生存バイアスの意味は?認知バイアスとの違いや生存バイアスにかかる人とは?

生存バイアスの意味をしっかりと理解しておくと、今後の人生で失敗したり騙されたりする機会を減らしていくことができます。そこで、生存バイアスとはどういう意味かや、かかりやすい人の特徴、認知バイアスとの違いなどをわかりやすい例を挙げながら紹介します。

生存バイアスの意味は?認知バイアスとの違いや生存バイアスにかかる人とは?のイメージ

目次

  1. 1生存バイアスにかかる人は多い?
  2. 2そもそも生存バイアスの意味とは?
  3. 3生存バイアスと認知バイアスの違い
  4. 4生存バイアスにかかる人の特徴
  5. 5生存バイアスの例《毎日の暮らし編》
  6. 6生存バイアスの例《成功話編》
  7. 7生存バイアスにかからないために意識したいこと
  8. 8生存バイアスを過剰に意識しない
  9. 9本質を見極めよう

生存バイアスにかかる人は多い?

あなたは生存バイアスにかかっていませんか?と聞かれても、自分は生存バイアスにかかっていると自覚している人は少ないでしょう。そもそも生存バイアスとはどういう意味かを知らないという人もたくさんいるでしょう。

しかし、自覚がない人でも、生存バイアスにかかっている人はたくさんいます。生存バイアスにかかっているまま人生を過ごしていると視野が狭くなったり、気づかないうちに失敗や損をしたりしてしまう可能性が高くなります。

なので、生存バイアスとは何かを知らない人や、生存バイアスにかかっているという自覚がないという人も生存バイアスとはどういう意味かを知っておきましょう。

そもそも生存バイアスの意味とは?

自分が生存バイアスにかかっているかどうか知るためには、生存バイアスとはどういう意味なのかをまず理解しなければ始まりません。

生存バイアスとは、生き残ったものだけが価値があるとしてバイアスな判断するという意味です。バイアスとは「偏見」とか「偏った」という意味なので、「生き残ったものだけを参考にして偏った判断をすること」ということになります。

ここで言う「生き残ったもの」というのは、実際の生き死にという意味ではなく、勝負に勝ったり、成功を収めた人、高い地位にいる人、高い評価を受けているものなどを指します。

つまり、物事の価値などを判断するときに、途中で脱落した人、勝負に負けた人、淘汰されたものなどは価値がないということで評価の対象に入れずに物事を判断するのが、生存バイアスで、生存者バイアスとも言います。

ある物事を評価するときに、生き残ったものはごくわずかで、途中で脱落した人の方が圧倒的に多いと言う場合、生き残ったものだけを参考に評価してしまうと、すごく偏った評価をしていることになります。

そして、その偏った評価を基に物事を判断すれば、失敗や間違いを起こしやすくなります。よって、生存バイアスにかかりやすい人は、それが原因で物事の判断を誤って失敗したり、騙されてしまう可能性が高くなってしまうということになります。

生存バイアスと認知バイアスの違い

生存バイアスと同じような意味で良く出てくるのが認知バイアスという言葉です。生存バイアスと認知バイアスの違いがいまいちわからないという人、認知バイアスとは何か知らないという人も多いのではないでしょうか。

生存バイアスとは生存競争に勝ち残った人や、成功した人のみを評価して偏った判断をしてしまう意味であるのに対して、認知バイアスとは、自分の希望や利害、その時の感情、決めつけなどによって偏った判断をしてしまうという意味です。

認知バイアスという言葉に馴染みがないという人も多いと思いますが、認知バイアスの具体的な例を見てみると自分も認知バイアスにかかっているかもと思い当たることがあるという人もたくさんいるはずです。

海外に語学留学に行っても意味がない

例えば、海外に語学留学に行ったのに全く語学力が上がらないまま帰ってきて、海外に語学留学に行くのは意味がないと思うのも認知バイアスです。

本当は留学に行く前の準備不足が原因であったり、留学先で日本人留学生とばっかり一緒にいて日本語ばかり話していたのが原因であったとしても、そういった事実を無視して、語学留学というものはダメだと偏った評価をしてしまっています。

自分の非があることには目を向けたくないという心理が働き、準備不足や留学先での行動など失敗した原因にちゃんと目を向けて、正しい評価をすることができず、語学留学なんか意味がないと偏った評価をしてしまうのです。

自分だけは大丈夫と思ってしまう

根拠もないのに自分は大丈夫と思い込んでしまうのも認知バイアスです。自分にとって悪い情報は小さな問題と捉えたり情報を無視したりすることによって、何の根拠もないのに大丈夫だと偏った判断をしてしまいます。

