2019年03月07日公開
2019年03月07日更新
気丈の意味とは?気丈に振る舞うなどの使い方を例文で紹介
気丈な人、気丈に振る舞うなど、気丈という言葉を聞く機会は多いですが、気丈という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。どんなときにも気丈に振る舞う人とは、どのような人でしょうか。例文を使って、気丈という言葉の意味や使い方をご紹介します。
目次
気丈に振る舞える人ってどんな人?
嫌なことがあったとき、悲しいことがあったとき、それをおもてに出さず頑張る人がいます。なかなかできないことですが、苦しさに耐えている人には、誰もが救いの手を差し伸べたくなるものです。
すべての感情がすぐに顔や態度にあらわれる素直な人も素敵ですが、辛いとき、悲しいとき、それに堪えて気丈に振る舞える人は立派です。
気丈に振る舞える人とは、どのような人なのでしょうか。
「気丈」の意味とは?
「気丈」とは、「きじょう」と読みます。「きたけ」と読み間違える人もいますが、「きたけ」とは、後襟の下縫い線から裾下までの長さを意味し、漢字では「着丈」と書きます。
「気丈」は、「気丈夫」とも言います。「気丈」の「気」は、「勇気」や「本気」の「気」と同じで、「心や精神のはたらき」を意味します。「気丈」の「丈」は、杖のもともとの文字で、「支え」を意味します。
つまり、「気丈」の意味とは、心や精神が支えられていること、気持ちの持ち方がしっかりとしている様子です。必ずそうでなくてはならないというわけではありませんが、基本的に女性や子どもに対して使われる言葉です。
「気丈に振る舞う」の意味
「気丈」は、「気丈な母」とか、「気丈な子ども」「気丈に耐える」などと言った使い方もしますが、「気丈に振る舞う」という使い方をすることも多いです。「悲しみに負けず気丈に振る舞う」などという使い方をします。
「気丈に振る舞う」の「振る舞う」には、「(ある動作を)おこなう・する」という意味があります。「気丈」に「振る舞う」をそのまま解釈すると、「気持ちがしっかりとした様子」に「する」という意味になります。
このように、「気丈に振る舞う」には、ただ単に、「強い心で気持ちをしっかりと持つ」という意味もありますが、「気持ちがしっかりとした様子」にわざわざ「する」ということは、本当はそうでなないことをも意味しています。
「気丈に振る舞う」とは、本当は悲しみや苦しみ、不安などで精神的に不安定なのに、周囲の人に悟られないように、強がって気持ちがしっかりとしているふりをするという意味でもありす。
「気丈」の類語
「夫の失業にも気丈に振る舞う」など、困難に出会っても気持ちをしっかりと持っている様子をあらわす、「気丈」という言葉。「気丈」の類語にはどのようなものがあるでしょうか。「気丈」の類語をご紹介します。そして、以下ではその使い方を例文を交えてご説明します。
・健気(けなげ) |
・気骨(きこつ) |
・平然(へいぜん) |
・健気(けなげ)
「健気」とは、「小さい者や弱い者が、困難や苦難に負けずに頑張っている様子」を意味します。基本的には子どもに用いられることが多い言葉ですが、「気丈」との違いは、男性にも適用されるという点です。その他の意味は、「気丈」とほぼ同じです。
「夫の失業にも気丈に振る舞う」は、「夫の失業にも健気に耐える」とか、「父の失業にも健気に振る舞う」と言い換えることもできます。「小さな子どもが健気に母の看病をする」とか、「健気に弟や妹の面倒を見る」などといった使い方をします。
・気骨(きこつ)
「気骨」とは、「自分の考えをしっかりと持ち、簡単に他人の意見に流されない強い心」を意味します。「芯が強い」という言い方をする場合もあります。どんな困難にも負けない不屈の精神のことです。「気概」も同義です。
使い方としては、「気骨がある人」が一般的です。四字熟語でいえば「不撓不屈」です。「気丈」の「しっかりとした心持ち」という部分に相通じる言葉です。
・平然(へいぜん)
「平然」とは、「心が動じない」とか「余計なことは気にかけない」といった意味です。「動揺しない」という点が、「気丈」に通じる言葉です。
「トラブルがあっても平然としている」とか、「平然たる態度で挑む」などといった使い方をしますが、「平然と嘘をつく」というように、悪い意味で使われることもあります。「気丈」とは完全に同義ということはできませんが、類語ではあります。
「夫の失業にも気丈に振る舞う」というのを、「夫の失業にも平然と振る舞う」と言い換えると、毅然とした心の強さをあらわしながらも、どこかよそよそしい、冷たい印象もあります。
気丈な性格とは?
