御船千鶴子って？千里眼事件とは？リングでの貞子の母(山村志津子)のモデルを紹介

今回はホラー映画やドラマに登場する「貞子」の母親のモデルと言われている、御船千鶴子さんについて紹介します。御船千鶴子さんとはどんな人なのでしょうか。

また御船千鶴子さんには、映画やドラマに出てくるような、子供はいるのかもチェックしてみましょう。

まずは御船千鶴子さんが、どんな女性なのかをみていきましょう。御船千鶴子さんは、どういう家に生まれた女性だったのでしょうか。

それでは御船千鶴子さんの経歴をみていきましょう。どうして御船千鶴子さんは、超能力者と言われるようになったのでしょうか。千里眼事件が起こる前までの経歴をチェックしていきます。

御船千鶴子さんは、映画「リング」などでも描かれているように、生まれつき難聴を患っていたようです。小さい頃はそれでも両耳で音を聞く事ができていましたが、成人する事には、左耳はほとんど聞こえていなかったと言われています。

御船千鶴子さんの難聴と関係があったかどうかはわかりませんが、御船千鶴子さんは感受性が強かったそうです。病気持ちだった事もあり、観音菩薩を篤く信仰もしていました。

どちらかというと、御船千鶴子さんはネガティブに物事を考えてしまうところがあり、悲観的な感情にとらわれる面もあったと言われています。

難聴を患っていた御船千鶴子さんですが、22歳の時には結婚されました。結婚相手は陸軍中佐の河地可謙さんという男性です。河地可謙さんについて詳しい事はわかりませんが、結婚後には御船千鶴子さんは河地可謙さんの家で、姑と一緒に生活をしていたようです。

ある時、夫である河地可謙さんの財布から50円が無くなります。1908年頃の50円の価値は現在の100万円くらいです。大金が無くなった事になります。

その大金が、姑の使っていた仏壇の引き出しにあると御船千鶴子さんが言い当ててしまうのです。大金を盗んだ疑いをかけられた姑は自殺未遂を起こしました。この事件をきっかけに、河地可謙さんとは離婚して、御船千鶴子さんは実家に戻っています。

御船千鶴子さんが大金のある場所がわかったのは、透視能力が関係しているのではないかと考えた、御船千鶴子さんの姉の夫が、催眠術をかけて御船千鶴子さんの能力を引き出そうとします。

すると御船千鶴子さんが、日露戦争時に第六師団が撃沈された軍艦に乗っていなかった事を透視するなど、色々な事を透視していい当てたため、本当の超能力者に違いないとして、透視能力の研究材料とされるようになっていきました。

透視能力があるという噂が広がった御船千鶴子さんは、京都帝国大学医科大学の今村新吉教授や、東京帝国大学文科大学の福来友吉助教授の研究対象となります。

御船千鶴子さんの、若い頃の写真です。どれくらいの時期に撮影されたものかはわかりませんが、どちらかというと、おっとりしているような印象の女性です。

明治時代はまだ、写真の技術が今ほど高度ではなかったため、少しの間じっとしていなければいけませんでした。目がよっているようにみえるのは、じっとカメラをみつめていた事が原因のようです。

透視実験の研究材料となってしまった御船千鶴子さんは、千里眼事件に巻き込まれていく事になります。

御船千鶴さんの千里眼事件とは、どんなものだったのでしょうか。映画「リング」などの題材にもなった、御船千鶴子さんの、千里眼事件の経緯をみていきましょう。

御船千鶴子さんの透視能力を研究していた東京帝国大学文科大学の福来友吉助教授は、御船千鶴子さんの透視能力は本物であると確信して、実験結果を心理学会で発表しています。

この発表で、世間に「透視」という言葉が浸透する事になりました。透視とは超能力の1種で、超能力の存在自体を信じていない人はたくさんいます。

そのため、御船千鶴子さんの透視能力についても、本物なのか偽物なのかという議論が巻き起こりました。御船千鶴子さんに透視を依頼する人が殺到し、御船千鶴子さんは透視能力だけれど、自分は千里眼を持っていると言う人も現われるようになります。

