フランスの黒人の割合は?多い?差別などの歴史を解説!
今回はフランスの黒人についてまとめていきます。フランス黒人は、人口でいうとどれくらいの割合の人がいるのでしょうか。フランス黒人の差別についても紹介します。フランスの黒人が差別されるようになったきっかけや、現在の状況なども確認しておきましょう。
目次
なぜフランスには黒人が多いのか?
あなたはフランス人というと、どういうイメージを持つでしょうか。多くの人が、フランスのパリジェンヌをイメージするのではないでしょうか。パリジェンヌのイメージは、なんとなく白人。そんな人も多いでしょう。
フランスは白人の国だと思って訪れると、黒人が多い事に驚く事があるようです。日本人が想像している以上に、フランスには黒人が多いのです。今回はどうしてフランスに黒人が多いのか、また黒人の差別の歴史などをまとめてきます。
フランスにおける黒人の割合は?
まずはフランスにおける黒人の割合をみていきましょう。スポーツが好きな人は、もしかしたらフランスの黒人の割合が多いことを知っている人もいるかもしれません。
フランスの黒人がフランス人の何パーセントなのかという事は公表されていませんが、黒人と言われる移民の割合は2010年の時点で19%程度です。100人いたら19人が黒人という事になります。
フランスの黒人はアフリカ系移民
フランスにいる黒人のほとんどが、アフリカ系の移民だといわれています。移民人口の中でアフリカ系意味はおよそ43%です。だいたい500万人くらいのアフリカ系移民がフランしで生活されているのだそうです。
アフリカ系移民というのは、モロッコやアルジェリア、カメルーンやコートジボワール出身の黒人です。フランスの経済が活発だった時代には、スペインやポルトガルからも移民がフランスに来ていたようです。
ちなみに、アフリカ系移民の次に多いのがアルジェリア系移民です。アルジェリアはフランスの植民地だった時代もある事から、移民が多かったと言われています。
黒人は全人口の1割弱
フランスでの黒人の人口は、はっきりと公表されていないもののおよそ1割程度だと考えられています。10人に1人が黒人という事になります。
10人に1人というとあまり多くないようなイメージもありますが、学生のクラスに30人いたら、3人は黒人という事になります。同じ苗字の人が3人もいたら多いと感じるように、3人は多い人数と言えるでしょう。
街でみかける黒人も多いと言われています。スポーツ選手にも、フランスでは黒人が多いというイメージを持っている人がいるでしょう。フランスには黒人がたくさんいるのです。
フランスに黒人が多い理由とは?
白人が多いイメージのフランスに、黒人が多いのはどんな理由からなのでしょうか。フランスに黒人が多い理由について考えてみましょう。
出生率が少なく移民が多い
フランスだけではなく、先進国のあるあるな問題に、出生率の低下があります。先進国のフランスでも、出生率は下がっていると言われています。
フランスの出生率は、1970年には2.5でしたが、1980年には1.8、1990年には1.7に下がっています。どんどん下がっている事がわかります。
フランスで出生率がぐっと下がった時、それを補うために移民を受け入れたというのが、フランスに黒人が増えた大きな理由だと言われています。
フランスの植民地だった
フランスの黒人の多くがアフリカ系移民です。アフリカ系移民というのは、もともとはフランスの植民地だったところに住んでいた人たちも多かったようです。
フランスが植民地としていたのは、モロッコやアルジェリア、チュニジア、マダガスカル、ギニア、コートジボワールなど黒人が多い地域でした。
アフリカ圏から、自分から望んでフランスに来た移民もいれば、植民地時代に黒人奴隷として連れてこられた黒人もいたようです。
労働者として補填されていた
第二次世界大戦終了後、日本でも高度経済成長期に入りましたが、フランスでも同じように経済に活気が戻っていきました。経済成長期に、出生率がさがった事で、黒人の移民を受け入れるようになった事も、フランスに黒人が増えた理由となりました。
労働者として補填されていた黒人でしたが、フランス人の想像以上に黒人が増えた事で、差別や摩擦が起こるようになっていきます。
フランスの黒人差別の歴史を紹介
移民がフランスに来た当初は、おそらく受け入れられていたであろう黒人が、差別されるようになったのはどういう歴史が関係しているのでしょうか。フランスの黒人差別の歴史をみていきましょう。
