二枚舌の意味とは？二枚舌を使う人の特徴や八方美人との違い

都合よく話す内容を変える人のことを、「二枚舌を使う人」と表現することがあります。

二枚舌を使う人は意外と多いので、皆さんの中にも二枚舌を使う人に困惑したことがある人がいるのではないでしょうか?しかし、「二枚舌」の意味や語源を明確に説明できる人は少ないと思います。

そこで、今回はその二枚舌の意味や二枚舌の人の特徴などに迫っていきましょう。混同されやすい八方美人と二枚舌を使う人の違いも取り上げるので、「二枚舌」という言葉に興味がある人はぜひ注目してみてください。

二枚舌とは、その漢字の通り2枚の舌があるかのように、矛盾する話をすることを意味する言葉です。「二枚舌を使く人」は、矛盾が生じる話をする人や都合よく話をコロコロ変える人のことを指します。

ちなみに、二枚舌は英語では「double tongue」や「double talk」、「Double standard」などと表現できるのです。

「Double standard」（二重規範）は日本では「ダブスタ」と略されて、「あの人はダブスタだから注意しよう」というように使われることが多いでしょう。

二枚舌の語源は仏教用語の1つである「両舌」と考えられています。「両舌」は仏教における10個の禁止事項である「十悪」の1つでした。つまり、仏教では都合よく矛盾した話をすることは、悪行の1つと考えられていたのです。

大正時代に文部大臣であった中橋徳五郎が起こした事件がきっかけで、「両舌」が「二枚舌」として広く一般人に知られるようになりました。

中橋徳五郎はとある専門学校に、大学に昇格させるという約束をしましたが、結局その約束は果たされなかったのです。その結果、他の専門学校の責任者や職員が一斉にストライキを起こしました。

この出来事は「二枚舌事件」として有名になり、「二枚舌」という言葉が一般人に定着したのです。

「二枚舌」には数多くの類語が存在しています。例えば、「二転三転する」や「朝令暮改の」、「首尾一貫しない」や「風見鶏の」、「筋が通らない」や「ご都合主義の」などが類語として挙げられるでしょう。

「風見鶏の」や「ご都合主義の」には、周囲の流れを注意深く捉えて自分が有利なように話や態度を変える様子という意味もあります。

二枚舌はよく八方美人と混同されやすい言葉です。「八方美人な人」と「二枚舌な人」は、周囲の人から信用されにくくなるという共通の特徴があるので、同じ意味だと思い込んでしまいがちでしょう。

しかし、「八方美人」は周囲の人全員に好印象を持ってもらうために、都合よく振舞う人のことを指します。一方で、「二枚舌」は自分が有利になるように、矛盾した話をする人のことを指すのです。

つまり、「八方美人」と「二枚舌」には、重視するものが周囲からの評価か自分の得かという違いがあると言えます。

二枚舌よりも、さらに矛盾した話を都合よくすることは「三枚舌」と呼ばれます。「三枚舌」は、一般的に世界各国の思惑が交錯する近現代の外交の場面で使われることが多いでしょう。

約100年前の第一次大戦後に、混乱状態にあった中東に対するイギリスの不誠実な態度が、「三枚舌」という言葉を世界に広めたとされています。以下では、三枚舌外交（二枚舌外交）と呼ばれた、イギリスの外交を紹介していきましょう。

第一次大戦後は中東の支配権を巡って、フランスとユダヤ人、アラブ人が対立していました。当時中東の国を支配していたフランスと自分達の国を中東に築きたいユダヤ人、中東の土地で長年生活してきたアラブ人との対立は激化していたのです。

そこで、当時大国であったイギリスがこの問題の仲裁役として選ばれましたが、自らも中東の支配を目論んでいたイギリスは、三者それぞれに都合よく矛盾した約束をしてしまいます。

結局イギリスはそれらの約束を果たすことができず、イギリスのその不誠実な外交態度は「三枚舌外交」と揶揄されるようになったのです。現在でも「三枚舌外交」は、他の国々に対して矛盾した約束をする外交のことを指す言葉として使われています。