御船千鶴子さんの透視能力の真偽を問う論争が激しくなる中、御船千鶴子さんの透視能力の実験が行われる事になりました。これが千里眼事件の始まりです。

1910年9月15日に、東京帝国大学の元総長の山川健次郎さん立ち会いのもと、御船千鶴子さんの透視能力の実験が行われます。

いくつかの鉛の缶に、色々な文字を書いた紙を入れてハンダ付けして開けられないようにします。そして誰かが1つ缶を選んで、それを御船千鶴子さんが透視するというものでした。御船千鶴子さんは、用意された部屋でその缶の中身を透視します。

御船千鶴子さんは、用意された部屋で透視をしました。立会人からは少しの間姿がみえなくなるものの、ハンダ付けされた缶を開ける事はできないし、開けたら開けた事がわかってしまうと考えたからです。

御船千鶴子さんは、普段よりも透視に時間がかかったものの、見事に中に入っている紙に「盗丸射」という文字が書かれている事を言い当てて、御船千鶴子さんの透視実験は成功したように思われました。

しかし千里眼事件は、ここから大きくなっていきます。実験成功という報道がされた後、実験の紙に「盗丸射」と書かれた紙は無かったはずだという話が浮上したのです。

御船千鶴子さんの透視実験で使われた缶や紙を用意した人も、どの缶にどの紙が入っていたのか分からない状態になっていました。しかし「盗丸射」という言葉の紙は入れていなかったのです。

そこで「やっぱり御船千鶴子さんの透視は、トリックだったのではないか」という噂が広がり、バッシングされる事になってしまいました。超能力を称えていた人たちまでもが、御船千鶴子さんを責め立てられるようになります。

その後、御船千鶴子さんが缶をすり替えた事を認めています。御船千鶴子さんが透視したと言った缶は、前日にサンプルで渡されていた物で、「こういう缶で、こういう紙が入っている」と説明されたものでした。当然、中に何が書かれているのかも知っていたのです。

本当かどうかはわかりませんが、普段は透視できるはずなのに、この日はどうしても缶の中を透視する事ができず、お守りとして持っていたサンプルに出来心ですり替えてしまったのだと語っていました。

しかし世間の人は、「透視が嘘だから、わざわざ立会人がみえないところで透視をすると言ったのだろう」と結論づけたのです。

御船千鶴子さんの透視能力はトリックだったというのが、千里眼事件と言われるものです。では千里眼事件の後、御船千鶴子さんはどうなったのでしょうか。千里眼事件のその後の経緯をみていきましょう。

千里眼事件のその後、御船千鶴子さんは大詐欺師と罵られる事になります。超能力など存在しないと言っていた評論家は、鬼の首でもとったかのように御船千鶴子さんを責め立てたと言われています。

1度は透視能力を持っている御船千鶴子さんとして有名になっていたため、千里眼事件後のバッシングはかなりヒドイものだったようです。

それまで神だとあがめていたような人も、手のひらを返したように罵ります。まさに映画「リング」の世界でしょう。

御船千鶴子さんは千里眼事件の後も、透視能力の研究に協力をしていました。透視能力は本当にあると、御船千鶴子さんは信じていたのでしょう。

しかし御船千鶴子さんと同じように超能力がると言われた長尾郁子さんが、散々非難されるという記事をみて、失望してしまいます。研究をしていた姉の夫に「研究しても駄目です」と言い放ち、1911年1月18日に服毒自殺を図り、24歳で亡くなりました。

超能力がある事を世間が認めてくれなかった事に失望して自殺したと言われていますが、一説では父親との金銭的なトラブルから自殺したという見方もあったようです。

ちなみに、長尾郁子さんが持っていたと言われる超能力は透視能力と念写能力でした。念写能力とは何かをじっとみていると、その文字や絵が浮かび上がってくるというものです。

