モラトリアムの意味とは?モラトリアム人間の特徴も紹介

モラトリアムの意味とは?モラトリアムという言葉の意味やその期間をご紹介します。また、「モラトリアム人間」と言われるのはどのような人のことなのか、その特徴やそうなってしまう原因、さらにはモラトリアム人間から脱却するための方法をご紹介します。

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目次

  1. 1モラトリアム人間ってどんな人?
  2. 2モラトリアムの意味とは?
  3. 3モラトリアムの期間
  4. 4モラトリアム人間の特徴
  5. 5モラトリアム症候群となる原因
  6. 6モラトリアム人間からの脱却方法
  7. 7モラトリアム人間は怠け者ではない
  8. 8生きる意味・働く意味を見つける

モラトリアム人間ってどんな人?

「モラトリアム」という言葉や、「モラトリアム人間」とはどのような意味があるのでしょうか。「モラトリアム人間」と呼ばれる人の特徴とはどのようなものなのかをご紹介します。

また、モラトリアム人間になってしまう原因やモラトリアム人間からの脱却方法などもご紹介しますので、そのような状況にある場合にはこれらの内容も参考にしてみてください。

モラトリアムの意味とは?

「モラトリアム人間」の特徴などを確認する前に、そもそも「モラトリアムの意味とは?」というところをご紹介します。本来のモラトリアムの意味としては「支払猶予」や「支払期間」という意味になります。

モラトリアムはラテン語の「mora(遅延)」が語源となっていて、戦争や天災などによって経済が立ち行かなくなったときに債務を一定期間猶予する措置のことなどを指していました。

他にも「一時停止」という意味でも使われることもあり、法律が執行されるまでの猶予、製造や使用の一時停止、核実験の一時停止などでもモラトリアムという言葉が使われます。

現代のモラトリアムは大人になるまでの猶予期間

さきにお伝えしたとおりモラトリアムとはもともと「支払猶予」というような意味で使われていましたが、現在で「モラトリアム」というと多くの場合、心理学用語として派生した意味の「大人になるまでの猶予期間」という意味で使われます。

大学生くらいの年代のちょうど「大人になる一歩手前」の年齢の人たちが「大人になることを猶予されている期間」という考え方で、これは心理学者エリクソンによって唱えられたものとなっています。

そして、日本ではその意味がさらに変化して、大人になるために猶予期間をすでに過ぎているのに「大人になれない」、「大人になろうとしない」様子を指して「モラトリアム」というようになっています。

モラトリアムの期間

「モラトリアム」とは大人になるための猶予期間、または準備期間ということをお伝えしましたが、この「モラトリアムの期間」というのは実際にどの程度なのでしょうか。

このモラトリアムの期間については学者や有識者の間でも意見が分かれるところではありますが、12歳~22歳という意見が多く、心理学者のエリクソンが提唱した「青年期」についても12~22歳となっているので、ここが基礎となります。

ただ、さきに挙げたように日本では猶予期間が過ぎているのに大人になれない、ならない人のことを指す傾向があるので、モラトリアムの期間は大学生の年齢の期間である「18歳~22歳」との認識が強いです。

モラトリアム人間の特徴

モラトリアム人間というのは、そもそも日本でよく言われるところの「モラトリアム」にちなんで作られた造語となるので、世界に広く一般的な言葉ではありません。

日本で言われるところの「モラトリアム」を指しているので、大人になるための猶予期間を過ぎても大人になりきれない人のことを「モラトリアム人間」と言います。

この「モラトリアム人間」と呼ばれる人たちにはどのような特徴が見られるのか、「モラトリアム人間の特徴」をご紹介しますので、チェックしてみてください。

定職に就かないのが特徴

モラトリアム人間の特徴としては、「定職に就かない」という特徴が挙げられます。これは「モラトリアム人間の最も典型的な特徴」と言えます。

日本でいうところのモラトリアムやモラトリアム人間が「大人になる猶予期間」つまり大学を卒業しても大人になりきれない人を指すことと、「大人になる」つまり「仕事をする」「定職に就く」ことを指すことが多いので、これが典型的な特徴となります。

大学を出ていなくとも「それに値する年齢」を過ぎてからも定職に就かず、アルバイトやフリーターを続けていたり、家に引きこもってニートをしている人を「モラトリアム人間」と呼ぶケースが多くなっています。

