えんがちょの意味とは?語源は縁が千代切った?指のやり方も紹介

「えんがちょ!」と子どもの頃に囃して遊んだ記憶はありますか?えんがちょという言葉自体を初めて聞いた人もいるかもしれません。この不思議な言葉の意味や由来とは何なのでしょうか。えんがちょのいろいろなポーズややり方、実はNGなえんがちょポーズまで紹介していきます。

えんがちょの意味とは?語源は縁が千代切った?指のやり方も紹介のイメージ

目次

  1. 1「えんがちょ」の意味を正しく理解しよう
  2. 2「えんがちょ」の意味とは?
  3. 3「えんがちょ」の語源や由来
  4. 4えんがちょのポーズの種類
  5. 5えんがちょのやり方とは?
  6. 6「えんがちょ」が出てくるアニメ
  7. 7「えんがちょ」の地域ごとの方言
  8. 8知っておきたい!えんがちょポーズのNG
  9. 9受け継がれる日本古来の風習

「えんがちょ」の意味を正しく理解しよう

「えんがちょ」という言葉に聞き覚えがあっても、当時は詳しい意味をあまり理解せずに友だち同士で言い合っていた人がほとんどかと思います。大人になった今だからこそ、「えんがちょ」という不思議な響きの言葉の正しい意味を知ってみませんか?

言葉自体を聞いたことがない人も、語源や由来を知ることで日本の風習についてひとつ詳しくなれますよ。

「えんがちょ」の意味とは?

「えんがちょ」とは、子どもの口遊びのひとつです。穢れ(けがれ)や不潔・不浄なものから身を守るためのおまじない的な意味を持っています。えんがちょは、以下の条件のもとで発生します。
 

  • その場に最低でも2人以上いること(えんがちょの形態によっては3人以上)
  • 穢れを持ったものは他者に触ることでその穢れをうつすことができる、という共通認識を持っていること

先ほどの条件下で、例えば誰かが道に落ちている犬のフンを踏んでしまい、フンという穢れを持ってしまったとします。踏んだ人は、他者に触れることでフンの穢れをうつそうとします。穢れをうつされそうになるは、身を守るためのおまじないとしてポーズを取ります。

ポーズを取っている人には触れても穢れがうつせないため、穢れを持つ人はポーズを取っていない人を探します。この流れが発展して、鬼ごっこのような形となります。「えんがちょ」とは、この一連の戯れやおまじないとしてのポーズのことを指します。

「えんがちょ」の語源や由来

『大辞泉』によるとえんがちょの語源は不詳とされていますが、いくつか語源の説があります。
 

  • 「縁をチョン切る」
  • 「因果の性(いんがのしょう)」の転訛(てんか)
  • 「縁が千代切った」の略

どの説も、不浄なものからの感染を防ぐために縁を切る、といった意味合いが含まれているようです。

えんがちょの由来ははっきりとしていません。しかし、日本人には穢れを嫌う「穢れ思想」が息づいており、同時に「穢れを防ぐ行為」も風習として残っています。子どもの口遊びとして残っているえんがちょも、この風習より生まれたものかもしれません。

えんがちょポーズらしきものを確認できる古くは、13世紀頃の『平治物語絵詞』に描かれています。この絵では、藤原通憲の生首を見ている街の人々がえんがちょポーズらしきものをとっています。生首に対し、死や騒動の災いを穢れとみなして自身に降りかからないよう防いでいるようです。

こうしたえんがちょは戦前頃より頻繁にみられるようになり、子どもの口遊びとして現在に通じています。そして不思議なことに、えんがちょは由来も発祥もはっきりとした継承メカニズムも不明のまま子どもたちの間で定着し、受け継がれているのです。

えんがちょのポーズの種類

えんがちょにはいろいろなポーズの種類があり、形態によっては2人で行うものもあります。ポーズややり方は複数あるので、まったく見覚えのないえんがちょの種類もあるかと思います。

親指と人差し指で輪っかをつくる

両手の人差し指同士、親指同士をくっつけます。両手で大きい輪をつくるポーズです。こうして作った輪を他者に手刀で切ってもらうことで、穢れを持った人が穢れから解放されるとする地域のやり方もあるようです。

人差し指を交差する

右手と左手の人差し指を交差させて、バツのマークをつくるやり方です。

中指と薬指を交差する

片手で、中指と薬指を交差するやり方です。薬指に中指を重ねます。やってみるとわかりますが、大人の手だと意外と難しいポーズです。

握りこぶしをつくる

握りこぶしをつくり、人差し指と中指の間で親指を挟むポーズです。人差し指と中指の間から、親指の先が少し見えるような形です。

えんがちょのやり方とは?