「気丈」という言葉は、もともとは女性や子どもに対して使われていましたが、最近では男性に対して使うこともあるようです。「気丈」とは「不測の出来事にも動揺せず、冷静でいる様子」を意味します。気丈な性格とは、どのような性格をいうのでしょうか。
冷静沈着
気丈な人とは、どんなアクシデントが起こっても、取り乱したり慌てたりしない、冷静沈着な性格の持ち主です。
状況判断力や分析力に長け、オロオロして無駄にする時間があったら、事態を解決するために前向きに努力します。
プライドが高い
気丈な人は、人に弱味を見せることができない誇り高い性格です。悲しみや苦しみでボロボロになった姿や、うろたえたり迷ったりしている姿を、他人に晒すことに耐えられません。
「プライドが高い」というと、悪い意味にとらえる人もいますが、心を強く持つためにプライドを高く保つということは、決して悪いことではありません。
プライドが高すぎて自分の首を絞めてしまうこともままありますが、自分の力で問題を解決しようとする姿勢は立派です。
意志堅固
こうと決めたら、何があっても自分の意志を貫くという、意志の強さも、気丈な人によくある性格です。感情を揺さぶるような出来事があっても、決めたことを守り、初志貫徹する、その心の強さが、「気丈」さの礎です。
自分の言葉や行動に責任を持ち、簡単には諦めない強さは、称賛に値します。
気丈な人の特徴
不安なことや困ったことがあったら、動揺するのは当然です。ほとんどの人は、精神的な苦痛が顔や態度にあらわれます。それは仕方がないことで、心の動揺を悟らせないように気丈に振る舞える人ばかりではありません。
気丈に振る舞うことができる人には、どのような特徴があるのでしょうか。
感情をおもてに出さない
気丈に振る舞うことができる人は、自分の感情をコントロールすることができます。とくに怒りや悲しみといったマイナスの感情を隠すことが得意です。
あまりにクールなので、ときに何を考えているのかわからないとか、冷たいと思われることもありますが、気丈な人は、心の揺れを隠すことが癖のようになっていることが多いだけで、決して冷血漢ではありません。
むしろ、他の人より痛みや苦しみに敏感で繊細なことのほうが多いです。
弱音を吐かない
どんなに追い詰められても、ピンチに立たされても、決して弱音を吐いたり諦めたりしない、それが気丈に振る舞う人の特徴です。
気丈な人は、他人に弱味を見せることを嫌います。プライドが高いせいでもありますが、前を向こうとする意志の強さのあらわれでもあります。
気丈に振る舞う人は、我慢強くもあります。辛いこと、苦しいことに必死で耐え、何とか打開策を見つけようと努力する、強いひとです。
負けず嫌い
気丈な人には、負けず嫌いという特徴もあります。他人に弱味を見せることは、負けだと思っています。これもプライドの高い性格がなせる業です。
降った湧いた危機や困難に打ちのめされることをよしとせず、立ち向かって克服しようと、自らを奮い立たせます。心の痛みを悟られないように孤軍奮闘する姿は、ときに痛ましいほどです。
気丈に振る舞い続けることは、かなりしんどいことです。気丈に振る舞うことが癖になったいる人は、もう少し他人を頼ることを覚えてもいいのかもしれません。
人前で泣かない
気丈に振る舞う人の涙を見たことがある人は、いないのではないでしょうか。気丈な人は、人前では決して泣きません。涙を流すことは簡単ですが、感情に流されることを嫌う気丈な人は、涙をのみ込んで悲しみに立ち向かうことを選びます。
人前で流す涙は、他人の同情を引きはしますが、問題の解決には役に立たないと、気丈な人は知っています。
もしかしたら、気丈に振る舞って必死で守っている心の壁が、涙によって崩壊するのを恐れているのかもしれません。気丈な人が人前で涙を流すとき、それは、気丈な振る舞いにほころびが生じたときです。
気丈に振る舞える人になる方法
どんなときでも感情を押し隠し、気丈に振る舞う必要があるわけではありませんが、気丈に振る舞う人には、多くの支援者が手を差し伸べてくれます。
