いたたまれないの意味とは?いたたまれない気持ちになるなどの使い方も紹介

「いたたまれない」という言葉は古い日本語ながらも使う場面を選びます。間違った意味で使ってしまうと失礼に当たる可能性すら出てくる難しい日本語です。抽象的な意味合いを持つ日本語「いたたまれない」を紐とき、正しい意味や使い方を覚えてぜひ使ってみてください。

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目次

  1. 1「いたたまれない」を正しく使おう!
  2. 2「いたたまれない」の言葉の意味とは?
  3. 3「いたたまれない」の類語
  4. 4「いたたまれない」の使い方《例文紹介》
  5. 5「いたたまれない気持ち」とは?
  6. 6「いたたまれない」の誤用に注意
  7. 7いたたまれない気持ちになるシチュエーション
  8. 8「いたたまれない」を英語で言うと
  9. 9「いたたまれない」を正しく使おう

「いたたまれない」を正しく使おう!

私達の行動を左右する「感情」、その「感情」には数え切れないほどの種類と幾重にも折り重なる複雑さがあります。そんな中でも複雑さの極みに君臨するのが「いたたまれない思い」です。

例えば不適切な発言をしたり望まない展開であったりという場面に置いて、感じる複雑な気持ちというのが一番遭遇しやすい「いたたまれない思い」なのですが、そこには感情の原点である「喜怒哀楽」だけでは単純に語れないものがあります。

では、「いたたまれない」とは一体なんなのかを詳しく見ていきましょう。

「いたたまれない」の言葉の意味とは?

まずは「いたたまれない」という言葉の成り立ちや意味の似た言葉から、その知識を深めていくことにしましょう。

「いたたまれない」は「精神的な圧力を受けてその場にそれ以上とどまっていられない様子」を表した言葉です。

「いたたまれない」は喜怒哀楽のような極端な意味合いが無いことから精神的理解の難しい感情です。しかし、その成り立ちを知ればあるいは理解に近づけるかもしれません。

「いたたまれない」の語源

「いたたまれない」は古くは江戸後期から使われている言葉だと言われています。当時は「いたたまれない」の他に「いたたまらない」と言う人もいたと言われており、どちらかと言えば「いたたまらない」の方が発祥により近い言い方です。

「いたたまらない」は漢字で書くと「居た堪らない」と書くのですが、これは「居る」という「そこに存在する」という意味の言葉と「堪る」という「こらえる、我慢する」という意味の言葉に否定を表す「ない」がくっついた言葉です。

更にこの「居た堪らない」の中の否定の「ない」に不可能の意味合いが強いということで、例えば「来られない」「見られない」のような「出来ない」を表す語尾「れない」へと変化していったと言われています。

「いたたまれない」の類語

「いたたまれない」への更なる理解を目指して、次は似た意味の言葉である類語をいくつか見ていきましょう。

実は「いたたまれない」とは、意味に含まれている「精神的圧力」の種類によって更に意味と使い方がまた変わってきます。その種類と意味の違いを理解するために3つの類語から正しい使い方を学びましょう。
 

・可哀想
・身の置きどころのない
・穴があったら入りたい

可哀想

「いたたまれない」の類語1つ目は、「可哀想」です。「可哀想」とは「弱い立場のものに不憫に思う様、同情を誘う様子」という意味です。

ここで表される「精神的圧力」とは、「不憫で心が締め付けられる思い」を指します。例えば何か不幸な出来事が起こった人を親しい人が見た時などに、「いたたまれない」と感じるのです。

身の置きどころのない

「いたたまれない」の類語2つ目は、「身の置きどころのない」です。「身の置きどころ」とは「心や体の落ち着くべき場所」という意味で、それがない、つまり「落ち着かない」という意味になります。

ここで表される「精神的圧力」とは「気まずくてどうしたらいいか分からない思い」を指します。例えば誰かの失敗を目にしてその人の顔をうまく見れないなど、息が詰まる様子を表します。

穴があったら入りたい

「いたたまれない」の類語3つ目は、「穴があったら入りたい」です。この「穴」とは「身を隠す場所」という意味で、「恥ずかしくて堪らないので身を隠してしまいたい」という意味の言葉です。

ここで表される「精神的圧力」とは「恥ずかしい思い」を指します。例えば何か失敗をしてしまって恥ずかしくて居ても立ってもいられない時に「いたたまれない」と思うのです。