自分に触れてほしくない穢れや不潔・不浄なものに相対したときにえんがちょポーズを取ることで、自分の身を守ることができます。両手で輪をつくるやり方には2種類あり、
 

  1. 両手で輪をつくるだけ
  2. 両手でつくった輪を他者に手刀で切り離してもらう

2のやり方は、輪を他者の手で切り離してもらうことで穢れとの縁を切ったから自分に穢れはうつらない、と意味するようです。

ほとんどは、穢れを持った人から穢れをうつされるのを防ぐためにえんがちょを行うのですが、穢れを持った人を浄化してあげるために行うやり方もあります。両手で輪をつくるやり方に乗っ取り、穢れを持った人が作った手の輪を他者が手刀で切ってあげることで、その人と穢れを切り離し助けてあげることができます。

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「えんがちょ」が出てくるアニメ

えんがちょはアニメにも出てきます。えんがちょが出てきたアニメについて見ていきたいと思います。

千と千尋の神隠し

子どもの頃には馴染みがなく、この作品で知った人もいるのではないでしょうか。銭婆の印鑑についていた呪いの虫を踏みつぶしてしまった千尋に、釜じいが「えんがちょせい!」と呼びかけるあのシーンです。

千尋が両手で輪をつくり、釜じいが手刀で輪を切り離していましたね。あの行為で、千尋が触れた穢れを釜じいが祓ってくれたのです。作中の場合は、えんがちょによって千尋と穢れの縁を切っています。

そのシーンの後、坊ねずみが千尋のえんがちょのマネをしています。千尋のえんがちょが両手で輪を作るやり方だったのに対して、坊ねずみは両手の人差し指をくっつけるやり方をしています。ススワタリと一緒にえんがちょごっこをする姿はかわいいですよ。

あの国民的アニメにも

『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』にもえんがちょのシーンがあるのをご存知ですか。クレヨンしんちゃんでは友だちと絶交の意味で使われていたので、穢れと切り離す意味の派生的な使い方といえます。いずれも幼稚園~小学生間で使われているのを見るに、えんがちょとは子どもの文化であることを改めて感じられますね。

有名マンガにも登場

『ワンピース』に登場するバリア能力をもつバルトロメオは、能力発動時に人差し指と中指を交差させるえんがちょポーズをします。

「指を結べば人はバリアをはれる!!ガキでも知ってる常識だべ?」のセリフから、偶然にポーズが一致しているわけではなくえんがちょの意味を汲んでいることがわかります。攻撃を穢れとみなしポーズを取ることで、自分に攻撃が当たらないよう防いでいるのです。

「えんがちょ」の地域ごとの方言

「えんがちょ」に地域ごとの方言はあるのでしょうか?そもそもの由来もはっきりと解明されていないので、えんがちょの言い方の違いは地域による方言というよりも、それぞれのコミュニティの違いという括りのほうが正しいのかもしれません。一般的にはやはり「えんがちょ」が一番オーソドックスな言い方のようですね。

北海道での「えんがちょ」の言い方

「ビッキ」「ピッコロ」「えった、ちーんき」「エッタ、ギム」

東北での「えんがちょ」の言い方

「ピースバリア」「バーリ」「けーがれっ」

関東での「えんがちょ」の言い方

「エッピー」「エンピ」「えんがちょ切った!鍵締めた!」「がっちょーん」「ガッキンバリア」「ぎっちょ」「バリア」

関西での「えんがちょ」の言い方

「ミッキ」「ぶりっきゅー」「やめち」「めんき」「ガーチョ」「メーンキ」「イーンキ」「でん、ぎっちょ」「べべんじょ、かんじょ、鍵しめた」「ギッチョ、べべんじょ鍵かった」

九州での「えんがちょ」の言い方

「ブッチ、バリヤ」「がっぴ」

知っておきたい!えんがちょポーズのNG

子どもの口遊びの一種であるえんがちょですが、時と場合・場所によってはえんがちょポーズが大変な意味を表すことになります。知らずにいるとトラブルを招くこともあるかもしれませんよ。

握りこぶしのえんがちょポーズ

握りこぶしをつくり人差し指と中指の間に親指を挟むやり方ですが、国内・海外ともにいやらしい意味を表すポーズでもあります。自分の本意にかかわらず挑発や誘惑だと受け取られることもあるので、要注意です。

人差し指と中指を交差させるえんがちょポーズ

欧米では、交差させた指を十字架に見立てて「Good Luck(幸運を祈る)」という意味で使います。しかし、ベトナムだと「女性器」という意味になり相手を侮辱する表現になります。一方では良い意味で使われるハンドサインですが、場所が変わると大きく意味が変わるのです。

受け継がれる日本古来の風習

子どもの頃、友だちとふざけて言い合い遊びをしていたえんがちょ。大人になった今きちんと見直してみると、日本人としての気質や古来からの風習と繋がっていることがわかります。由来や発祥・継承メカニズムがはっきりとしていないまま、小学生を中心に現在まで受け継がれていることは実に不思議です。

また、同じハンドサインでも場所や相手によって与える意味が変わってくること自体は興味深いですが、知らずにいると恐ろしいことですね。えんがちょポーズだけでなく、ハンドサインにはこういった二重の意味が隠れているのかもしれません。

えんがちょのやり方やポーズの種類も地域・コミュニティによって多様なので、小さい頃こんなことしてたよね、と話題の種にしてみるといろいろな発見がありそうです。

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