さとり世代の意味や年代とは？特徴やゆとり世代との違い

現在何も欲しがらず、とにかく安定志向の若者が増えています。仕事でもプライベートでも安定を望み、高望みをせずに生きる姿は、まるで悟りを開いた僧侶のようです。そのため、そのような若者は「さとり世代」と呼ばれています。

そのさとり世代の若者は、現在新入社員や若手社員として社会で活躍しているのです。上の世代とは根本的な考え方が異なるので、さとり世代の新入社員や若手社員の教育で悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

そこで今回はその「さとり世代」の意味や特徴について、詳しく見ていきましょう。さとり世代の社員の使い方も取り上げるので、さとり世代の社員とのコミュニケーションで困っている人は、ぜひ参考にしてみて下さい。

「さとり世代」とは、「ゆとり世代」が受けてきた「ゆとり教育」が見直された後の教育を受けながら育ってきた世代の若者たちを意味します。

幼少期の頃から不景気な社会を目の当たりにしながら、詰込み型とゆとり型が混ざった教育を受けてきたさとり世代の若者たち。

そんな経済環境や教育の影響からか、さとり世代の若者たちは刺激よりも安定を望む傾向が強いのです。その悟った僧侶のように、徹底的に無欲に徹する姿勢にちなんで、その若者たちは「さとり世代」と呼ばれるようになりました。

皆さんは「さとり世代」とは、どんな年代の世代を意味するかご存知ですか?実はさとり世代はゆとり世代と混同されることが多く、その年代もはっきり区別できないという人が多いのです。

20代~30代前半の人の中には、自分が「さとり世代」に入るのか「ゆとり世代」に入るのか、分からないという人も多いでしょう。

「さとり世代」とは、1994年以降に生まれた人の世代とされています。ゆとり教育と昭和の詰込み型の教育を混ぜたような教育を受けて育った人が、さとり世代と呼ばれるそうです。

2018年現在では、20代前半までの若者たちが「さとり世代」に属します。つまり、社会で活躍し始める20代前半の若者たちは、さとり世代なのです。しかしさとり世代より上のゆとり世代の人の中にも、さとり世代のような考え方をしている人もたくさんいます。

そのため年齢だけでなく、さとり世代のような考え方かどうかということも、さとり世代かどうか判断する基準にしてもよいでしょう。

さとり世代が受けてきた教育は、昭和の詰込み型と平成のゆとり型が混ざった、新しいタイプの教育とされています。その教育が、さとり世代の考え方に大きな影響を与えたと考えられているのです。

さとり世代が受けてきた教育の特徴とは、どのようなものなのでしょうか?以下で詳しく確認していきましょう。

さとり世代の若者たちが受けてきた教育には、集団で行動する機会が多いという特徴があります。さとり世代より上の世代でも仲間と協力して、運動会や文化祭を盛り上げることはあるでしょう。

さとり世代の受けた教育では、大きなイベント以外でも集団になって行動する場面が多いのです。例えば小さな発表や宿題であっても、何かとグループを作って行います。

そのため空気を読むことは得意でも、自分の意思で物事を動かしていくことが苦手という人が、さとり世代には多いとされているのです。

さとり世代が受けてきた教育には、IT技術が活用されているという特徴もあります。タブレットを利用しながら授業を受けたり、現代のプログラミング技術を学んだりする機会があるのです。

そのためさとり世代は他の世代よりも、現代のIT技術を上手く使いこなせるという特徴があります。しかし中にはスマホやタブレットは使いこなせる一方で、パソコンは全く使えないという人もいるのです。

さとり世代より上の世代では、紙の辞書で言葉の意味を調べたり、桁数の多い計算を自分で計算したりすることがあったでしょう。しかしさとり世代が受けた教育では、アナログな手法をなるべく減らして効率的に問題を解決するという特徴があるのです。

例えば数学では複雑な計算には計算機を使うことが許可されますし、言葉の意味は電子辞書で調べることがほとんどなのです。そのためさとり世代は、より効率的に物事を解決したがる傾向が強いとされています。

さとり世代の若者たちの性格には、これまでの世代には無い特徴が見られます。そのためさとり世代の若者の性格が掴めず、どのように接したらよいのか分からないという人も多いでしょう。

