刹那主義の意味や対義語・反対語!刹那主義者の特徴も紹介

刹那主義、歌の歌詞などでも時々耳にしますが、どういう意味か知っていますか?よく似た言葉として快楽主義をあげる人もいますが、刹那主義と快楽主義の違いとは何なのでしょうか。刹那主義の意味や反対語、刹那主義者の特徴などもご紹介します。

刹那主義の意味や対義語・反対語!刹那主義者の特徴も紹介のイメージ

目次

  1. 1「刹那主義」ってどういうこと?
  2. 2「刹那主義」の意味とは?
  3. 3刹那の由来
  4. 4「刹那主義」と「快楽主義」の違いとは?
  5. 5「刹那主義」の使い方《例文紹介》
  6. 6刹那主義者の特徴
  7. 7刹那主義の良い点・悪い点
  8. 8本当の刹那主義とは

「刹那主義」ってどういうこと?

「刹那主義」という言葉を聞いたことはありませんか。「せつなしゅぎ」と読みます。刹那主義の意味は、何となく解っているようで、いざ説明しようと思うと戸惑う人も多いかもしれません。刹那主義の意味や、刹那主義者について考えてみましょう。

「刹那主義」の意味とは?

刹那主義や刹那主義者の意味を理解するには、まず「刹那」の意味を知る必要があります。道路を渡ろうとした刹那、車が突っ込んできて危うく魅かれるところだった、という使い方をします。

「刹那」とは、「ほんの一瞬」「わずかな時間」という意味で、もともとは時間の最小単位をあらわす仏教用語です。ちなみに、「刹那」の対義語は、長い時間を意味する、「劫(こう)」です。「永劫」という言葉には聞き覚えがあるでしょう。

刹那主義とは、今、この瞬間の幸せや充実を第一に求め、考えて生きる生き方や考え方です。また、一時的な快楽のみを求める生き方を指すこともあります。

刹那の由来

仏教用語である「刹那」。釈迦が、自分の前世や来世について思い悩み相談に来た弟子たちに、「今のこの刹那を大切にするように」と、説いたことが由来です。

「刹那」の長さは諸説ありますが、75分の1秒と言われており、人間が察知できないほどの短い時間です。一瞬一瞬を大切にすることが過去を充実させ、豊かな未来につながるという考え方で、後先を考えなくて良いというような、マイナスの教えではありません。

「刹那主義」の対義語・反対語

「刹那」には、一瞬一瞬という意味があり、そのことから、「刹那主義」は、過去や将来にとらわれず、今、この一瞬を大切にするという意味を持ちます。

「幸いなるかな、今日をわがものと言いうる人はかの人は心安らかに、叫ぶ明日よ、あらん限りの悪をなせ、われ、すでに今日を生きたり」

これは、古代ローマの詩人ホラティウスの言葉ですが、今日という日に一切の悔いはないという、刹那主義の意味をとても解りやすくあらわしています。

「刹那主義」を、「後先考えず、欲しいものは我慢せず手に入れ、嫌なことは避けて通り、目の前の快楽を一番に考える」という意味に解釈するならば、反対語として最も適切な言葉は、「禁欲主義」ということになります。

イソップ童話の『アリとキリギリス』を例にあげるとわかりやすいでしょう。先のことを気にせず、陽気に遊び暮らすキリギリスは刹那主義者、将来のために遊びもせずせっせと働くアリは禁欲主義者です。

しかし、釈迦は、「一瞬を大切にせよ」という意味で、刹那という言葉を使っており、今が良ければ後先はどうでもいいという、破壊的、投げやりな教えではありません。

「今を精一杯生きる」という意味での、刹那主義の反対語となる端的な言葉はすぐには見当たりませんが、強いて言うなら、「過去や将来のことを思い煩うあまり、現在のことをおろそかにする」ということになります。

もしもう少し好意的な言葉を探すなら、「将来に向けて努力することを惜しまない」といったところでしょうか。

「刹那主義」と「快楽主義」の違いとは?