「二枚舌」は相対する人によって都合よく話を変える人を、非難する意図を持って表現したいときに使われます。「二枚舌」は、対象となる人を批判する意図が含んで使われることが多いので、正しく使うように注意ししましょう。

以下では、「二枚舌」の例文を紹介していきたいと思います。

「二枚舌」は都合よく自分の意見を変えることに対して、憤りを感じているときに使うことが多いでしょう。例えば、「選挙後にマニフェストとは反対の意見を言い出した政治家の二枚舌には呆れる」というように使われます。

一般的に二転三転する言動そのものを表現するように使う「二枚舌」には、その言動をする人に対する憤りの気持ちも込められているのです。

「二枚舌」は、複数の異性に都合のよい口説き文句を言う人のことを表現するときにも使われるのです。例えば「背が低い私だけでなく背が高い友達に対しても、身長を褒めていた彼は二枚舌だ」というように使います。

恋愛において二枚舌を使う人は、異性から信用されなくなってしまう可能性が高いでしょう。そのため、恋愛では二枚舌を使わないようにすることをおすすめします。

二枚舌の人は周囲の人それぞれに都合のよい話をして、周囲の人を混乱させることがよくあります。二枚舌を使う人を早めに見抜いて被害を少なくするには、二枚舌の人の特徴をしっかり掴んでおく必要があるでしょう。

そこで、以下では二枚舌を使う人の特徴を5つ紹介していきたいと思います。

第一印象がとてもよいということは、二枚舌を使う人の大きな特徴と言えるでしょう。二枚舌を使う人の多くは悪いイメージを抱かれて損をしないために、周囲の人からよい印象を抱かれる言動を心得ています。

そのため、初対面の人は二枚舌を使う人に、とてもよい印象を抱きがちなのです。二枚舌の人はその第一印象のよさを利用して、巧妙に二枚舌を使います。

感情表現が豊かでジェスチャーが大げさということも、二枚舌を使う人の特徴の1つとして挙げられます。二枚舌を使う人はコミカルな表情やしぐさで、騙そうとする相手に自分を信用させようとするのです。

また、二枚舌の人の多くは空気を読む能力が優れているので、空気に合わせた表情やしぐさをすることもあります。しかし、そのような場合は大げさなしぐさや表情に感情が込められていないので、周囲の人に違和感があると思われやすいでしょう。

基本的に損得勘定で物事を判断するということも、二枚舌を使う人の特徴と言えます。いつも自分が得をする言動をするので、自然と矛盾した話を複数の人にしてしまうようになるのです。

しかし、目先の利益を追ってしまう傾向があるので、自分が吐いた嘘で窮地に立たされてしまうことも多々あるでしょう。

世間体を過剰に気にするということも、二枚舌を使う人の特徴です。二枚舌を使う人は信用されやすくなればなるほど、上手く二枚舌を使って得しやすくなることを熟知しています。

そのため、二枚舌を使う人は周囲の人に信用されやすくなるために、世間体に過剰にこだわるのです。

二枚舌を使う人の特徴には、妄想癖と虚言癖が強いということも挙げられます。二枚舌を使う人の多くは、他人に嘘を吐くときには、自分で嘘の話を本当の話と思い込むことで、罪悪感を感じずスムーズに嘘を吐けるようにするのです。

二枚舌を使う人の中には、妄想癖と虚言癖が強すぎることで、自分でも嘘の話と本当の話をはっきり区別できていない人もいます。

二枚舌を使うようになってしまう原因は、まだはっきり分かっていません。しかし、二枚舌を使う人の多くは承認欲求が強いことから、幼少期に適切なコミュニケーションを周囲の人と取れなかったことが原因ではないかと考えられているのです。

承認欲求が高まりがちな幼少期に周囲の大人に十分構ってもらえないと、大人になっても承認欲求が強いままになりやすいとされています。

また、二枚舌の原因には、人に騙されてショックを受けた経験のトラウマ化とも考えられているのです。心から信じていた人から裏切られると、誰でもショックを受けるでしょう。

そのショックが大きすぎると、心の大きな傷となり、人が信じられないようになってしまいます。人を信用できないからこそ、誰に対しても先手を打とうとして、二枚舌を使ってしまうようになるのです。

また、二枚舌を使う人の強い承認欲求の裏には、自信の無さが隠れていることが多いのでしょう。そのため、二枚舌を改善するには、小さな目標を達成する経験を積んで自信をもつことが重要とされています。

信用しにくい二枚舌を使う人との付き合い方に、悩んでいるという人は多いと思います。二枚舌を使う人とは、どのように付き合うべきなのでしょうか?

