テレコの意味とは?業界用語の使い方を例文で紹介
「テレコ」とはどのような意味なのでしょうか?実は「テレコ」とは歌舞伎に語源があり、主に関西地方で使われる方言です。分かるようで理解できていない人が多い「テレコ」とはどのような意味か、例文を交えて使い方をご紹介していきます。
関西弁「テレコ」の使い方をマスターしよう
「テレコ」という言葉を聞いたことがありますか?聞いたことはあるけど、ちゃんとした意味が分かっていない人も多いのではないでしょうか。また、テレビ局の業界用語なのかなと思っている人も少なくないかもしれません。
実は、「テレコ」は関西を中心に使われている方言です。九州地方ではほとんど使われることがなく、意味が伝わらないことが多いです。関西地域に行くとビジネスシーンでも使うことが多い言葉ですから、この機会に使い方をマスターしましょう。
「テレコ」の意味とは?
それでは、まず、「テレコ」とはどのような意味なのかをみていきます。「テレコ」とは、「互い違い」「入れ違い」「食い違い」「あべこべ」といった意味です。どこかが間違っていたり、かみ合わなかったりする様子を表現しています。
主に関西圏で使われている言葉ですが、芸人さんがテレビで使うようになって、全国に広がった言葉です。
相手の間違いを「違うよ!」と指摘するより「テレコになってるよ!」と伝えた方が、ミスを責めるニュアンスが減りやさしい表現になります。
そのため、最近では、ビジネスシーンでもよく使われるようになり、なんとなく意味は分かるけどきちんと説明ができない人が増えています。
「テレコ」の語源や由来
では、この「テレコ」という言葉は、元々どこから来た言葉なのでしょうか。語源をご紹介いたします。「テレコ」とは、元々は歌舞伎の言葉です。2つの異なる話を一つの演目にまとめ、一幕ごとに交互に演じることを「てれこ」といいます。歌舞伎用語では、ひらがなで「てれこ」と表記します。
語源には、2つの説があります。ひとつめの説は、「手入れ」+「交互」。音に出して読むと、「ていれ・こうご」ですが、ここから「て・れ・こ」の音を取ったという説です。ふたつめの説は、「手入れ」+「こ」→「ていれこ」が略されて「てれこ」となった説です。追加された「こ」というのは、「慣れっこ」のような使い方をする接尾語の「こ」です。
どちらが正しいのかは不明ですが、カタカナで表記する「テレコ」から想像していた語源とは、かなり違っていたという人は少なくないでしょう。
「テレコ」の使い方
続いては、「テレコ」の使い方をご紹介します。「テレコ」は、ビジネスシーンでも使われる言葉ですから、取引先や上司との会話で言われたときに、きちんと意味を理解しておくことで、スムーズに対処できるようになります。
ここでは、例文を通して、「テレコ」がどのような意味で使われるのかみていきます。「テレコ」は、状況によって、その意味がいくつかある言葉です。それぞれのシーンでどのような意味を持つのかを知っておきましょう。
「テレコ」を使った例文
それでは、「テレコ」を使った例文をご紹介していきます。例文を確認することで、それぞれの使い方によって「テレコ」がどのような状況を指しているのか理解を深めてください。
例文①靴下がテレコになる
「靴下がテレコになっている」とは、靴下の左右が逆になっていることを意味します。「あべこべ」の意味で使われているシーンです。靴下の他に、手袋にも使えます。
靴下の場合は、左右が逆という意味ですが、上下が逆の場合も「テレコ」と表現します。「この絵はテレコになっている」というと、絵画の飾り方が上下逆さまになっているという意味です。絵の他にも写真やポスターなど、様々なものに使えます。
例文②シャツがテレコになる
それでは、つづいて、「シャツがテレコになる」をご紹介します。「シャツがテレコ」とは、どのような状況か分かるでしょうか?響きだけですと、テレテレ、ヨレヨレになっているようにイメージする人も多いかもしれません。
実は、シャツのテレコとは、裏表になっていることを表現しています。裏返しで選択した後、そのまま畳んでしまい、来た時に裏表逆になった経験がある人は少なくないでしょう。そのようなときに使います。
