しらけ世代の特徴とは？他の世代との違いも解説！

しらけ世代という言葉を聞いたことがありますか？そもそも「しらける」は、どんな意味なのでしょうか？

「しらける」は、何かが白くなっていく様子のことです。「白ける」とも書きます。物が白くなることから、物事が明らかになると言う意味が生まれ「ミステリアスな部分が消え、面白みがなくなる、興ざめする・・」といった意味に発展しました。

しらけ世代の人は「何事にも冷めている」「大きな流れに抗おうとしない」という特徴の人が多いと言われています。しらけ世代の他に、団塊の世代、ゆとり世代などもありますが、それらとの違いも含めて「しらけ世代」の人の特徴を説明していきます。

しらけ世代の人は「何事にも冷めている」「大きな流れに抗おうとしない」という特徴がありますが、なぜ、そのような性格的な特徴を持つようになったのでしょうか。しらけ世代の時代背景と共に、説明をします。

しらけ世代は「1950年代から1960年代前半に生まれた世代」です。大学在学中に学生運動が終わった世代から、バブル期が始まる前に成人した世代を「広い定義でのしらけ世代」と呼んでいます。1960年代生まれの人は「新人類」と分ける場合もあります。

しらけ世代の人たちは、学生運動の終わりの時代を体験しています。学生運動が下火になったのは、極端な思考に偏るあまり、凄惨な事件を起こした経緯などがあったからです。高い「志」を持って始めた活動も、行き過ぎれば犠牲者を出してしまいます。

また、頑張って運動をしても、結果的に政府などの圧力に屈する事になる。と言う状況を目の当たりにして「政治への無関心」「何をやっても無駄」「頑張るのはばかばかしい」という「しらけ」の気持ちになっていったのです。

学生運動とは、活動家と呼ばれる大学生たちが、反戦などを訴え市民に呼び掛けた運動のことをさします。活動内容の主なものは、広場での演説、ビラ配り、授業のボイコット、バリケードを作るなどでした。最初の頃は学生運動に賛同する市民もいました。

しかし、過激な活動が目立つようになり、次第に市民の理解が得られなくなっていきました。学生運動離れが決定的となったのは、山岳ベース事件と、あさま山荘事件です。山岳ベース事件は、活動家内部でのリンチにより12人の死者を出した事件です。

あさま山荘事件は、軽井沢のあさま山荘に、活動家たちが人質を取って立てこもり、3人の死者を出した事件です。警察とのやり取りがリアルタイムで放送され、当時の視聴率は89.7％に昇りました。219時間の人質の拘束は今も破られない最長記録なのだそうです。

ここからは「しらけ世代に共通する特徴」を具体的に見て参ります。1950年代～1960年前半に生まれた人達と言えば、現在の年齢は50歳～70歳の方になります。若い人の「祖父母」や自分の両親に当たる世代、会社の部長や社長など上層部がその世代です。

しらけ世代に共通する特徴は「無気力・無関心・無責任の三無主義」と言われています。先ほど説明したとおり、志や熱い思想を持って頑張っても、周りがついてこないとどうにもなりません。

また、政府や大きな社会を前にして、自分一人が一生懸命に何かをしても、叶わないのだという「無力感」を味わったのが、ちょうどこの世代の人たちです。したがって、何事にも「無気力」で「無関心」で「無責任」を貫く方が楽だと思うようです。

しらけ世代は、「冷めた性格」である、という特徴もあります。先ほど説明した「三無主義」と似ていますが、「どうせ頑張っても報われないし・・」という気持ちや心理が働くため、情熱的に何かに取り組むという事があまりないようです。

争いごとが嫌いというのも、しらけ世代の特徴です。学生運動が下火になった決定的な事件「あさま山荘事件」などを見てきた事が、性格的な特徴に関連しているかもしれません。

どんなに素晴らしい思想があったとしても、人を傷つけて殺傷までしてしまう「狂気」な人間の姿を目の当たりにすれば、争う事に対して嫌悪感を抱くのは当然かもしれません。

適応能力に優れているというのも、しらけ世代の特徴と言えるでしょう。この時代は、大学入試の共通一次試験が始まった時期でもあり、マニュアルに対応する必要がありました。