以下では、二枚舌を使う人との付き合い方についても確認していきたいと思います。二枚舌を使う人と今後関わることが多くなる人は、ぜひ以下の付き合い方を覚えておきましょう。

二枚舌を使う人の多くは、自分の話を素直に聞き入れる人や褒めてくれる人に信頼を寄せる傾向にあります。そのため、二枚舌を使う人には表面的に話を信じたり褒めたりする態度をとるようにしましょう。

そうすることで、二枚舌の人との間にトラブルが起きにくくなります。

また、二枚舌を使う人の話を本気で信じると、後で大きく傷つく可能性が高いのです。そのため、二枚舌を使う人の話は基本的に信じず、あくまで信じているふりをするだけにしましょう。

二枚舌を使う人は損得勘定で動く上に狡猾でもあるので、自分のために人を巧妙に陥れることもします。そのため、二枚舌を使う人の前では、自分の弱みになるような言動をしないようにしましょう。

例えば、他人の悪口を二枚舌を使う人の前で言ってしまうと、二枚舌を使う人に悪口を言ったことを周囲に言いふらされることがあります。そのため、二枚舌を使う人の前では、自分の弱みとなる言動をしないように常に注意しましょう。

平気で嘘を吐く二枚舌を使う人と付き合っていると、だんだんストレスが溜まってくると思います。そんなストレスを最小限にするために、二枚舌を使う人とはビジネスライクに付き合うようにしましょう。

二枚舌を使う人は社交的で頭の回転が速いという面もあるので、ビジネスでは有能な人と評価されることもあるのです。

そのため、二枚舌を使う人との付き合いを仕事上の付き合いと割り切ることで、余計なストレスを感じにくくなる上に、仕事もスムーズに進みやすくなるでしょう。

必要が無いときは、極力顔を合わせないようにするということも、二枚舌を使う人との付き合い方のポイントと言えます。

二枚舌を使う人の多くは話し好きなので、近くにいる人ならば誰にでも自分の話を聞かせようとするのです。しかし、その話を信じ込まされてしまうと、後で大きなダメージを負うこともよくあります。

そのため、二枚舌を使く人と会う必要が無いときは、なるべく会わないようにしましょう。

二枚舌を使う人の中には、周囲の人の気を引くために非常識な言動をする人もいます。そのような人は、精神病である可能性が高いのです。以下では、特に二枚舌と関連性が高いとされる、演技性パーソナリティ障害について取り上げたいと思います。

演技性パーソナリティ障害とは、自己顕示欲が強すぎるために、日常的に嘘を吐いたり突飛な言動をしたりしてしまう障害です。自己愛が強いために、常に自分が話の中心にいないと不快になるという特徴があります。

常に周囲からの注目を浴びるために、まるで舞台役者のような大げさな振る舞いをすることから、「演技性」という言葉が使われました。

二枚舌を使う人の特徴には、演技性パーソナリティ障害の特徴と重なる部分が多いでしょう。そのため、二枚舌を使う人の中には、無自覚の演技性パーソナリティ障害である人も多いのではと考えられています。

今回は「二枚舌」の意味や語源、二枚舌を使う人の特徴などについて確認しました。「二枚舌」は悪い意味の言葉なので、人に対して使うときは注意しましょう。

また、今回取り上げた二枚舌を使う人の特徴は、相手が二枚舌を使う人かどうか見極めたいときに、ぜひ参考にしてみてください。さらに、二枚舌を使う人との付き合いに苦労している人には、ぜひ今回の二枚舌の人との使い方を実践してみることをおすすめします。