熊田聖亜は現在引退してる？ランナウェイの子役で活躍した女優の今に迫る

天才子役から人気女優への道はなかなかに厳しく、多くの子役たちが成長とともに姿を消していきます。元祖天才子役とも呼ばれる安達祐実さんや、着実にキャリアを重ねて実力派女優の仲間入りを果たしつつある芦田愛菜さんは、稀な例です。

子役としての絶頂期に、突如芸能界を引退する子役たちも少なくありません。天才子役の名をほしいままにし、その卓抜とした演技力で、ファンはおろか、多くの業界人を魅了した熊田聖亜さんもその一人です。

熊田聖亜さんは、2007年にデビューしてから引退まで、わずか7年の活動期間に、数々の話題作に出演し、強い印象を残しました。演技派と呼ばれる先輩俳優に混ざっても、一歩も引けを取らない、稀有な才能の持ち主でした。

突然芸能界を引退してしまった熊田聖亜さんを懐かしむ声は、いまだに強く残っています。「熊田聖亜」という名前を知らなくても、映像を見れば、「あの子だったのか」と思い当たる人も多いでしょう。

才能に恵まれても、それだけでは生き残れないのが芸能界です。とくに子役は、学業との両立や、思春期の心の揺れ、成長に伴う容姿の変化など、芸能活動の妨げになる要素を多く抱えています。

熊田聖亜さんの引退は、芸能界にとっては大きな損失でしたが、熊田聖亜さんにとっては、唯一無二の選択だったのかもしれません。

子役として活躍し、女優としての将来を期待されつつ芸能界を引退した、熊田聖亜さんのプロフィールをご紹介します。
 

あのまま芸能界に残って、女優として活動を続けていたら、どれほど素晴らしい演技を見せてくれていただろうと、残念い思わずにはいられません。

そんな子どもとは思えない、素晴らしい演技力を誇った、熊田聖亜さんの、デビューから引退までの7年間を追ってみましょう。

熊田聖亜さんのデビューは2007年、弱冠5歳のときです。BS日テレなどで放送中の『それいけ！アンパンマンくらぶ』に出演するほか、CMにも多数出演しています。

2007年4月から6月にかけては、フジテレビ系列で深夜に放送された『スリルな夜・子育ての天才』で、少女誘拐の常習犯に誘拐された過去のある女性の、幼少期を演じました。

熊田聖亜さんは、2011年に公開された映画『さや侍』で主要キャストの一人を演じ、この映画での演技が高く評価され、2012年、わずか10歳にして堂々の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

日本アカデミー賞新人俳優賞は、上白石萌歌さんや、芳根京子さん、竹内涼真さん、岩田剛典さん、広瀬すずさん、高畑充希さん、綾辻剛さんなど、現在の日本芸能界を牽引するそうそうたる人々が選ばれています。

また、熊田聖亜さんが新人俳優賞を受賞した2012年には、井上真央さん主演の『八日目の蝉』で井上真央さんの幼少期を演じた渡邉このみさんが、史上最年少の5歳で同賞を受賞しています。渡辺このみさんは、現在も人気子役として活躍中です。

熊田聖亜さんは、2007年から2014年の間に、新人俳優賞受賞作品の『さや侍』を含む4本の映画と、14本のテレビドラマに出演しました。

映画初出演作品『僕の初恋をキミに捧ぐ』で井上真央さん、劇団ヨーロッパ企画の舞台『冬のユリゲラー』をもとにした『曲がれスプーン！』で長澤まさみさん、若い女性から絶大な支持を集めた『パラダイス・キス』で北川景子さんの幼少時代を演じました。

その他、子ども番組やNHKの教育番組にも出演しています。また、セガトイズ、イオン、すき家、ライオン、三菱電機、住友生命、日清フーズ、マルハニチロ、東京ディズニーランド、第一三共ヘルスケアなど、誰もが知っている企業のCMにも多数起用されました。

熊田聖亜さんは、劇場版アニメ『プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』では声優にも挑戦し、プリキュアたちの敵となる謎の生き物「フーちゃん」を好演しました。

ドラマに、CMにとまさに八面六臂の活躍を見せていた熊田聖亜さんですが、2010年に『梅雨明け宣言』でメジャーデビューした男性ボーカルユニットのC&Kのニューシングル、『僕の天使』のPVにも出演しました。

