深浦加奈子の死因は？闘病生活は壮絶！科捜研の女「小向光子役」で活躍

深浦加奈子という名前を聞いて、「あ、あのドラマに出ていた印象に残る女優さんね」と思う方も多いと思います。また、すぐには顔が浮かばない方でも、彼女の顔を見れば「あぁ、知ってる！あの作品に出ていたうまい女優さんね！」と思う方が多いはずです。

特に、テレビ朝日の代表作だともいえる程の人気シリーズ「科捜研の女」に小向光子役で長年出演していた女優と聞けば、すぐに顔を思い出す方も多いはずです。

深浦加奈子さんは、アングラ劇団の看板女優として活躍した後、テレビや映画で数々の名脇役ぶりを発揮して作品を盛り立てた名女優でしたが、闘病生活の末、2008年にS状結腸癌（大腸癌）で惜しまれながら他界されました。

深浦加奈子さんは公務員の家庭に生まれました。母親は、彼女に公務員になって欲しいと思っていたようです。そんな彼女は小学生の頃から成績優秀で、高校は都立日比谷高校、大学は明治大学文学部演劇学科を卒業します。大学在学中に、アングラ劇団の第三エロチカの旗揚げに参加し、看板女優として全公演に出演しますが、1989年に退団しました。

深浦加奈子さんが所属していた第三エロチカは小劇場第三世代の劇団で、破天荒な物語と個性豊かなスタイルで若い観客からの支持を集めていた劇団の一つでした。また、この頃は小劇場ブームという言葉がマスコミを賑わすようになった時代でもあり、小劇場は活気を呈していました。

当時の小劇場は、観客に媚びない難解な内容の芝居が多い中、彼女は酸欠になりそうな小さな劇場の暗がりの中で爆発するエネルギーの塊のような女優だったと評されています。

そんな彼女は第三エロチカを退団したのち、活躍の場をテレビや映画といった映像の舞台に移します。そして彼女のエネルギーは、徐々に包容力へと変わっていったといいます。アイドルから脱皮しようとしている女優の悩みを聞いたり、若い役者達の面倒をみたりしていたそうです。

そうしながら、自身も独特な個性と演技力を活かし、数多くの映像作品に出演し、誰からも認められる名脇役の女優として広く知られるようになりました。

一般的に深浦加奈子さんの代表作というと、「科捜研の女」の小向光子役を思い浮かべる方が多いことでしょう。これは、テレビドラマでの代表作です。しかし、彼女の活動範囲はテレビドラマの世界だけではありませんでした。

それでは、深浦加奈子さんが出演した代表作を、テレビドラマ、映画、舞台からそれぞれ3作品ずつ紹介していきます。

テレビドラマには、数え切れないくらい多くの作品に出演していますが、ここでは、代表作としてテレビ朝日の「科捜研の女シリーズ」(2001-2008)と、フジテレビの「ショムニ」(2000)、日本テレビの「家なき子」(1994)の3作品を紹介します。

「科捜研の女」は、京都府警科学捜査研究所（科捜研）を舞台に繰り広げられる、主人公榊マリコ（沢口靖子）を中心に科学捜査で事件を解決していく一話完結型の警察物で、1999年のシーズン1から始まり、2018年現在でシーズン18まで続いている大人気作品です。また、シーズンの合間には10本のスペシャル版も放送されています。

彼女は科捜研の女シーズン3(2001)に小向光子役で出演し、科捜研の女シーズン5(2004)まで、小向光子役で出演しました。科捜研の女シーズン6(2005)では産休という設定で出演していませんでしたが、最終話にのみ出演しています。また、2008年の科捜研の女スペシャルにも出演されました。役どころの小向光子は、科捜研の事務員兼会計係です。

小向光子は非常に几帳面で無駄遣いにとても厳しい人ですが、イケメンに弱いという一面もある憎めないキャラクターでした。また、小向光子は非常に真面目で、榊マリコに無理やり頼まれて鑑定を手伝うこともある、研究員を支える母親のような存在でした。そんな、研究所になくてはならない存在感を放つ小向光子は、彼女のドラマでの当たり役といえるでしょう。

これは、満帆商事株式会社の総務部庶務二課（ショムニ）の話しです。ショムニは地下の旧備品倉庫にある、落ちこぼれ社員が集められた部署です。ここに左遷されると、普通はすぐに自主退職するかリストラされますが、その中で図太く生き残っている、人一倍正義感も気も強い女性社員達の活躍が描かれ、4本のシリーズと3本のスペシャル版が作成された人気作品です。

