返ってみましょう。いったいどうして痛覚は存在するのでしょうか。普通に考えて痛みを感じるというのはつらいだけです。したがって一見不必要にすら見えるのではないでしょうか。

しかし、痛覚がないと、生命の存続を維持することが難しくなります。というのも、例えば腕をけがした場合、そこに痛みが生じるからこそ、あなたはなぜその痛みが生じたのか、そして、再発防止に向けた対策を考えるのです。それがないと大変です。

痛みを感じるまでの流れ

けがや病気により細胞が傷つけられたり破壊される。→セロトニンなどの発痛物質が生成される→発痛物質が痛覚の神経(自律神経終末)に届き、電気信号に変換される。→電気信号が脳に届き脳が痛みの詳細を理解し、「痛い」という感覚が芽生える。

痛覚がある動物の場合、上記のような流れによって痛みを感じるようです。痛覚がある動物というのは外部から刺激を受けるとすぐに反応をしますが、その一瞬の間にもこれだけ多くのイベントが起こっているのですから、生命の体というのは不思議なものです。

痛みを感じた際の反応

さて、痛みを感じるまでの流れが分かったところで、痛みを感じた際の反応について見ていくことにしましょう。痛みを感じた時の反応というのはズバリその痛みの大きさによって異なります。場合によっては立つことすらままならないということもあるでしょう。

例えば足裏に画鋲がささったときの反応を考えてみましょう。左足に画鋲が刺さった場合、左足を上にあげ、右足をピンと硬直させる反応をとります。これは左右で違う動きをすることによって体重移動のバランスを制御しているのです。

魚には痛みを感じる「痛点」があるらしい

さて、ここまで痛覚が神経系に関連しているという話をしましたが、神経系の話というのは馴染みのないことが多いので少々難しかったかもしれません。ところで次はいよいよ魚類の話に移っていくことにしましょう。魚類には痛点があると言われています。

そもそも「痛点」という言葉は聞きなれない言葉でしょう。これも医学的な場面で使うことがほとんどであるために、知らなくても無理はありません。「痛点」の意味を説名したうえで、人間と魚類でどのようになっているのかについてご紹介していきます。

痛点とはそもそも何か

では、そもそも痛点とは何なのかということについて見ていくことにしましょう。痛点というのは簡単に言えば体の表面にある痛覚を受容するポイントです。そこに刺激が加えられることによって痛みが生じるのです。そのままの意味であることがわかります。

また、同時に刺激を受ける痛点が多ければ多いほど、その痛みというのは大きくなっていきます。指の一部を切ってしまったのと、大けがを負うのとでは痛みが違うのは刺激される痛点の数が異なることに起因しているのです。

痛点は人間の場合:体中に存在している

さて、痛点は痛みを感じるポイントであるという話をしましたが、人間の場合、痛点というのは体の表面のあちこちに存在しています。体の中で刺激して痛みを感じないところなどないということを考えれば実感がわくのではないでしょうか。

また、痛点というのは当然ながら大切な部分であるほど多く存在します。特に頭頚部や東部には痛点がたくさん集まっており、少しの刺激でも危険を知らせるシグナルを出すようになっています。人の体というのは実によくできているものです。

魚類の痛点については諸説ある

さて、人間は体中に痛点が存在するという話をしましたが、それでは魚類ではどうなのでしょうか。結論から言うと、このような記事が存在していることからもわかるように魚類の痛点については議論が盛んで、あるのかないのかは決まっていません。

魚類に痛点があるという説、魚類には痛点がないという説それぞれにそれなりの根拠があるために、どちらが正しいのかいまだ決めかねているというのが現状のようです。しかし、この後ご紹介しますが、最近明暗が分かれつつあるようです。

魚には「痛覚がある」

さて、魚類には痛覚があるのかないのかというのは議論になっているという話をしましたが、まずは「痛覚がある」と主張している人の意見に耳を傾けてみることにしましょう。「痛覚がある」と主張する根拠はいったい何なのでしょうか。

「魚に痛覚がある」と主張する背景には、信ぴょう性の高いデータに基づいた最新の研究結果が存在していること、そして、魚は危険でいっぱいの海の中で生活していくためには生体防御機能を捨象するのはナンセンスであるという考えが存在しているようです。

痛みを感じるとの研究結果

「魚類には痛覚がある」という主張を強く裏付けているのが魚類は痛みを感じるという研究結果です。これは比較的新しい研究結果で、後でその具体的なないようについては詳しくご紹介します。とりあえず今はそういうものがあるのだと思ってください。

データにもとづいた研究結果というのは非常に信頼性が高いです。この部分があるからこそ「魚類は痛覚がある」という主張にも説得力があるのでしょう。単なる憶測ではない主張であるということがわかります。やはり魚類には痛覚があるのでしょうか。

