小林カウの生い立ちとは?ホテル日本閣事件の女性死刑囚を詳しく解説

今回はホテル日本閣事件を起こした小林カウについて紹介します。小林カウが起こしたホテル日本閣事件とは、どんな事件だったのでしょうか。小林カウと関係があった中村又一郎についてもみていきましょう。戦後初めての女性死刑囚として話題となった小林カウについてまとめます。

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目次

  1. 1小林カウってどんな人物だったの?
  2. 2小林カウはホテル日本閣事件の犯人
  3. 3小林カウの生い立ちや経歴
  4. 4ホテル日本閣事件の経緯
  5. 5元夫を毒殺した事はみんな知っていた?
  6. 6ホテル日本閣事件のその後は?
  7. 7小林カウの最後の言葉とは?
  8. 8ホテル日本閣事件を題材にした映画を紹介
  9. 9小林カウは恐ろしい女性だった

小林カウってどんな人物だったの?

映画の題材にもなった事で有名なホテル日本閣事件。3人もの人間が殺されてしまった、殺人事件でした。今回はその犯人である小林カウについて紹介します。小林カウは、どうして殺人を犯す事になったのでしょうか。

小林カウはホテル日本閣事件の犯人

小林カウはホテル日本閣事件の主犯です。小林カウとは、どんな女性なのでしょうか。まずは小林カウのプロフィールをまとめます。

小林カウのプロフィール

本名 小林カウ
生年月日 1908年10月20日
享年 61歳没(1970年処刑)
出身地 埼玉県

小林カウは埼玉県の生まれです。殺人犯ではありますが、一般人であり、亡くなったのも昭和45年であった事から、詳細な情報はあまり残っていません。

小林カウの生い立ちや経歴

まずは小林カウの生い立ちや経歴からみていきましょう。小林カウはどんな環境で育って、どうして犯罪を犯してしまったのでしょうか。

貧しい農家の生まれ

小林カウは1908年に埼玉県大里郡の農家の次女として誕生しています。姉弟7人の、貧しい農家だったと言われています。当時の農家は貧しい家が多かったようですが、小林カウの家は特に貧しかったそうです。

小林カウは尋常小学校に通っていましたが、姉弟の面倒をみなけらばいけない事から、学校を欠席する事も多かったと言われています。

姉弟の面倒はみるものの、野良仕事を嫌がり、嘘つきでもあったようです。学校の担任からは「人情味に欠ける」と分析をされていました。

上京後に結婚

16歳になると、小林カウの憧れだった東京へと上京します。本郷の旅館で住み込み女中となり働く事になります。

小林カウは22歳になると、姉の勧めでお見合いをしました。小林カウの5歳年上になる、林秀之助さんという男性だったようです。

2人はお見合い結婚をしますが、小林カウは男性の事が好きで結婚をしたというわけではなかったようです。小林カウは結婚当初から、夫の伸長が低い事や貧弱な体について不満を口にしていたと言われています。

娘を出産

結婚には満足していなかった小林カウですが、妊娠をします。しかし最初の子供は出産後にすぐになくなってしまいました。1932年にふたたび子供を授かり、女の子を出産しています。

小林カウの娘については、出産後の記録が全くありません。小林カウが犯罪を犯した事で、娘については詮索されないように、名前を変えた可能性があります。

様々なビジネスを手がける

子供が生まれた小林カウですが、夫が病弱だった事もあり、小林カウが働き始めます。熊谷で自転車のタイヤ卸業を始めたり、「五家宝」という和菓子の製造販売を始めたりもしています。

戦後で物不足という中での商売だったため、商売は繁盛します。さらに漬物の販売や行商にまで手を出して事業を拡大していきました。

面白いほど商売がトントン拍子に進むので、商売の面白さと金儲けの面白さにはまっていく事になります。この時の商売で、小林カウはかなりお金を儲けたと言われています。

交番巡査の中村又一郎と不倫

商売が上手くいっている時には、恋愛も上手くいくものです。小林カウは43歳の時に若い警察官、中村又一郎と出会います。中村又一郎はこの時、26歳でした。小林カウと中村又一郎は、すぐに不倫の関係となりました。

小林カウにとっては、闇商売の取り締まりを逃れるために中村又一郎を取り込んでおくのは都合がよかったのです。また、夫に満足をしていなかった小林カウにとって、若い中村又一郎は魅力的だったのだと思われます。

夫はすぐに小林カウの不倫に気がつき、小林カウからの離婚の申し出を断って、小林カウを監視するようになりました。それでも中村又一郎との関係を続けていましたが、ある時夫は急死してしまいます。夫は脳溢血と診断されました。

ホテル経営に興味をもつ

夫の死ではれた不倫相手の中村又一郎と、堂々と一緒にいる事ができるようになった小林カウでしたが、中村又一郎の目的が小林カウのお金だけであった事を知り、中村又一郎と別れる事になります。