たくさんの人気作品に出演した熊田聖亜さんですが、とくに印象深い、熊田聖亜さんの代表作ともいえる作品をご紹介します。どの作品も熊田聖亜さんのずば抜けた演技力が光り、子役ながら作品の骨子を支える秀作ばかりです。

熊田聖亜さんが出演した14本のテレビドラマのうち、熊田聖亜さんの素晴らしい演技力が物語を盛り上げ、熊田聖亜さんの人気を決定づけた2本をご紹介します。

2011年にTBS系列で放送された『ランナウェイ〜愛する君のために』は、無実の罪で投獄された青年が、仲間とともに脱獄し、余命いくばくもない娘に会うために逃走を続ける青春ロードムービーです。

主演は市原隼人さん、共に逃亡劇を繰り広げる刑務所仲間を、塚本高史さん、上田竜也さん、菅田将暉さんが演じました。熊田聖亜さんは、逃亡中の4人が逃げ込んだ先の民家に住む、生意気な小学生を演じました。

熊田聖亜さん演じる少女は、実母とその恋人から凄惨な虐待を受けており、体中に火傷の跡や傷がある凄惨な暮らしから逃れるために、4人の逃亡に加わります。

熊田聖亜さんは、心の傷を抱えながらも、その機転でときには4人のピンチを救う難しい役どころを見事に演じ切り、話題になりました。

ジャニーズの二宮和也さん、錦戸亮さん、人気女優の戸田恵梨香さんの競演で話題となった『流星の絆』。人気推理作家の東野圭吾さんのロングセラー小説が原作ということでも注目を集めました。

2008年、TBS系で放送された『流星の絆』は、流星を観ようと夜中に家を抜け出している間に両親を惨殺された幼い3兄弟が、復讐を誓い、助け合いながら犯人を追い詰めていくサスペンスミステリーです。

熊田聖亜さんは、戸田恵梨香さん演じる3兄弟の末っ子の幼少期を演じました。

物語の発端となる主人公たちの子ども時代は、ドラマの上でも重要なシーンで、子役たちの演技にも期待がかかりましたが、熊田聖亜さんは、突然の悲劇に見舞われる無垢であどけない純真な少女を見事に演じきり、一躍有名になりました。

『流星の絆』での演技で、熊田聖亜さんは子役として頭角をあらわし、その後の活躍が大きく期待されるようになりました。

熊田聖亜さんが出演した映画はたった4本でですが、いずれもその演技力の高さは目を見張るほどです。

出演した映画4本のうち3本では、井上真央さん、長澤まさみさん、北川景子さんというタイプの違う美女の幼少期を演じ分け、準主役を務めた時代劇で、名実ともに子役のトップスターとなりました。

熊田聖亜さんの初出演映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』は、累計800万部を売り上げる、青木琴美さん原作の少女漫画が原作の、切ない青春ラブストリーです。

2005年から2008年まで、『少女コミック』で連載され、小学館フラワーコミックスから単行本全12巻が出版されています。2007年には、小学館漫画賞を受賞、2019年1月から3月にかけて、テレビ朝日系でテレビドラマが放送されました。

『僕の初恋をキミに捧ぐ』は、全寮制の高校を舞台に、心臓病を患い、20歳までは生きられないと宣告された少年と、彼の主治医の娘で、何とか彼を助けたいと奮闘する少女が、すれ違い、さまざまな障害に出会いながら、愛を育んでいく王道の胸キュンストーリーです。

熊田聖亜さんは、井上真央さん演じる、美人だけど気が強く、真面目で一本気な主人公の幼少時代を演じました。

熊田聖亜さんの子役としての実力を見せつけたのが、お笑い芸人ダウンタウンの松本人志さんが3本目の監督作品としてメガホンをとった『さや侍』です。

テレビドラマ『流星の絆』で一躍有名になった熊田聖亜さんを、バラエティー番組で共演経験のあった松本人志さんが準主役に大抜擢しました。

『さや侍』は、脱藩して捕らえられた「さや侍」が、切腹を免除する代わりに若君を笑わせろという藩主の命令で、母親を亡くして以来笑わなくなった若君を笑わせるため、命懸けで芸を披露する30日間を描いたハートフルコメディ時代劇です。

熊田聖亜さんは、父親である「さや侍」とともに逃げて捕まり、牢座敷で暮らしながら父親を叱咤する、しっかり者の娘を演じ、主演の男性とともに、見事日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