例えば、自分は病気になんかならないと健康診断を受けなかったり、健康診断の結果が良くなくて再検査するように言われたのに自分は大丈夫と再検査を受けずに後から大きな病気が見つかるというのも認知バイアスによる失敗例です。

また、災害時に避難するように散々言われていたのに、自分の家は大丈夫だろうと思って避難せずに逃げ遅れてしまうというのも、自分に都合の悪い情報を無視した認知バイアスによる失敗例です。

生存バイアスにかかる人の特徴

認知バイアスによる失敗例を紹介しましたが、認知バイアスと同じように生存バイアスにかかっていると、失敗や間違いを犯してしまいやすくなります。よって、生存バイアスにかからない方が良いのですが、生存バイアスにかかりやすい人もいます。

生存バイアスにかからないようにするためにも、生存バイアスにかかる人の特徴を知っておくべきです。そこで、生存バイアスにかかりやすい人とはどういう特徴があるのか紹介していきます。

権威性に弱い人

権威性に弱い人は生存バイアスにかかりやすいです。権威性に弱い人とは政治家や弁護士など地位が高いとされる職業の人や、お金持ち、知名度が高い人など、自分より立派だとか成功していると思う人のことを無条件に支持して信じてしまう人のことです。

権威性に弱い人は地位が高い人が言っているのだから間違いないと無条件に信じてしまいがちですが、地位が高い人の中にも悪い人がいないことは政治家の汚職事件や警察官による犯罪などのニュースが絶えないことからもわかると思います。

例えば、直木賞を受賞したことがあり知名度も高い作家さんがテレビでこの食べ物はうまいと言っていると、直木賞をとった人が言っているのだから間違いないと思ってしまいがちですが、作家は文学に精通していても食に精通しているわけではありません。

また権威性に弱いと、お金持ちが持ち出してくる儲け話にも引っかかりやすくなります。お金持ちの人が言っている話なのだから間違いないと無条件に信じてしまいがちですが、その人は儲け話に釣られた人からだまし取ったからお金持ちなだけかもしれません。

多数派にいようとする人

多数派にいようとする人も生存バイアスにかかりやすいです。多数派にいようとする人は、多数派にいると安心感があり、たくさんの人がやっているから、たくさんの人が言っているからというだけで無条件に信じてしまいがちです。

例えば、10人のうち9人が間違ったことをやっていて、1人だけ正しいことをやっているのを見ると、9人の人がやっているのが正しいのではと判断をしてしまいがちです。その結果、自分まで間違ったことをやってしまうことになります。

そういう人達は、多くの人に支持されている人だからという理由だけでその人のことを無条件で信じたり、多くの人に批判されている人という情報だけで、その人を無条件で信じないという人が多いです。

自分の言葉や行動に責任を負いたくない人

自分の言った言葉や行動に責任を負えない人(責任を負いたくない人)も生存バイアスにかかりやすい人です。自分の意見を述べたり、自分の意思で行動をすると責任を伴います。もし、間違ったり失敗したりしたら非難されることもあります。

責任を負いたくない人は、非難されるリスクを回避しようとして、周囲の人が言ったことや、やったことを無条件に支持してしまいます。

失敗しても「あの人が言っていたから」「あの人がやっていたから」と言えれば気持ちは楽かもしれませんが、こういう人は本当に正しいのかとか自分に合っているかという判断を自分でするのを怠ってしまうため、失敗することが多いです。

楽観的な人も生存バイアスにかかりやすい

人生や物事に対して楽観的な人も生存バイアスにかかりやすいです。「人生何とかなるものだろう」「将来は明るいだろう」と聞くと、一見前向きな発言のように思えるかもしれませんが、そこに自分の意思や根拠がないと誤った判断や選択をしてしまいがちです。

こういう人は、実際自分の誤った判断が原因で失敗したとしても「こういう運命なんだ、自分はやるだけやったのだから仕方がない」と思いがちです。やるだけやったと言っていても、実際は周囲の言っていることに無条件で従っていただけだったりします。

自分自身で考えて判断するよりも他人の意見や成行きに任せる方が楽という心理が強いと生存バイアスにかかりやすくなってしまいます。

生存バイアスの例《毎日の暮らし編》

生存バイアスとはどういったものかは具体的な例を見てみた方がわかりやすいです。毎日の生活のなかでも生存バイアスによる判断や行動をしている人はたくさんいます。

自分も毎日の生活で気づかないうちに生存バイアスにかかってしまっていないか具体れをチェックして振り返ってみましょう。

パワハラや体罰を正当化する

パワハラ問題や体罰問題がメディアなどで取り上げられると「愛情があればいい」とか「場合によっては必要な時もある」とパワハラや体罰を正当化したり一部容認するような発言をする人が出てきます。