その後、小林カウはホテル経営に興味をもつことになります。小林カウは、中村又一郎と別れた後、行商の得意先だった塩原温泉郷に移り住んでいます。そこで、土産物屋を乗っ取り経営者となっています。

その他にも事業を拡げて、かなりの大金を蓄えていました。お金がどんどん貯まっていく事で、小林カウの野望もどんどん大きくなっていったのでしょう。土産物屋の主人であるだけでは満足できなくなってしまったのです。

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ホテル日本閣事件の経緯

ホテル経営に興味を持った小林カウは、とうとうホテル日本閣事件を起こす事になります。ホテル日本閣事件の経緯をみていきましょう。

小林カウが元夫を毒殺

少し話を戻しましょう。小林カウが中村又一郎と不倫をしていた時、不倫がバレた夫が急死しています。夫の死因は、脳溢血だと診断されていましたが、実はこれは死刑囚となる小林カウが起こした殺人であった事が後にわかっています。

中村又一郎と一緒になりたかった小林カウが、青酸カリで夫を毒殺していたのです。夫の毒殺を指示したのは、不倫相手の中村又一郎だったのではないかと言われています。

不倫相手と同棲するも2年で破局

夫を殺してまで一緒になった小林カウと中村又一郎ですが、同棲2年で破局しています。そもそも中村又一郎は、小林カウのお金が目当てでした。

同棲しはじめると、中村又一郎は小林カウのヒモとなり、仕事も辞めてゴロゴロとしていたようです。小林カウの性格についていけなくなった中村又一郎は同棲していた家を出て、その後に若い女性と結婚をしてしまいます。

1960年に経営者の妻を絞殺

中村又一郎に捨てられてしまった小林カウは、塩原温泉郷で土産物屋の主人となります。お金を貯めた小林カウは、土産物屋の主人というだけでは物足りなくなり、ホテル経営に興味を持つ事になります。

小林カウが目をつけたのが、ホテル日本閣でした。ホテル日本閣は、お世辞にも豪華なホテルとは言えませんでしたが、ホテル日本閣の経営者の夫に「妻がいなくなれば、一緒に経営できる」と言われた言葉を信じてしまったのです。

そして1960年に、小林カウは経営者の妻を雑用係の男と共謀して殺害していまうのです。殺害後、ボイラー室に埋めますが、小林カウが殺してボイラー室に埋めたのではないかという噂が広がった事から、林に埋めなおしています。

同年に経営者の夫も殺害

ホテル日本閣の妻を殺害した小林カウは、経営者の夫も殺害する事になります。もともと経営者の夫が、妻がいなければと言った事で、経営者の妻を殺害したのですが、経営者の夫は罪悪感から精神を病んでいきます。

経営者の夫は精神的に追い詰められて、殺害をほのめかすような言動を始めたそうです。経営者の妻の遺体を、ボイラー室から林に埋めなおす事になったのも、経営者の夫がうっかり誰かに話してしまった事が噂で広がったからでした。

このままでは殺した事が公になってしまうと考えた小林カウは、経営者の夫も殺害してしまうのでした。経営者の夫はホテルの廊下の下に埋め、「東京に金策に行った」と周囲には話していたようです。そんな話を信じる者はおらず、警察に通報されてしまいます。

犯行の動機はホテルの乗っ取り

こうしてホテル日本閣事件が発覚するわけですが、そもそも殺人を犯す事になったのは、ホテルを乗っ取りたいと思った事からでした。

当初はホテル日本閣の経営者の夫は、妻との夫婦仲がよくなかった事から、「妻と別れる事ができれば、小林カウと再婚して、経営を一緒にできる」と持ち掛けていたようです。経営者の夫は小林カウのお金に目がくらんだのです。

小林カウは離婚をさせるために、経営者の妻に慰謝料50万円を支払って別れてもらうつもりでいました。

しかしいざ払う段階になると、お金を女性に渡すのが惜しくなってしまったのです。いっそ殺してしまえば、1円も払わずに済むのではないかと考えた事から、経営者の妻を殺害してしまいます。

小林カウは1人で殺すのは大変だと考えたのか、ホテル日本閣で雑用をしていた男を、女性の体とお酒、そしてお金で手なずけて、犯罪に協力させています。経営者の妻と、経営者の夫は、小林カウと雑用係の男2人での犯行でした。

元夫を毒殺した事はみんな知っていた?

こうして小林カウは、ホテル日本閣事件の犯人として、警察に逮捕される事になります。ホテル日本閣事件が発覚したのは、ホテル日本閣の周囲の人たちが、経営者が2人とも突然いなくなったのはおかしいと、警察に訴えた事がきっかけだったようです。

実は小林カウの夫が急死した時にも、周囲の人たちは「小林カウが殺したに違いない」と噂をしていたそうです。実際に警察に訴えた人もいたそうですが、当時の不倫相手だった中村又一郎が、その噂を握りつぶしてしまっていました。

この時に小林カウが逮捕されていれば、その後のホテル日本閣事件は起こらなかったのかもしれません。

ホテル日本閣事件のその後は?