「いたたまれない」の使い方《例文紹介》

ではここからは実際に「いたたまれない」とはどういう風に使うのか、使い方を例文で見ていきましょう。

類語で見たとおり「同情」「気まずさ」「恥」の3つの精神的圧力の意味によって使い分ける必要があります。それぞれの正しい使い方を例文で見ます。

例文①悪いことが立て続けに起こる友人にいたたまれない気持ちになる

この例文で使われている「いたたまれない」は「同情」から居ても立ってもいられない気持ちになってしまう様子を表しています。

この「いたたまれない」は一般的に「他人の事情」に対して使われる使い方が多く、自分に何かが起こったわけではないのに心が落ち着かなくなる様を表します。

例文②合コンに元恋人が来ていていたたまれない気持ちになる

この「いたたまれない」の使用法に置いて例文①との明らかな違いは、「自分に起きたことにも使える」という点です。

この例文では「自分に起きた状態に対する気まずさ」を言い表しています。この例文における意味合いだと、例えば他人が起こした何かに対しての気まずさにも使えますし、今回の使い方のように自分に対しても使えます。

例文③パジャマのまま外出してしまいいたたまれない気持ちになる

この例文の「いたたまれない」は「恥ずかしい気持ち」を表しており、例文①②の使い方と異なる点は「自分に起きたことに対して使う」ということです。

自分に起きた何かに対して恥ずかしさの余り他人に顔向けできない気持ちになった時に「いたたまれない」と言います。

「いたたまれない気持ち」とは?

「いたたまれない」という気持ちについてもう少しストレートにどういう気持か見ていきましょう。

「いたたまれない」とは、その状況や使い方によって気持ちのあらわす意味合いが変わってきます。どんな気持ちを表すことが出来るのでしょうか?

可哀想で胸が苦しくなる

「いたたまれない」という言葉の使い方として一番使いやすいと感じるのはこの「可哀想」という気持ちなのではないでしょうか。

誰かしらの不幸を目にしたりその辛さを感じ取って自分まで苦しくなり居ても立ってもいられなくなるという気持ちです。

気まずくて知らなかったことにしたい

ビジネスシーンなどで使われるパターンでは、この気持ちが内包されている場合特にが多いです。

自分の希望に関係なく、居合わせざるを得ない状況や逃げるに逃げられない状況ならではの気持ちです。

恥ずかしくて情けない

恥ずかしくて自分が情けなくなってしまって自分の存在感を消してしまいたいと思った時にも、この「いたたまれない」という言葉を使うことが出来ます。

言うなればパニック状態でその場から逃げ出したくなるという気持ちです。

腹立たしくて悔しい

「いたたまれない」という言葉には「落ち着かない」という意味合いがあるということに少し触れましたが、これは怒りに対しても有効です。

腹立たしくて悔しくてどうしようもなく「ジッとそこに居続ける事が難しく逃げ出したい」という気持ちです。

「いたたまれない」の誤用に注意

「いたたまれない」という言葉は比較的抽象的な意味の言葉なために、正しい意味がわからない人や的確な使い方を知らない人は多いものです。

そこで、「いたたまれない」という言葉を使うにあたって間違えやすい使い方を見ていくことで誤用してしまわないように対策しましょう。

「あそこの親御さんが亡くなられたそうでいたたまれない」

ここでの誤用ポイントは話の主及び相手が「あそこの親御さん」と言い表しているからには当事者がそこに存在しないことと、「亡くなられたそうで」と話していることからその事象を知ってから時間が経っているということです。

「いたたまれない」という言葉は、その事象が起こった時にその場に「居る」からこそ「居ることに我慢ができなくて逃げ出したくなる」という意味が含まれています。

なので、その事象が起こっている正にその場に「居合わせている時」に使わないと誤用になります。

「この度はお気の毒でいたたまれないです」

何か不幸なことがあった当事者に対して声を掛ける場合、その不幸に対する悲しみの深さを表そうと「いたたまれない」という言葉を使用すると不適切にあたります。

なぜなら、「いたたまれない」という言葉には「この状況に耐えきれず逃げ出してしまいたい」という意味があるからです。この使い方をすると悲しみに暮れている当事者に対して「気まずいからここに居たくありません」という宣言をしていることになります。

「痛たまれない」

「いたたまれない」という言葉を使うにあたっては、「書く」よりかは「言う」場合がほとんどだと思いますが、この「いたたまれない」の言葉の雰囲気と「心が痛い」というニュアンスから「痛い」という漢字を当てたりそのような意味で使う人がいます。