深浦加奈子さんは、第２シリーズの第４話にゲスト出演しました。主人公の坪井千夏（江角マキコ）と敵対する秘書課のリーダー杉田美園（戸田菜穂）の元先輩社員で、現在は経理課のお局社員梅林君子という役です。歳をとった女性社員に対する男性社員の偏見に負けず、最終的には「定年までやめませんから」と言い放つ強い女性の役でした。

「科捜研の女」の小向光子役は、同じ役を数年に渡り演じたことで彼女の代表作となりましたが、この「ショムニ」は、ゲスト出演にもかかわらず、視聴者の印象に強く残っている作品の一つです。

実母が重病で入院中のため、酒浸りで暴力をふるう養父と暮らしている12歳の少女相沢すず（安達祐実）が、想像を絶する波乱万丈の人生に強く立ち向かっていく姿を描いた作品で、すずの「同情するなら金をくれ！」という台詞と、相棒のリュウ（犬）の目線から作られたテーマ曲の「空と君のあいだに」（中島みゆき）が一躍話題となった作品です。

深浦加奈子さんは、すずを弟子として引き取った美術評論家の大坪家に住み込んでいる家政婦の役でした。大坪家の主人に密かに思いを寄せていた彼女は、大坪家の主人がすずを亡き娘に重ね、どんどんすずに傾倒していくことに嫉妬して、すずに陰湿な虐待を繰り返したあげく、主人を刺して一緒に窓から転落死するという壮絶な役どころでした。

真面目で優しかった小向光子役とは対照的に、エキセントリックなまでに追いつめられ、狂気に落ちていく、深浦加奈子さんの本領発揮ともいえる役どころだったと言えるでしょう。

多くの映画作品にも出演しています。ここでは、代表作として2001年公開の「狗神INUGAMI」と、2002年公開の「浅草キッドの「浅草キッド」」そして映画としては彼女の遺作となった2008年公開の「ぼくのおばあちゃん」の3作品を紹介します。

これは、坂東眞砂子氏の同名ベストセラー小説が映画化された作品です。天海祐希氏演じる坊之宮美希は10代の頃に忌まわしい出来事があり、結婚も人生も諦めてひっそりと和紙を漉いて暮らしていました。

坊之宮家は狗神筋であると村人から忌み嫌われている家系でもありました。村に赴任してきた小学校教師と親密になっていく美希とその教師の関係を知り、坊之宮家の当主（美希の実兄）は年に一度の先祖祭りの日にとんでもない凶行に及ぼうとして… という話しです。

深浦加奈子さんは、その狗神筋の家系である坊の宮家の分家当主の妻、坊之宮百夜の役で出演しています。

ビートたけし氏の代表作である自伝小説「浅草キッド」を、浅草キッドの水道橋博士氏主演で映画化した作品です。大学を中退して浅草フランス座に飛び込み芸人修行をするたけし（水道橋博士）と、師匠・深見千三郎、修行仲間や踊り子達との日常を、古きよき時代の浅草の情緒たっぷりに描いた作品です。

深浦加奈子さんは、踊り子の志の川姉さんの役どころで、熱すぎる入浴ショーの場面などを明るく楽しく演じていました。

深浦加奈子さんの、映画の遺作となりました。この映画は、岡本健一氏と菅井きん氏がダブル主演の作品です。

住宅展示場に勤めるトップセールスマンの智宏（岡本健一）は、毎日が忙しく家庭を顧みることができなくなっていましたが、ある顧客を担当したことから、子供の頃にいつも一緒だったおばあちゃん（菅井きん）を思い出し、その記憶を辿りながら、家族とは何か、幸せとは何かを考えるという映画です。

深浦加奈子さんの役どころは、智宏が少年時代に通っていた八百屋のおかみさんでした。

深浦加奈子さんは、子供の頃から頭がキレてちょっと皮肉屋なところのある頭の良い女の子でした。第三エロチカにいた頃も、きれいで純真なヒロインではなく、クセの強い役や掴み所のない役を好んで演じる女優だったようです。

2004年に「山内健司の演劇」（現、城山羊の会）をプロデュースしていた山内ケンジ氏と出会い、深浦加奈子さんは活躍の軸足を再び演劇の場に戻していきました。

既に発病され、苦しい闘病生活を送っていましたが、彼女は病床でも父親に「これからは舞台で演じたい」と話していたそうですし、山内氏によると、彼女はもっと自分を活かせる活動の場を求めていたということですので、やはり彼女には映像の世界よりも演劇（舞台）の方が水に合っていたのではないでしょうか。