「刹那主義」は、よく「快楽主義」と混同されます。辞書にも、「刹那主義とは、刹那的な快楽主義」だと記してあり、紛らわしいです。「刹那主義」と「快楽主義」の違いとは何なのでしょうか。

「快楽主義」の意味

「快楽主義」は、紀元前300年頃、ギリシャの哲学者エピキュロスによって提唱されました。「快楽」のもつ、「肉体的な欲望の満足」といったニュアンスはなく、個人の自由、感覚を大切にし、「個人の精神の幸福」を追究したものです。

エピキュロスが実際に唱えた快楽の思想とは、「快楽」言葉から想像されるような、享楽を主とするものではなく、心の平静を成就しようとするもので、アタラクシアと呼ばれました。

アタラクシアとは、無感覚という意味の言葉で、感覚に惑わされず、何事に接しても心の平静を保つという境地を表わした言葉です。しかし、現在では、エピキュロスが唱えた哲学的な意味は薄れてしまっています。

現在、「快楽主義」は、「楽しいことが第一で、楽しくないことは避けて通る」という意味で、楽しければそれでいいという、無責任さを伴う言葉として使われています。「快楽にふける」といった否定的な雰囲気が漂うことも特徴的です。

快楽主義には、精神的な満足や幸福感より、肉体的な快楽を重視するニュアンスも強く、廃退的なイメージが強く表れています。

刹那主義を快楽主義と同じ意味にとらえて使う人もいるようですが、刹那主義は、一瞬を大切に生きるという意味もあり、快楽主義の持つ、自堕落で享楽的な意味合いは持ちません。刹那主義と、快楽主義は似ているようで、根本的な意味は全く違います。

また、刹那主義は、目の前の一瞬を大事にする特徴がありますが、快楽主義には、時間的な観念は関係ありません。

「刹那主義」の使い方《例文紹介》

「刹那主義」は、「目の前にあることに集中する」「いろいろなことに惑わされず、一瞬を大切にする」という意味で使われる場合と、「一時的な快楽のみを追い求める生き方や考え方」という意味で使われる場合があります。

前者の場合は肯定的な意味ですが、後者の場合は否定的な意味が含まれています。刹那主義は、明確な一つの意味だけを持っている言葉ではないので、使う人、受け取る側によって解釈が違ってきます。誤解を生まないように使い方には気をつけてください。

例文①恋愛に対しては刹那主義だ

過去の恋愛遍歴や、将来の結婚の言葉など考えず、愛し合っている今現在の幸せを最大限に享受しようという考え方です。付き合っている二人が、お互いに刹那主義者ならいいのですが、恋人にこう言い放たれると、不安になる人もいるかもしれません。

刹那的で情熱的なな恋愛は、憧れる人もいるかもしれませんが、無責任と紙一重という考え方もあります。

例文②その考え方は刹那主義的だ

「刹那主義的」という言葉は、いい意味でも悪い意味でも使います。「今を大切にしている」という意味なのか、「後先を考えない」という意味なのかは、会話の流れから判断しましょう。

後者の意味で使われている場合、過去から学べ、将来を見据えろという苦言です。

例文③刹那主義的な生き方はやめてくれ

この場合は、はっきりと悪い意味で「刹那主義」という言葉が使われています。もっと計画性を持って、将来のことも考えてくれという意味です。「目の前にある快楽のみにのめり込む」生き方は、褒められたものではありません。

刹那主義的な生き方も素敵ですが、過去から学び、将来に備えることも人生には大切です。

刹那主義者の特徴

「刹那主義」を標榜する刹那主義者とは、どのような特徴をもった人なのでしょうか。あなたの周りにも、刹那主義者がいるかもしれません。自覚はなくても、あなたにも刹那主義者の素質があるかもしれません。刹那主義者のよくある特徴を見てみましょう。

くよくよしない

あの時こうしておけばよかった、ああしておけばよかったと、後悔したり落ち込んだり、誰にでも経験があることかもしれません。でも、刹那主義者は、済んだことをいつまでもくよくよと考えたりしません。

過去から学ぶことはとても大切なことですが、過去にこだわって、もうどうしようもないことで時を無駄にするのはもったいないことです。それより、目の前にある幸せに意識を向けることを良しとする生き方のほうが、人生を大切にしているといえるのかもしれません。

過去にとらわれない自由な精神が、刹那主義者には不可欠な要素です。

深く悩まない

深く悩まないというと、能天気でいい加減ととらえられるかもしれませんが、刹那主義者にとっては、一瞬一瞬がとても大事なので、立ち止まって悩む時間が惜しいのです。前だけを向き、貪欲に人生を生きる刹那主義者にとって、悩むことは時間の無駄です。

悩んでも仕方がないことは悩まない、パッと割り切って前に進むのが刹那主義者です。悩みや後悔ほど、刹那主義者にふさわしくない言葉はありません。

ポジティブに考える

刹那主義者は、イメージとは裏腹に、人生を大切にしています。今を充実させることに集中する特徴があるので、考え方は常にポジティブで積極的です。悲観的で、心配ばかりしている人には、刹那主義者の生き方は理解できないかもしれません。

今、この時を充実させることに集中する刹那主義者は、基本的に楽観的で、陽気なのが特徴的な性格です。

Thumbプラス思考・ポジティブ思考な人の特徴17選!前向きな思考とは?
プラス思考、ポジティブ思考の特徴や、そうなるためのトレーニング方法などをご紹介していきます。...