しかし、この場合痛々しくて見ていられないから「苦しいので逃げたい」という部分に「いたたまれない」という言葉の意味が表されているのであって、「痛い」という意味はありませんので誤用です。

「いたたまる」

では、「いたたまれない」というのが「居る」「堪る」に不可能の「れない」をくっつけた言葉であるならば、「そこに我慢していることが出来る状態」を「いたたまる」というのかと言えば、そんな日本語はありません。

あくまでも「我慢出来ないので逃げ出したい」という場合にのみ使われる言葉であって、我慢してそこに存在している状態を表したいのであれば「耐え忍ぶ」などを使うようにしましょう。

「いたたましい」

「可哀想な様子」を「いたたましい」と表現してしまう人もいます。しかし、可愛そうな様子は「痛々しい」「痛ましい」であって、決して「いたたましい」とは言いません。

迷ったら漢字で考えると判断がしやすいでしょう。

いたたまれない気持ちになるシチュエーション

ここで、日常の中で遭遇しやすい「いたたまれない気持ち」になるシチュエーションをいくつか見てみましょう。

「いたたまれない」とはネガティブな感情が多く、意外と日常に多く潜んでいることが分かります。

目上の人が怒られているシチェーション

ただでさえ誰かが怒られている場面はなんと言っていいのかわからない気持ちになるので出来れば見たくないものですが、その上自分よりも目上の人が怒られている現場に遭遇すると、気まずさを感じていたたまれない気持ちになります。

更に目上の人に対して軽く慰めるということは難しく、始終どうしたらいいのかという気持ちとどうにも出来ないという気持ちがつきまといいても立ってもいられなくなります。

仲良しグループの中で仲違いが始まったシチュエーション

女性によくある「仲良しグループ」の中でちょっとした行き違いから仲違いが始まることは珍しくありません。

そんな時、「どちらが悪い」とはっきりとわかるような原因であれば関係のない自分も考えや身の処し方など思うように出来ることもありますが、そう言えないシチュエーションだと「どちらの言い分も分かるけど」といたたまれない気持ちになります。

同僚の可愛がっているペットが亡くなってしまったシチュエーション

家族というのは何物にも代えがたいものです。しかし、世の中には「ペット」に関しては認識の違いが有ることが多く、飼っている人にとっては「家族」でも飼っていない人にとっては「ただの愛玩動物」ということは珍しくありません。

そのため「忌引き」などは適応されずに無理をして仕事に来ている同僚などを見ていると、ただでさえ可哀想なのに無理をしていて痛々しく映りいたたまれない気持ちになってしまうことがあります。

元恋人の結婚式に呼ばれてしまったシチュエーション

社会人には時に断ることが難しい「付き合い」というものがあります。その中で起こりやすいのが「会社の同僚の結婚式」です。

一般的に結婚式には同性の友人を呼ぶことが比較的多いですが、「会社の同僚」となるとそうでない場面が多々あります。そしてそれが「元恋人」であったりすると出席しないのもわざとらしいし出席するのも気まずいしといたたまれない状況になることがあります。

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「いたたまれない」を英語で言うと

では、ここまで見てきたように抽象的でニュアンスを重視する言葉「いたたまれない」を英語で表記するとどのような表し方になるか、その使い方を見てみましょう。

正しい英語表記

英語表現 直訳
I feel like running away. 私は逃げ出したいと思っている。
I can't stand the situation. 私はこの状況に我慢ができない。

「いたたまれない」はその日本語特有の抽象具合から、直接的に表される単語及び表現が存在しません。ですので、意味合いやニュアンスをしっかりと捉えて変換する必要があります。

間違えやすい英語表現

英語表現 直訳
I'm being unable to stay. 私はそこに滞在することが出来ない。

「いたたまれない」を英語で表現した時に間違われやすいのが、この表現です。

では、一見しっかりと意味を捉えていて一番ふさわしそうなこの表現の何が間違っているのかと言えば、「いたたまれない」という言葉の「一番伝えたい部分が入っていない」というところです。

「いたたまれない」という言葉は「いることができない」から転じて「逃げ出したい」という意味が一番伝えたい部分です。なので、この表現ではそこが伝わりません。

「いたたまれない」を正しく使おう

ここまで「いたたまれない」という言葉について見てきましたが、意味が抽象的な余りに逆に意外と使う場面が限定的になってしまう言葉だということがお分かりいただけたでしょうか。

日本語は世界でも有数の「あやふやな感情を言い表せる言語」です。せっかくその言葉を使う機会があるのですから、使うからには正しく美しく使いたいものです。

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