映画やドラマ「リング」の中では、千鶴子は世間を呪って死んでいったと描かれていますが、御船千鶴子さんが世間を呪って死んでしまったのかどうかはわかっていません。

御船千鶴子さんは24歳で亡くなった後、熊本県の宇城市不知火町の街を一望できる高台にあるお墓に埋葬されました。

映画やドラマ「リング」で御船千鶴子さんが有名になってからは、御船千鶴子さんのお墓参りで訪れる人も増えたと言われています。

映画やドラマ「リング」では、千鶴子には貞子という娘がいる設定になっています。千鶴子のモデルとなった御船千鶴子さんには、子供や孫はいるのでしょうか。

御船千鶴子さんは結婚しているものの、すぐに離婚をしてしまっているため、子供はいなかったようです。姉も結婚していたので、姉の子孫はいるかもしれませんが、御船千鶴子さんの子孫はいないと言われています。

御船千鶴子さんは、現在の色々な作品のモデルとなっています。それでは御船千鶴子さんがモデルと言われる作品には、どんなものがあるのでしょうか。

御船千鶴子さんがモデルとなったのは、映画やドラマ「リング」です。御船千鶴子さんは、映画やドラマ「リング」に登場する貞子の母「山村志津子」のモデルとなっています。

山村志津子は、大学教授に超能力を見いだされてマスコミを賑わせますが、公開実験で失敗して、世間からバッシングを受けて自殺するという設定になっていました。

ドラマ「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」は、スペックと呼ばれる不思議な力を持つものたちの戦いを描いたストーリーです。

御船千鶴子さんは第1話で主人公の当麻紗綾が、最初に呼び出したスペックホルダーと呼ばれる超能力者として登場します。

漫画でも、御船千鶴子さんがモデルとなったキャラクターがいます。御船千鶴子さんがモデルとなったのは、漫画「ゴールデンカムイ」で登場する、三船千鶴子という架空の人物です。

漫画の中で三船千鶴子は、万田炭鉱を透視でみつけたことで、現在の金額にして2,000万円の謝礼を受け取った女性として紹介されました。

漫画「琴浦さん」でも、御船千鶴子さんがモデルになったキャラクターが登場します。御船千鶴子さんがモデルとなったのは、御舟千鶴というキャラクターで、インチキ呼ばわりされて自殺に追い込まれてしまうというものでした。

映画「リング」の貞子の母親のモデルとなったのは、御船千鶴子さんだと言われていますが、貞子のモデルとなった女性もいたようです。

映画「リング」の貞子のモデルだと言われているのが、高橋貞子さんです。ちなみに高橋貞子さんと御船千鶴子さんとの間には、何の関係もありません。

全くの他人ですが、御船千鶴子さんが実験に協力をしていた東京帝国大学文科大学の福来友吉助教授が、高橋貞子さんの研究もしていたようです。

高橋貞子さんは1868年生まれで、御船千鶴子さんとは18歳差です。当時であれば、親子でもおかしくない年齢差だったかもしれません。

高橋貞子さんは、岡山県和気郡の出身です。1913年から実験がスタートされています。何度も行われましたが、その頃には千里眼事件なども起こっていて、公開実験に立ち会うものは皆無で、実験も失敗に終わるのです。

福来友吉助教授が孤立していくのを自分のせいだと感じた高橋貞子さんは、福来友吉助教授への協力を中止して地元へと帰っていき、その後の消息が分からなくなっています。

今回はホラー映画やドラマのキャラクターのモデルともなった、御船千鶴子さんについて紹介しました。御船千鶴子さんが本当に超能力者だったのかどうか、残念ながらその真偽は今でもわかっていません。もしかしたら今の科学技術であれば、何かがわかったのかもしれませんが、全ては過去に埋もれてしまっています。