2018年11月09日公開
2018年11月09日更新
アセクシャル・エイセクシュアル診断!原因や特徴も紹介!
「恋愛」をしない人であるアセクシャル。診断や原因についてはまだ未知の部分が多く、また社会的周知も進んでいない事から、実は潜在的にアセクシャルであるが診断されていないだけ、という人も多いのかもしれません。自分が恋愛下手だと思う人は知っておきたい無性愛について
目次
アセクシャルの人ってどんな人?
「好き」ってどういう事?「恋」って何?と恋愛について悩んだ経験がある人は、男性・女性を問わず多いはずです。
アセクシャル、またエイセクシャルと呼ばれる人は、その悩みの原因が一時的なものではなく、永続的に続いている状態の人を言います。
そもそも「アセクシャル」とは?
アセクシャルの人は日本では「無性愛者」とも呼ばれています。無性愛とは特徴的に、恋愛感情を抱かない、性的魅力を他人に感じない事を意味します。
アセクシャルの定義
アセクシャル、つまり無性愛という在り方自体はまだ社会的に認識されるのが遅れており、またその定義や原因、また診断についても、研究者やその本人である無性愛者自体にとっても、グレーな部分が多いようです。
例えば、恋愛感情はあるけど性的に魅力を感じない、また恋愛感情自体も無いという場合はアセクシャルと診断していいのか、など。
こういった性的な特徴については性同一性障害(トランスジェンダー)やいわゆるゲイと呼ばれる性的志向の方が原因や特徴についての研究・社会的認知は進んでおり、実はアセクシャルだけど気づかず生活している人も実は多いのかもしれません。
アセクシャルの人はどのくらいいる?
まだ未知の領域であるアセクシャル、遠くイギリスで行われた調査によると、無性愛を示す質問(誰に対しても性的に魅かれたことはない)という問いに対し、1.05%の人がYESと答えたというデータもあります。
100人に1名の確立で、もしかしたら無性愛者は身近にも存在するのかもしれません。
「アセクシャル」と「ノンセクシャル」の違い
アセクシャルの捉え方、また定義はまだ確立していない部分が多いのですが、一番議論されているのが、「恋愛感情」と「性的な惹かれ」についてです。
例えば、恋愛感情はあり、彼氏や彼女がいるけれど、性的に惹かれた事は無い、という人や、性的に魅力を感じない事はもちろん、恋愛感情についても無いという場合があります。日本では特に前者をアセクシャル、後者をノンセクシャルと呼んで区別しています。
アセクシャルの人の特徴
アセクシャルの人の特徴的な点は、やはりその恋愛観にあります。しかし、誤解されがちなのが、アセクシャルの人は恋愛的な感情を抱かないだけで、例えば「友情」や親や身近な人への「愛情」はちゃんとあるのです。
また、芸能人や身近な人にかっこいい・かわいいといった感情を抱くことさえあります。
しかしそれが必ずしも恋愛に結びつくとは限らないように、アセクシャルの人は、恒常的に恋愛感情を抱かない、という事が特徴で、具体的にいうと下記のような考え方が当てはまります。
恋をした事がない
恋をした事がない、というのは無性愛者の最大の特徴だと言えます。女性は初恋が早く、保育園に通っていた頃には既に好きな人がいた、という人も珍しくありません。
一方、アセクシャルの人は、多くの人が恋という感情を自覚し始める10代~20代の間でも、全くそのような感情が起こらないと言われています。
恋愛モノにきゅんとしない
テレビドラマや映画、音楽に小説、ゲームなど、様々なエンターテイメントで取り上げられる「恋愛」のテーマ。それによって心がときめいたり、逆にせつなくなったり、という経験をした事のある人も多いでしょう。
しかし無性愛者の場合は、その感情が理解できません。ストーリーを理解する事や、エンターテイメントとして楽しむ事は出来ても、どこか心の中でしっくりしない、共感出来ないという思いを抱えてしまいます。
恋愛感情を抱かれる事へ違和感がある
好きだと言われて悪い気持ちになる、という事は通常であれば、あまり聞かれませんが、アセクシャルな特徴を持つ無性愛者の場合は、特別な感情、つまり「恋愛感情」を他人から向けられるのに戸惑いや嫌悪感があるとも言われています。
アセクシャルとなる原因は?