自己を確立できていないのが特徴

モラトリアム人間の特徴としては、「自己を確立できていない」というものがあります。モラトリアム人間は、「自分はもっとできる」とか、「自分はこんなはずではない」と自分の現状を認めない傾向にあります。

それが原因で、周りの人や環境に溶け込めず、溶け込もうという努力も意欲もなく、周りとの親密な関係や信頼関係を築くことができません。

そのように溶け込んでいないことから、自分が含まれたグループの中にあっても「当事者意識」というものが薄く、責任感も薄いため、どこか他人事のように振る舞い、グループの中で孤立するケースも多くなっています。

決断できないのが特徴

モラトリアム人間の特徴としては、「決断できない」というものも挙げられます。モラトリアム人間は当事者意識や責任感が薄く、さらに現状の自分を見つめない・認めない傾向にあるので、自分を客観視することができません。

ですから、「何を選んだらいいのか」、「どれが最善なのか」、「自分に良い選択はなになのか」ということが判断できないため重要な決断を迫られても決断することができないのです。

また、重要な局面ではなく軽い選択であっても、「あれも欲しい」「これも欲しい」となってしまい、そこも1つに「選択する」ことができないため、周りからは優柔不断で決断力のない人間だと思われてしまいます。

無気力状態に陥る

モラトリアム人間の特徴としては、「無気力状態に陥る」というものも挙げられます。このモラトリアム人間の特徴である「無気力状態」のことは、「モラトリアム症候群」とも言われます。

自分自身が当事者意識もなく、責任感もなく、周囲と溶け込むこともしないことが原因なのですが、それによって「刺激」がなく、「やる気」も出ない状態になります。その無気力状態のことを「モラトリアム症候群」と表現するのです。

このモラトリアム症候群、つまり無気力状態が続き、それが悪化することで「うつ病」になってしまうケースもあるので、これは悪化する前の段階で早期に解決することが重要になります。

モラトリアム症候群となる原因

無気力状態になってしまう「モラトリアム症候群」というものをご紹介しましたが、このモラトリアム症候群になってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

もともと自分自身に当事者意識がなく、責任感もないため周りからの信頼や仲間意識がないために溶け込むこともなく孤立しがちなことが原因で刺激もなく、やる気も出ない状態になるということが原因として挙げられます。

ただ、その「当事者意識がない」とか「責任感がない」というのはなぜそのようになってしまうのか、という根本的な原因の部分をご紹介していきますので、チェックしてみてください。

伝統よりも最新の技術への意識

一昔前までは、家族の仕事を継いだり、地域に代々伝わっている仕事をしたりと「伝統的なものを身につける」ことが重要なことでした。ですから「早く一人前になりたい」という意欲が強かったのです。

ですが、近年では伝統的な技術を学ぶということはあまり意識されることがなく、「最新の技術」や「新しい流行り物」を学ぶこと、見つけることが重要とされる風潮があり、そのことが「一人前になる」という気持ちから遠ざかる原因ともなっているのです。

新しい技術ということは「下積み」のようなことや、「見習い」という概念も薄れますので、「一人前になる」というよりは、「常に手探り状態」なわけですから、そこで戦うことは目的や目標がはっきりせず一人前への渇望も薄れます。

結婚に価値を感じないことによるもの

こちらも一昔前の価値観と言えるかもしれませんが、「結婚する」ということが一人前として認められるということがありました。

そして結婚するためにはある程度の安定した収入や地位が必要になるため「結婚して一人前になるために」、それを活力として仕事をしたり、目標に向かって突き進むことができたということもあります。

ですが、近年では結婚を望まない人も増えて、結婚を「コスパが悪い」や「デメリット」と考える人も多く、そこに目標が持てないため、一昔前にはあった活力の元となるものが1つ削られた形になるので、無気力になる可能性も増えるということです。

平和でゆとりある時代が原因

無気力なモラトリアム症候群になってしまう原因の1つとして、「平和でゆとりある時代」というものにも原因は考えられることになります。

これは一昔前というよりも日本で言えば「昔」ということになるとも言えますが、戦があった時代や戦争があった時代であれば、「やる気がない」とか、「活力が持てない」、「目標が定まらない」などと言える状況がありません。

10代後半ともなれば1人の戦力として男性は駆り出されますし、女性も家事育児と使命感を持って「やらされる」というほどの勢いで男性も女性も働いていましたので、今の「やらない選択」ができる平和な時代にも原因があるのです。