痛覚がないと防御できない

魚類に痛覚があると主張する理由として、痛覚がないと自分を防御することができないということが挙げられます。海の中というのは点滴でいっぱいです。いつどこに危険が潜んでいるのかというのは度の魚にもわからないことなのです。

したがって、点滴に襲われて、体の一部を負傷したとき痛覚が働けば、その点的に対して強い危機感を感じることができます。反対に、痛覚がないと何の抵抗感もないまま死んでしまうということになってしまいます。そもそも痛覚を捨象する理由がないのです。

痛覚があるという説の方が有力のようです

さて、ここまで、「魚類には痛覚がある」という主張には研究結果に基づいた主張、そして、魚類の生体防御という観点に基づいた主張の双方について見てきました。この2つの主張というのは覆すことが難しく、どちらもなるほどと思わせるところがあります。

また、データがあるというのは先ほども述べた通り、説得力が非常に高いです。したがって、最近では痛覚があるという主張はやや優勢となっているようです。あとは「痛覚がない」と主張する人達の主張を反証できるかどうかでしょう。

魚にも「痛覚がない」

さて、ここまで「魚類には痛覚がある」という主張について見てきましたが、あなたはどのように感じたでしょうか。現在ではやや優勢になっている論調でもあるために、そちら側に一気に流れたという読者の方もいらっしゃることでしょう。

一方で、魚類には痛覚がないと主張する人もいるようです。それはいったいどのような根拠に基づいているのでしょうか。その主張の内容と信ぴょう性について見ていくことにしましょう。果たしてあなたは納得することができるでしょうか。

差かなは痛そうな表情をしない

「魚類は痛みを感じない」と主張する人の主張として、「魚類は痛みを感じないからこそ、痛そうな表情をしないのだ」というものがあります。たしかに人間の場合、痛みを感じると、表情がゆがむなど、痛いということが表に出るものです。

しかし、この主張というのは残念ながらナンセンスであるようです。そもそも魚類に表情があるでしょうか?水族館の魚を見れば一目両全、皆無表情です。魚類にはそもそも表情金が存在していないために、表情をもってして論じるのはきわめて滑稽なことであると言えます。

魚は痛みを感じないからこそ針にかかると暴れる

「魚類は痛みを感じない」と主張する人の主張として、「魚は痛みを感じないからこそ、針にかかると暴れるのだ」というようなものがあります。確かに釣りの経験がある人ならわかる通り、釣り針にかかった魚というのは必至に動いて抵抗します。

魚に痛覚があるのであれば、できるだけ動かないようにすることによって痛みを軽減するという選択をする方がよいはずなのに、魚類はあれだけ激しく抵抗するのです。これに関してはまだ完全に否定することが難しいようです。

魚に痛覚がないとする説はやや劣勢

さて、ここまで「魚は痛みを感じない」という説について見てきました。しかし、「魚は痛みを感じない」という説は「魚類は痛みを感じる」という説に比べて劣勢になっているようです。やはり説得力が欠けているのが多いのでしょう。

魚類の表情からいろいろと論じるのはナンセンスであるということがわかりましたし、また釣り針にかかって暴れるというのも、魚類がそのときにパニックに陥るなどして、冷静な判断ができていないという可能性も否定できません。だからこそ説得力に欠けるのです。

魚以外の動物には痛覚はある?

さて、ここまで「魚類は痛みを感じる」という説と「魚類は痛みを感じない」という説の両方について見てきましたが、いったんここで視点を変えてみることにしましょう。魚類と同じような神経構造を持っている甲殻類に焦点を当てて考えてみます。

甲殻類に関してもまた、「痛みを感じる」と「痛みを感じない」の2つの説で割れていた過去があったようです。しかしその一方で、甲殻類に関してはもうきちんとその結論が出ています。甲殻類の痛覚について見ていきましょう。

甲殻類の痛覚に関しても議論が交わされていた

「魚類は痛みを感じる」という説と「魚類は痛みを感じない」という説についてそれぞれ見てきましたが、実はこのような議論というのは甲殻類でも交わされていました。というのも甲殻類にも痛みを感じる・感じない双方の理由があるからです。

甲殻類は体を空で囲まれているために、それだけで自信を防御することができます。それが破壊されたらどのみち命を落とすことはほとんど免れません。したがって痛覚が要らないという説もあったのです。一方、空の内部に痛覚があるという人もいたようです。

甲殻類には痛覚があるようです

さて、結果としては、甲殻類には痛覚があるようです。これは研究結果できちんと立証されています。この研究ではヤドカリに電気信号による刺激を与え続けるという極めて単純な操作を繰り返し行いました。それによるヤドカリの反応を見たのです。

すると、ヤドカリはなんと電気刺激を避けるように逃げるという行動を見せ始めたようです。これはヤドカリが痛みを感じているということにほかなりません。この研究によって、甲殻類は痛みを感じるということがっ証明されました。