アセクシャルの特徴としてはその独特な「恋愛」観が見て取れます。無性愛については診断や現状など、まだまだ研究が進んでおらず、その人の考え方、主観的な要素が大きく判断を左右すると言われています。
無性愛の特徴について知られるようになると、そもそも無性愛になる原因とは何かという考えも出て来ました。実際に研究が行われ、おもしろい所では、「無性愛者は左ききが多い」とか、「男性であれば上に兄や姉、女性であれば逆で下に弟・妹がいる」という傾向があるようです。
しかし、今のところその原因については確固たるものは無い、つまり誰にでも起きうる事だという事が現時点での見解になるようです。
アセクシャルだと気づくきっかけ
ゲイやバイセクシャルの人も、自身のセクシュアリティについて隠さず主張したり、また周りの環境としても性の多様性を受け入れるという風土は、着実に根付いてきています。
しかしながら、やはり自身のセクシュアリティが特徴的である事を知る瞬間というのは、個人差もありますが、ショッキングだったり、なかなか受け入れがたいという場合もあるようです。
アセクシャルの場合も同様で、医学的・心理学的手法では原因などを特定できない事から、自身でも診断に悩む事が多く、また、アセクシャルという存在自体を知らず、自身のセクシュアリティについて考えずに生活する人もかなり多いと言われています。
思春期の違和感
思春期は特に女性も男性も体つきや精神的にも大人に近づき、恋愛などの興味も強まってきます。アセクシャルの人の多くはこの時期に最初の違和感に気づくと言われています。
原因的には、やはり周りが恋愛について話していても興味がない、またそのような感情が起きないという事に周りとのギャップを感じてしまうようです。
結婚適齢期の違和感
大人になると、人によっては仕事や趣味が楽しすぎて恋愛に興味が無くなってしまった、という人も少なくありません。
婚活というワードが出てきて、世の中20代~30代などを中心とした結婚適齢期の男女は誰しも結婚したがっていると思われがちですが、実はそうでもないようです。
この恋愛への興味が一時的なものならば、単に時期的な感情のゆらぎなのですが、これが長く続くようなら、もしかしたらアセクシュアルの特徴が出ていた、という場合もあるのです。
アセクシャルの診断
なかなか恋愛関係が上手く築けない、また「恋愛」自体に違和感があるという人は、もしかしたら無性愛者・アセクシャルなのかもしれません。
しかしアセクシャル自体は病気や疾患ではないので病院などでの診断は出来ず、また、まだ社会的にも浸透していない為、その診断方法は限られている状態なのです。
診断サイトなどを利用してみる
自己診断というのが一番手軽に出来る方法で、例えばインターネット上でも様々な診断サイトがあります。
性的にマイノリティであるゲイやトランスジェンダーなど、中々人に相談しずらいこのようなセクシャリティの問題については、まず手始めにこのようなサイトを利用して自覚していった、という人も少なくありません。
アセクシャルの人の話を聞いてみる
LGBTと呼ばれる、性的にマイノリティな人々も最近では、自分でカミングアウトして社会に溶け込んでいる事も珍しくなくなってきました。
アセクシャルな人も同様で、自分が無性愛者だという事を公言する人も増えてきています。もしも自分が、また身近な人が無性愛者かも、と思ったらまずは、そういった人達の話を聞いてみるのも参考になるかもしれません。
思い切って診断をしない
無性愛の診断、それを思い切って「しない」というのも選択のひとつです。その理由は、アセクシャルが、決して病気や疾患ではなく、その人のひとつの「個性」でもあるからです。
ゲイやバイなど様々なセクシャリティが認められつつある現代、それをひとつの自分の特徴と捉え、自然にあるがままに暮らすという事も選択の一つとなります。
アセクシャルのコミュニティ
LGBTのコミュニティなどはかなりの進化を遂げ、ゲイパレードなどのように大きな盛り上がりを見せるイベントなどもあります。
アセクシャルもまた、SNSなどを中心に様々なコミュニティが作られつつあります。
国際的に展開するアセクシャルのコミュニティ
アセクシャルのコミュニティの中で有名なのはAsexual Visibility and Education Network(無性愛認知教育ネットワーク)で、通称AVENと呼ばれています。
2001年にアメリカで設立された組織で、無性愛の周知とコミュニティの促進を目的に創設されました。
LGBTが虹色のフラッグを象徴として用いるように、アセクシャルにもプライドフラッグがあり、黒・灰色・白・紫が基調となった独特のデザインとなっています。また、右の中指に黒い指輪をつけるのも、アセクシャルのコミュニティの象徴と言われています。