それだけではありません。困難やトラブルに打ちのめされていても、問題は解決しません。気丈に振る舞うことで、事態を好転させるきっかけが見つかることもあります。気丈に振る舞う人は、それが希望につながると信じています。
困難に負けて、ピンチに戸惑い、不安に駆られるばかりでは前進できません。どうすれば弱い心を押しとどめ、気丈に振る舞うことができるようになるのでしょうか。
自分の意志を強く持つ
苦しみや悲しみにつぶされないためには、決して挫けない強い意志を持つことが大切です。ブレない心が気丈な振る舞いを支えます。
「意志を強く持つ」とは言っても、簡単なことではありません。ほとんどの人は、意志を強く持ちたいと願いながら、同時に意志を貫くことの難しさを知っているはずです。人間は、弱い生き物です。状況や、他人の意見に容易に流されてしまいます。
でも、気丈に振る舞う人になるためには、どんな困難にも負けない、強い気持ちを持たなくてはなりません。
ポジティブに考える
気丈に振る舞うためには、希望が必要です。出口があると信じられれば、今の困難な状況も、頑張って乗り越えることができます。
もう駄目だとへこたれてしまったら、そこで終わりです。苦しくても、辛くても、前向きに考えることが、気丈に振る舞うためには不可欠です。
気丈に振る舞えることができる人になるためには、まず物事をポジティブに考える習慣をつけましょう。
衝撃に備える
人生では、何が起こるがわかりません。いいこともあれば悪いこともあります。ときには、大きな悲しみに襲われるような出来事にも遭遇します。そんなときに、取り乱したり、悲しみにつぶされたりしないためには、常に心の準備をしておくことが必要です。
何があっても動じない強い心を持つためには、この世の中には、想像を超えた辛い出来事も起こり得るのだということを、覚悟しておかなくてはなりません。
そこまでオーバーでなくても、あらゆる可能性を想定する癖をつけておくことが、いざというとき動揺しないコツです。
「気丈」の英語表現
「気丈」を英語で言うとなると、どうなるのでしょうか。「気丈」の英語表現について考えてみましょう。
tough
「気丈」の類語に「タフ」がありますが、これはそのまま英語の「tough」のことです。「tough」には、「困難」や「骨が折れる」、「肉体的に強靭」という意味の他に、「精神的にたくましい」という意味があります。
「tough」の他には、『Brave Heart』や『Brave Story』など、映画や小説のタイトルになった「brave」も「勇敢な」という意味で、「気丈」をあらわす英語と言えます。
courageous
人目につくところでややわざとらしく勇気を示す場合は、「bold」を使います。「courageous」も同じような意味ですが、もう少し堅苦しい使い方になり、困難や危険に立ち向かう意志の強さ、決意を暗示しています。
「気丈」の持つ、「耐える」という意味合いは薄れますが、困難に負けないという意味では「気丈」と同じように使うことができます。
気丈に振る舞うことが苦痛になったら
心のありようを隠して、常に気丈に振る舞うのは無理があります。どんなに意志の強い人でも、疲れたり、弱ったりすることはあります。
気丈に振る舞うことに疲れたら、心を開放して休むことも必要です。現実を受け入れることは、負けることでも、プライドを捨てることでもありません。
休んで気力が戻ったら、また気丈に振る舞うことができます。そのためには、リフレッシュする方法を知っておく必要があります。気持ちを切り替え、気力を取り戻す自分なりの方法を、手に入れるのも、気丈に生きていくためには不可欠なことです。
気丈に振る舞うことのメリットとデメリット
気丈な人は、前向きで力強く、魅力的です。多くの人が救いの手を差し伸べたくなりますが、気丈にばかり振る舞っていては、人を遠ざけることになりかねません。
弱味を全く見せない人間というのは、近寄りがたい印象を与えます。何でも一人で解決しようとする強さは、可愛げがないととられかねません。
気丈に振る舞うのも程度問題です。どうにもならないとき、押しつぶされそうなほどの悲しみに出会ったときには、素直に悩みを打ち明けるのも、生きていく上では必要な手段です。