そこで以下ではさとり世代の若者の性格における特徴を、詳しく取り上げていきたいと思います。

さとり世代の若者の性格によく見られる特徴が、常に冷静であるという特徴です。一般的に若者には、血気盛んで、何か問題に直面すると激しく動揺するというイメージがあるでしょう。

しかしさとり世代は何か問題が起きても、マイペースに物事を捉え、あまり動揺を他人に悟らせないのです。

さとり世代の若者の中には、空気を読む場面が多い教育の影響からか、愛想がよい人が多いのです。さとり世代の若者はなるべく人間関係のトラブルを回避したいという心理から、他人と上手く付き合おうとする傾向が強いとされています。

愛想がよいさとり世代の若者は、確かに他人には好ましく映るでしょう。しかし八方美人になってしまい、信用できないと思われしまうことも多いのです。

さとり世代の性格には、現実的という特徴もあります。現実的なさとり世代の若者は、あまり派手にお金を使うこともありませんし、恋愛や結婚においても高望みをしません。そのため大きな失敗をせずに、人生を歩めるのです。

しかし大きな挫折を経験していないために、仕事での失敗で大きく落ち込んでしまうさとり世代の若者も多いとされています。

さとり世代の若者の多くは、注目を浴びることを避ける性格をしています。そのためリーダーよりも、リーダーを支える人になりたいと望みますし、人前で話すこともなるべく避けようとするのです。

多くの人の前で失敗をして、恥をかくのではという不安から、目立つことを避ける傾向が強いとされています。

さとり世代の若者の多くは、全体的に素直な性格をしています。あまり感情的な言動をしないので、積極性が無いと批判されがちなさとり世代ですが、他人からの注意やアドバイスは素直に聞き入れる素直な人が多いのです。

ただ高圧的に注意されたりアドバイスされると、委縮してしまう人が多いともされています。

さとり世代の若者の行動の特徴とは、そんなものなのでしょうか?以下ではその特徴も、取り上げたいと思います。さとり世代の若者の行動の意味が分からないという人は、ぜひ注目して下さい。

さとり世代の若者の多くは、インドアであまりお金がかからない趣味を持っていることが多いようです。そのため休日に外出するということは少なく、家にいることが多いとされています。

ネットやゲームなどにはまっている人が多く、誰かと趣味を楽しむということも少ないようです。

必要なもの以外はあまり購入しないということも、さとり世代の若者の行動の特徴です。かつてはステータスとされていた高級時計やブランド品などに、興味を持つこともありません。必要なものをなるべく安く購入する傾向が強いとされています。

さとり世代の若者の行動の特徴には、所属するグループなどにはこだわらず、浅く広い交友関係を持つという点も挙げられます。不景気な現代日本では、さとり世代にとって転職は身近に感じる言葉です。

そのため組織に所属するということに、特別な想いを抱く人は少ないため、所属するグループにこだわらない交友関係を築こうとします。しかし深い付き合いは苦手なので、広く浅い付き合いになる傾向が強いのです。

家族との時間を大切にするということも、さとり世代の若者の行動の特徴です。幼少期からずっと家族仲がよいという人がほとんどで、大人になってもこまめに家族に連絡を入れる人も多いのです。

さとり世代の素直さやマイペースさは、安定した家族関係から培われたものかもしれません。

人が集まる場に積極的に出席しないということも、さとり世代の特徴的な行動です。特に会社の飲み会に出席したがらない人が多く、このことを不思議に思っている人もいるでしょう。

さとり世代は友達は多いですが、人間関係を深めるのは苦手なのです。そのためお酒を酌み交わしながら親睦を深める飲み会という場を、避けたがる人が多いとされています。

現代の20代前半の若者が「悟り」世代と呼ばれるようになった理由とは、どのようなものなのでしょうか?意外とその理由を知らないという人は多いと思います。そこで以下ではさとり世代が「悟り」世代と呼ばれるようになった理由について、見ていきましょう。

生まれた時にはすでにバブル後の不景気な経済の中にいたさとり世代。成長する中でもリーマンショックを目の当たりにし、経済の不安定さを実感してきました。そのためさとり世代は節約志向が強く、遊びや買い物にお金をかける人は少数なのです。