我慢しない

刹那主義者が楽観主義者と混同されやすいには、嫌なこと、つまらないことを避けようとする、両社に共通する特徴があるからです。

今を大切にしたい刹那主義者は、我慢したり、苦労して困難を乗り越えりより、さっさと諦めて、もっと楽しいこと、気持ちが豊かになることに気持ちを向けます。

辛抱が足りないと言われないのは、充実した毎日を送ることを心掛けているからです。刹那主義者の、今の快楽を追究する特徴は、うっかりするとだらしなくていい加減な性格と思われてしまいますが、人生を楽しむ姿勢は、見習うべきところもあります。

刹那主義の良い点・悪い点

どんなことでも、考え方でも、プラスの面とマイナスの面を持っています。刹那主義も、良い面と悪い面があります。判断する人によっても感じ方は違うでしょう。刹那主義の良い点と悪い点について考えてみましょう。

刹那主義の良い点

刹那主義は、人生を前向きに生きるという点で、とても優れた考え方です。具体的に、刹那主義のメリットをあげてみましょう。

毎日が楽しい

過去をくよくよ引きずったり、未来を心配したりしないのが刹那主義の特徴です。まさに今を生きるのが刹那主義者で、その時々はとても充実しています。

羨ましいほど毎日が充実して楽しそうな人がいませんか?精一杯今を生きる刹那主義者は、憂いや悔いとは無縁で、満足感でいっぱいです。

ストレスがない

楽しいこと、嬉しいことを最優先にして考える刹那主義者。嫌なことや辛いこととは無縁の生活です。ストレスを避けることが刹那主義の本質といえます。

苦手なことや、嫌いなことから逃げ回る卑怯者ではなく、豊の気持ちで毎日を送るために一生懸命になる刹那主義者には、ストレス社会を生きる現代人が見習うべき点も多いのかもしれません。

刹那主義の悪い点

いいこともたくさんある反面、刹那主義には欠点もたくさんあります。刹那主義が、否定的にとらえられる理由を考えてみましょう。

協調性がないと思われがち

今さえ良ければそれでいいという考え方は、社会ではなかなか受け入れられません。とくに職場では計画性が重視されます。今を大切にするのも重要ですが、今のことだけを考えていては、組織の中では上手くやっていけません。

刹那主義は、今を大切にすることで将来をも大切にすることですが、肉体的な享楽を追究する快楽主義と瓦解されがちです。嫌なことからは逃げるやつ、面倒な仕事は手を出さないやつとレッテルを貼られる可能性もあります。

また、刹那主義者は、金銭面でもだらしなくなりがちです。欲しいと思ったら後先考えずに浪費したり、借金をしたりしてしまいます。計画性のなさと協調性のなさは、刹那主義者の最大の欠点といえます。

成長性がないように見られる

過去をくよくよ振り返らないという刹那主義者の特徴は、反省しない、過去から学ばない捉えられかねません。刹那主義の特徴が、「今が楽しければいい」という方に向かうと、ただの快楽主義と変わらなくなってしまいます。

今さえ良ければという考え方は、破滅的でさえあります。刹那主義は、ポジティブに人生を生きる方法の一つです。安易に楽な道を選択するのとは違います。

困難を乗り越えてこそ成長できるという考え方もあります。挫折や壁を知らない人生は、場合によっては薄っぺらな人生なのかもしれません。

本当の刹那主義とは

我慢が苦手、困難を避ける、計画性がない、発展性がないと、欠点も多い刹那主義ですが、刹那主義の利点を上手に生かせば、人生はとても豊かで充実したものになります。

「今さえ良ければ」という考え方は、とても危険ですが、「今を精一杯生きる」という生き方は、人生を真面目に生きるということでもあります。

釈迦が伝えたかったのは、「刹那」の積み重ねに先に「永劫」があるということです。今は、過ぎ去って無になるのではなく、今があって未来があります。充実した今を生きることが、豊かな未来を生みます。

本当の意味での刹那主義とは、「どうにもならない過去をくよくよ悩んだり、考えても仕方がない未来につい心配したりするより、今できることを精一杯頑張ろう、この一瞬を大切にしよう」という、人生に対する積極的な姿勢です。

今を大切にするということは、自分の人生を大切にするということにもつながります。刹那主義者が求めるのは、快楽だけではなく、充実です。そこを誤解しなければ、刹那主義的な生き方は、とても魅力的な生き方といえます。

関連するまとめ

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