ここでは川村毅氏の代表作でもある、第三エロチカ時代の「ニッポン・ウォーズ」(1984)と、「おかしな二人（女編）」(2002)、そして舞台としては彼女の遺作となった「新しい橋」(2008)の3作品を、彼女の舞台の代表作として紹介します。

川村毅氏が第三エロチカのために書き下ろしたSF作品で、舞台は「大日本資本主義共和国」という他国と戦争中の国です。出征を控えた若い兵士たちが訓練を積んでいますが、芝居の中盤で、この兵士たちが実はアンドロイドだったことが分かります。彼らが自分だけのものだと思っていた思い出は、プログラミンがされたものだったのです。

ショックを受けた兵士たちは、自分たちを支配しているスー・エレンという脳髄だけとなった女性を破壊し、脱出しようとしますが、それすらも「叛乱」としてプログラミングされたものでした。彼らはそれを知り、自分たちを製作したQ将軍を殺して自分たちの戦争をするために母国である日本列島に向かう… という話しです。

この作品はニール・サイモンの作で、舞台はニューヨークの部屋数が多くて古いアパートの一室です。この部屋の主人オリーブ（小林聡美）は、生来の無精さと離婚からくるむなしさから、部屋を散らかり放題にしている無精者です。しかし、この部屋は毎週彼女の女友達が集まってゲームに興じるかけがえのない社交場でした。

女友達の一人であるフローレンス（小泉今日子）が、14年の結婚生活の果てに夫から一方的に離婚を言い渡されてしまい、いまにも自殺しかねない様子で現れたことで、オリーブと共同生活をすることになります。しかし、フローレンスは病的な潔癖症のため、二人の生活はなかなかうまくいかず、ついにオリーブが爆発してしまい… という話しです。

深浦加奈子さんは、独身だけれども交際相手には不自由していないという、レニーという女友達の役を演じました。

この作品は、深浦加奈子さんの、舞台としての遺作になりました。作者はソフトバンクの CMディレクターとしても有名な山内ケンジ氏です。深浦加奈子さんは、2004年から山内ケンジ氏が作・演出する舞台作品のメインキャストとして参加していましたが、その最後の出演作が本作になります。

一見平穏そうな夫婦の破局と崩壊、彼らと家族、関係するいく組かの夫婦・男女の愛憎関係を描いた作品です。夫は会社のOLに求められて肉体関係を結んでしまい、その妻はひょんなことから風俗関係のアルバイトを始めてしまいます。妹の夫や会社の同僚もそのOLに欲望を抱き、それらの隠し事がだんだん露見していき… という話しです。

深浦加奈子さんは、主人公の主婦、真山橋子を演じました。荒ぶる絶望の海に一人向かう深浦加奈子さんの豊潤な沈黙と、時折見せるすっとこどっこいぶりが出色だと評されました。

「2008年8月25日22:57、都内の病院で女優の深浦加奈子さんが死去されました。48歳でした。葬儀は親族のみで行い、後日お別れ会を開く予定です…」という趣旨の訃報が流れ、日本中の多くのドラマ好き、芝居好きの人々を驚かせました。深浦加奈子さんが闘病生活を送っていたことを、ほとんどの人たちが知らなかったからです。

彼女は、いつからどんな病気と闘っていたのでしょうか。

2002年の冬、深浦加奈子さんはドラマ「美女か野獣」の撮影に入っていました。腹部に激しい痛みを感じた彼女は、産婦人科で検査を受けましたが、異常はみつかりませんでした。また、痛みも一過性ですぐに消えたため、そのまま撮影を続けました。しかし、症状は徐々に酷くなっていきました。

「美女か野獣」の撮影が終了した2003年3月に、彼女は都内の病院に緊急入院します。そこで出された診断結果は、S状結腸癌（大腸癌）で、浸潤やリンパ節転移のないステージ2というものでした。しかし、2週間後の3月24日、手術で開腹した医師は、予想以上に進行しており、リンパ節転移を伴うステージ3bに達していることを知ります。

管理栄養士で看護師の資格も持つ母親は、摘出されたトレイの上の15〜16cm×7〜8cmの肉片を触り、しこりが3cmに達する大きさであることを知り、状況の厳しさを思い知ったそうです。そして、彼女の壮絶な闘病生活が始まっていくのです。