遊びや買い物に無駄なお金を使わず質素倹約な生活をする様子から、「悟り」という言葉が連想され、「さとり世代」という名前が付いたとされています。

晩婚化が進んでいる日本社会では、恋愛に興味が無い「草食系」と呼ばれる男女も増えています。そのためさとり世代の中にも、恋愛や結婚に興味が無い人が増えており、積極的に相手を探そうとする人も減っているのです。

その若者でありながら恋愛に対して淡泊な反応をする様子は、僧侶が悟って恋愛に興味が無くなった様子と重なり、「さとり世代」と呼ばれるようになりました。

現代の日本社会では、個人の責任や自由がより重要視されるようになっています。そのため人同士のコミュニケーション自体も薄くなっている社会の影響で、さとり世代も1人で行動することが増えているのです。

さとり世代では趣味も1人で楽しむという人がほとんどで、休日に友達と外出するということはあまりありません。その孤独な様子が悟った僧侶のように見えるということも、「さとり世代」と呼ばれるようになった理由の1つなのです。

とある説ではさとり世代とゆとり世代とは、同じ年代とされています。名前も似ているため、混同してしまう人がほとんどでしょう。

そこで以下ではさとり世代とゆとり世代の違いを、しっかり確認していきたいと思います。ゆとり世代とさとり世代の違いがあやふやな人は、ぜひ参考にしてみて下さい。

ゆとり世代とさとり世代の大きな違いは、個性を重要視するかどうかという点です。ゆとり世代は個性を尊重するゆとり教育を受けて育ってきました。そのためさとり世代よりは、自分の個性を表現したいという欲が強いのです。

ゆとり世代とさとり世代の違いには、仕事で指示を待つかどうかという点も含まれます。ゆとり世代には、一般的に甘やかされて育ったというイメージがありますが、就職や進学のタイミングで新しい制度導入されたり、深刻な経済危機が起きたりしています。

そのためさとり世代よりも厳しい状況に置かれてきた世代と言えるのです。その影響からか、ゆとり世代は仕事において自分の判断で失敗することを恐れて、指示を待つ傾向が強いとされています。

さとり世代も失敗を恐れる傾向が強いですが、効率を重視して自分の判断で仕事をする人が多いようです。

ゆとり世代とさとり世代は、恋愛にあまり興味が無いという点で似ています。しかし恋愛への淡泊さはさとり世代の方が深刻で、ゆとり世代には出会いを求める人もいるのです。しかしさとり世代には、全く恋愛をしない絶食系と呼ばれる男女も少なくありません。

そのため既に問題となっている少子化が、将来さらに深刻化するのでは言われているのです。

さとり世代もゆとり世代も、お金に対してシビアという点は共通しています。しかしゆとり世代は好きなものや、趣味にはお金をかける傾向が強いとされているのです。

一方でさとり世代は、自分の趣味や好きなものにも、あまりお金をかけたがりません。さとり世代には好きなものも、リーズナブルに楽しみたいという人が多いのです。

打たれ弱さもゆとり世代とさとり世代の違いの1つです。ゆとり世代もさとり世代も挫折を味わった経験が少ないという点では似通っていますが、ゆとり教育を受けてきたゆとり世代は特に挫折の経験が少ないとされています。

そのためゆとり世代のほうが、強く注意されるとより深く落ち込みやすいのです。

さとり世代やゆとり世代以外にも、しらけ世代やつくし世代など世代を表わす言葉はたくさんあります。そこで以下ではそれらの世代の意味と共に、さとり世代との違いも取り上げていきましょう。

1950年~1960年代前半に生まれた約200万人の人々が、「しらけ世代」と呼ばれています。しらけ世代とは、戦後復興を担った所謂「団塊の世代」と呼ばれる人々の子供の世代を意味するのです。

親の世代とは対照的に仕事や政治に対して熱くならないため、「しらけ世代」と呼ばれるようになりました。さとり世代と名前の意味が似ていますが、しらけ世代はさとり世代よりも会社でのし上がろうとする意欲が強い世代なのです。