ホテル日本閣事件で逮捕された女性、小林カウはその後どうなっていったのでしょうか。ホテル日本閣事件のその後をみていきましょう。

1961年に逮捕

1960年にホテル日本閣の経営者2人を殺害した小林カウは、1961年にホテル日本閣事件の犯人として逮捕されています。

逮捕されるきっかけとなったのは、共犯者の男が別の窃盗事件で捕まった事だったようです。窃盗事件での取り調べ中に、ホテル日本閣事件の事も話してしまったと言われています。

小林カウと共犯者の死刑が確定

共犯者の男の自供でホテル日本閣事件の犯人として逮捕された小林カウは、男とともに1963年宇都宮地方裁判所で死刑の判決が言い渡されました。

この判決が下された時、小林カウは日本で戦後初めて死刑を執行された、女性死刑囚となったのです。その後戦後初の女性死刑囚という事で、大きな話題となりました。

1970年に死刑を執行

戦後初の女性死刑囚となってしまう小林カウは、上告しています。しかし夫の不審死も小林カウの犯罪である事がわかり、1966年、最高裁が上告を棄却し、小林カウの死刑は確定となりました。その4年後、1970年6月11日に小林カウの死刑は執行されています。

戦後初めての女性死刑囚だった

戦後に女性死刑囚となったのは、2019年現在で16人です。戦後初めて死刑の判決を下された女性死刑囚は菅野村強盗殺人・放火事件の女性死刑囚だったのですが、この犯人は恩赦で無期懲役に刑を変更されました。(現在は死去)

また女性連続毒殺魔事件の女性犯人も、死刑の判決確定日は小林カウよりも早かったのですが、死刑囚として死刑が執行されたのは小林カウ方が早かったのです。

このため小林カウは、戦後初めての女性死刑囚として処刑された犯罪者として注目をされる事となりました。

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小林カウの最後の言葉とは?

戦後初めての女性死刑囚だった小林カウは、最後にどんな事を言ったのかも注目されました。小林カウが最後に言ったと言われる言葉は諸説あるようです。

「思い残す事も、言い残す事もありません」という潔い言葉を口にしていたという説もあります。死刑を前に、落ち着いた気持ちであった事をうかがわせる言葉です。

ある説では「捕まったのは、事業に失敗した事と同じだと思う」と、犯罪者としての腹黒い一面を思わせるような言葉を残したとも言われています。

さらにある説では「もう2・3日、(死刑を執行するのを)待ってもらえませんか」と言ったとも言われています。死刑を前に、死ぬことを恐れていたというものです。小林カウが本当は何を言い残したのかは、わかっていません。

ホテル日本閣事件を題材にした映画を紹介

小林カウは戦後初めての女性死刑囚だったという事で、ホテル日本閣事件を題材にした映画も制作されています。ホテル日本閣事件は、どんな映画の題材となったのでしょうか。

天国の駅 HEAVEN STATION

「天国の駅 HEAVEN STATION」は1984年に公開された映画です。主演は吉永小百合さんでした。主人公の林葉かよは、32歳で下半身マヒの夫と結婚をします。夫に辛くあたられる林葉かよを心配して、巡査の橋本は親切にしていましたが、そのうち不倫関係となりました。

不倫を知った夫は狂ったように林葉かよに折檻し、林葉かよは夫を毒殺してしまいます。夫の死因は脳内出血と診断され、林葉かよは橋本と同棲をはじめました。しかし橋本は、幸子という女性を連れ帰ってきます。

林葉かよと幸子は姉妹のような関係となり、橋本を捨てて錦谷温泉郷へ行き、林葉かよは土産物屋の主人に、幸子は芸者となるのです。しかし、そこでも林葉かよは幸せになる事はできなかったのです、というストーリーでした。

明治大正昭和 猟奇女犯罪史

「明治大正昭和 猟奇女犯罪史」は、オムニバス映画でR-18指定となっています。この映画の中の「東洋閣事件」というストーリーがホテル日本閣事件を題材にしたものです。

1960年、温泉客相手に土産物屋を営んでいた宗方絹枝は、その美貌を使ってホテル東洋閣の経営者の愛人になります。宗方絹枝の目的は、ホテル東洋閣の乗っ取りでした。

共犯者と共に連続殺人を犯し、成功したかにみえたのですが、というストーリーでした。主人公の宗方絹枝は、藤江リカさんが演じています。

小林カウは恐ろしい女性だった

今回は戦後初めての女性死刑囚、小林カウについて紹介しました。小林カウは、お金を払うのが嫌だからという理由で殺人を犯してしまう恐ろしい女性でした。今後は、ホテル日本閣事件のような事件が起こらない事を願います。

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