ロブスターの調理にも影響

この研究結果というのはオーストリアのロブスターの調理にも大きな影響を与えました。もともとは「痛みを感じない」という説が残っていたために、オーストラリアではロブスターの調理というのは残酷であるとは考えられていませんでした。

しかし、上のような研究結果が出たために、なんとロブスターを調理するときには冷水によって一度仮死状態にしたのち、手早く調理することによって、即死させるひつようがあるという法律が定められたのです。驚きのレスポンスであるということができるでしょう。

魚の痛覚に関する最新研究

さて、甲殻類は痛みを感じるという研究結果が出たために、いよいよ魚類にも痛みを感じる仕組みがあるという説が濃厚となってきましたが、いったいどうなのでしょうか。ここでは最新の研究結果の様子をお伝えすることにいたしましょう。

なんと、魚には痛覚があるということを強く裏付ける研究結果が確認されたようです。やはりというべきなのか、魚には痛覚があったのです。「魚類は痛みを感じない」という主張は今や、過去のものとなりつつあるのが生物学の最先端であるようです。

魚類にも痛点や侵害受容器があった

エディンバラ大学のロスリン研究所はニジマスを使った研究が行われました。その研究方法は、ニジマスの頭部にマーカーをつけ、熱的刺激や科学的刺激を送り、その際の神経活動を観察、記録するといったプロセスで行われました。

その結果、痛みを感じる痛点が、ニジマスの頭部周辺に最低でも58ヶ所はあることが確認されました。そのうちの22ヶ所は、侵害受容器(末梢神経の先端にある刺激を感知する部位)であることも判明し、これにより人と同じように痛みを感じるということがわかりました。

ポリモーダル受容器も発見される

また、ニジマスを使った研究により、魚にもポリモーダル受容器があることもわかりました。ポリモーダル受容器とは侵害受容器の中の1つで、物理的刺激や化学的刺激を電気信号に変換する器官のことを指します。つまりアンプのようなものです。

ポリモーダル受容器は、人間をはじめ、鳥類や爬虫類も持っている器官で、細胞が傷つけられたり破壊された際の刺激を神経を通して脳に伝えるために必要な器官です。これがあるということは痛覚がきちんと機能しているということにほかなりません。

結論

ニジマスを使った研究での結論では、魚は痛みを感じるということになります。今まで魚は痛みを感じる、感じないで二分されていた意見は、この研究結果によって魚類は痛みを感じるという意見に大きく変化しました。


もちろん、この研究結果に不備があるという可能性も否定はできないのですが、その可能性はほとんどないと考えてよいほど、入念に行われた実験のようです。「魚は痛みを感じない」という主張は完全に終わったと言ってよいでしょう。

魚類の調理方法も見直される可能性があります

さて、魚類には痛覚があるという研究結果が得られましたが、これにより多くの魚の調理方法というのは動物虐待のような残酷な行為であると認定される可能性があります。甲殻類に痛覚があるとわかったときと同様、何らかの変化があるのではないでしょうか。

また、日本には「踊り食い」や「生き造り」という伝統的な魚類の頂き方があります。しかし、今回の研究結果を踏まえると、これらの伝統的な食べ方というのも変化を強いられることになるという可能性があるようです。詳しく見ていきましょう。

踊り食い

踊り食いというのは生きた魚類・甲殻類をそのまま食べることを指します。ただし「踊り」という言葉が入っていることからもわかるように、ぴちぴち動くような魚類を前提としていることに注意です。ウニやカキなどのほとんど動かないものはまた別です。

日本ではこの踊り食いというのは一つの伝統のようなところがあり、実際それを売りにしている観光地というのもあります。しかし、魚にとっては残虐な食べ方であるかもしれないということを考えると見直される可能性が十分にあります。

生き造り

生き造りというのは生きた魚類・甲殻類をそのまま調理することを指します。生きたまま身をさばくと、お皿に乗った後もしばらく小刻みに動き続けることがあります。これを見て楽しむ食べ方でもあるのです。興味深い現象であることは間違いありません。

しかし、生きたままの魚をそのままさばくというのはあまりにも残虐であるという声が上がっても仕方ありません。場合によっては生き物への敬意を欠いているともいうことができるからです。したがって、これもまた見直される可能性があります。

とはいえ、これも踊り食いと同様、一種の伝統であるという見方もできるので、議論が別れそうなところです。

魚は痛みを感じる・感じないのどちらか気になっていたあなたへ

さて、今回は魚は痛みを感じるのか、それとも感じないのかというトピックについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。最新の研究によると、どうやら魚も人間と同じように痛みを感じているようです。やはり痛覚はそれだけ欠かせないものなのでしょう。

この研究結果というのは私たちの生活にも少なからず関係してくるかもしれません。というのももしかすると魚の調理方法が、オーストラリアのロブスターの調理方法と同様見直される可能性があるからです。今後の対応にも目が離せません。

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