しかし、パワハラや体罰をを正当化したり、一部容認する人達の判断材料にはパワハラや体罰を受けたことによって心身深く傷つけられたたくさんの人達の心情が含まれていません。これも生存バイアスです。

実際、職場でのパワハラ相談だけでも毎年数万件の相談が寄せられていますが、生存バイアスにかかっている人はそういったたくさんの人達は無視して、体罰を受けながらも立派に成長した人を例に挙げて、厳しく接したからこそ成功したのだと主張します。

たしかにパワハラや体罰を受けた人のなかにはそれでも立派に成長したり、成功したりする人もたくさんいます。それでも成長したり、成功したりしたのはパワハラや体罰のおかげではありません。

人には平均値に近づこうとする心理があります。平均値を大きく上回ると油断や満足などでパフォーマンスが落ちやすく、平均値を大きく下回ると危機感などでパフォーマンスが上がりやすくなり、結果どちらも平均値に近づいていきます。

例えば、営業の成績が自分の平均値よりも大きく下回った場合、パフォーマンスがあがりやすくなるのでその後の成績は上がることが多いです。しかし、大きく下回ったときに上司が厳しく叱咤していると、そのおかげで成績が上がったと勘違いしてしまうのです。

2人に1人は癌になるという保険会社の広告

「現代では2人に1人が癌になる時代です。」という内容の保険会社の広告を見聞きすると、不安になる人も多いと思いますし、自分や家族もいますぐ保険に加入しておかなければと考える人も多いでしょう。

たしかに癌は病気の中で死亡率が最も高い病気ですし、癌と診断される人は増加しているのも事実です。生涯で癌と診断される人の割合が2人に1人くらいというのもウソではありません。

しかし、この情報にはいつ癌になるのかという大切な情報が含まれていません。言い方を変えると保険会社にとって都合が悪い情報が無視されています。

癌と診断される年齢に注目してみると、多くのケースでは平均寿命と言われる80歳に近い年齢かそれを上回る年齢の人で、60歳までで癌と診断される人は7%くらいです。

もちろん7%という数字を軽視して良いというわけではありませんが、まるで40代、50代と元気なうちに50%の確率で癌になるかのように不安になる必要はありません。

しかし、生存バイアスにかかると、2人に1人という情報だけに注目してしまって必要以上に不安になってしまうでしょうし、本来なら入る必要のなかった高額の保険に入ったりする人もいるでしょう。

最近の子供は体が弱い

「最近の子供はすぐに風邪を引く」「最近の子供は軟弱だ」と普段から口癖のように言っている人が周囲にいませんか?もしくは自分が言ってしまってませんか?

実際には昔にも体が弱い子供はたくさんいましたし、現在の子供のなかにも頑丈で病気知らずの子供はたくさんいるので、最近の子供は体が弱いというのは生存バイアスです。それで親が甘やかし過ぎだと批判するのはナンセンスです。

こうしたことをよく口にする人は、自分が子供の頃ちょくちょく風邪を引いていたりしていた記憶や、周囲が体調を崩していた記憶が薄れてしまっているかもしくは消えてしまったまま現在の子供と比較をするため、偏った意見になってしまいます。

生存バイアスの例《成功話編》

生存バイアスの例を挙げてみると、こうすれば成功するとかこうすれば儲かるといった話に生存バイアスが多いことがわかります。そういった生存バイアスにかかってしまうと、大失敗をしたり騙されてお金を失ったりしてしまうので注意が必要です。

具体例を見てみると意外と身近に成功話の生存バイアスがあることがわかるので、自分が生存バイアスにかからないためにも例を見ておきましょう。

FXなら一攫千金も夢じゃない?

FXは24時間いつでも取引することができますし、少額からスタートすることができます。しかもレバレッジを利かせると実際のお金の数倍の額の取引することができるので、一気に大きな利益を出すことも可能です。

FXで「短時間で資産が数倍に増えた」とか「主婦がFXで数千万稼いだ」という話を聞くと自分も稼げるのではと思う人も少なくないでしょう。FXをすることがダメだというわけではありませんが、生存バイアスにかかったまま挑戦しようとするのは危険です。

FXというのはゼロサムゲームであり、利益上げた人と損失を出した人の額を計算するとゼロ、またはマイナスに絶対になります。

FXの広告では利益を上げた人ばかりフォーカスされ、生存バイアスにかかる人はそこだけを信じてしまいますが、その裏には損失を出した人がたくさんいます。また、すでにFXに挑戦して多くの資産を失ってしまい離脱してしまった人もいます。

もし、挑戦してみようかなと思うのなら、FXには多くの損失を出した人がたくさんいることと、勝つ人、負ける人が必ず存在するゼロサムゲームで初心者がどっちになる可能性が高いかを理解した上で挑戦するべきです。

このメゾットで不労所得が手に入る?

