老婆心の意味や類語とは?老婆心ながらなどの使い方を例文で紹介

「老婆心」という言葉を聞いたことはありませんか?老婆とは年をとった女性のこと。では、「老婆心」とはどういう意味なのでしょうか。「老婆心」をうっかり使ってしまうと失礼にあたることもあります。「老婆心」の意味や使い方を例文とともにご紹介します。

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目次

  1. 1「老婆心」の使い方を理解しよう!
  2. 2「老婆心」の意味とは?
  3. 3「老婆心」の語源
  4. 4「老婆心」の使い方
  5. 5「老婆心」の類語表現
  6. 6「老婆心ながら」は目上の人に使える?
  7. 7「老婆心ながら」は男性が使ってもいいの?
  8. 8「老婆心」の英語表現
  9. 9「老婆心」に対する正しい応答とは
  10. 10「老婆心」の使い方をマスターしよう

「老婆心」の使い方を理解しよう!

「老婆心」と聞いて、「お婆さんの気持ち」と勘違いする人はいないでしょう。「老婆」はあくまでも「年長者」の比喩です。

「老婆心ですが」とか、「老婆心ながら」と、誰かに話しかけられたら、多くの人は、「何だろう?」と、耳を傾けるはずです。でも、もしかしたら、「うっとうしいな」と眉をひそめる人もいるかもしれません。

「老婆心」は、親切心が基になった謙称ですが、使い方を誤るとかえって不遜に思われる場合もあります。相手のためを思っての「老婆心」のつもりが、逆効果になったり、不興を買ったりしないように、正しい「老婆心」の使い方をマスターしましょう。

「老婆心」の意味とは?

そもそも「老婆心」とは、どういう意味なのでしょうか。

「老婆心」とは、過剰なまでに他人の心配をして、お節介を焼きたがる気持ちのことです。他人の世話を焼きたがるのは、女性や年長者にはありがちな性質ですが、「老婆心」が意味するのは、ただのお節介ではなく、くどいほどの親切心、必要以上の気遣いです。

相手のためを思って言ったことが、相手を怒らせてしまうことがあるのは、必要以上にしつこいお節介、「老婆心」のせいかもしれません。

「しつこい」「うっとうしい」と思っても、「老婆心」がありがたいのは、高圧的で口うるさい教育的指導ではなく、人生経験からくるアドバイスのような意味合いが強いからかもしれません。

「老婆心」は、相手のことを気にかけるあまり、「もっとこうしたほうがいい、ああしたほうがいい」と、ついつい口を出してしまう、過保護なほどの愛情のあらわれともいえるでしょう。

また、「老婆心」は、人生経験豊富な年長者の抱く気持ちでありながら、自分でもやりすぎかもしれないという自覚があるため、へりくだった使われ方をします。

「老婆心」の語源

「老婆心」の語源は、仏教用語の「老婆心切」です。「老婆親切」と書くこともあります。年をとった女性は、子どもや年少者に親切なことから、他人のことを熱心に気遣い、世話を焼くことを「老婆心」というようになりました。

ですから、もとは年配の女性から派生した言葉ではありますが、必ずしも「老婆」だけが抱く感情ではありません。

「老婆心」の使い方

「老婆心」は、おもに心配や親切心、気遣いや愛情から他人に意見するとき、へりくだっていう言葉です。暗に「お節介かもしれないけれど」というニュアンスを含ませています。

いきなり欠点や間違いを指摘したり、注文を付けたりすると角が立ちますが、「老婆心ながら」と前置きすると、表現がソフトになります。

同じことを言うにしても、頭ごなしに注意するより、下手に出たほうが相手も心情的に聞き入れやすくなるので、他人に忠告したいときには便利な言葉です。

「老婆心」を使った例文

具体的に、「老婆心」とはどうやって使うのでしょうか?例文をご紹介します。

例文①老婆心ながら

「老婆心」とは、自分の親切心の謙称です。「老婆心ながら」というのは、「余計なお世話かもしれませんが、あなたのためを思って言わせてください」という意味です。

具合が悪そうな後輩や部下に、「病院に行け」と言っても、「大丈夫です」と強がってなかなか素直に聞き入れないかもしれませんが、「老婆心ながら病院に行ったほうがいいよ」と言うと、「そこまで気を遣わせて申し訳ない」と、言うことを聞くかもしれません。