しかし、手術そのものは成功し、深浦加奈子さんは2ヶ月ほどで仕事に復帰します。そして、驚異的な数のドラマや映画、演劇に出演し、以前にも増してその人気を不動のものにしていきました。

しかしこの癌が、その後の彼女の壮絶な闘病生活と、48歳という若すぎる死の原因となるのです。

癌が発覚し、深浦加奈子さんは家族や周囲の人たちから、闘病生活中は治療に専念するように勧められました。しかし、「仕事が恋人」という彼女は、周囲には癌であることを隠し、闘病しながら仕事を続けることを選びます。しかしその裏側では、大腸癌の再発・転移と治療による小康状態が繰り返されていました。

そして手術から2年後の2005年4月、彼女は重篤な腸捻転に苦しみます。彼女は所属事務所に迷惑がかからないようにと、所属事務所のシス・カンパニーから独立し、闘病しながらフリーで活動を続けます。

翌年の2006年には、2度の肝転移にみまわれます。特に、2度目の肝転移が発覚した時には、医者からも「治療の術なし」とさじを投げられてしまいます。自らの生を全うしようと癌について独自に勉強を続けていた彼女は、自ら医者に「放射線治療」を提案し、危機から脱しました。

2006年秋、彼女は一匹の猫を拾います。ニコラスと名付けられ、彼女はニコと呼んでとても可愛がっていました。その頃、彼女は父親に「要するに手の打ちようがないってわけよ」と話していたそうです。彼女の気持ちを知る由はありませんが、ニコラスを可愛がることで、闘病生活をしている自らを奮い立たせていたのかもしれません。

2007年、抗がん剤の治療による副作用に耐えながら、彼女は「若い夫のすてきな微笑み」の舞台に立ちました。彼女は、闘病生活の苦しさなど微塵も感じさせず、見事な演技で公演を完遂しました。が、その年の12月、縦隔大動脈のリンパ節に小さな癌がみつかります。翌年には、両肺への転移も明らかになりました。

転移に対応するための新しい薬の治療は効果が出ませんでした。そんな中、最後の舞台となる「新しい橋」に出演します。2008年2月のことでした。

「新しい橋」出演後、深浦加奈子さんは自宅で治療に専念する形で闘病しますが、容体は悪化の一途を辿りました。その頃、彼女は両親に自分の遺骨は海に散骨して欲しいと頼んだそうです。

2008年8月、彼女は自分の財産を愛猫のニコラスに寄贈すると遺言をしたためます。その月の25日、彼女は帰らぬ人となりました。遺骨の一部は、彼女の希望通りに大好きだった逗子の海に撒かれたそうです。

彼女の一番最後の仕事は、テレビ新広島の報道番組「描けなかった2枚の絵　原爆が投下された日の記憶」のナレーションでした。これは、2008年7月のことです。癌が両肺に転移していましたので、ナレーションの仕事は本当にキツかったことでしょう。「このテーマは絶対にやりたい」と言った彼女に姉が付き添って広島まで行き、気力を振り絞って乗り切ったそうです。

その頃は、家族総出で深浦加奈子さんの闘病生活を支えていましたが、彼女は母親に「この仕事が最後になると思う」と覚悟を明かしていたそうで、そのことば通り、東京に戻ってから容体が急変しました。

家族総出の協力体制で支えられていた闘病生活でしたが、彼女の身体はついに限界を迎え、再び入院します。しかし、家族にはもう医者も匙を投げていると感じるほどの状態でした。

8月18日には、肝機能の低下により黄疸が出ており、呼吸も思わしくない状態でした。「身体のどこが痛いという訳ではないけれど、身体全体に不快感がある」と言っていたそうです。肺に酸素がいかないため、一言二言でも息が切れる状態でしたが、22日には会話もできなくなりました。

そして、2008年8月25日午後10時57分、壮絶な闘病生活の末、彼女は家族に見守られながらベッドに座ったまま息を引き取りました。

深浦加奈子さんの役者仲間であり友人である戸田恵子さんは、深浦加奈子さんが亡くなる二日前の8月23日土曜日に病院にお見舞いに行った時のことを、自身のブログに書いています。

深浦さんは、戸田さんに気丈で優しい笑顔を見せ、小さな声で「ありがとう」と言ったそうです。顔色は優れませんでしたし、5〜6分程の面会でしたが、意識もしゃんとしていてとても二日後に逝ってしまうとは思わなかったという彼女は、深浦さんを抱きしめ、「また来るからね！」と言って病室を出ました。