1960年代から差別が始まった
フランスで黒人差別が始まったのは1960年頃からだと言われています。1940年代から移民を受け入れていました。
黒人の移民を受け入れていたのは、経済成長に伴う労働力の補填のためです。この段階では、フランス人は支持を出す人で、黒人は労働者という上下関係ができていました。しかしどんどん移民が増えて、もともとフランスに住んでいた人たちは、黒人を脅威に感じ始めたのです。
このまま黒人が増えたら、自分たちの優位が崩れてしまうのではないかという不安を抱えるようになっていきました。
経済成長鈍化の原因が移民と考え始める
悪い事が起こると、誰かのせいにしたくなるものです。経済成長が続いている時は、黒人に対して嫌な感情を持っていてもそれを態度に表す事はありませんでしたが、経済成長が止まって景気が悪くなってくると、フランス人の不満の矛先が黒人に向いてしまいます。
景気が悪くなって失業者が増えたのは、黒人が多いからだという、根も葉もない噂が飛び交うようになります。黒人に仕事を奪われてしまったと考えるフランス人が多かったようです。
そもそも保守的な考え方をしていた人は、移民の黒人を良くは思っていませんでした。失業に対する不安や、移民に対しての否定的な考えを持った人とが、黒人に対して差別を始めるようになったのです。
移民にフランスが乗っ取られるという恐怖感が芽生える
不安はどんどん大きくなり、やがて恐怖に変わる事になります。黒人が増えた事で、フランスが黒人移民に乗っ取られてしまうと考える人が出てきたのです。
フランス人の出生率はどんどん低下をしていき、黒人移民が増えていく事に、多くのフランス人たちが恐怖感を覚えたと言われています。
フランスの人は心配をしすぎると思う人もいるかもしれませんが、この現象はフランスだけに起こった事ではありません。移民に国を乗っ取られてしまうのではないかと考える国の人は多いと言われています。
フランスの黒人差別の実態
フランスでは黒人への不安や恐怖から差別される事が多かったようですが、実際にはどんな差別をされていたのでしょうか。フランスの黒人差別の実態についてもみていきましょう。
就労条件が悪い
フランスの黒人差別には、就労条件が悪いという事があります。仕事が全くないという場合もありますが、せっかく就労する事ができても、低賃金で働かされる事がほとんどです。低賃金で働かされるというのは、経済成長の時代から現在までほとんど変わっていないそうです。
黒人が働く場所が少ないという問題もあります。フランスの求人では、学歴や職歴などの他に、人種も採用基準に設定されているのです。
フランスでは白人の方が、採用の場面で優遇される事がほとんどです。アジア系やアラブ系、黒人は採用と際に差別される事が多いと言われています。
フランス語が話せないと苦労する
多くの国の人が、自分の国の言葉を愛しています。フランスも同じようにフランス語に誇りを持っています。そのため、フランスではフランス語を話せないと苦労すると言われています。
観光でフランスを訪れる時にはフランス語ができなくても問題ありませんが、仕事でフランスに行く場合や、フランスで生活をする時に、フランス語ができないというのは致命的です。
フランス語ができない事で、アルバイトの仕事にすら就く事ができない場合もあります。買い物ができなかったり、タクシーにも乗れなかったりします。黒人移民にとっては、フランス語から勉強しなければいけない苦労があります。
反移民の風潮
フランスでの黒人差別で問題なのは、気持ちや意識という部分だとも言われています。反移民という感情が、とても長い間フランス人が抱えている気持ちなのです。移民は悪い人たちだという事が、固定観念になってしまっている人もいると言われています。
黒人は白人よりも劣っているという考え方の、白人至上主義の意識を持っている人も少なくないようです。半移民の考え方を持っているフランス人の中には、過激な考え方をする人も多いようです。
過激な考え方をしている政党があり、フランスでは支持を集めているそうです。そんな政党と、黒人や移民を支援する人との反発もあると言われています。
フランスの黒人スポーツ選手
フランスでは差別される事が多い黒人移民ですが、フランスのスポーツ選手には多くの黒人スポーツ選手がいます。フランスではどんな黒人選手が活躍しているのでしょうか。