寝ている間にお金が増えている、そんな不労所得があればいいのにと一度は考えたことがある人も多いでしょう。そんななか、このメゾットを実践するだけで不労所得が手に入るというメゾットが販売されていたら魅力的に思う人も少なくないでしょう。

しかし、それをそのまま信じてしまうのは生存バイアスかかってしまっています。メゾットを販売している人は本当にそのメゾットで成功しているかもしれません。しかし、それはその人にメゾットの他にも豊富な知識や経験があったからできたものかもしれません。

また、そのメゾットが他の人に当てはまるとは限りませんし、その当時は通用したけど現在では通用しないということもあります。成功した人の声が紹介されていても、多くの失敗した人の声は無視している可能性だってあります。

ユーチューバーは楽して稼げる

最近ではユーチューバーという言葉も多くの人に知られるようになりましたし、子供が憧れる職業にも上位にランキングされるようになりました。その理由は楽して大金を稼ぐことができるというところにだけ注目する人が多いからでしょう。

たしかにユーチューバーのなかには数千万、または億越えの収入を得ている人も存在します。しかし、ユーチューバーとなること自体は誰にでも簡単にできても、稼げるかどうかは別問題です。

実際、ユーチューバーとして生計を立てることができている人はほんの一握りで、しかもそういう人達は他人が注目したくなる才能や個性があったり、様々な努力や工夫をしている人がほとんどです。

生存バイアスにかからないために意識したいこと

生存バイアスにかかると判断を誤ったり、失敗してしまう可能性が高くなります。では、生存バイアスにかからないためにはどういったことに気を付けていけばよいのでしょうか。

誰がではなく何を言っているかに注目する

生存バイアスにかかりやすい人は何を言っているかよりも誰が言っているのかを重視してしまいがちです。

この人が言っているから間違いないと無条件に信じるのではなく、言っている内容に注目してその内容が本当に正しいのか、有益な内容なのかを判断するように意識することが大切です。

非成功者の意見を軽視しない

人の意見や体験談を参考にしようとするときは、成功者の声だけに耳を傾けてしまいがちです。しかし、失敗してしまった人の意見にも耳を傾けることが大切です。

通販の口コミを見る時に良い口コミだけでなく、悪い口コミもチェックすることで、購入後に後悔することを減らせるようになるのと同じです。

勝者が存在すれば、敗者も必ず存在するということを日頃から意識すれば、偏った意見だけを取り入れて誤った判断をすることも少なくなるでしょう。

明確な数字で判断する

物事を判断するときに確率などを計算して明確に数値化することで、生存バイアスにかかりにくくなります。

例えば確率5分の1で当たるルーレットがあって、すでに4回挑戦して全てハズレてしまい、5回目の挑戦をこれから行うとします。この5回目で当たる可能性は何パーセントでしょうか?答えは5回目も確率は5分の1なので、20パーセントです。

しかし、5分の1だから5回やれば1回当たるはずだから5回目はかなりの確率で当たると思ってしまう人もいます。このように期待値や確率を読み間違ったり、根拠のない期待値で物事を判断すると失敗してしまう可能性が高くなります。

自分の考えや意見に自信と責任をもつ

自分の意見や考えに自信や責任をもつことを意識することで生存バイアスにかかりにくくなります。

逆に自信や責任を持とうとしないと、他人の意見が本当に正しいのかや自分に合ったものかを考えないまま無条件に従ってしまうようになってしまったり、多数派の意見に流されてしまったりします。

生存バイアスを過剰に意識しない

生存バイアスとはどういうものかを知って、生存バイアスにかからないように意識することはすごく良いことです。しかし、あまり過剰に意識しないように注意しましょう。

生存バイアスは多くの人がかかるものですし、意識していてもかかってしまうこともあるでしょう。その度に他人が生存バイアスにかかっているのを強く非難したり、自分を責めすぎたりしないように気を付けましょう。

本質を見極めよう

インターネットの普及により現在では様々な情報を得ることができるようになりましたが、その情報のなかにも生存バイアスがかかっているものがたくさんあります。

その本質を見極めるためにも、生存バイアスについて正しく理解しておきましょう。

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