裏表の他に、前後逆という意味でも使えます。シンプルなTシャツなどデザインによっては、前後ろ逆に着てしまうこともありますが、そのときも、テレコが使えます。友達の裏表や前後ろに気づいたら、「それ、テレコになっているよ」と、やさしく教えてあげましょう。
例文③部長とテレコになる
人の動きに使った時の「テレコ」とは、入れ違いや行き違いを意味します。「部長とテレコになる」といったときは、部長がすでに出てしまった後で自分が到着したようなシーンになります。一歩遅れたというニュアンスが含まれます。
また、メールの送信が行き違ってしまったときにも、「テレコになりましたね!」といえば、角が立たず丸く収まるでしょう。ぜひマスターしたい使い方です。
例文④テレコで納品してしまう
次は、物流業界で使う「テレコ」です。この場合は、納入先の商品を入れ違って納品してしまったことになります。A社に商品T、B社に商品Sを納品すべきところ、A社に商品S、B社に商品Tを運んで行ってしまったという大変な事態ですね。
「テレコで納品した」という言葉が聞こえたら、早急な対処をおこない損失を防ぐ姿勢が大切です。意味が分からず呆けていると評価が下がってしまうかもしれませんから、覚えておきましょう。
例文⑤台本がテレコになる
それでは、続いて、放送業界用語をご紹介します。「台本がテレコになる」とは、台詞やページの順番が入れ違っているような状況です。
放送業界以外でも、資料のページが互い違いになってしまっているようなときに使えます。「この会議資料がテレコになっている」と言われたら、ページの順番を確認し、正しく整えましょう。順番が違うと意味がつながらなくなってしまいますから、紙の資料はテレコに注意して準備をしましょう。
例文⑥テレコ生地
「テレコ」は、生地にも使われます。「互い違い」という意味から「テレコ生地」という言葉が登場しました。裏と表が互い違いにデコボコした生地のことです。
糸を編むときに針を規則的に抜くことで、このようなデコボコした模様ができます。ニット素材でよく見かける、縦に線が入った模様に見える生地が「テレコ生地」です。
「入れ子」との違い
表記すると全く違いますが、音の響きだけだと間違いそうな言葉に「いれこ」があります。そこで、少しだけ入れ子について確認します。
「入れ子」とは、マトリョーシカのように形は同じで大きさが違うものがあり、大きいものに小さなものが入っているもののことをいいます。
また、IT業界では、プログラミングで関数を設定するときに使われます。()内に設定をするので「入れ子」というそうです。
テレコとは全く意味が異なりますから、聞き違えると対処のミスにつながります。前後の文脈や状況を総合的に判断して聞き間違いをしないよう気を付けましょう。
「テレコ」の英語表現
つづいては、「テレコ」を英語で表現するとどのような表現があるのか学習していきます。「テレコ」をのものを直訳できる英語はありませんが、状況に応じて「テレコ」と同様の意味で使われる英語は多数あります。
「あべこべ」「入れ違い」といったことを表現する英語がテレコの状態を表現することになりますので、そのなかから2つの表現をご紹介します。
swap ~ by accident
swapは交換する。by accidentは、偶然や意図せずといった意味の英語です。間違えて物が入れ違ってしまったという英語表現です。「テレコ」とほぼ同じ状況を表しています。
mix up
mix upは、「あべこべ」になるという意味で使われる英語です。互い違いになるという意味の「テレコ」と同じニュアンスの英語表現といえるでしょう。
There must have been a mix-upは、訳すと「取り違えがあったに違いない」となります。mixだけですと、混ぜるという意味になるのですが、upが付くことで、間違えて入れ替わってしまったという意味になります。
「テレコ」の意味を理解して使いこなそう
今回は、「テレコ」について、その意味や語源、使い方について見てきました。「テレコ」は歌舞伎に語源をもつ関西の方言で、「あべこべ」「互い違い」「行き違い」という意味があります。何かしらがかみ合っていない状況を表しており、よくありがちな状況で使える言葉です。
「テレコ」と言われた場合、どこかに間違いがあるということです。どのような意味で使われているのかよく理解しておくことで、すぐに対応ができます。「テレコ」を使いこなせるようになっておきましょう。