戸田さんは、ブログに「訃報を知らせる電話の音は音が違う」と書いています。深浦さんの凄まじい闘病生活を知っている戸田さんの、深浦さんを思う気持ちが痛いほど伝わって来ます。

他にも、たくさんの役者仲間が彼女の突然の死についてブログやSNSで発言をしています。特に、八嶋智人氏は、毎年彼女の命日になるとtwitterで彼女を偲んでいるようです。

告別式は、東京都杉並区の堀ノ内斎場で営まれました。親族の他には、親交の深い女優の松嶋菜々子さん、オペラ歌手の森公美子さん、俳優の渡辺いっけいさんらの、約40人が参列しました。

9月24日には、東京都目黒区のウェスティンホテル東京でお別れ会が開かれ、小泉今日子さん、三浦友和さん、天海祐希さん、松嶋菜々子さん、陣内孝則さん、沢口靖子さんなど、約550人が参列しました。

深浦加奈子さんはフリーで活動されていたため、このお別れ会は有志が集まって少しずつ用意をして開催したものでした。会場には彼女の仕事やプライベートの写真がたくさん飾られ、会の最後には、今までやった舞台のダイジェスト版が流されました。

ビデオの最後は、カーテンコールの部分のみをピックアップして編集されていましたが、いつの間にか拍手が起こり、会場にいた全員が、名女優・深浦加奈子さんに割れんばかりの拍手を送ったそうです。

深浦加奈子さんの交友関係の一例として、告別式とお別れ会に参加した松嶋菜々子さんを紹介します。

松嶋菜々子さんは1991年に旭化成の水着マスコットガールに選ばれ、翌1992年にファッション誌「ViVi」の専属モデルとなり、女優としてもデビューしました。

松嶋菜々子さんがとんねるずのバラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげです」の中のコント「近未来警察072」にナナ隊員役で出ていた1995年頃に、深浦加奈子さんと二人でヨーロッパの小さな村に住む日本人妻を探す旅に出るという番組で共演し、仲良くなったのが二人の縁の始まりのようです。

深浦加奈子さんを姉のように慕っていたと言う役者は大勢いますが、松嶋菜々子さんもその一人でした。また仕事でも、映画「恋と花火と観覧車」、テレビドラマ「救命病棟24時」や「美女か野獣」等で共演をしています。

二人の共演として代表作といえる人気テレビドラマ「美女か野獣」は、アメリカ三大ネットワークのニュース記者として活躍する鷹宮真（松嶋菜々子）が日本のテレビ局にヘッドハンティングされ、視聴率が低迷しているニュース番組を立て直して行こうとする話しです。深浦加奈子さんは、松嶋菜々子さんがヘッドハントされたテレビ局の報道部デスクという役どころでした。

もう一人、深浦加奈子さんの交友の一例として、お別れ会で弔辞を読んだ小泉今日子さんを紹介します。

小泉今日子さんは、1981年に出演したオーディション番組「スター誕生！」から誕生したスターです。1982年にアイドル歌手としてデビューし、数々のヒット曲を生みました。1983年に出演したテレビドラマ「あんみつ姫」で、女優としても話題となりました。

小泉今日子さんと深浦加奈子さんの出会いは、舞台作品として紹介した、2002年の「おかしな二人（女編）」での共演でした。そこで深浦さんに色々な相談をし、それ以来彼女を実姉のように慕っていました。彼女は弔辞の中で、「いつまでも映像の中では会えますね」「名脇役がいないとドラマは炭酸が抜けたコーラのようです」と語りかけていたそうです。

深浦加奈子さんについて語るとき、「姉のように慕っていました」「○○姉さんと呼んでいました」と言う役者が大勢います。色々な役者達に、彼女が広い心で姉のように接していたことがよくわかります。

また、彼女が闘病生活を送りながら執念を持って女優を全うした姿は、役者仲間達の心の奥深くに刻まれているに違いありません。そして、作品の中で生き続けている深浦加奈子さんに、私たちもいつでも会うことができるのです。特に、ドラマの代表作ともいえる「科捜研の女」は、何度も再放送されていますので、今後も小向光子に再会できることでしょう。

彼女が亡くなって10年が経った今、改めて深浦加奈子さんのご冥福をお祈りすると共に、いまだに日本人の癌の罹患率、死亡率共にトップ3に入る大腸癌の良い治療法が開発されるよう、祈ってやみません。