「老婆心ながら」とは、誰かに注意や忠告を与えたいときに、ワンクッション置いてショックを和らげるための枕詞です。ただし、「老婆心ながら」を連発すると、かえって嫌味に聞こえますから注意してください。

例文②老婆心から言わせていただけるなら

「老婆心ながら」でも、十分へりくだった言い方ですが、自分のほうが年長だけれど立場は相手のほうが上、と言う場合には、さらにへりくだる必要があります。

自分のほうが年はとっていても、社会的地位は相手のほうが上ということは、世間ではよくあることです。それでも、意を決して意見しなくてはならない場合、「老婆心ながら」と前置きしただけでは、謙虚さが足りないと思われるかもしれません。

「老婆心」という言葉が聞こえたら、後に続く話は注意、忠告、箴言の類と相場は決まっています。格下と思っている相手から、聞きたい話ではないでしょうから、機嫌を損ねないように、最大限にへりくだった表現を心がけましょう。

例文③老婆心から出た言葉が人を傷つけることもある

悪気があったわけじゃなく、相手のことを思って言ったりしたりしたことが、人を傷つけることがあります。

友だちの好きな人について、「浮気癖がある」「借金がある」「DV癖がある」など、ネガティブな情報を漏らすのは、親切のように見えて、実は余計なお世話かもしれません。

お節介の自覚があり、友だちや知人から「うるさい」「うっとうしい」「くどい」と指摘されたことがあるなら、気をつけたほうがいいでしょう。老婆心はほどほどにしないと、周りの人には煙たがられます。

「老婆心」の類語表現

「老婆心」とは、必要以上の親切心のことです。では、類語にはどのようなものがあるのでしょうか。
 

・お節介
・世話焼き
・差し出がましい

お節介

必要以上に世話を焼きたがる人や、その状態が「お節介」です。「老婆心ながら」と同じように、下手に出ながら意見するときに、「お節介ながら」と、文頭につけて使います。「お節介かもしれませんが」「お節介とは存じますが」でもかまいません。

「老婆心」にはどこか押しつけがましい雰囲気が漂いますが、「お節介」は、まだどこか遠慮がちなところがあるので、同じ忠告をするにしても、「老婆心」よりは好感を持たれるかもしれません。

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世話焼き

「世話」とは、あれこれと面倒をみることをいい、頼まれもしないのに進んで他人のために尽力することや人のことを「世話焼き」といいます。「お節介」とほぼ同義です。「世話を焼く」という慣用句にもなっています。

「彼女は恋人の世話を焼くのが好きだ」とか、「送り迎えまでしてやるなんて、世話を焼き過ぎだ」などと言った使い方をします。

忠告や箴言と言った意味合いはなく、過保護、過干渉、甘やかしの原因が心配にあるという点で、「老婆心」の類義語と考えられます。

差し出がましい

「差し出がましい」とは、「出しゃばり過ぎているような感じがする」という意味の形容詞です。

「差し出がましい口をきく」「他人の分際で差し出がましいことをするな」など、「忌々しい」という意味合いで使われることもありますが、「老婆心ながら」と同じように、「余計なことかもしれませんが」という意味の前置きとして使うこともできます。

「差し出がましいことを言うようですが、お酒は控えたほうがいいです」「差し出がましいことを承知で言わせてもらえば、こっちのプランのほうが優れています」など、前置きとしては少し長いですが、「老婆心ながら」よりストレートな感じになります。

「老婆心ながら」は目上の人に使える?

「老婆心」は、字からもわかるように、年長者が若者を気にかけて使う言葉です。自分より年上の人や社会的地位が上の人に対して使うのはマナー違反です。目上の人に気を遣ったつもりで「老婆心ながら」などと言おうものなら、ムッとされても仕方がありません。

目下の人が、目上の人に対して言いにくいことを言う場合には、「老婆心ながら」ではなく、「僭越ながら」を使います。「僭越ながら」は、「身の程をわきまえずに申し訳ない」という意味のへりくだった言葉です。

「僭越ながら申し上げます」「僭越ながら言わせていただきます」などが決まり文句です。へりくだった言い方なので、目上の人が目下の人に「僭越ながら」を使うことはありません。

「老婆心ながら」は男性が使ってもいいの?