また、1960年前後に生まれた世代は、高度経済成長の時期に学生生活を送っていました。日本企業に就職しておけば総じて安泰であっため、ガツガツした性格よりは、温和で順応性に優れた人が求められたので、環境に適応する力が高くなったと言われています。

しらけ世代は「空気を読むのが上手い」という特徴もあります。適応能力に優れている事と共通していますが、周りの雰囲気を察して、行動することで、無用な争いを避けるようにするからです。

1982年に「鈴木健二」さんの「気配りのすすめ」という本が大ヒットしましたが、これもまさに、空気を読むことや、「察する」ことの大切さを説く本でした。

社会に順応し争いを好まない「しらけ世代」は、自分なりの楽しみを模索する世代でもあります。仕事は仕事として、こなす一方で、自分の趣味や楽しみを大切にするようにしていました。

とくに、この時期は、日本が経済発展をしている段階で、消費が盛んに行われる時代でもありました。そのため、自分の生きがいを「社会の変革」などの大きな事に求めるのではなく、「個々の生き甲斐や楽しみ」に求めようとする傾向があったようです。

では、しらけ世代の価値観とは一体何なのでしょうか？しらけ世代の共通特徴と被る部分もありますが、主な物を4つご紹介します。

しらけ世代の人たちは、「仕事は自分流に淡々とこなせばいい」という価値観があります。もちろん会社内での順応性もありますので、マニュアルから大きく外れることはしません。

しかし、しらけ世代の人たちは、情熱的に仕事に取り組むこともなく、自分流に仕事を推し進める傾向もあったようです。

しらけ世代の人たちは「政治への関心は薄い」という価値観もあります。これは、学生運動の終焉を見てきた世代から、新人類と言われる世代まで共通して言えるようです。

政治に関心を持ち、熱心に活動をしたとしても、自分一人の力ではどうにもならない無力感を感じてきた世代だからでしょう。

しらけ世代の人たちは「元祖オタク世代」でもあります。世界を変える、社会を変える、社会に貢献する、といった大きな視点よりも、自己の楽しみに心が向かって行ったことが大きな理由でしょう。

オタクというのは、1970年代に呼ばれ始めた言葉です。アニメ、アイドル、漫画、鉄道、オーディオ、SFなどにはまり、狭く深く掘り下げながら楽しむ人のことです。

異常な幼児性愛から犯罪を犯した犯人も「オタク」と呼ばれ、オタク評論家の「宅八郎」がメディアに多く取り上げられてからは、「オタク」は、不気味で犯罪を起こしかねない危険人物というレッテルも貼られました。

しらけ世代の人たちは「集団より個人」の価値観も持っています。温和で何不自由なく育った世代で、長い物に巻かれるのが得意ではありましたが、集団で何かをするよりも「個人を大事にしたい」と思う気持ちも芽生え始めた時代でした。

現在は、個人主義の時代になっていますが、集団より個人を大切にする、という価値観が芽生えたのは1960年代からの新人類から、といえるでしょう。

ではここで、しらけ世代に似ている世代との違いについて見ていきたいと思います。しらけ世代の一つ前は団塊（だんかい）の世代と言って、ベビーブームの頃に生まれた世代の人たちです。

戦争も終わり、地方から東京や大阪に大勢雇われて、日本の経済を支えてきた時代です。また、安保闘争やベトナム戦争反対などの学生運動が広がりを見せたのも、この時代です。

しらけ世代の次の世代は、ゆとり世代と、さとり世代です。このふたつの世代とは、どのような違いがあるのでしょうか。

ゆとり世代とは、ゆとり教育が施行された頃に小学校時代を迎えた人です。1987年から2004年頃までに生まれた世代をさします。

ゆとり教育とは、「詰め込み教育」から、授業数を大幅に減らし「生徒自身が自分で物事を考えられる教育を目指す」という趣旨で行われました。ゆとり世代の特徴は「仕事よりプライベート重視」「物欲を始めガツガツしたところがない」などがあります。

しらけ世代との違いは、おっとりしているという点でしようか。しらけ世代は、表面上は冷静に見えますが、物欲やもっと良くなりたいという思いはあった世代です。ゆとり世代では、恵まれた環境で育ったため、ガツガツしておらず無いという点が違っています。