日本のアセクシャルコミュニティ
日本でも独自にアセクシャルのコミュニティは発達しています。最近では個々での活動が目立ってきており、SNSなどでカミングアウトする人も増えています。
アセクシャル以外のセクシャリティ
無性愛者であるアセクシャルは、実はセクシュアリティの中でも特異な存在だと言われています。その原因は、やはりそこに「恋愛」の影が薄い事にあるようです。
LGBTなど多様なセクシュアリティを主張する人々にとっては、自身の「恋愛」感情が一般的ないわゆるストレートな人々と違う事について表明し、自身のアイデンティティを主張しています。
しかしアセクシャルはそもそも「恋愛」をしない事についての主張なので、少し他のセクシュアリティとは異なると捉える人も多いようです。
しかし今や、性の多様性は多くの国や人々の間で受け入れられつつあります。最近になってやっと社会的認知や研究が進んできた諸々のセクシュアリティ。
アセクシュアルを含め、様々なセクシュアリティがある事を知る事で、より自身も性やセクシュアリティについて考えさせられる機会となります。
ゲイ(同性愛)
例えば、レズビアンは女性が女性を好きな場合で、ホモは男性が男性を好きな場合、それを合わせてゲイ(同性愛)というカテゴリーとして表現しています。
バイセクシャル
バイセクシャルとは、同姓・異性どちらも恋愛対象になるセクシャリティです。両性愛者とも呼ばれています。
パンセクシュアル
バイセクシュアル(両性愛者)と混同されがちですが、バイセクシュアルは男女どちらへも恋愛対象とするセクシャリティで、パンセクシャルが特徴的なのは男性でも女性でもない性同一性障害などのXジェンダーの人も恋愛対象としています。
歌手のマイリー・サイラスが自身をパンセクシャルとカミングアウトした事は記憶に新しく、大きなインパクトとなりました。
ポリセクシュアル
ポリセクシュアルはパンセクシャルと似ていますが、全ての性が恋愛対象なパンセクシャルと違い、一部のジェンダー、例えば男性もXジェンダーもOKだが女性だけはダメ、のように特定の性には恋愛感情が湧かないという特徴を持ちます。
パンロマンティック
パンロマンティックは、性別やジェンダー関係なく恋愛対象となりますが、あくまで精神的な恋愛のみで、性的な感情は抱かないのが特徴的なセクシャリティです。
グレーセクシュアル
グレーセクシュアルはアセクシュアルと他のセクシュアリティの中間にいるの状態です。流動的なセクシュアリティなので黒でもなく白でもないグレーの名がついています。
スコリオセクシュアル
スコリオセクシャルとは、男・女といった一般的な性別以外の特性を持つ性へ魅力を感じる人です。多くは自身もトランスジェンダー(身体的な性別と心の性別が異なる)の場合がほとんどです。
クエスチョニング
クエスチョニングは自分でも自分のセクシュアリティがわかない状態の人です。このクエスチョニングを経て、自分のセクシュアリティを確立していく人も少なくありません。
デミセクシュアル
デミセクシュアルとは、性的に魅かれる要件として、強い感情的な相手への思いが必要なセクシュアリティです。その強い感情的な気持ちとは、何も恋愛に限った事ではない、というのが通常の恋愛感情と違う特徴だと言えます。
デミロマンティック
デミセクシュアルと少し似ているのですが、デミロマンティックとは、強い感情を抱く事によって、精神的な恋愛感情を抱くセクシュアリティです。こちらはあくまで精神的であって、性的ではない事が特徴だと言えます。
リスロマンティック
リスロマンティックは一言で言うと「両思いになる事が嫌な人」です。恋愛感情は抱きますが、相手が自分を好きになる、という事が耐えられないというセクシュアリティです。
アセクシャルという生き方
一般的な異性愛、そして同性愛や両性愛、その他にも様々なセクシュアリティが存在します。その中のひとつであるアセクシャル。
クリスマスやバレンタインなどのイベント毎になると、誰しもまるで恋愛していないといけないような雰囲気を感じるという人も多いようですが、実は元々そういった感情を抱かない人もいるのです。
しかしそれは決して「愛情」が無いわけではなく、単に「恋愛」しないだけなのです。アセクシュアルが中々まだ世の中に浸透しない原因として、この「恋愛」についての世の中の考え方があるのかもしれません。
しかし、「恋愛」するのもしないのも個人の自由であり、またその特性こそ個性のひとつだと認め合う事が、実はとても大切な事なのです。
原因はまだわかっていない無性愛というひとつのセクシュアリティですが、「恋愛」しないという選択をしてから見える景色もまたあるのかもしれません。