「老婆心」の「老婆」は、語源に基づいて年老いた女性になっていますが、広い意味で年長者を指しています。「老婆心」が意味するのは、目上の人から目下の人への過剰な気遣い、お節介ですから、男性が使っても全く問題はありません。

「老婆心」の英語表現

自分の忠告をへりくだって表現する「老婆心」を、英語に変換するのは困難です。「お節介な」と解釈するなら、「meddlesome」や「officious」「intrusive」という単語がありますが、過剰に世話を焼きたがる気持ちまでは表現しきれません。

「It may be unnecessary care, but I say to you.」なら、「余計なお世話かもしれませんが言わせてもらいます」というニュアンスが伝わるでしょうか。

余計なお世話だ

「None of your business.」「Mind your own business.」「This is my business.」「Not your business.」は、どれも「余計なお世話だ」という意味です。

相手の老婆心を拒絶したいときに使うフレーズです。ただし、ストレートな表現なので、「Thany you for your kindness but it is not your business.」など、もう少し穏やかに表現することをおすすめします。

老婆心から言っているのだ

「お節介」「世話焼き」という言葉を使わずに表現するなら、「I am saying this for your good.」と言うのが最も簡単です。「あなたのために言っているのだ」という意味ですが、意訳すれば「老婆心から言っているのだ」となります。

「老婆心」に対する正しい応答とは

「老婆心ながら」に続く会話は、ほぼ間違いなく言われたほうには楽しくない内容です。「あなたのためを思って」という言葉に続くのは、注意、忠告、批判、説教など、耳に痛い話に決まっています。

ですが、「老婆心」から意見や忠告をするのは、強すぎる関心や親切心が原因で、決して悪意ではありません。言っているほうは、あなたのためにあえて言いにくいことも言ってあげる気持ちでいます。

「老婆心ながら」と前置きしている以上、言っている本人もお節介であるという自覚を持っています。それでも言うということは、「聞き入れてほしい」という気持ちのあらわれです。

しかも、「老婆心ながら」を使う人は、すべからく目上の人です。そうなると、対応は「ありがとうございます」以外には考えられません。

たとえ、「なに的外れなこと言っているんだ」「余計なお世話なんだよ」と心の中で思っても、顔に出してはいけません。

感慨深そうにうなづいて、「ご親切なお言葉、誠にありがとうございます。大変勉強になりました。今後ともご指導よろしくお願いいたします」と頭を下げることができれば完璧です。

「老婆心」の使い方をマスターしよう

困っている後輩や部下に、上から目線でガミガミ言ったのでは、どんなに貴重な意見でも素直に受け入れてはもらえません。そんなときには、一言「老婆心ながら」と付け加えましょう。話の内容は一緒でも、受け取る側の心構えがガラッと変わります。

また、先輩や上司の言葉が頓珍漢で、まったく役に立たなかったり、心に響かなかったりするときも、「意味が分かりません」「余計なお世話です」と言うと軋轢を生みかねませんが、「老婆心ですよ」と言うと、やんわり諭すことができます。

「老婆心」は、あり余る愛情が変化したものです。その根底には常に、誰かの役に立ちたい、誰かを助けたい、誰かにかまいたいという欲求があります。上手に使えば、相手にもその気持ちは通じます。

しかし、「老婆心」には、目上から目下への言葉でありながら、謙遜のニュアンスが込められており、使い方によっては慇懃無礼な印象を与えかねません。さらに、年齢や地位に格差があっても、あえて「老婆心」は使わないほうがいい場合もあります。

年上の部下や、年上の後輩のように、相手のほうが年齢は上だけれど、自分のほうが立場は上の場合。同期だけれど自分のほうが肩書が上の場合。

同級生だけど自分のほうが成績が上だったり、チームメイトでレギュラーと補欠の差があったりと、立場の差がプライドを刺激するような関係の場合は、上から下へと、言葉の向きがはっきりしている「老婆心」のような言葉は使わないほうが無難です。

そのようなときは、「言いにくいんだけど聞いてくれる?」とか、「気を悪くしないでほしいんだけど」など、別の言い回しを考えるといいでしょう。

うっとうしがられるリスクを覚悟で、「老婆心ながら」と忠告してくれる上司や先輩は、嫌われるのが怖いとか、面倒くさいなどという理由で、欠点や間違いを指摘してくれない上司や先輩より、よっぽど頼りになります。

言いにくいことを言ってくれる他人は貴重です。自分もそんな存在になれるように、「老婆心」の使い方をマスターしましょう。

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