さとり世代とは、1990年代に生まれた人達をさします。2010年代に若者になった人たちは「物欲から解放され、恋愛や旅行にも興味を示さない」という特性があるそうです。

若者なのに、いかにも「悟り」を開いているかのように見えることから「さとり世代」と呼ばれるようになりました。さとり世代も、高望みせず、自分の楽しみを優先すると言う面では、しらけ世代と共通するところがあります。

しかし、さとり世代は、インターネットが発達してネット社会で生きています。しらけ世代は旅行や物欲に走ったのに対して「さとり世代」は、インターネットを介しての類似体験で満足するというのが大きな違いともいえるでしょう。

今の若者の世代は、ゆとり世代やさとり世代です。上司や親になる人が、しらけ世代の人となるわけですが、しらけ世代の人とは、どう付き合えばいいのでしょうか。しらけ世代の人との上手な付き合い方について紹介します。

ゆとり世代や、さとり世代の人たちは、しらけ世代の人たちと、基本的な価値観は合うと思います。団塊の世代は、情熱を持たず淡々としているように見える「しらけ世代」の価値観とはそぐわないかもしれません。

しかし、しらけ世代もゆとり世代も、さとり世代も「プライベート重視」「政治や社会に関心が薄い」という点では共通するからです。

それでも、最初から恵まれて育ったゆとりやさとり世代と比べると、しらけ世代は、ちょっとガツガツした物欲があると思います。ゆとりやさとりの人は、そんなしらけ世代の方々の価値観を認めて、一緒に話に乗ってあげると喜ぶと思います。

しらけ世代の人が生きてきた時代は、まだインターネットが発達していない時期でした。そのため、バーチャルよりも、リアルな体験を重視する傾向があります。

それに対して、ネットの世界を当然のように受け入れてきた世代は、リアルも大事だけれど、ネット上の世界や友達づきあいで、満足する傾向があります。根本的な感覚の違いから、しらけ世代は、若い世代の考えを受け入れられないことがあるようです。

生きてきた時代が違うのだから、分かりあえ無い部分もあって当然でしょう。そういう時には、どちらが正しいという主張は控えて、少し距離をとって付き合うのも大切です。

これは、全ての人間関係について言えることですが、相手が何に関心があるのか、どんな価値観があるのか、を観察して、付き合うと、人間関係はスムーズに行くようです。

時代は違っても、誰もが「自分が一番好き」なことには変わりはなく、自分に関心や興味を持ってくれる人には、心を開く傾向があります。

違う世代の人の考えは「理解できない」と排除するのではなく、新しい考え方が手に入ったと受け止めて、積極的にその思考を取り込むようにすると、違った世界が見えてくるかもしれません。

最後になりますが、しらけ世代の芸能人をご紹介します。俳優の渡辺謙さんと、女優の桃井かおりさんは、どちらも「しらけ世代」に生まれた人ですが、今回ご紹介したような特徴は、あまり感じられません。

でも、自分流に飄々と生きて行く様子や、適応能力が高く色々な状況にも上手に対応できるという点では、納得できると思う方もいるかもしれません。

渡辺謙さんは、1959年生まれで、今年60歳を迎えます。コマーシャルや、俳優として幅広く活躍されています。

自己を確立し、世界でも堂々と活躍する姿は、情熱的でしらけ世代のようには見えませんが、冷静に世の中を見ているなど、内面では、しらけ世代の流れを汲んでいるのかもしれません。

桃井かおりさんは、1952年生まれの女優さんです。桃井かおりさんといえば、「疑惑」「もう頬づえはつかない」「幸福の黄色いハンカチ」を見てファンになった方も多いでしょう。

桃井かおりさんは、「しらけ世代」とマッチする芸風で、知られています。世の中を冷めた目で見て飄々と生きて行く姿は、当時は異質でかっこよく見えたものです。

しかし、桃井さんの仕事に対する熱意は、ものすごいものがあり、一切の妥協をしないことでも知られています。表面上はクールでも、内面は情熱的な物を持っている女優さんと言えるでしょう。

しらけ世代の人の特徴や価値観を見てきました。しらけ世代は、無関心で、無責任な性格と言われますが、それはあくまでも表面上のこと。本当は情熱的な人が多いのかもしれません。