監督脚本を担当した松本人志さんは、初の時代劇で迫真の演技をみせた熊田聖亜さんを、「天才」と絶賛しました。

熊田聖亜さんは、たくさんのCMにも出演していました。人気が出始めた2008年は、10本以上のCMに起用され、テレビをつければ熊田聖亜さんの姿が必ず目に入るほどの活躍ぶりでした。

熊田聖亜さんが起用されたCMで、とくに人気があったのが、シリーズで出演した永谷園と、かわいらしさが際立つマクドナルドのハッピーセットです。

熊田聖亜さんは、永谷園のCMに、2008年から2011年まで連続で起用され、ふりかけやお吸い物など、永谷園の主力商品のCMシリーズに計14本も出演しています。

共演の高見山関や玉木宏さんとの掛け合いも見事で、コミカルな演技も披露しています。

熊田聖亜さんがマクドナルドのハッピーセットのCMに出演したのは2008年。年に10本以上のCMに出演し、次々とオファーが舞い込んでいた多忙な時期です。

マクドナルドのCMは、ドラマや映画を観ない子どもの間にも、熊田聖亜さんの認知度、人気が高まるきっかけになりました。

並外れた演技力が高く評価され、次々と話題作に出演していた熊田聖亜さんですが、ここのところしばらくその姿を観る機会はありません。熊田聖亜さんは現在、どうしているのでしょうか。

人気、実力ともに、当時の子役ではナンバーワンと称されていた熊田聖亜さんですが、現在は芸能界を引退し、メディアへの露出はありません。

熊田聖亜さんは、2014年に芸能界を引退しました。熊田聖亜さんのオフィシャルブログも2014年から更新されておらず、その後の消息は不明です。

天才と絶賛された熊田聖亜さんの突然の引退の理由は、はっきりとはわかっていません。2014年といえば、熊田聖亜さんは13歳、思春期でもあり、学業との両立を真剣に考える時期でもあります。

そのため、引退の理由は、プライベートな時間を大切にするためとも、学業に集中するためとも言われていますが、真相ははっきりしていません。

2019年現在、熊田聖亜さんは17歳。進学していれば高校生ですが、その進学先として話題になっているのが、神奈川県立弥栄高校です。

神奈川県立弥栄高校は、美大進学者が多いことや、サッカー選手を数多く輩出することでも有名な進学校ですが、テニス部も、2018年度北相地区高体連夏季大会では、女子シングルス準優勝、ダブルス優勝と素晴らしい成績を収めています。

このときの、シングルスで準優勝し、ダブルスで優勝した選手の名前が「熊田聖亜」さんです。同姓同名の別人の可能性もありますが、かなり珍しい名前の上、写真の顔が、元子役の熊田聖亜さんを彷彿とさせることから、本人ではないかと噂になっています。

熊田聖亜さんには年子の妹、熊田胡々さんがいますが、熊田胡々さんも、熊田聖亜さんと同時期に子役として活動していました。姉妹での共演もありましたが、主な出演作品は、NHKの『みいつけた！』です。

2009年から2012年まで、「スイちゃん」役で出演していましたが、2013年に芸能界を引退し、現在は芸能活動を行っていません。

熊田聖亜さんは現在17歳。普通に進学していれば高校2年生です。もし、熊田聖亜さんが女優として活動を続けていたとしたら、どんな演技を見せてくれていたのでしょうか。

2019年時点で注目を集めている10代の若手女優には、熊田聖亜さんと同じように、子役から活躍している桜田ひよりさん、NHKの「まいんちゃん」を演じた福原遥さん、天才子役として大ブレークした芦田愛菜さんなどがいます。

もちろん彼女たちの陰には、人知れず消えて行った多くの子役、女優のたまごたちがいます。芸能界で生き残っていくのは並大抵のことではありません。何が幸せかはその人次第です。

天才的な演技力を持つ熊田聖亜さん。さらに演技に磨きをかけ、芸能界で活動を続けていたら、今頃は実力は若手女優として、評判を得ていたかもしれません。将来は日本を代表する大女優になっていた可能性もあります。

でも、普通の高校生として、好きなスポーツに打ち込んだり、恋愛をしたりするのも素敵な生き方です。熊田聖亜さんは、芸能界に残ることで失うものの大きさに気が付いたのかもしれません。

日本の芸能界にとって、熊田聖亜さんの引退は大きな損失ですが、選んだ道が正しかったと胸を張ってほしいものです。