キリアン・エンバペ(サッカー選手)
フランスの黒人選手として活躍しているのが、キリアン・エンバペさん(1998年12月20日生)です。本名はキリアン・サンミ・エムバペ・ロタンさんで、2018年のワールドカップで活躍した選手です。父親はカメルーン出身で、母親はアルジェリア人です。
2015年にデビューをしてから、数々の経歴を残しています。2016年にはプロ初得点、2018年には、4得点をあげている有名なサッカー選手です。
2019年は4つの大会に出場して、2得点をあげています。今後も活躍が期待できるフランスの黒人選手です。
イアルバン・ヌガペト(バレー選手)
イアルバン・ヌガペトさn(1991年2月12日生)も、フランスの黒人選手です。とてもイケメンだという事でも話題になった選手です。父親はカメルーン出身です。
2015年のワールドカップではMVPを受賞した、すごい選手でもあります。身長194cmで、日本人からするととても長身ですが、フランス人の中ではそこまでの長身とは言えないのだそう。それほど高くない身長でありながら、強烈なスパイクを打つ事でも有名です。
世界的な大会で何度もMVPを取得するスゴイ選手ですが、私生活では問題が多い事でも有名な選手だと言われています。
スルヤ・ボナリー(フィギュアスケート選手)
1990年代に活躍をしたのがスルヤ・ボナリーさん(1973年12月15日生)です。アルベールビルオリンピック、リレハンメルオリンピック、長野オリンピックでフランスの代表選手でした。
1998年の長野オリンピックでは、フィギュアスケートで禁止の技だったバックフリップをした事でも有名な選手です。現在はプロのフィギュアスケーターとして、アイスショーなどで活躍されています。
スルヤ・ボナリーさんの実の両親はわかっていません。孤児院に預けられていたのを養父母に引き取られています。出生に関しては公表されていないもののレユニオン系だと公表しているようです。
ポール・ポグバ(サッカー選手)
ポール・ポグバさん(1993年3月15日生)もフランスで活躍する黒人スポーツ選手です。両親はギニアからの移民だと言われています。
U-16フランスの時代からフランス代表に選ばれていて、U-20フランスまで連続でフランス代表となっています。
2018年FIFAワールドカップロシア大会での、フランスの優勝に大きく貢献した選手です。髪型が特徴的で、2016年にはポケモンの「モンスターボール」をイメージしたヘアスタイルを披露した事でも話題となりました。
アジア人が差別される事もある
フランスでは黒人だけではなく、就職する時にはアジア系やアラブ系も差別にあう事があるという事を書きましたが、フランスでは観光脚であってもアジア人が差別される事もあります。
有名な話としては、芸能人のGACKTさんが体験したものです。GACKTさんがフランスの飲食店に入った時、店員から奥の席に移るようにと言われます。言われた時には何も思わず、言われたまま奥の席に向かったそうですが、よくみるとGACKTさんがもともと座っていた席の周りには白人しかいなかったそうです。
外からみえる位置には白人が座り、外からみえにくい奥の席にアジア人や黒人が座っていたのをみて「自分は差別されたのだ」と実感したと言われています。
日本でもアフリカ出身者が差別された事がニュースに
フランスに行った日本人が差別される事がありますが、とても残念な事に、日本でもアフリカ出身の人を差別するような事がありました。
日本にある国際大学で、「アフリカの学生の体臭が臭い」という、差別的な投書がされたのです。この大学では、投書を掲示板に貼り出すという事をしていたそうです。こんな投書は張り出すべきではなかったのですが、深く考えもしないで貼り出してしまったのだそうです。
大学側の差別に対する知識が甘かったのだと考えられています。アフリカ系の学生はとてもショックを受けたという事件でした。
フランスではまだ肌の色での差別がある
今回はフランスの黒人の割合から、フランスの黒人差別の実態をまとめました。残念ながらフランスではまだ、肌の色で差別をされてしまう事はあるようです。
しかしフランスにいる全ての人が、差別をしているわけではありません。差別をする事が間違っていると思って、行動に移している人も出てきています。いつかフランスでも差別がなくなる日がくるでしょう。