モラトリアム人間からの脱却方法

モラトリアム人間と呼ばれるような状況になってしまったときに、どのようにすればその「モラトリアム人間」から脱却できるのでしょうか。その方法をいくつかご紹介します。

もちろん、ここに挙げた内容がすべてではないですし、人によってモラトリアム人間になってしまう原因や理由も違うため、それぞれに合わせた脱却方法が必要になるケースは多いです。

しかしながら、「多くの場合に当てはまる」内容として以下の脱却方法がありますので、「よくある」ものとして確認して参考にしてみてください。

今の環境を変える

モラトリアム人間からの脱却方法としては、「今の環境を変える」というものが挙げられます。モラトリアム人間になるのには、「環境」という要因も大きく関わっているケースが多いです。

モラトリアム症候群になってしまう原因にも「平和でゆとりある時代」というものを挙げましたが、その環境が関わることによって、モラトリアム人間となってしまうケースもあるのです。

モラトリアム人間自体は無気力なことが多いので、自らを変えようと環境を変える気力もやる気もないことが多いので、環境を変えるのは周りの役目となることが多いですが、環境を変えることでモラトリアム人間から脱却できるケースはあります。

自分という存在を認め受け入れる

モラトリアム人間から脱却するためには、「自分という存在を認め受け入れる」ということが大切です。「今の自分」が本当の自分であり、それが今の自分自身の姿で、実力なのだということを認める必要があります。

今の自分は本来の自分ではなく、本当はもっとやれる、もっとすごい、周りが悪いなどと考えているうちは、「当事者意識」が持てず、「責任感もないまま」になるので、モラトリアム人間から抜け出すことはできません。

たとえ本当に実力があるとしても、「今は今の自分」なのは確かなことなので、まずはそれを認めるのです。それを心から認め納得することができたのなら、「次の行動」に移る準備ができてきたことになります。

自分でも簡単に達成できそうな目標を立てる

モラトリアム人間は、自己を確立できず、決断力もない状態なので、目標や夢なども持たずに「どこか他人事」で物事に当たっているところが見られます。「他人事」と考えていることのほうが多いというケースすらあります。

そうなると「成功しても失敗しても同じ」ですし、「できてもできなくてもいい」という考えなので、「何かを一生懸命やる」とか「目標に向かって頑張る」ということがありません。本当は自分が当事者となっているものでも他人事なのです。

ですから、まずはそれほど難しくないようなある程度簡単にできるようなものでもいいので、「目標」を立てて、それを「自分の目標」として「当事者」として挑んでみるのです。それによって当事者意識が芽生えればモラトリアム脱却も近づきます。

自分の将来についてじっくり考える

モラトリアム人間からの脱却方法としては、「自分の将来についてじっくりと考える」ということも挙げることができます。これは、今現在の自分を見つめるという意味でも重要なことなので、しっかりと考えるベきところです。

もし、本当に今の自分が本来の姿ではないのであれば、「将来」はどうなっているのか?ということを考えるのです。本来の姿に戻って何かを達成しているのか?という部分をしっかりとじっくりと考えてみるのです。

そうすると、多くの場合は「今のままでは無理」ということが分かります。当事者として何もしてこなかった自分には将来の展望が見えない、もしくは将来像に程遠い状態だということに気づくことができます。

モラトリアム人間は怠け者ではない

モラトリアム人間というのは、定職に就かないことや、決断力がないこと、そして無気力な状態であることから「怠け者」だと判断されてしまうことが多くなっています。

しかし、モラトリアム人間は「生きる意味」や「働く意味」が理解できないというだけで、「生きたくない」わけでもなければ、「働きたくない」わけでもないのです。

その人が理解し納得できるような「生きる意味」や「働く意味」を見つけることができれば自らモラトリアム人間を脱却して、他の人以上に一生懸命に生き、一生懸命に働くようになる人なのです。

生きる意味・働く意味を見つける

モラトリアム人間という状態になっていなくとも、「生きる意味」や「働く意味」というのは実は「あいまい」な人が多いのが現状です。

その状態のままだと「なぜ?」と心から思って、それがずっと心にひっかかってしまった時には、些細なきっかけでモラトリアム人間になってしまう可能性もあります。

ですから、今まだ活力がある状態のうちから「生きる意味」や「働く意味」を見つけることでモラトリアム人間になることなく、活気ある生活を送り続けることができるので、そのことには留意しておきましょう。

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