1987年から始まったバブル景気の頃に、就職を迎えた世代は「バブル世代」と呼ばれています。日本の好景気の恩恵を受けた世代で、中小企業に就職しても高水準の生活が送れました。

しかしバブル崩壊後はリストラされてしまったり、バブルの時の浪費癖で破滅してしまったりということが多く、上がり下がりが激しい世代とも言えるでしょう。

バブル世代とさとり世代は、まさに対照的な世代です。しかし最近は何もかもがゴージャスなバブル時代に憧れを抱く若者も多く、バブルの時代に注目が集まっています。

ゆとり世代とさとり世代とほぼ同じ年代には、「つくし世代」という世代もあります。「つくし」とは「尽くす」という意味で、とにかく波風を立てずに人に尽くす姿勢にちなんで、「つくし世代」という名前が付けられたのです。

つくし世代はさとり世代やゆとり世代とほぼ同じ特徴を持っています。しかしつくし世代はより競争心が薄く、皆で1つの目標に向かって努力したがるという違いがあるのです。

新入社員や若手社員の年代にあたるさとり世代は、仕事場でどのようなポジションにいるのでしょうか?仕事場でさとり世代の社員とあまり接点が無い人は、そのポジションが気になるでしょう。

そこで以下では、さとり世代の仕事場でのポジションを詳しく見ていきたいと思います。

無欲で無感情なさとり世代の若者には、積極性に欠けるという印象を抱く人も多いでしょう。しかしさとり世代の若者の多くは、基本的に真面目で任された仕事はしっかりやり遂げるのです。

そのため仕事で頼りにされやすく、仕事場では重要な仕事を任されるポジションにいることも多いでしょう。

さとり世代は幼い頃からスマホやパソコンに親しんできました。そのため仕事場では最先端のIT機器を使いこなし、活躍することもあるでしょう。

人当たりのよいさとり世代の多くは、最先端のIT機器が苦手な社員にも丁寧に使い方を教えるので、仕事場ではIT機器担当というポジションにいることが多いのです。

さとり世代には目立つことを嫌うという特徴があります。そのため仕事場でもリーダーよりも、補佐役のポジションにいることが多いのです。

責任が重い仕事も避ける傾向にあり、より仕事の責任が重くなるからという理由で、昇進にも消極的な傾向にあるとされています。

あまり素を見せないさとり世代の若手社員との付き合い方に、悩んでいる先輩社員も多いでしょう。そこで以下ではさとり世代を仕事で上手に使う方法について、紹介したいと思います。

さとり世代の社員が職場にいる人は、これまで見てきたさとり世代の特徴を把握しつつ、以下の方法を実践してみて下さい。

さとり世代には機械的な作業がメインの仕事を割りふることで、上手く使くことができるでしょう。さとり世代はクリエイティブな仕事は苦手ですが、1人で黙々と進めていく仕事は得意という傾向が強いのです。

そのためさとり世代にはやり方に工夫する余地がある仕事よりも、初めからマニュアルがしっかりある機械的な仕事が適しています。またそのような仕事では、さとり世代の効率的に物事を進めるという特徴も、最大限に生かすことができるでしょう。

さとり世代を仕事で上手く使うには、注意やアドバイスをする時に、褒めて伸ばすという姿勢を忘れないことが重要です。

高圧的に注意された経験が少ないさとり世代は、強く注意されると萎縮して仕事の効率が落ちてしまう傾向にあります。そのため注意するときは、初めに褒めてから本題に入り、最後にまた褒めるというサンドイッチ話法をぜひ試してみて下さい。

さとり世代は素直でもあるので、サンドイッチ話法で優しく注意すれば、素直にアドバイスや注意を聞き入れてくれるでしょう。

今回はゆとり世代とよく混同されやすい、「さとり世代」の意味や特徴について詳しく取り上げました。さとり世代は、情熱や自主性が欠けているという短所ばかりが注目されて、上の世代から批判されることが多い世代です。

しかし今回紹介した通り、さとり世代にも素直さや冷静さなどの長所もたくさんあります。さとり世代の後輩社員との接し方に迷っている人は、ぜひ今回の内容を参考にして、できるだけ自然体で接してみて下さい。